May 08, 2017

前傾姿勢にこだわらない姿勢

自転車は気軽に乗れる乗り物です。


この連休で、久しぶりに自転車に乗った方もあったのではないでしょうか。何十年ぶりに乗っても、身体が覚えていますので、すぐに乗れます。ただ、久しぶりに乗ったので筋肉痛という人もあるかも知れません。どうしても特定の場所が痛くなることがあります。

私は、ママチャリは持っていないので、ふだん乗ることはほとんどありません。乗っても短い距離です。でも、どこかへ出かけた際に、レンタサイクルで乗ることがあります。以前、出かけた先の貸し自転車のママチャリで、長時間のサイクリングをしたことがありました。

その時は、わずか1〜2時間乗っただけで、お尻に耐えがたいほどの痛みを感じました。ママチャリですから、どうしても腰かけるように乗ります。その時は手元に工具もなく、サドルやハンドルなとの高さ調整も出来なかったため、お尻だけに体重が集中し、痛くなってしまったわけです。

私が、ふだんママチャリに乗り慣れていなかったため、ということもあるでしょう。ロードバイクなどのスポーツバイクの場合、サドルが高く前傾姿勢となるので、結果として体重がサドルとハンドルに分散されます。その効果を、あらためて痛感した出来事でした。

ロードレースロードレース

体重を分散し、特定の場所の痛みを緩和する点で、スポーツバイクの乗車姿勢はリーズナブルと言えます。ただ一方で、ママチャリしか乗ったことのない人がスポーツバイクに乗る際の敷居の高さにつながることもあります。初めて乗ると、この前傾姿勢を乗りにくいと感じる人が多いようです。

ママチャリとは違って腕にも体重がかかりますし、ふだんとらない姿勢なので、肩が凝ったり、腰が痛くなったり、上目遣いになるため、目が疲れた、首が痛くなるという人もいます。慣れれば乗りやすくなると思うのですが、試してみた時の違和感は大きいのでしょう。

頻繁に乗っていればともかく、週末など、たまに乗るくらいだと、肩こりや腰、首や腕などの痛みや疲れを毎回感じることになるのかも知れません。個人差はあると思いますが、スポーツバイクの乗車姿勢が、ネガティブな評価につながるケースは少なくないようです。

ロードバイクをはじめ、スポーツバイクの場合は、前傾姿勢で乗るものがほとんどです。これは、プロスポーツの世界では、使用機材がダイヤモンドフレームに限られており、プロ選手の使うモデル、同じタイプの自転車が人気となり、自転車市場を占めることになるからです。

Cruzbike

しかし、前傾姿勢で乗らないものもあります。リカンベントです。リカンベントはサドルが背もたれのついたイスのような形状になっており、足は前方に投げ出してペダルをこぐ姿勢になります。リカンベントは仰向けという意味ですが、まさに仰向けに近い姿勢で乗る形になります。

リカンベントは、前述の理由でプロ選手が使うモデルではなく、人気や認知度も低く、どうしてもニッチなカテゴリーとなってしまいます。日本ではあまり見ませんし、おそらく自転車に興味のない人で知っている人は限りなく少ないでしょう。欧米でも、マイナーなことは間違いありません。

プロのロードレースの世界でリカンベントが禁止されたのは、実際の試合で普通のロードバイクより速かったからだと言います。乗車姿勢的に空気抵抗が小さく、背もたれを支えにして足を伸ばす形になるので、足の力が、より伝わりやすく結果としてスピードが出るわけです。

ある意味、ロードバイクより優れているわけで、その点からすれば、より進化した形と言えるかも知れません。残念ながら人気は低く、市場にあまり出回っておらず、マイナーですが、決して奇をてらった自転車、変わり種自転車ではないのです。

むしろ、乗車姿勢という点で優れているとも言えます。普通のロードバイクのような前傾姿勢ではないため、肩や腰、首、腕、目などの痛みや疲れにつながりにくくなります。寝そべったようなライディングポジションですから、ラクそうだというのは想像がつくでしょう。

CruzbikeCruzbike

長距離を乗るような際にも向いています。そう考えると、シティサイクルからスポーツバイクに乗り換える際の選択肢として、より向いているのではないか、もっと積極的に選んでもいいのではないかと考えた人たちがいます。そこで、彼らは、“Cruzbike”と名付けました。

スタイルとしては、リカンベントです。しかし、聞きなれないリカンベントという呼び名で、特殊な自転車と認識されるより、クルーズバイクとして、長く乗っても疲れにくい、痛みが出にくい自転車として売り出そうと考えたわけです。なるほど、いいアイディアかも知れません。

CruzbikeCruzbike

リカンベントとひと口に言っても、いろいろな種類があります。2輪だけでなく3輪のものもあります。前方にサドルがついているのは共通しますが、そこから後輪に力を伝えるため、チェーンが長くなり、邪魔になるという短所もありました。このクルーズバイクは前輪駆動にすることで、その点も工夫しています。

Cruzbike 社の主張によれば、レクリエーションで自転車に乗る人の85%は、背中や腰、手首、首、鼠径部などに痛みを感じる、あるいは走行後に症状があるそうです。これはスポーツ医学誌の調査だと言いいます。なぜ楽しむために自転車に乗るのに、そんな痛みを我慢しなければならないのか、というわけです。



この“Cruzbike”の、T50 型は、人間工学に基づき、快適に自転車に乗れるデザインになっています。長距離でも疲れにくく、前輪駆動なので坂にも強く、前傾姿勢で下向きがちなのと違って、視界も開けています。他のスポーツバイクより楽しく、ラクにクルージングできる自転車だとアピールしています。

今、クラウドファンディングサイトで公開していますが、資金調達と言うより、直接販売する形のマーケティングを兼ねての登録です。今回、初めて製作したわけではなく、12年前からリカンベントを製造販売しています。まだ残りの日数はかなりありますが、すでに目標額はクリアしています。



私はリカンベントを長時間連続で乗ったことはないのですが、たしかにラクで快適、疲れにくいかも知れません。知っている人はリカンベントと言うと先入観がありますが、なるほどラクにクルーズできる自転車として、このような選択肢があってもいいかも知れません。

個人的には、普通のロードバイクのライディングポジションに違和感はなく、慣れていることもあって、さほど痛みや特段の疲れはありません。ママチャリで1時間走ったら、お尻が痛くて仕方ありませんでしたが、ロードバイクならば1日でも乗っていられます。

CruzbikeCruzbike

ただ、スポーツバイクの前傾姿勢に必ずしもこだわる必要はないと言われれば、その通りでしょう。リカンベントなら空気抵抗の点でも、体重分散の点でも問題ありません。特に、圧倒的多数の人がママチャリにのっている日本のような場合、リカンベントスタイルのほうが、乗りやすく、快適に感じる人も多いに違いありません。

たしかに、スポーツバイクはこういうものという固定観念、あるいは市場環境が、スポーツバイクの敷居を高くしている面、痛みなどを強いている面がありそうです。必ずしも前傾姿勢にこだわらないならば、選択肢も増え、もっとスポーツバイクも乗りやすくラクな乗り物になっていくのかも知れません。




フランス大統領選、今回は予想外の結果は起きず、ひとまずEU分裂も遠のき世界が安堵というところでしょうか。

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この記事へのコメント
はじめまして。
この記事を拝見して Cruzbike T50 に惚れてしまいました。
リカンベントは以前から興味がありましたが、T50 の全体のバランスがとても魅力的です。
ご紹介ありがとうございました。
Posted by INER8 at May 18, 2017 23:21
INER8さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
見ため的にも、コンセプト的にもなかなか魅力的なモデルですよね。
どういたしまして。もし何かのお役に立てたならば幸いです。
もしお乗りになることがあったら、感想をお聞かせください。
Posted by cycleroad at May 19, 2017 22:23
 
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