自動運転車で歩行者死亡事故 ウーバー車両 米アリゾナ州
配車サービスの米ウーバーテクノロジーズが米アリゾナ州で試験運行していた自動運転車が18日夜、歩行者をはね死亡させていたことが明らかになった。
自動運転車が関係する交通事故はこれまでもあったものの、歩行者が犠牲になった事故は今回が初めてとみられている。
ウーバーは19日、自動運転車の試験走行を中止すると発表。同社のダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)はツイッターで、「アリゾナから、信じられないほど悲しいニュースが届いた。犠牲者の遺族に思いを寄せつつ、何が起きたのか地元警察当局と協力している」と述べた。
警察によると、アリゾナ州テンピで起きた事故の発生時、自動車には運行を管理する担当者が乗っていたが、自動運転モードになっていた。(以下略 2018年03月20日 BBC)
ウーバーの車両は、制限速度以下の時速60キロほどで自動運転モードで走行中、横断歩道のない場所で自転車を押して歩いていた女性をはねたようです。
地元警察の署長は、暗い夜道で突然出て来たこともあり、人間が運転していても避けられなかったのではないかという見方を示しています。
ただ、回避可能だったというのが多くの専門家の見解のようです。たしかに、公開された車載カメラの映像では、暗闇から突然現れたように見えます。しかし、当該車両にはレーザーやレーダーなどのセンサーが搭載されていました。
つまり、明るさに関係なく障害物を感知して衝突回避が可能だったはずだと言うのです。画像処理やその後のシステム制御などが上手く機能していなかった可能性があるようです。むしろ人間であれば、カメラ画像で識別されるより前に反応し、急ブレーキをかけられた可能性も指摘されています。
完全には回避できなくても、速度が落ち、そのぶん被害者側も対応できた可能性があり、少なくとも被害が軽減された可能性が高いとの指摘もあります。確かに、地元警察署長の見解はともかく、人間でも回避は無理だっただろうから仕方がないでは済まないでしょう。
ウーバーのシステムが問題だとの声もあります。人間が介入せずに自動運転で走行できた距離など、各社のシステムの成績について公開されているデータを見ると、同じ自動運転システムでも、その差は大きいようです。現地時間の26日、アリゾナ州はウーバーが公道テストを行う権利を停止しています。
自動運転も、まだまだだと感じた人も多かったのではないでしょうか。一昨年のテスラの自動運転機能で走行中に死亡した事故でも、前方のトレーラーに太陽光が反射してカメラによる認識が失敗したとされています。カメラやセンサー、レーダー等の技術は進歩しているとは言え、怖いと感じた人は多かったかも知れません。
自動運転の技術が確立し、安全に走行できるようになるまでには、まだいくつもハードルがあると言うことなのでしょう。これからも、さらに技術開発を進める必要がありそうです。現在、開発の方向性については、さまざまな形で、関係機関による議論が進められています。
この事故の一週間ほど前には、ベルギーのブリュッセルで、国際連合欧州経済委員会(UNECE)や国際電気通信連合(ITU)が招集した「
未来のネットワークカーのシンポジウム2018」が行われています。ここに、
欧州自転車産業連盟(CONEBI)の代表者が参加しました。
クルマの会議に参加した自転車の関係者が、その立場から発言したのは、クルマが自転車とも通信する必要性についてです。最近は、自動運転と共に、コネクティッド・カー、クルマはネットに常時接続するようになると言われています。これはネット接続による、車内のエンターテインメントだけが目的ではありません。
クルマ同士が相互に接続することで、安全性の向上が見込まれます。V2V、ビークルとビークル、すなわちクルマとクルマが通信しあうことで事故などを回避するわけです。V2I、クルマとインフラが通信することで、自動運転を補助することも想定されます。
これに加えて、V2B、クルマと自転車の通信も必要だと主張したわけです。乗る人ではなく、自転車そのものとクルマが自動的に通信します。お互いの位置や動きを把握すれば、事故の回避につながるはずです。なるほど、クルマだけでつながるのではなく、自転車もつなげろと言う意見はもっともです。
自動運転の技術開発の中で、自転車の検知や回避、事故防止は難しい課題とされています。V2Bで自転車とつながることは、クルマにとっても大きなメリットがあるでしょう。もちろん、それは自転車に乗る人の安全性の向上に直結するに違いありません。
カメラやセンサー、レーダーによる障害物の検知も必要でしょうが、電波などによる通信で、あらかじめ周囲の自転車の存在を把握しておくわけです。これならば、死角に入ったり、見通しが悪かったり、光の反射などでカメラが誤認識しても、事故は防げる可能性が高まるはずです。
話は違いますが、最近、無人レジの店舗の実験が報じられることがあります。店内に無数のカメラを配置して、何の商品を手にしたか、AIが自動で認識して処理したりするようです。ただ、カメラによる捕捉だけだと、誤認識したり、認識漏れしたりすることも考えられるでしょう。
単価の安い商品だと、ICチップを取り付けたりするのが難しいからのようです、でも、やはりカメラよりも全てにICチップを取り付けたほうが確実だと思います。ICチップと店内や出入口に設置したゲートが通信して決済するようにすれば、誤認識や認識漏れは防げるでしょう。
それと同じように、V2Bで通信して、確実にクルマから捕捉されていたほうが安心できるはずです。実際には、どのような装置が必要になるのか、どうやって全ての自転車に搭載させるのかなど、いろいろと課題が想定されますが、自転車もつなげるほうが、カメラやレーダーに頼るよりベターな選択肢だと思います。
自動運転のクルマが当たり前のように街を走り回るまでには、まだまだ課題がありそうです。しかし、自動運転が実現するなら、人間が運転する世界よりも安全になってもらわなければ困ります。そのためにも未来の自転車は、あまねくコネクティッド・バイクになっていくのかも知れません。
今年の桜は早く、東京などでは10日も早いそうです。花見をするなら今週末がギリギリというところでしょうね。
Posted by cycleroad at 13:00│
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