むしろ一つだけではなく、複数の趣味を持ち、それぞれ楽しんでいる人のほうが多いかも知れません。一つひとつの優先順位やウェイトは違うとしても、休日ごとや空いた時間に応じて、あるいは季節ごとなど、いろいろな趣味をそれぞれ楽しんでいると思います。
現在はニューヨーク在住で、デザイン関係の仕事をしている、
Jonathan Igharas さんもそうです。趣味である自転車や音楽、アウトドアやハンドメイドなどをそれぞれ楽しんでいます。でも、ある時、複数の趣味を組み合わせて楽しんだら面白いのではないかと思いつきました。
音楽を聴くのもいいですが、大勢で音楽を楽しむのが好きです。皆で踊れる場で、自らDJとして音楽を選曲、再生したりもします。音楽は身体を癒したり、魂を高めるだけでなく、集団的、共同体的であり、人々を一体化させる機能があります。あるゆる文化を超えて、一緒に踊ったり歌ったり出来ると考えています。
ただ残念ながら、日常生活におけるこの音楽の本質的な役割が、今日では失われている、あるいは不足していると感じていました。世界はもっと音楽と踊りが必要であり、音楽の集合的なエネルギーや結合を取り戻すため、それを実現する場が必要だとも感じていました。
そこで、屋外へ音楽を持ち出そうと思ったのです。そうなると、DJで使う機材やスピーカーなどの音響機器、バッテリーなどを運ぶ必要があります。重量を考えれば、バンか何かのクルマとなりそうですが、彼は違いました。自転車が好きで、趣味でもあったので、これと組み合わせようと思ったのです。
自転車は健康的でシンプルで効率的な乗り物というだけでなく、都市化が進み密集化する世界では、地域社会のアイデンティティや誇りをつくります。同時に変革の直接的な指標であり、シンボルだとも考えています。自転車中心の文化は、知らないうちに、社会を持続可能にもしています。
Jonathan Igharas さんにとっては、単なる移動の手段というだけでなく、積極的な瞑想でもあると言います。日々の生活や思考をスローダウンさせるものであり、忠実な友達でもあります。もっと街には自転車が必要だし、クルマを減らしたほうがいいとも感じています。クルマという選択肢はありませんでした。
彼は、中国の北京で使われている汎用のトライクをベースに、屋外でDJが出来る自転車を制作しました。名付けて、“
THE DJ TRIKE ”です。DJ用のAV機器を荷台の箱の中に収容しており、マリンボート用のバッテリーとインバーターによって屋外で演奏できるようになっています。
スライドレールで素早く引き出して展開できるところが工夫です。設定などを一からやり直すことなく、そのまま収納して、次の場所へ行くことが出来るのがメリットです。このトライクによって、DJをクラブなどの特定の室内だけでなく、屋外の公共空間などで楽しめるようにしたわけです。
公園でも、どこかの海岸でも、あるいは人々で混雑する道路上であっても、音楽と踊りの場に出来ます。屋外でダンスミュージックを再生し、人々と一緒に踊り、楽しむことで、その場所をどこにでもある空間から、思い出深い場所に変えることが出来るのです。
さらに、その後、クラウドファンディングを使って“THE DJ TRIKE 2.0”にアップグレードさせました。バッテリーはリチウムイオン電池に変え、電動アシストと回生ブレーキ、マルチメディアプロジェクター、ソーラーパネル、新しいサウンドシステム、その他いろいろ搭載しました。
この時には、この新しい“
THE DJ TRIKE 2.0 ”でカナダ・ブリティッシュコロンビア州のバンクーバーから、アメリカ・カリフォルニア州のロサンゼルスまでのツアーを企画しています。この旅は、人々との共同の音楽体験を通して、音楽と自転車でいっぱい、かつサスティナブルな世界をイメージしてもらうのが目的です。
自転車好きで、音楽好き、自転車の改造とDJが得意な、
Jonathan Igharas さんならではの趣味です。自転車や音楽、それぞれも楽しみますが、両方を組み合わせたことで、クラブなどに来る人とは、また違った人たちと一緒に音楽を楽しむことが出来るのも魅力です。
VIDEO
趣味の世界は、それぞれディープで楽しいものです。いろいろな楽しみ方があります。一つだけでも十分かも知れませんが、違う趣味を組み合わせることで、また新しい世界が広がり、違った楽しみ方が出来ます。何かの趣味と自転車を組み合わせて、屋外へ持ち出してみるのも面白いかも知れません。
4月か5月頃の陽気になったかと思えば、真冬に逆戻りと寒暖の差が激しくなっていますので体調に注意ですね。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(0)