March 13, 2018

市民の自転車整備を支援する

自転車はメンテナンスが欠かせません。


ただ最初は、その必要性をあまり感じていなかったり、方法がわかりにくいと感じる人もあるでしょう。注油や空気圧の管理くらいならともかく、ある程度専門的な知識やノウハウが必要な場合あります。どこが不調の原因なのか、初心者には判断が難しいこともあると思います。

パンク修理すら出来ない人もいますし、メンテナンスも含めて、馴染みの自転車ショップにお任せという人もあるでしょう。しかし、日本でもそうですが、最近は欧米などでもネット通販の拡大などを背景に、自転車ショップがなくなってしまう地域が少なくないようです。

BikeworksBikeworks

メンテナンスが不十分なまま乗っていると、快適さが損なわれますし、故障やパンクなどを誘発することもあります。最悪の場合は、事故につながりかねません。定期的にプロに調整を依頼するのはいいですが、日常のメンテナンスくらいは、自分でする必要があります。

パンク修理やチェーンのトラブルなど、自分で修理や調整が出来ないと、出先で困ることにもなりかねません。その方法については、書籍などでも学べるわけですが、初心者の場合、なかなか理解しにくかったり、上手く出来ないということもあるでしょう。

BikeworksBikeworks

Bikeworks”は、イギリス・ロンドンに本拠を置く非営利団体です。団体としての使命は、自転車のパワーを使って人々の人生を変えることです。より多様なサイクリングコミュニティを構築したり、自転車の活用の推進を通じて、環境負荷を減らし、またそのような企業を増やすことです。

ハンディキャップのある人の自転車へのアクセスを支援したり、困難な状況にある人の雇用プログラムを主催したり、自転車のリサイクルや再利用、再流通を促進するなど、多方面の事業をしています。市内の各地に出かけて、出張修理やメンテナンスのサービスなども行います。

BikeworksBikeworks

そして、同時に力を入れているのが、自転車の修理やメンテナンスを教えるプログラムです。自分で自分の自転車を修理したり、メンテナンスが出来るように指導します。これは自転車の安全性向上にも直結します。初心者からベテランまで、各コースを用意しています。

ボランティアを含むスタッフが対応し、無料、もしくはリーズナブルな価格で講座を提供しています。工具を貸し出したり、リサイクルのフレームやパーツなども手頃な価格で供給しています。市民の安全のため、修理したりメンテナンスしながら乗っていくための支援をしているのです。

Hackney Bike WorkshopHackney Bike Workshop

Hackney Bike Workshop”もロンドンのハックニー区で、ワークショップを運営しています。こちらも自転車の修理ではなく、修理の方法の指導を行っています。修理サービスは、その時だけですが、技術を習得すれば、今後ずっと修理やメンテナンスに困らないで済むという考え方です。

ブリストルに本拠を置く“Roll for the Soul”も同様です。こちらは高品質のコーヒーと美味しいケーキを楽しみながら、自転車の修理やメンテナンスを学べる非営利のカフェです。地域の自転車コミュニティを応援すると共に、人々が自転車生活を送る上で不可欠な技術の習得を支援しようという活動です。

Roll for the SoulRoll for the Soul

こちらは残念ながら、いま現在は休止していますが、自転車の修理やメンテナンスを教えるワークショップは、腕のいいスタッフが個人的に継続して提供しています。それぞれ、形態や活動内容などは少しずつ違いますが、どれも技術の指導を通して、市民の自転車生活を支援しようという点で共通しています。

好きな人、メンテナンスをすることが苦にならない人もいますし、自分で調べて習得している人も多いでしょう。しかし、手先が不器用だったり、必要に迫られて自転車に乗っているけれど、自分で試行錯誤までしながら習得するのは面倒だと考える人も多いはずです。

Roll for the SoulRoll for the Soul

そんな人にとって、やはり実地で、手取り足取り教えてもらう機会があれば有難いでしょう。最初は工具を借りることが出来たり、理解も進むはずです。メンテナンスや簡単な修理の方法を指導することは、市民の自転車生活を支える上で不可欠な要素であり、不足していると考えているわけです。

こうした団体・組織があるのはイギリスだけではありません。くまなくと言うわけではないでしょうが、欧米では、各国・各地に存在しているようです。一方、日本ではメンテナンス教室といった活動をする非営利団体というのは、あまり聞いたことがありません。

Roll for the SoulRoll for the Soul

これは、日本の自転車事情、市場の特殊性が関係しているのでしょう。すなわち、長年自転車を歩道走行させるという特殊な環境だったため、ママチャリという単一の車種が市場の圧倒的多数を占める構造です。ママチャリは、タイヤが太く、重くて遅いですが、足つき性が良く歩道走行には向いています。

性能ではアピールが難しく、値段でしか差別化できないため、中国などから輸入される格安で粗悪なママチャリが市場を席捲し、悪貨が良貨を駆逐する状態になっています。ホームセンターや量販店などで格安で売られる一方、街の自転車屋さんは激減し、修理を頼める場所がないのも確かでしょう。

Hackney Bike WorkshopHackney Bike Workshop

修理しようと思っても、ママチャリは修理やメンテナンスが困難に出来ています。コスト削減のため、タイヤを外すのも簡単でない構造になっています。チューブの交換すら困難です。そんなママチャリが圧倒的に多いわけですから、修理して使おうという人が少ないのも仕方ないのかも知れません。

ただ、そのせいで自転車が使い捨てのようになっています。格安なママチャリは粗悪で壊れやすいこともあり、パンクしたり、錆びて異音がしたり、乗り心地が悪くなると、駅前などに放置・放棄するような人が少なくありません。これは、撤去・移送されても取りに行かない人が相当な割合に上ることでも明らかです。

Hackney Bike WorkshopHackney Bike Workshop

自治体は放置自転車の撤去移送を繰り返していますが、いたちごっこであり、延々と税金を投入する羽目に陥っています。一時的に迷惑駐輪は減るかも知れませんが、壊れたりパンクした自転車を放棄する放置自転車は一定の割合で発生していくでしょう。通知して取りに来ない人の割合は高止まりです。

ママチャリが悪いとは言いませんが、粗悪な自転車は問題です。質のいい自転車をメンテナンスをしながら乗るほうが快適ですし、トラブルが事故を誘発するようなこともなく安全になります。その点に気づいてスポーツバイクに乗る人も増えていますが、それを促していくことは、放置自転車対策の根源的な対策にも有効でしょう。

Hackney Bike WorkshopHackney Bike Workshop

格安・粗悪な自転車の流入を阻止するため、自転車に高関税をかけているEUなどと違って、日本でこの状況を変えるのは困難かも知れません。しかし、延々と放置自転車の撤去移送に税金を投入し続けるのではなく、市場に出回る格安粗悪な自転車を排除することも考えるべきではないでしょうか。

そのあたりの啓発や、体験してもらうのも手だと思います。そして、メンテナンス技術の指導など、いい自転車をメンテナンスしながら乗るスタイルを支援していくことも有効でしょう。自転車の活用の推進について、欧米ではそこまで進んでいる点に注目すべきだと思います。




民主主義の根幹に関わる公文書の改ざんなのに、部下に責任を押し付け、頭も下げぬ麻生大臣の傲慢さは..。

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