太古の昔から自然に形成されてきた踏み分け道が、近代になって舗装され、依然として往来するのに使われている場所も少なくありません。日本でも、江戸時代に篭や馬が通っていた旧街道が今も道路として使われていたり、世界を見ても、例えばローマ帝国の時代がら道だった道路が各地に残っています。
人口の集中など、必要にかられて拡幅された道路もあるでしょう。歩道が整備されたり、より高規格な道路へと姿を変えて来た道路もあります。最近の日本では、自転車の通行部分を青色で塗装したり、矢羽の形をした舗装など、デザインが変わってきた場所もあります。
一般的に道路は、一朝一夕に変えることは出来ません。拡幅したり、新しい道路を開通させるには長い時間がかかります。しかし、交通状況の変化により、課題が発生することもあります。その解決や改善のために、道路の標示や体裁を変えるようとする試みがあります。
歩行者とクルマの事故の防止は、世界的な課題です。信号機の設置などの対策が考えられますが、全ての交差点に取り付けるわけにもいきません。クルマは横断歩道を横断しようとする歩行者がいたら停止しなければなりませんが、それを守らず、スピードすら落とさないようなドライバーも少なくありません。
中には、比較的歩行者保護の意識が高い国もありますが、歩行者が安心して横断できない横断歩道は世界中に存在しています。そこで、道路のペイントによって、ドライバーの注意を喚起し、せめてスピードを落とさせようと考えるのは、どこも同じなのかも知れません。
ロンドンでは、横断歩道の手前で注意喚起を促すため、いろいろなペイントが試されているようです。
アイスランドでは、横断歩道が浮かんで見えます。トリックアートの要領で、横断歩道のペイントを立体的に見えるようにしているのです。これを見たドライバーは、思わずスピードを落とすに違いありません。心理的な効果を狙っているわけです。
ニュージーランドのダニーデンという都市では、立体的なだけでなく、さらにアートな感覚でペイントされています。
インドのデリーでも立体的な塗装が試されています。毎日同じ場所を通るドライバーには効果がないかも知れませんが、初めて通れば驚くのではないでしょうか。
カナダのバンクーバーでは、ボールを追う子供が描かれています。よそ見をしていて、突然目に入ったドライバーなら、急ブレーキをかけてしまいそうな気がしないでもありません。あまりリアルだと、かえって追突事故を誘発するのではないか気になります。
ロンドンでは、ハイテク横断歩道とでも言うべきシステムが試験導入されています。なんと、道路にLEDが埋め込まれ、必要に応じて横断歩道が現れます。歩行者や自転車、クルマ、それぞれの正確な位置や速度、方向を計算し、通るであろう軌跡を予測して、歩行者が安全に横断できるよう最適化して表示すると言います。
センサーやカメラによって、常時モニターされており、例えば、横断しようとする歩行者が多ければ、横断歩道の幅を広げたり、飛び出しの警告サインを出すなど、柔軟に対応出来るところも利点です。LEDは夜間や悪天候でも見えやすく、からゆる角度からの視認性も高くなっています。
道路標示だけではありません。道路の舗装についても、新しい試みがなされています。オランダでは、リサイクルされた木材の繊維とバイオ樹脂からなる新しい素材によって舗装されたのサイクリングロードが出来ています。よりエコで、環境負荷の低い舗装として注目されています。
同じオランダの別の自転車ハイウェイでは、下水処理場に集まる排水から、トイレットペーパーの繊維を取り出し、再利用した素材の舗装も試験されています。もちろん衛生的にも問題なく、雨の浸透性に優れています。舗装が滑りやすかったりすることもありません。
そのほか、太陽光で発電された電力で、夜間光るサイクリングロードが、オランダやポーランドで、それぞれ試験されています。郊外のサイクリングロードに照明灯を整備するのは大変ですが、舗装が光るようにしておけば、自転車の夜間走行に役立つでしょう。
日本でも、雨水の浸透性の良い道路舗装によって、急な豪雨による都市部の洪水を防いだり、太陽の反射を和らげ、気温の上昇を防ぐ、ヒートアイランド現象を緩和する舗装材なども開発されています。東京五輪に向けて、一部導入も検討されているようです。
ふだんは、路上の交通手段に目が行きますが、それを支える道路も、その体裁や機能などを進化させつつあるようです。モータリゼーションで、とにかく舗装を進め、拡張することが求められてきた道路ですが、今後は環境への負荷や歩行者の安全など、質的な面での改善や進化が求められていくことになりそうです。
トランプ大統領が離日、日米が友好的で結構ですが、北朝鮮の問題を何とか平和的に解決してほしいものです。
Posted by cycleroad at 13:00│
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