前回は、そのことに気づいていない人が多いこと、SNSでの発信や拡散の様子を見ると、無灯火をはじめとする法令違反を、
危険で迷惑に感じている人も多いことについて取り上げました。街灯の多い都市部では、ライトを必要ないと感じるからか、点灯していない人が少なくありません。
しかし、自分から周囲が見えているほどには、周囲から見えていないことがあります。実際に夜間に多くの事故が起きていることも、それを裏付けています。日本では無頓着な人が多いですが、海外では、自転車の夜間の視認性について問題があることを、多くの人が認識しています。
視認性の点で、現在の状況について満足しておらず、いろいろなアイテムを開発し、状況を改善しようとする人も少なくありません。これまでにも、さまざまな製品を取り上げてきましたが、最近目についたものの中から、視認性を高めるアイディアについて見てみたいと思います。
法令で義務付けられているライトは、前方からの視認性という点でも必要ですが、後方からの視認性に危険を感じている人は少なくないようです。反射板などもありますが、やはりLEDなどを使ったテールライトが欲しいところでしょう。(ちなみに、前方は白色、後方へのライトは赤色である必要があり、逆はNGです。)
単なるテールライトならば、点滅したりするものも含めて、多数市販されていますが、周囲に減速していることを伝えるため、ブレーキランプもあったほうが効果的と考える人もいます。こちら、“
FLR30”は、手軽に取り付けられる自転車用のブレーキランプです。
スマホなどにも使われる加速度センサーが内蔵されており、減速を検知して自動的にテールランプが明るくなります。クルマのブレーキランプと一緒ですが、減速時にいちいち操作する必要はありません。最近はこうしたセンサーも安くなり、この手の製品は増えているようです。
ブレーキランプをつけるなら、同時にウィンカーも取り付けたらどうだろうと考えるのは自然な流れでしょう。こちらの“
Blinkers”は、ウィンカーもついており、右左折や進路変更を合図します。正面側もライト、前照灯とウィンカーを組み合わせています。
ライトは光センサーと連動して、暗くなると自動的に点灯します。さらに緑色のレーザーを路面に照射することで、視認性をいっそう高めようとしています。自転車にウィンカーなんて必要ないし、おもちゃみたいと感じる人も多いと思いますが、ウィンカーが点滅したほうが、視認性の点でも、より効果的でしょう。
このように、後方にもテールライトやブレーキランプ、そしてウィンカーを搭載し、全体の視認性の点でも向上させようというのは、オーソドックスな方法と言えるでしょう。ほかにも多くの製品が提案されています。
サドルに組み込むアイディアもあります。
こちらは、自転車用の普通のライトに見えます。でも実は、スピーカーにもなっています。これを使うことで、
ライトと自転車用スピーカーが一つで済みます。無灯火とイヤホンという2つの違反を同時に解消できるアイテムということになります。これも無灯火を減らすアイディアと言えるかも知れません。
ライトやテールライトをヘルメットに組み込んでしまおうと考える人もいます。日本でママチャリに乗っている人は、ほとんどヘルメットをかぶっていないので意味がありませんが、習慣で必ずヘルメットをかぶる人ならば、ライトを携行し忘れることもなくなります。
ヘルメットにライトがついていると、カーブなどで自分の視線の先を照らせます。前方以外に、周囲を確認したい時などにも便利でしょう。後方にはテールライトがつきます。ライトの位置が、車体につけるよりも高い位置になるため、ドライバーからの視認性という点でも有利になります。
車輪の部分を面で光らせるアイディアもあります。こちら”
Monkey Light Automatic“は、前後輪のスポークにLEDを取り付けることで、タイヤが回転し始めると、残像効果でタイヤ全体が光っているように見えます。さらにパターンを変えることで、派手な図柄や変化する模様を映し出すことが可能です。
同様の製品は以前からあり、どちらかと言うと、自転車を飾り立て、個性を強調するような用途に使われることが多かったように思います。言ってみれば、クリスマスのイルミネーションを飾り立てるのと同じです。特定の、目立ちたい人が使うアイテムのように思っていた人も多いのではないでしょうか。
しかし、視認性の点でも有効なのは間違いないでしょう。特に備えの薄い、左右方向に目立つのも利点です。べつに個性を主張したいわけではない人も、視認性の点で目立つに越したことはありません。そう考えれば、最近はLEDや充電池も安くなりましたし、こうしたアイテムをもっと取り入れてもいいと思います。
あまり派手なのは抵抗があるという人には、“
Wheely™“のように、シンプルにタイヤのハブ部分を光らせるだけでも有効でしょう。自己主張のための道具ではなく、安全のための装備として考えるべきです。安全性の向上という観点からすれば、日本のママチャリに標準装備してもいいくらいです。
以前も取り上げましたが、
反射素材を使ったジャケットなど、衣類が光るのも有効です。なんと言っても面積が違います。前後左右からも視認されやすく、曲面になるため、あらゆる方向に反射します。自転車に乗るときだけでなく、降りて歩いている時も機能します。
これまでにも、反射素材だけでなく、LEDが埋め込まれて光るもの、暑い時期でも使えるメッシュでベスト状のものなど、多くのウェア類が提案されています。自転車の車体だけではなく、視認性を向上させるためには、大きさ的に有利な身体を使わない手はありません。
毎回同じ服装はしないけれど、いつも同じバッグを携行する人もあるでしょう。バックパックやリュックが光るのも有効です。“
SOUNDARY CYCLE”は、使い勝手に加え、視認性を考慮して作られています。背負わずに、荷台に載せた場合でも、注意をひくような形状になっています。
ちなみに、反射素材などではなく、普通の服装ならば、明るいライムグリーンが一番目立つ色なのだそうです。波長で言うと、555ナノメートルの色です。夜間だけでなく、昼間でも一番認知されやすいと言います。好き好きはあると思いますが、なるべく目立つ色の服装を選ぶという基本も有効でしょう。
視認性を向上させるためのアイディアの中で、きわめてオーソドックスなものだけを取り上げてもいろいろあるものです。これまで、夜間の視認性なんて考えたこともなかったという人は多いと思いますが、無灯火という法令違反の点だけでなく、少しでも事故に遭わないようにするため、考えてみてもいいと思います。
またロンドンでテロが起きました。ラマダンの時期は増えると言われていますし、各地での頻発が懸念されます。