昨年6月に東名高速で夫婦が死亡した事故は、あおり(煽り)運転に絡むものだったことが明らかになり、その後も、あおり運転による事故やトラブルが相次いで報道されています。あおり運転をする執拗で悪質なドライバーが決して少なくないことがクローズアップされ、波紋が広がっっています。
あおり運転をされた経験のあるドライバーは多いと思いますが、些細なことで激昂したり、執拗に追い回したり、信じられないような危険な行為をする人物が確実に存在していることが意識されるようになりました。事故やトラブルとなる危険と隣り合わせであり、決して他人事ではないと感じた人が多かったようです。
クルマ用品店では、ドライブレコーダーの売り上げが大きく伸びていると言います。通常の事故の際の記録だけでなく、あおり運転を受けた際、イザという時のための証拠とするためのニーズが意識されたのでしょう。ドライブレコーダーの搭載率は上がっているそうです。
ところで、サイクリストの中にも、クルマにあおられたとか、嫌がらせを受けた経験のある人は多いのではないでしょうか。ドライバーが自転車の存在に気づかずに幅寄せしてくるようなケースもありますが、明らかに故意に危険な嫌がらせ行為をするドライバーがいるのは間違いないでしょう。
そのようなドライバーは、自転車を邪魔に感じたり、追い抜けずにイライラしていたりするほか、単なる面白半分や憂さ晴らしだったりすることもあるようです。自転車に対する幅寄せなどの行為が事故につながり、サイクリストを死傷させる可能性があることを意識していない人も少なくないものと思われます。
仮に転倒させたとしても、圧倒的にスピードが違うわけで、気づかなかったフリをしてサッサと逃げてしまえばいいと考えているのかも知れません。直接、嫌がらせにつながるような要因がなかったとしても、ふだんから、誰であろうと自転車を目の敵にしているような人もいるようです。
そこで、自転車にもドライブレコーダーが欲しいと感じているサイクリストもあるのではないでしょうか。このブログでも、これまでに何度か取り上げていますが、自転車用のドライブレコーダーを開発しようという試みが、近年増えてきているようです。クルマと同様に、自転車でもニーズがあるはずと考えるわけです。
背景には、動画カメラや充電池、記録媒体などの小型化、高性能化、高容量化といった技術の進歩もあるのでしょう。カメラの搭載されたスマートフォンの市場が爆発的に大きくなったことで、技術の進歩に加えて、量産化の効果で低価格化が進んだことも挙げられます。
自転車のフレームに取り付けるもの、既存の動画用カメラを使ったもの、サイコンに搭載したものなどもありました。ヘルメットに搭載して、ショックが加わった場合に前後何秒間かを動画で記録するような製品も取り上げた覚えがあります。ここへきて、また新しい製品が提案されています。
こちら“
Cyclevision EDGE”は、ヘルメットに動画撮影用のカメラが2つ内蔵されています。前方と後方、2つ合わせて320度の範囲をカバーします。外付けするカメラと違って、風の抵抗が大きかったり、着脱時に邪魔になったり、重く感じることもありません。
ドライブレコーダーとして、前後の広範囲の映像を記録出来ます。さらに画像を無線でリアルタイムに手元のスマホに送信することも出来ます。スマホをハンドルバーなどにマウントすれば、リアビューモニター、バックミラーのように使うことも可能です。
画像データは、フラッシュメモリーに記録されますが、スマホに無線で転送するほか、microUSB のケーブルを使ってパソコンなどへ取り込むことも出来ます。ドライブレコーダーとしてだけでなく、走行した景色を記録するアクションカメラのように使うことも可能です。
Cyclevision 社はオーストラリアのスタートアップ企業ですが、創業者自身が事故に遭い、その必要性を痛感したことから開発が始まったと言います。イザという時、相手車両のナンバーや特徴なども含め、出来事を記録しておく意味は大きいですし、裁判や保険会社などに証拠として提出することも想定されます。
現在は、
クラウドファンディングサイトで資金調達を目指しています。自転車用のドライブレコーダーについては、まだ大きく普及したもの、標準となるような製品は登場していませんが、このようなヘルメットに搭載するスタイルは有力な選択肢となりそうです。
細かいスペックはともかくとして、少し気になるのはカメラ部分とヘルメットが一体化しているところです。ご存じのように、ヘルメットはヒビが入ったり、素材が経年劣化したりすると保護性能が低下するため、定期的に買い替える必要があります。いわば消耗品です。
一体型だと、カメラごと買い直しになります。今どきは、カメラ性能も向上するので、買い替える手もあるでしょうが、普通に考えると、カメラ部分も使い捨てというのは、あまりリーズナブルとは言えないでしょう。一体式のデザインは良いのですが、カメラ部分は着脱できたほうがベターな気がします。
最近、クルマにドライブレコーダーを取り付け、それをアピールするために、ドライブレコーダー搭載とか、撮影中といったステッカーを貼っているのを見ることがあります。そうやってアピールすることで、あおり運転などを思いとどまらせる効果を期待しているのでしょう。
個人的に思うのは、同じように、ドライブレコーダー機能を搭載したヘルメットをかぶっていることをアピール出来たほうが、未然に事故やトラブルを防ぐ上で効果的なのではないかということです。このヘルメットでは、普通のものと見分けがつきません。ステッカーを貼っても小さくて見えないでしょう。
そう考えると、もっとオリジナリティーがあって、ドライブレコーダー機能搭載ということが見てわかるほうがいいような気がします。例えば、もっとレンズを強調するようなデザインでもいいでしょう。普及するようになった際、一目でわかるような個性的なデザインだと予防効果も期待できそうです。
ドライブレコーダーの普及率は、国によってもバラつきがあるものの、基本的に拡大方向にあるようです。それが自転車にまで波及するかどうかはわかりませんが、一般的になっていったとしても不思議ではありません。今後も、この分野の製品開発は続いていきそうです。
新幹線の台車を勝手に削り、安全と日本製の信頼を大きく損なった川崎重工、もう使うべきでないと思いますね。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(4)
こんばんは。随分ご無沙汰しておりました。こちらの記事でこれまで色々なアイテムを購入させていただきましたが、事故の後、あまり乗らず、最終的にロードバイクは昨年全部処分しました。ですが、シティサイクルでも使えますので、ライトやグローブ等は今でも愛用しております。
しかし、あおり運転は本当に怖いですね。元々、ロードバイク時代もレコーダー類を使用していましたが、それはこちらが青でも突っ込んでくる自転車との万一の事故時に備えてのものでした。しかし今や、対象が広がりつつありますね。CONTOURを愛用していたのですが、バッテリーが劣化したうえ、製品の販売も終了したようで、今はレコーダーがありません。記事のようなヘルメットはシティサイクルでは使えませんが、自転車汎用型レコーダーが発売されればと思います。