February 23, 2018

自転車にAIを搭載する戦略

AI(人工知能)が身近になってきました。


最近では、AIが搭載されたスマートスピーカーが各社から発売されています。アマゾン、グーグル、アップルといったIT大手がこぞって力を入れています。アメリカでは、かなり普及率も上がってきており、スマホの次を担うような重要な製品になるという見方もされています。

スマートスピーカー、AIスピーカーとも呼ばれています。対話型での音声操作に対応したAIを搭載しています。単に音声をコマンドとして認識するだけではなく、AI(人工知能)が人間の話しかける言葉を適切に解析し、対話するような形で応答してくれます。

Google話しかければ、ネット検索が出来たり、ネット通販の注文が出来たり、ニュースを読み上げたり、要求に応じた音楽をかけてくれたりしてくれます。今後も他の企業と連携し、いろいろな機能が増えていくでしょう。どれも、スマホで出来ると言えば出来ますが、両手がふさがっているような時には便利です。

料理をしながらレシピを検索するのに、いちいち手を洗ってスマホを取り出す必要がありません。部屋の中でくつろいでいる時、いちいち立ち上がってスマホを取りに行かずに済みます。当然ながら、スマホよりピーカーの音質はいいですし、認識率も高く、据え置き型で充電の手間もありません。

今後、家の中ではスマート家電が増えていくでしょう。モノのインターネット、IoTで、家電や身の回りの道具などがネットにつながっていきます。スマートスピーカーは、スマホに取って代わる製品ではないとしても、家の中で、スマート家電などと連携し、コントロールする中心になっていく可能性があります。

スマート家電が増えても、いちいちエアコンやテレビや洗濯機に声をかけるのではなく、スマートスピーカーを通してコントロールする形です。スマート家電がメーカーによって使い方が違うと不便です。それを統一し、非スマート家電も含めて制御するのもスマートスピーカーの役割になっていくと思われます。

つまり、スマートスピーカーや、それに搭載されたAIアシスタントが、スマート家電やIoT機器のプラットフォームになっていく形です。プラットフォームを提供する企業となれば、絶大な力を手に入れることになります。だからこそ、名だたるIT企業がAIスピーカーを巡ってしのぎを削っているわけです。

いったん、プラットフォームとなってしまえば、それに対応していないと不利になり、淘汰されてしまう可能性があります。事実上の標準となれは、家電などのメーカーは黙っていても使ってくれるでしょう。PCのウィンドウズやマホのアンドロイドと同じです。いちいち営業をして、使ってもらうよう頼む必要もありません。

Electron WheelElectron Wheel

さて、身近なAIと言えば、先月開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー、“CES 2018”では、“Electron Wheel”の第2世代が発表されています。このホイール自体は、前輪に装着することで、普通の自転車を電動アシスト自転車に変えることが出来るという製品です。

こうした後付けの電動アシストホイール自体は珍しくありません。各社から発売されています。そこで、他社と差別化し、使い勝手を向上させるため、この“Electron Wheel”の第2世代は、Google のAIアシスタントである、Googleアシスタントを搭載しました。

前輪を交換することで、わずか30秒で簡単に電動アシストになるのがウリですが、これを、Googleアシスタントで音声操作しようというわけです。ホイールの電動アシスト機構のスイッチを入れたり、その強さのレベルを変えたり、バッテリーの残量を確認したり、いろいろなデータを聞いたりすることが出来ます。

ただ、わざわざAIアシスタントを使わなくても、手元に無線で接続するリモコンでもあれば十分のような気もします。実際にそのような製品が多いでしょう。私はふだん、電動アシスト自転車に乗らないのでよくわかりませんが、音声で操作したほうが便利なのでしょうか。

Electron WheelElectron Wheel

素人の想像に過ぎませんが、わざわざ自転車の後付けパーツにAIアシスタントを搭載するのは、Google が、将来的に自転車のIoT化が進んだ際、自社のAIを自転車制御のプラットフォームとするための布石になると考えているのではないかという気がします。

“Electron Wheel”にとっては差別化の点でメリットがあります。一方、Googleにも、何らかの戦略があるはずです。広く普及する製品ではないとしても、将来的に自転車のIoT、AIのプラットフォーム化を見据えた開発の一歩ではないかと推察されます。

電動アシストホイールであれば、電源がとれるので、AIスピーカーのような機能を搭載するのに向いています。一般的な自転車には、ほかにライトくらいしか電動の部品がない中で、ここでノウハウを蓄積しようというのでしょう。少なくとも、これをベースに電動アシスト機構の最適化データは蓄積できるでしょう。

電動アシスト自転車に搭載し、効率化するための音声操作プラットフォームをつくって無料で公開すれば、他のメーカーも採用するかも知れません。今後、もし多くの電動アシスト自転車に、AIが搭載されていく流れとなるならば、先行して開発しておけば有利になります。



さらに、電動でない自転車にまで広がる可能性もあります。現状では、自転車にスマホをマウントしたり、ナビなどとして使わない人が大多数でしょう。特に知らないところへ行かないのにナビは不要です。つまり、スマホでは、自転車への搭載という点で十分にカバー出来ない可能性があります。

もし、自転車本体にAIアシスタントを組み込むようになれば、多くの自転車をカバー出来ます。そうなれば、人々の移動した場所や滞在時間から、スピード、頻度、その他いろいろなデータが取得出来ます。いわゆる、ビッグデータが蓄積できることになります。

小売店、飲食店などをはじめ、このようなデータを、マーケティングに利用できる企業は多いでしょう。広告や販促などの手段となれば、広告料収入も莫大なものとなる可能性があります。これは、スマホアプリやネットの広告と同様です。Google の主要な収益源でもあります。

電動アシスト機構の有効な制御を入り口として、自転車の移動や速度などのデータを直接取得し、乗り手に役立つ機能の開発も考えているでしょう。元々、自転車に乗りながら画面を見たり、手で操作するのは危険であり、その点で音声操作は乗り手にメリットがあると考えられます。

Electron WheelElectron Wheel

今後、自転車本体がIoT化するとするならば、乗り手にもメリットが必要です。AIアシスタントをプラットフォームとして、個々に便利な機能を開発し、言わば自転車版スマートスピーカーを製品化することも将来的な視野に入れているものと考えられます。

自転車版AIスピーカーが便利と評価され、普及すれば、生活の中での身近な移動も含めた、人々の移動を網羅し、膨大なデータを蓄積することが可能になります。そのメリットは計り知れません。自転車シェアを提供する企業もそこを狙っています。Google も、その可能性を考えているに違いありません。

外ではスマホ、家の中ではAIスピーカー、そして自転車には、また違うAI製品が標準となる可能性があります。一般には、まったく注目されていない動きですが、Google は、自転車のIoT化に向けた布石を着々と打っているような気がします。

最終的に、どのような形になっていくのかはわかりません。ただ、周辺で空いている駐輪場を探したり、正確な到着予想時間が確認出来たり、わかれば便利なことはいろいろあるでしょう。将来は、自転車で走行しながら、自転車と対話するようになっていくのかも知れません。




女子チームパシュートでは一時逆転されてヒヤヒヤしましたが、堂々のオリンピック記録での優勝、頑張りました。

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