サイクルロード 〜自転車への道
世界の都市で自転車が選ばれ始めている。さまざまな角度から自転車の話題を。
July 31, 2017
自転車人が愛してやまない街
バンクーバーは、とても美しい街です。
カナダの太平洋岸に位置するブリティッシュコロンビア州最大の都市です。大都市ですが、山に囲まれて大自然にも恵まれ、温暖で住みやすい街としても知られています。スキーやトレッキングから、セーリングやカヤックなどの海のアクティビティまで楽しめる絶好のロケーションにあるのも魅力です。
私も、しばらく滞在したことがあります。その時は、自転車で市内を走り回りました。市内や周辺地区への移動にクルマも使いましたが、自転車専用道やレーンも多く、自転車で走りやすい街でした。当然ながら、地元の人で自転車に乗っている人もたくさんいます。
観光客向けの自転車マップが無料で配布されており、とても充実しています。これを見ながら、観光スポットなどを巡れば便利ですし、観光バスやクルマと違って、直に風を受け、バンクーバーの街の空気を感じることが出来るのが魅力的です。観光客でサイクリングする人も少なくないようです。
ただ、どうでしょう。初めての慣れない街で、地図で道を確認し、場所を探しながら自転車で移動するのは、それなりにハードルを感じる人も多いのではないでしょうか。道を間違えて迷ったり、見どころを見落としてしまったりするかも知れません。
ましてや外国人だったら、同国の法律にも明るくないでしょうし、交通環境やその地域の事情も知りません。トイレ一つ探すのにも苦労したり、知らずにマナー違反をしてしまうかも知れません。美味しいレストランや、穴場のショップ、便利な駐輪場所を利用するのも簡単ではないでしょう。
でも、もしバンクーバーに友人が住んでいて、一緒に自転車で案内してくれたとしたら、全く違ってきます。効率よく回れるだけでなく、お勧めのスポットも教えてくれるでしょうし、疑問があったら何でも聞くことが出来ます。初めてでも気楽にサイクリング出来るに違いありません。
このことは、かなり大きなポイントなのではないかと考えた人たちがいます。バンクーバー在住の、JOSH さんとその仲間たちです。彼らはバンクーバーで、自転車によるガイドツアーをする会社、“
CYCLE CITY TOURS
”を2010年に立ち上げました。自転車のレンタルなどもします。
バンクーバーを訪れて、自転車を借りて自分で周遊する人もいるでしょう。バスツアーと違って、自由にバンクーバーを楽しめます。しかし、もし友達のように案内してくれる人がいたら、バンクーバーでの体験は、さらに素晴らしいものになるはずだと考えたのです。
地元住民ならではの抜け道も知っていますし、観光スポットの歴史から裏話まで詳しく説明も出来ます。ガイドブックに載っていないような耳よりの情報も提供できますし、知る人ぞ知る絶景ポイントだって案内出来ます。希望や好みに合わせて、ルートをアレンジすることだって朝飯前です。
それだけではありません。彼らはバンクーバーを心から愛しており、自転車に乗るのも大好きです。そして、友達と自転車に乗るのが楽しいことを何より知っているのです。訪問客を、まさに友達と一緒に走るように楽しく案内したいと考えているのです。これは、バンクーバーのファンを作ることにもなると信じています。
地元の住民だからこそ知っている、バンクーバーの素晴らしさを紹介するのはもちろんですが、それだけではなく、一緒に回る時間を楽しんでもらいたいと考えています。世界中から来たライダーたちと話したり、笑ったり、経験を共有したいと思い、またそうしてきました。
最近、市内で実際に起きたことも話しますし、イケてると今人気になっている店でランチしたりします。でも逆に、世界中の国の話を聞いたりもしたいのです。バンクーバーを訪れる人との新しい出会いが彼らスタッフにも楽しみであり、それが好きでもあるのです。いまも新しい友達を作り続けています。
彼らのガイドツアーに参加した人たちとは、文字通り友達のようになります。バンクーバーの魅力を楽しんでもらうと同時に、一緒に自転車でまわる体験そのものを、友達と過ごすような楽しい時間として体験してもらいたいと望んでおり、そのプロデュースをしたいと考えているのです。
スタッフは、全員バンクーバーが好きですし、大の自転車好きです。言ってみれば、趣味と実益を兼ねたような仕事です。もちろん料金をとるサービスですから、研修をし、きちんと仕事をします。でも、お客さんに楽しんでもらうためには、自分たちも楽しいと感じるようでないと、本当に喜んでもらえないのも確かでしょう。
なるほど、友だちに案内してもらうような安心感、特別さ、そして友達と一緒に走る楽しさを得るためには、友達になってしまえばいいというわけです。もちろん、お客は、すぐに友達になれるようなフレンドリーな人ばかりではないでしょう。でも、自転車で一緒に走る楽しさが、普通よりも距離を縮めてくれるのは間違いありません。
日本でも最近、訪日外国人の増加もあって、自転車による観光振興に力を入れる自治体が増えています。ガイドツアーを用意するところもあるようです。この“CYCLE CITY TOURS”の考え方、スタンスは、日本流の「おもてなし」とは少し違うかも知れませんが、参考になる点もあるのではないでしょうか。
外国人に限らず、観光客を呼ぶのは簡単なことではありません。単に観光マップを作ったり、ポスターやパンフレットを配布すればいいというものでもないでしょう。でも、本当にその地域の良さを知ってもらうにも、自転車で巡ってもらい、直にその地域に接してもらうのは有効だと思います。
さらに、それが心に響く経験、本当に楽しい体験となれば、口コミにもつながるでしょうし、持続的に地域に観光客を呼ぶことにもつながるでしょう。そして、迎える側もその土地が好きで、自転車好きな人が、友達のように案内するというのは、大きな魅力となるに違いありません。
それには、その地域を愛し、その地域で自転車を楽しむ人がいることが前提になります。自治体としては、まず、その地域のサイクリストに楽しんで自転車に乗ってもらうような環境を整備し、地元のサイクリストに愛されることが先決なのかも知れません。
フラフラしていた台風がやっと北上してくるようです。既に波の影響はあるようなので海のレジャーは注意ですね。
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Posted by cycleroad at 13:00│
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