April 14, 2017

自転車活用の視点が足りない

自転車の機能は移動だけではありません。


自転車は、荷物の運搬にも大いに威力を発揮します。日本で自転車というとママチャリを思い浮かべる人が大多数であり、あまり荷物が運べないと思っている人が多いと思います。しかし、カーゴバイクやトレイラーなどを使えば、もっとたくさん、あるいは大きな荷物、重い荷物でも運べます。

これまでにも、たくさんの例を取り上げてきましたが、欧米などでは運搬に自転車を使うのは当たり前のこととして捉えられています。もちろん、長い距離や大量の荷物を運ぶ場合はトラックのほうが有利です。でも、時と場所によっては自転車のほうが役に立つこともあります。

特に都市部などでは、小回りも効きますし、細い道でも入っていけます。日本人が考えるよりも多くの荷物が運べますし、近年は電動アシスト機構なども使えます。さまざまな点でトラックよりも有利な場合があり、トラックを補完、あるいは使い分けるのがリーズナブルと考えられています。

近年、欧米などでは、環境負荷や省エネ、都市の渋滞などの観点からも、自転車での運搬が見直されています。パリなどの大都市では、クルマの排気ガスによる大気汚染や市民の健康被害が問題になっており、その点でも自転車が優れた運搬手段として市民に支持されているのです。

DeliverooDeliveroo

Deliveroo”社は、2013年創業のスタートアップ企業です。ネットでレストランや惣菜店などの注文を受け付け、店の代わりに配送するサービスを展開しています。創業から日は浅いですがで急成長しており、すでに企業価値は数億ドル規模に達すると見られている会社です。

デリバリーは、当然のように自転車やオートバイです。いわゆるデリバリーバンと呼ばれるようなクルマも考えられるのでしょうが、オートバイや自転車のほうが、素早く届ける必要のあるフード類のデリバリーには有利です。自転車を使うことは、エコでクリーンでもあり、企業イメージにも貢献します。

DeliverooDeliveroo

ちなみにこの会社、最近ユニークな自転車を製作したことが話題になっています。キッチンにあるような食器や調理器具がちりばめられた自転車です。ナイフやフォーク、お皿に麺棒、水切りカゴ、荷台には電子レンジまで取り付けられています。

このレンジで温めるわけではありません。荷物を入れる箱としては使えますが、電源は通っていません。果たしてこの自転車、調理器具を使う代わりに、スマホのアプリで食事はデリバリーをというアピールなのか、洗い物が出なくて片付けが簡単ということを言いたいのか、そのあたりはわかりません(笑)。

DeliverooDeliveroo

一説によると、一般的な英国家庭には、平均267ポンドの使われていない無駄な台所用品があるそうです。この自転車が何をアピールしているかはともかく、道行く人の目をひき、一定の宣伝効果が見込めそうです。英国国内だけでも1万2千台が稼働している自転車の一台に加えられています。

Pling TransportPling Transport

Pling Transport”社はスウェーデンのヨーテボリを中心に展開する会社です。ヨーテボリはストックホルムに次いで2番目、北欧全体でも5番目の大きさの都市です。この会社は、バンやトラックによる配送を自転車に置き換えるサービスを展開しています。

いわゆるメッセンジャーとしての仕事だけでなく、宅配や配送、運搬では建材やベッド、ソファーなどまで運びます。食料品のデリバリーや、ショッピングサービス、バイクタクシーとして人を運んだりもします。街を行きかう車体に広告を出すことも出来ます。広告媒体でもあるわけです。



もちろん、都市部の運搬でも、大量のものや大型のものはトラックが向いています。しかし、自転車で代替できる運搬のニーズは決して小さくないと考えています。環境や渋滞、公害などの点で、自転車便を利用したほうが、市民、顧客のイメージがよくなる効果も見逃せません。

DHLDHL

世界の宅配大手、“DHL”も自転車を使い始めています。一部の都市で、都市部の配送に、コンテナを積めるカーゴバイクを導入しました。トラックで運ばれてきたコンテナを、運送拠点で自転車に積み替え、そのまま配送します。最大で1立方メートル、125キロの容量のあるコンテナです。

“DHL”は消費者までの、いわゆるラストワンマイルに自転車の導入を進めています。すでにヨーロッパの80都市で自転車による配送が稼働しています。これによって、大きな温暖化ガスの削減効果が見込まれるとしています。温暖化ガス削減だけが理由ではありませんが、特にヨーロッパでは重要なファクターです。



“DHL”のような宅配業者でも、都市部での配送に自転車を活用するのは、さまざまなメリットが見込めるからでしょう。当然ながら、国によって、都市によっても事情は違うと思いますが、宅配便だからと言って、必ずしもトラックを使う必要はないということです。

私は業界の事情に詳しいわけではありませんが、場所によって自転車のほうが好都合なこともあるはずです。例えば、街で見かける宅配便のトラックの荷台の箱型の部分、ずいぶん大きいですが、あの中に荷物が満載されているわけではありません。外から見えませんが、意外に少量しか載っていないことも少なくないようです。

DHLDHL

つまり、カーゴバイクでも運べるわけで、地域によっては十分代替可能でしょう。トラックが自転車になることで、細い道でも入っていけたり、渋滞による時間のロスを回避出来たり、交通規制に柔軟に対応できたりなど、小回りの利く部分が大きなメリットとなることも十分考えられます。

日本では、宅配便のドライバーが駐車禁止で検挙された際、友人を身代わり出頭させるなどした会社が問題になりました。ドライバーが免許停止になっては商売になりません。駐車禁止をとられることが、致命的な問題なのは間違いないでしょう。

一方、自転車なら少なくとも駐車禁止はとられません。もちろん迷惑駐輪は困りますが、トラックと比べればはるかに邪魔になりませんし、荷下ろしが可能になる場所も大きく広がるはずです。この点だけでも、自転車での配送のメリットは小さくないでしょう。

Pling TransportPling Transport

大規模なオフィスビルなどへの宅配で、大量の荷物を一度に運ぶ場合はトラックを使うとしても、比較的小さな荷物を一軒ずつ届けるような地域も多いと思います。ハブとなる拠点から、自転車で配送したほうが効率がいい場合も多いのではないでしょうか。

日本では最近、宅配便のドライバーの不足が問題になっています。宅配というサービスの持続が危惧される深刻な事態だと言います。そんな中で、もしかしたら自転車という運搬手段が人手不足の対策として有効ということもあるのではないでしょうか。

最近の若者のクルマ離れで、クルマの免許を持っていない人でも、自転車なら宅配業務に携われます。免許はあっても、トラックの運転はちょっと、という主婦でも、自転車ならばハードルは低いはずです。人手不足の観点からも、案外自転車という方法は解決の一助になる可能性があります。

DeliverooDeliveroo

日本では、これだけ自転車に乗る人がいて、日常的に使われています。主婦などに、空き時間に短時間であっても自転車で配送してもらえば、貴重な戦力となるはずです。今どきなら、スマホのアプリなどを使って、短時間のアルバイトを集めることも考えられます。

すでに現在、自転車での宅配が行われている地域もあります。どのくらいの割合で自転車で代替できるのか、私には推測出来ませんが、ラストワンマイルに限れば、決して少なくないと思われます。もっと自転車の活用を広げることを考えてもいいのではないでしょうか。

欧米では、向き不向きで使い分けながら、自転車を運搬に使うのが当たり前になっています。日本では、ママチャリのイメージで、自転車ではあまりモノが運べないという固定観念が邪魔をしているのか、運搬に自転車を使うという視点が足りないような気がします。




節目で挑発行為を行う北朝鮮、明日は重要な記念日です。アメリカの空母が北上する中、挑発するのでしょうか。

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