March 18, 2017

自転車の規制や市場を考える

少しずつ春が近づいています。


まだ寒い日もありますが、ようやく春めいた日も出てきました。暑さ寒さも彼岸までと言いますし、もう少しすれば桜の便りも聞こえてくるでしょう。さて、そんな折りですが、最近の自転車関連のニュースの中から、目についたものをピックアップしてみたいと思います。


2020年までに約100地区に設置 “知って、自転車ナビルート” 警視庁、利用者に交通指導

自転車ナビルート自転車が絡む交通事故を減らそうと、警視庁は3月10日、走行場所と方向を車道上に矢印マークで示す「自転車ナビルート」を整備した交差点で、ナビルートの周知や利用者への交通指導を実施した。

交通規制課によると、ナビルートは白いマークと青い矢印の2種類ある。白いマークは車道左端に表示し、自転車の図柄と矢印を組み合わせたもの。青い矢印は交差点に記される。いずれも走行位置を自転車利用者に明示している。

10日は、整備したばかりの杉並区高円寺南1丁目の都道交差点で杉並署員が交通指導。警視庁は、これまでに都内の国道・都道の22路線と駅周辺など48地区の計約552キロにナビルートを整備。東京五輪が開催される2020年ごろまでに83路線、約100地区に拡大するという。(2017/03/11 サンスポ)


自転車ナビルート東京では、これまでに一部の地域で自転車ナビマークの設置が行われてきました。これを拡大しつつ、自転車の車道走行を促しています。2020年ということで、オリンピックに向けたインフラ整備の意味合いもあるのでしょう。今後も周知徹底を図っていく方針を打ち出しています。

本来は、ナビマークを表示するのではなく、自転車レーンの設置を進めてほしいところです。ただ、最初から高望みをしても無理なのでしょう。何もないよりはマシなわけで、少なくとも、自転車の車道走行の原則徹底、走行空間の確保、自転車インフラの充実に向けての一歩と言う事は出来ると思います。

車道での自転車との共存を示すものではありますが、これだけで全ての人が車道走行するようになり、歩道を傍若無人に走行するような無秩序な状態が解消するわけではありません。現実問題として、ドライバーにどれだけ認知され、尊重されるかについても不透明な部分があります。

方向が示されているとは言え、逆走が減ったり、交通ルールの順守度が向上するかも未知数です。しかし、実際に運用していかないことには、さまざまな問題点も明らかにならないわけで、これをまず手始めとすることで、自転車レーンへの転換を議論し、今後いい形に発展していくことを期待したいと思います。


自転車事故、高1が突出 利用増も不慣れ 静岡県警分析

静岡県警が2007〜16年の10年間に静岡県内で発生した未成年者の自転車事故を調べたところ、学年別では高校1年生の事故が中学3年生から4倍以上に増え、全体でも突出して多かったことが14日までに分かった。高校入学後に通学で自転車が必要になり、不慣れな状態で乗る生徒が増えるためとみられる。中学1年生の自転車事故も小学6年生から約2倍に増えていた。

自転車事故県警交通企画課によると、過去10年、県内で自転車事故でけがをした高校1年生は5094人(このうち死者は5人)で、中学3年生の1228人の4・14倍だった。高校2年生は3791人、高校3年生は2868人と、学年が上がるにつれて事故は減少していた。小学6年が685人なのに対し、中学1年も1351人と約2倍に増え、同様の傾向を示した。

2016年の県内の高校1年生の自転車事故(403件)の分析では、乗用車などとの出合い頭事故が247件と、全体の約6割を占めた。時間帯別では、通学時間帯と重なる午前6〜8時が約4割と最多。事故原因が自転車側にある事故(110件)では、約4割に一時停止違反が認められた。(以下略 2017年03月15日 静岡新聞)


三月も後半に入り、進学を楽しみにしている新入生も多いことでしょう。新入学で、四月から自転車通学という人に事故が多いことが報じられています。最初は、自転車にも道にも不慣れなわけですから、当然予想される結果とは言え、高1で4倍、中1で2倍という突出した多さには驚きます。

これは静岡県での調査結果ですが、多かれ少なかれ、他の都道府県でも同じような傾向であろうと推察されます。新入学や、新しい生活に向けて心躍る季節でもあると思いますが、事故のリスクにも十分留意して、自転車通学に備えてほしいものです。


青信号待てず、自転車逆走 「大人もやってるから」

自転車逆走子どもが事故に巻き込まれやすい場所に、理由はあるのか。子どもの事故の割合が高かった区域を専門家と歩くと課題が見えてきた。

兵庫県伊丹市北部の中野・鴻池区域。住宅地の幹線道路にある変則的な四差路交差点は、登校する高校生らの自転車でごった返していた。

1月中旬の朝8時、高校生たちは図の〈2〉の信号が青になるのを待たず、自転車で次々と〈1〉のように交差点内の車道を逆走。左折しようとする車の前を走り抜けた。(以下略 2017年2月20日 朝日新聞)


これは伊丹市の実例の取材記事ですが、自然と自転車の逆走をうながしてしまうような、構造的な問題のある場所というのは、全国各地にあるのではないでしょうか。信号との関係や、交差点の形、進行方向との関係などで、逆走してしまうような流れが出来てしまっている地点です。

本来、左側通行など基本的な交通ルールを守らず、歩行の延長のような感覚で、歩道だろうが車道だろうが無関係に走り、自分の都合で逆走するような無秩序状態が問題の根底にあります。車道走行や左側通行、二段階右折などを守るべきなのは当然です。それを、率先して大人が違反しているのも問題です。

しかし、実際問題として守られていないのが現実です。このような箇所は、毎日の自転車利用者の流れを見ていれば、容易に特定出来るはずです。そのような場所には、ガードレールなどを使って、物理的に逆走を防ぐような方策を考えていくのも、現実的な対応として必要なのではないでしょうか。


自転車の購入基準、子ども用はデザイン・主婦用は価格重視で後悔

自転車購入を検討する人が増える新生活を前に、自転車の安全利用促進委員会が「自転車購入基準調査」を実施した。中高生の子ども用自転車では「デザイン」、主婦用自転車では「価格」を重視したために後悔した人が多いことがわかった。

自転車の安全利用促進委員会は、中高生の自転車通学をする子どもを持つ主婦(親)500名を対象に、自転車購入時の購入基準について調査した。調査期間は2017年2月20日から22日まで。

子どもの自転車を購入する際の基準を尋ねると、主婦の83.0%、子ども(子どもが考える基準について主婦が代理で回答)の69.2%が「安全性」を最重視。ついで、「デザイン」67.8%、「サイズ」61.4%、「価格」48.6%が上位となった。主婦は「価格」74.4%、「サイズ」52.2%、「安全マーク(BAAマークなど)」44.8%が上位に。

購入基準一方、主婦が自身の自転車を購入する際の基準では、「価格」71.4%がもっとも多く、「安全性」は60.6%と、子どもの自転車購入時より安全性への関心が低い傾向にあった。

購入した自転車で気になる点、後悔した点を回答してもらいグラフ化したところ、子ども用・主婦用ともに「さびやすい」「すぐタイヤがパンクする、空気がぬける」「重い」という回答が多かった。

また、気になる点、後悔した点ははどのようなことが原因と考えられるかを聞くと、子ども用は「デザインを重視したから」31.4%、主婦用は「値段(安さ)を重視したから」41.0%がトップ。それぞれが重視していた項目に起因していると考えていることがわかった。

自転車の安全利用促進委員会によると、近年、自転車自体の破損やメンテナンス不足によって事故に遭う事例が増えているという。色や形、値段さまざまな自転車があるが、車と同じ「車両」であることを理解し、被害者はもちろん加害者にもならないよう、正しい自転車選びで新生活をスタートするようアドバイスしている。(リセマム 2017年3月7日)


新入学、新学期からの自転車通学に向けて、自転車を購入する人が多い季節かも知れません。しかし、見かけだけのデザイン、そして価格で選んで後悔している人が多いという調査結果が報じられています。これも想像がつく結果ではありますが、相変わらず自転車の選び方に問題があることがわかります。

日本の自転車市場は、格安粗悪なママチャリが席捲しています。ディスカウントストアやスーパーなどで買う人が多く、価格競争の中で自転車が売られているというのも問題です。結果として、良質な自転車を提供する自転車専門店は淘汰され、減っていく一方です。

価格や見かけだけのデザインで、格安粗悪な自転車を買うと、壊れやすいだけでなく、安全上も大きな問題をはらんでいます。また、錆びたり、すぐタイヤがパンクする、空気が抜けるような自転車では、愛着も湧きませんし、どうしても扱い方も乱雑になるでしょう。

重いことも含め、乗っていても楽しくないですし、自転車に乗りたくなくなるでしょう。安全の為に必要なメンテナンスをする気にもなりません。そのことがまた、パンクしやすくなったり、壊れたり、チェーンの錆びなどにつながります。ますます自転車に乗るのがイヤになります。

自転車ナビルート全くもって悪循環です。格安粗悪な自転車を、まるで使い捨てにようにする人も多く、駅前などの放置自転車の増加の原因にもなっています。すぐ壊れたりパンクするので、そのまま放置しますし、撤去移送されても、わざわざ取りに行かない人も少なくないと言います。

このような日本の自転車市場の現状は憂慮すべき問題です。もっと軽くて品質の良い自転車に乗れば、自転車に乗るのも楽しくなりますし、愛着が湧き、メンテナンスする気にもなり、故障やパンクしにくくなり、安全性が向上し、ますます自転車生活が快適になるのに、まことに残念と言うほかありません。

まず何より利用者の安全、そして環境負荷の低い自転車の活用、放置自転車の撤去移送など莫大な社会的コストを考えれば、現在のような自転車の流通形態は見直してもいいのではないかと思います。このままでは、誰も得をせず、個人も、業界も、社会的にも損失ばかりです。

例えばクルマの場合、危険で格安粗悪なものが出回らないよう、車検制度があります。また、誰でも無責任に売れるようにはなっていません。乗る人の生命にかかわりますし、交通事故など社会的にも影響が大きいわけで、いろいろな規制があります。

当然、クルマとは違いますが、粗悪な自転車の氾濫は安全上も社会的にも問題です。何らかの規制を考えてもいいのではないでしょうか。せめて、基準に満たない格安・粗悪な自転車を流通させないための、最低限の規制を設けてもいいのではないでしょうか。

世の中全般のトレンドとして、規制緩和が叫ばれる中、なかなか規制を強化する方向は難しいかも知れません。しかし、EUなどでは、主に中国製の格安粗悪な自転車を流入させないため、高い関税をかけたりしています。必要最小限の規制を考えてみる余地はあると思います。


“自転車芸人”安田団長「景品」で人生変わった「ご飯がおいしくなる」

自転車芸人著名人がロードバイクへの思いを語る新企画「チャリ愛」にお笑いグループ「安田大サーカス」の安田裕己団長(42)が登場し「リニアモーターカーみたいに浮いてる」「仮面ライダーになれそう」「マシン感+プラモデル感」「ご飯の最高の調味料」と熱〜いトークを展開した。

十数年前、「関口宏の東京フレンドパーク2」(TBS系)に出演した景品でトレックのロードバイクをもらいました。初めて見る自転車で「サドルが高くて地面に足がつかん。タイヤも細くて家の空気入れも使えん」と思い、近所の自転車屋に行って「ママチャリと交換できませんか」と相談したところ、「これは高くて良いものだから、もったいない」と諭され、そこからバイクまっしぐら。今では「自転車芸人」と呼ばれるほど、人生が変わりましたね。

そのトレック車に恐る恐る乗ってみたら、坂道もス〜ッといく。「このペダルの軽さは何や、リニアモーターカーみたいに浮いてるで」と超衝撃。ツール・ド・フランスの選手が着ている華やかなウェアとヘルメットを身につけるとテンションも上がって、「仮面ライダーになれそうや」と変身願望を満たされました。10段以上の変速機を使うマシン感、サドルの位置を調整したりパンクを修理するプラモデル感とか、男の好きな要素がいっぱい詰まってるんですわ。

後輩芸人でオジンオズボーンの篠宮暁(34)もバイクに乗り始め、大会で100キロに挑戦する時に付き合いました。後半、しんどそうな彼に、走りながら「これを食べろ」と、どら焼きを手渡したら、甘い物が苦手でアンコは大嫌いだった彼が素直に口に入れ「こんなうまいものがあるんですね」としみじみ。ロードバイクの素晴らしさを聞かれて「風を切る快感」とか言う人がいるけど、それよりもご飯がおいしくなることが一番。最高の“調味料”なんですよ。

自転車芸人2008年からロードやヒルクライムレースに出場し、現在はトライアスロンが中心。オリンピック・ディスタンス(水泳1・5キロ、バイク40キロ、ラン10キロ)に始まり、13年8月にはアイアンマン・ディスタンス(水泳3・8キロ、バイク180キロ、ラン42・195キロ)の「アイアンマン・ジャパン北海道」に初出場。最後はヘロヘロ、16時間22分22秒でゴールしました。1238人中、1179位でしたが、感動して涙が止まらんかったなあ。

15年7月の「温海トライアスロン大会」(山形・鶴岡市)で、バイクで給水所に寄った際に転倒。頭部と顔面を強打してドクターヘリで救急搬送されました。脳しんとうと打撲で済みましたけど、あれは痛恨のミス。実力以上のものを出そうとして冷静な判断ができなかった。それでも、水泳とバイク、ランの3つを一日中楽しめる競技は僕の生きがい。今年も5月の南紀白浜から8月の京都丹後までの4大会にエントリー。安全に心がけてベストを尽くしますよ。

安田団長の都内の自宅には「バイク部屋」がある。「狭い戸建てなので1階のガレージと玄関が僕のスペース」。大会用のキャノンデールやクオーターのバイク13台、ウェアやヘルメット、修理道具などを収納する。仕事のない日に神奈川・宮ケ瀬や山梨・河口湖方面にライドするが、雨天や時間がない日は部屋の中にあるバイクマシン「パワーマジック」をこいで鍛えているとか。

◆安田 裕己(やすだ・ひろみ)1974年4月26日、兵庫・西宮市生まれ。42歳。クロちゃん(40)、HIRO(39)らと2001年、安田大サーカスを結成。2012年にはロードバイクのプロチーム・宇都宮ブリッツェンの下部組織で実業団のブラウ・ブリッツェンの入団試験に合格。大会で使う愛車はキャノンデールの「SUPERSIX HI―MOD Team」など。163センチ、65キロ(大会出場時は60キロ前後まで減量)。血液型A。家族はタレントの安田さち(35)と2女。(2017年2月28日 スポーツ報知)


ニュースではありませんが、お笑い芸人の安田大サーカスの団長の記事が載っていました。彼の自転車好きは、テレビなどでも取り上げられていますし、サイクリストなら知っている人も多いかも知れません。安田団長が自転車に目覚めた経緯も、多くの人に似たような部分、共感する部分があるのではないでしょうか。

先ほどの格安粗悪な自転車の流通の話、自転車の選び方の話とも重なってくる部分があります。現状の日本の自転車市場で、値段や見かけだけのデザインで選んでいては、自転車本来の良さ、ポテンシャルを知ることは、なかなか難しいものがあると思います。

自転車芸人なぜ、値段で選ぶべきでないか、安全上問題があるか、そして、本来の自転車はもっと楽しいといったことが、スポーツバイクや高品質な自転車に乗ってこそ、わかるという面があります。安田団長のように、たまたまそういう機会を得て、目からウロコが落ちたという人も少なくないに違いありません。

そのような機会を増やし、経験する人が増えれば、自転車に乗る人の意識も変わるはずです。より快適に自転車に乗れ、自転車のことをもっと好きになるでしょう。安全や交通ルールの順守といったことにも目が向くようになるはずです。社会としての自転車に対する認識も変わり、インフラなども変わっていくに違いありません。

品質の良い自転車を買って、よくメンテナンスしながら乗るようになれば、安全面も大きく向上するでしょう。自転車を放置したり、使い捨てのようにすることもなくなり、結果として放置自転車の数も減り、撤去と放置のいたちごっこで、税金を無駄に使うようなことも、なくなっていくに違いありません。

もちろん、必ずしもスポーツバイクでなくても構いませんが、自転車は命を乗せるものです。重くて壊れやすくて、危険な自転車に乗ることの愚かさ、バカバカしさに気づく必要があります。やはり、格安・粗悪なママチャリが席捲する日本の自転車市場を変えていくために、規制を再考してみるべきだと思います。




WBCは六連勝で決勝ラウンド進出、来週はサッカーW杯最終予選もありますし、スポーツ観戦も楽しみですね。

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この記事へのコメント
こんにちは
東京の自転車ナビルートについて、本来は自転車レーンの設置を進めるべきとのご意見はごもっともですが、行政が道路上で自転車の通行を想定している事はうらやましく思います。
私の行動範囲では交差点内を自転車で通行することが想定されていない場所が多く、現状では車道上にナビマークを設置する事も困難だろうと思います。
東京では設置後の利用者への指導もしているようなので、利用者の通行方法も含めて法定外の路面標示でデータを集めてから安全で使いやすい自転車レーンの設置に繋げて行ってくれると良いですね。
そして願わくばその流れを地方にも・・・
Posted by ta_iso at March 29, 2017 12:56
ta_isoさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
東京でも全ての地区でナビマークの設置が進んでいるわけではなく、設置が困難な場所も少なくないと思います。
従来のクルマ優先の発想で、自転車の車道走行を前提とせずに道路が作られてきてしまったためであり、これを構造から変えていくのは、一朝一夕にはいかないと思われます。
ただ、ナビマークはその最初の一歩であり、あらためて車道走行の原則にコンセンサスが得られ、広く認識されるようになることが期待されます。
あるレベルを超えたら、それが当たり前となり、インフラ整備の必要性が強く意識され、行政も変わっていく可能性があると思います。
他の道路行政もそうであったように、他の地域へ波及していくことも期待できるのではないでしょうか。
Posted by cycleroad at March 29, 2017 22:54
 
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