何かに、のめり込んでしまい、やめられなくなって、自分ではどうにもならない状態になる人、つまり、依存症になる人も増えています。テレビなどてよく見聞きするのは薬物依存症でしょうか。芸能人やプロスポーツ選手といった有名人が逮捕され、ときどき話題になります。
薬物依存は、普通の人の間でも増えていると言います。覚せい剤や大麻だけでなく、最近は脱法ハーブとか、脱法ドラッグなどと呼ばれる違法薬物が氾濫し、手軽に手に入るため、軽い気持ちで始めてしまう人もあるようです。重症化し、前後不覚になって人身事故を起こしてしまうような人もいます。
違法薬物がやめられなくなり、社会的信用を失い、職を失い、家庭が崩壊、さらに身体も蝕まれていき、悲惨な結果に至るなど、聞けば聞くほど恐ろしくなります。一度でも手を出してしまうと、抜けられなくなると言います。一時の好奇心で転落しかねないのも怖いところです。
依存症は薬物だけではありません。アルコール依存症は、より一般的かも知れません。単なる酒好きの延長で罪はないように思えますが、これもだんだんやめられなくなっていき、深刻な事態に至る人もいます。アルコール自体は、より身近なため、誰でも可能性があります。
最近、IR法案に関連してよく聞くのがギャンブル依存症です。ギャンブル好きの人は時々いますが、薬物やアルコールとは違い、お金がなくなればやめるだろうと普通は思います。しかし、中には借金を重ねたり、人から盗むようになってもやめられなくなる人がいて、やはり深刻な状況に至ることもあるそうです。
こうした依存症の話を聞いて怖いと感じ、気をつけようと思う人は多いでしょう。しかし、依存症はこれらだけではありません。例えばネット依存症です。ゲーム依存症だったり、スマホ依存症だったり、SNS恐怖症だったり、中身は多少違うようですが、いずれも依存症です。
これも重症化すると、社会に適合できなくなり、精神的に病んで、いわゆる廃人のようになったり、経済的に破たんするなど、深刻な結果に行きつく場合もあるようです。現代人は、多かれ少なかれネットを使う生活になっています。誰にも危険があり、決して他人事とは言えない怖さがあります。
最近は、子供にも増えていると言います。周囲の大人が、スマホをしまうよう注意しただけでキレる子もいるそうです。結果として犯罪に巻き込まれる例も増えており、不登校やひきこもりの原因になったり、心身の成長期に深刻なダメージを受けて、人格が破たんするなどの重篤な影響が危惧されます。
歩きスマホも、ある意味、依存症の症状かも知れません。線路に転落したり、踏切に進入してしまい、死亡する事故も起きています。ポケモンGOをやりながら運転し、死傷事故を起こす人もいます。深刻な結果をもたらす可能性が明らかなのに、それをやめないのは依存症の兆候なのかも知れません。
そのほかにも、ストーカー、窃盗癖、性的嗜好から、買い物、食べ物などまで、やめられなくなるものはいろいろあります。例えば、食べ過ぎて太ってしまう人は珍しくありません。しかし、中には体重が支えられないほど太ってもやめられず、深刻な事態に至る人もいるわけで、そこが依存症の怖さです。
言ってみれば世の中、依存症にあふれています。もちろん、よく聞くような依存症には、気をつけようと考える人も多いはずです。しかし、依存症は、よく知られているものだけとは限りません。自分では気がつかないうちに、何かの依存症になっている可能性があるのも怖いところです。
次の動画は、ある依存症の患者の告白を編集したものです。
この依存症の支援グループが制作しました。あまり意識されていませんが、決して患者数は少なくないと見られています。広く、注意を喚起するために公開されたものですが、何の依存症かわかるでしょうか。
実はこの動画に出てくる人は“CAR ADDICTS”、つまりクルマ依存症という設定です。昨年のカーフリーデーに際し、都市での移動について考えるキャンペーンの一環として、ブラジルで制作されました。作ったのは広告代理店で、依存症のドキュメンタリーに出てきそうなシーンを模しています。
しかし、決してパロディーとして作られたわけではなく、ふざけているわけでもありません。カーフリーデーで、広く問題提起するため、キャンペーン用で強調された手法ではありますが、一部の人が、実際に
クルマ依存症と言うべき状態にあることを啓発するものなのです。
都市での移動については、世界中の都市で懸案となり、議論されている問題です。文明の利器であるクルマを否定するわけではありません。しかし、クルマが必要以上に使われることによって、渋滞は酷くなり、大気汚染などの公害が深刻化し、さまざまな社会問題をひき起こしています。
こうした都市の交通問題について、自らの習慣を変えることが出来ず、移動にクルマを使うことをやめられない人にスポットを当てようという趣旨で、この動画は制作されました。このことを誰もが理解しやすいように、依存症の患者の告白というスタイルが使われたのです。
つまり、都市の交通問題の原因、あるいは根底には、クルマを使う人間の問題があるという認識です。ブラジルの都市では、クルマの排気ガスによる大気汚染が深刻な問題となっています。大気汚染による死者が交通事故による死者よりも多いと言われており、クルマ依存が深刻な社会問題をもたらしているのです。
もちろん渋滞も深刻です。都市部におけるクルマでの通勤は長時間化し、およそ効率的とは言えません。それなのに、クルマでの通勤という従来の習慣を変えられないのは何故なのでしょうか。ほかの手段もあるのに、漫然とクルマを使っている理由はなんでしょうか。
実は、ブラジルは世界有数の肥満大国です。なんと、サンパウロの地下鉄には、幅の広い肥満者優先席の設置が義務付けられていると言います。肥満者の割合は人口の半数を超え、その度合いも深刻です。もちろん食生活もありますが、運動不足も問題です。それでもクルマばかり使うのは何故でしょう。
例えば、自転車を使うという手があります。渋滞するクルマより自転車のほうが速くて便利で、運動不足解消にもなります。健康面で、将来的に深刻な事態を招きかねないと予測でき、自転車のほうがリーズナブルなことが明らかなのにクルマをやめず、自転車にしない理由は何なのでしょうか。
そう考えると、なるほどクルマがやめられない、すなわちクルマ依存症なのかも知れません。最近はブラジルの都市でも、自転車の活用は広がっています。それでもクルマにこだわり、確たる理由もないのに、頑なに変えることを拒否する人がいます。自分がクルマの依存症であることを認識していない人も多いのでしょう。
人間は、とかくラクなほうを選びがちです。怠惰な面は誰にでもあります。自転車のほうがベターだとわかっていても、疲れるし、運動したくないという気持ちもあるでしょう。ただ、それは単に怠けているとか、意志の問題ではなく、依存症のせいなのかも知れません。
日本でも、どこへ行くにもクルマを使う人がいます。クルマ好きだからとか、公共交通がないからと言うかも知れません。しかし、自転車でも充分な距離、あるいは効率的なケース、運動不足で自転車を使ったほうがいいのに、自転車にしてみようかなと思えないとしたら、クルマ依存症を疑ってみるべきなのかも知れません。
皇室のおめでたい話題が明らかになりました。ただ、同時に皇族の減少という問題が現実味を増してきました。