ながらスマホ出来るのが問題
自転車が加害側になる死亡事故が相次いでいます。
横浜では中3男子生徒の自転車が衝突し、79歳女性を死亡させました。一方、川崎では自転車に乗りながらスマホを使っていた女子大生が、歩行者と衝突し、77歳女性を死亡させています。新聞やテレビなど、各メディアがこれらの事故を取り上げています。
中3男子生徒の自転車が衝突 79歳女性が死亡
12日夕方、横浜市鶴見区で、中学3年の男子生徒が運転する自転車が歩いていた79歳の女性に衝突し、女性が死亡しました。
12日午後6時ごろ、横浜市鶴見区下末吉で、中学3年の男子生徒が運転する自転車が、正面から歩いてきた近くに住む崎山法子さん(79)に衝突しました。2人はいずれも病院に搬送されましたが、このうち崎山さんはおよそ3時間後に搬送先の病院で死亡しました。男子生徒は命に別状はないということです。
警察によりますと、現場は鶴見川沿いの幅5.5メートルの道路で、歩行者と自転車は通ることができますが、街灯はなく、当時、辺りは暗く見通しは悪い状況だったということです。
自転車の男子生徒は自宅に帰る途中で、警察は男子生徒から当時の状況を聴くなどして、事故のいきさつについて詳しく調べることにしています。(12月18日 NHK NEWSWEB)
“スマホ自転車”事故死、女子学生を書類送検へ
川崎市で今月7日、電動アシスト自転車と歩行者の女性がぶつかり女性が死亡する事故があり、警察は、スマートフォンを操作しながら自転車を運転していた女子大学生を重過失致死の疑いで書類送検する方針です。
今月7日、川崎市麻生区の市道で女子大学生が電動アシスト自転車を発進させたところ、歩道を歩いていた77歳の女性に衝突しました。女性は転倒して頭を強くうち、その後、死亡しました。
警察によりますと、女子大学生は左耳にイヤホンをつけ、スマートフォンを操作しながら自転車に乗っていたということで、調べに対し「ぶつかるまで気付かなかった」と話しているということです。警察は、「重大な過失にあたる」として、今後、女子大学生を重過失致死の疑いで書類送検する方針です。(12月14日 TBS NEWS)
自転車スマホで女性死なす 川崎、容疑で大学生書類送検へ
神奈川県川崎市、「自転車スマホ」で衝突し77歳女性死亡「ぶつかるまで気付かなかった」
また、これと関連して自転車スマホによる事故の多発が報じられています。
”自転車スマホ”、歩行者にぶつかり死亡させる ながら運転の事故は過去にこれだけあった。電動自転車に乗った女子大生、重過失傷害容疑で書類送検へ
自転車スマホ事故800件、死亡例も4件 音楽や通話、SNS…画面に集中 11〜15年
スマホを手に自転車運転 今年警告1万1602件
歩道を駆け抜ける「暴走自転車」一家、歩行者に衝突…高額賠償に発展する可能性も
自転車運転中のながらスマホで死亡事故 有罪の場合、履歴書に記載義務も
中3男子生徒の死亡事故については、詳細がわからないので置くとして、女子大生のほうは、明らかにスマホを使いながら自転車に乗っていたことで、歩行者に気づかなかったことが事故の原因のようです。重大な過失で被害者を死亡させた重過失致死の容疑となっています。
事故当時、女子大生は左手にスマホ、ハンドルに添えた右手に飲料カップを持ち、左耳にイヤホンをしていたと言います。さらに「スマホをいじっていた」と話しているそうです。スマホを見ていたため、歩行者に気がつかずに衝突したのでしょう。
おそらく、その状態では、たとえ歩行者に気がついたとしてもブレーキ操作が出来ないか、かなり遅れるに違いありません。危険で無責任極まりない乗り方なのは間違いありません。身勝手な行為により、結果として人の命を奪ったわけで、非難されて当然だと思います。
女子大生が乗っていたのは電動アシストだったため、初速が高かったことも死亡の要因との見方もあるようです。いずれにせよ、スマホを見ていなければ、歩行者に気づき、停止や回避が出来たはずです。見ていなかっただけでなく、イヤホンをしていたため気配にも気づかなかったのでしょう。
たまたま、テレビの報道番組で取り上げられているのを見ました。現場からの中継もされていましたが、見通しは良く、普通ならば歩行者に気づかないはずがない場所です。おそらく亡くなった被害者も、自転車がそのまま突っ込んでくるとは思わなかったのではないでしょうか。
自転車でも十分に人を死亡させる凶器になります。スマホを使いながら自転車に乗るなど論外で、危険極まりない行為なのは間違いありません。しかし実際には、自転車スマホによる事故は増えており、ケガの程度が大きくなく、警察に報告されないものも含めれば、かなりの数にのぼっていると思われます。
おそらく、この加害者もスマホを使いながら自転車に乗ることの危険性は理解していたと思います。一時期、ポケモンGOなどでも問題となって大きく取り上げられましたし、歩行中も含めて、ながらスマホの危険性は繰り返し訴えられてきました。そのことを全く知らない人はいないでしょう。
にも関わらず、自転車スマホをしている人は日常的に見かけます。危ない、良くないとは知りつつ、やっている人も多いに違いありません。この女子大生は死亡事故を起こしてしまいましたが、特に自転車スマホが珍しくないのも事実であり、潜在的な危険が放置されている状態です。
啓発活動や警察による取締りが行われているにもかかわらず、スマホ自転車がなくならないことが問題です。そこに注目すべきなのではないでしょうか。死亡にまで至らないと、あまりニュースにはなりませんが、確実に事故は起きており、このままでは、また死者も出るに違いありません。
実際に、やろうと思えばスマホ自転車は出来てしまいます。歩行の延長のような気分で自転車に乗る人が多いため、深く考えず、あるいは、ついやってしまう人が後を絶ちません。リスクがあるとは理解しつつ、自分は事故なんか起こさない、気をつけていれば大丈夫と考えてしまうのでしょう。
スマホを使いながらの自転車やクルマによる事故が、一向になくならないとしたら、スマホのほうで何とかすることを考えるべきではないでしょうか。つまり、移動しながらだとスマホを使えなくしたらどうでしょう。技術的には十分可能なはずです。
極端な意見と言われるかも知れません。スマホの利便性を著しく損なうと考える人も多いでしょう。しかし、スマホをしながらの移動が危険であり、自分が死亡したり、人を死傷させる可能性がある以上、何らかの改善が図られのが当然とも考えられるのではないでしょうか。
スマホを使う時は止まって使い、移動している時は使わなければいいだけです。それが習慣になれば、特に困ることもないような気がしますが、どうでしょうか。今まで出来ていたものを出来なくするのには抵抗もあるとは思いますが、すぐ慣れると思います。
スマホにはモーションセンサーが搭載されていますから、移動が検知されたら機能を停止させればいいだけです。現代人は、少しでも時間を節約するため、つい、ながらスマホをしてしまいがちですが、移動中くらい使えなくしても、それほど困らないのではないでしょうか。一方、自身の安全や死亡させるリスクは確実に減ります。
徒歩や自転車の速度での移動は全て適用し、電車に乗っている場合は、鉄道の線路に沿っていると検知されれば、除外すればいいでしょう。クルマの助手席、後部座席に乗っている時の判別は難しいかも知れませんが、何らかの折衷策がとれると思います。
機能停止だと、通知なども入らずに困ると言うなら、違う方法も考えられます。例えば、移動し始めたら、文字や動画の画面などをよく見えないほど小さくしたらどうでしょう。つまり、スマホの画面を見ながら移動する意味がないようにするわけです。止まれば元に戻します。確認したければ止まればいいだけです。
スマホが悪いのではない、使う人が悪いのだという意見もあるでしょう。それは正しいと思います。しかし、ついやってしまう人が後を絶ちません。人間の性として、移動中のスマホが我慢できないとしたら、スマホの方を変えたほうが手っ取り早く、確実だと思います。移動スマホをしないという人には、全く問題ないはずです。
一般的な工業製品で、誤った使い方をされがちで、それによって事故や火事が起きるなど問題になったら、メーカーは改善する例が多いと思います。例えば、こんにゃくゼリーで喉を詰まらせる人が多発しました。食べ方に注意喚起はしてありましたが、事故が相次ぎました。
欧米などでは、ゼリー菓子にこんにゃくの使用を禁じたり、販売や流通の禁止する国が出ました。そこで、メーカーは形状を変えるなど対策をとりました。スマホも同じように、仕様を変え、危険な移動中の使用を出来なくすることを考えてもいいのではないでしょうか。それはユーザーのためでもあります。
極端な意見と言われるかも知れません。私だって、移動しながらスマホを使いたくなる気持ちがわからないわけではありません。しかし、危険なのは確かです。それによって自分が死亡したり、他人を死傷させてから後悔しても遅いのです。
思い切って、動きながら使えなくしてしまえば、そのようなリスクはなくなります。そして、おそらくすぐ慣れるでしょう。自分がやらなくても、例えば歩いていて後ろから衝突されたりする危険は誰にでもあります。事故が起きたら、被害者はもちろん加害者も悲惨です。そんな悲劇を減らすことには意味があると思います。
加害者を非難するだけでは、これからも死傷事故はなくならないでしょう。誰でもついやってしまいがちであり、啓発や取締りでは防ぐのが困難だとするなら、根源的な部分に踏み込むべきではないでしょうか。少なくとも、そのような議論を始めるべきなのではないかと思います。
上野動物園のパンダ・シャンシャンの一般公開が話題になっています。たしかに映像を見ていると和みますね。
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Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(10)
確かに自転車スマホは問題ですが
根本的には歩道に自転車をあげてしまった警察と行政にも
大きな責任があると思います
tv報道でもながらスマホは問題にしても
数十年前に自転車が危険だと自転車が安全に走れる様に道路を整備すべきところを怠って自転車が歩道を走れる様にしたことを問題にする報道がひとつもないのが残念です
相撲騒ぎではあんなに時間をつかっているのに
自転車先進国オランダではやろうとしてたみたいです
(実施したかは不明)
あの事故後にも子供乗せて電話で大声で怒鳴りながら
狭い歩道を爆走する片手運転電動オバサンを見ています
スマホも歩道爆走も警察が悪即斬なキップ切を行えば
比較的短期で激減すると思うのですが
何故かやらない
(せっかくの教育の機会なのに)
あるふぁさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
歩道走行が問題なことについては、私もかねがね書いていますし、全くその通りだと思います。
ただ、スマホ自転車による事故は歩道上に限りません。歩道のない道路や交差点などでも起こるわけで、歩道走行か否かにかかわらず、問題と言えるでしょう。
テレビなどでも、もっと取り上げてほしいと思いますが、以前のポケモンGOのような現象や、何か事件でもないと、なかなか関心が高まらず、取り上げられないということなのでしょうね。
たまちさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
たしかに自転車スマホは日常的に目にしますね。危険だし、ルール違反、マナー的にも問題という意識がまだまだ薄いのでしょう。
警察を擁護するわけではないですが、自転車のルール違反があまりに多くて、取り締まり切れない面もあるのでしょう。
自転車の場合、免許がないので、取締りは赤切符にならざるを得ませんが、行政処分の青切符と違って即前科になるなど、クルマの違反との兼ね合いもあって、議論があるようです。
度々スミマセン
赤キップ即前科ではありません
不起訴若しくは執行猶予にすれば前科はつかないのです
以前はその場合、何のお咎めもナシでしたが
H27の法改正で1カウント付き3年以内に2カウントで
講習会の義務が発生するようになりました
要は無法者に片っ端から不起訴の赤キップを送りつければ
前科なしで教育が可能ですし
そのための法改正だったはずなのです
なのに面倒くさがってちっともやらない
自転車の法改正で講習会実施とかニュース等で散々取り上げられたのに
実際に講習を受けたのは年に数人とかだったような
違反が多すぎるのは何の取り締まりもしてないからです
カウント食らって、もう1回で金出して講習会とかになったら
多くの人はもっと真剣になります
免許持ってないから規則を知らないとか言う人がいますが
赤信号を渡ってはいけないとか基本的な交通ルールは知ってるはずなのに守らない
もし知らないルールがあるなら、そのための再教育だと思います
追伸
警察は車の違反検挙のノルマをこなすのに一生懸命なので自転車には手が回らない
行政は自動車業界と自転車業界じゃ金額が圧倒的に違うので車優先
自転車スマホは車道を走れば自分が轢かれる立場になるので自動的に減るでしょう(自転車同士の事故は増えるかもしれませんが)
うがった見方をすればこんな状況にみえます
たまちさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
たしかに、不起訴になれば別ですが、執行猶予は刑が執行されないだけで前科にはなります。赤切符は原則前科という認識は変わらないと思います。
そこで、行政処分の青切符と違って即前科になるのは、クルマの違反と比べて著しく公平を欠くという議論があるのも事実だと言いたいだけです。
免許がないので、本人確認に手間がかかるなど、技術的な問題もあるようですが、警察の怠慢があるとしたら、それを是とするわけではありません。
論点がズレてしまいましたが、違反自転車は、周囲を危険にするものでもあり、腹立たしく思っています。ルールを知らないなどという言い訳も通用しません。
私も警察には、もっと取り締まってもらいたいと思っています。
あるふぁさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
クルマ優先の思想が根底にあるというのは、その通りだと思います。
ただ、車道走行か徹底されるには時間がかかるでしょうし、車道走行であっても、クルマの通行量の少ない細い通りなどではやっていますから、果たして自動的に減っていくかは疑問な気もします。
cycleroadさん,こんばんは.暫くです.
原因が何であるにせよ,自転車が加害者となる死亡事故が未だ後を絶たないのは,自転車スポーツの一愛好者として実に由々しい問題です.
今回貴兄の記事で最初に取り上げられた,中学3年生の起こした自転車の加害死亡事故は,暗闇となった18時台の時間帯で現場は自動車は通らない堤防道路ということで,前方不注意の油断があったことはおそらく間違いないと思われます.特にライトがしっかり機能していたかどうかが最大の問題でしょう.
最近の自転車のライト(バッテリーランプ)はかなり性能が向上しているらしく,中には眩しいと自転車の人に文句をつける人がいるらしいですが,そういう時は視線を逸らすか横を向いてもらうかすれば良いと思います.
いち早く歩行者の存在が分かる強力な自転車用バッテリーランプは(いささか値が張るとはいえ)いずれ私も何としても欲しい物です.
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
近年顕著になってきたスマホ走行だけでなく、無灯火もあいかわらず事故の原因となっている状況は変わらないですね。
自らの視認性もありますが、暗い道路などでの視界の確保、安全性の向上のためにも、おっしゃるように、性能の向上したライトを積極的に使ってもらう、無灯火をさせない仕組みについても考えたいものです。
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