June 14, 2018

場所でなく撮り方を工夫する

インスタ映えということが、よく言われます。


この「インスタ映え」という言葉、言うまでもなく、写真や動画を投稿するSNS“Instagram(インスタグラム)”にアップして見栄えがいい、評価されることを意味しています。そのような写真が撮れることを重視する最近の風潮、トレンドを表している言葉でもあります。

昨年、2017年の流行語大賞にも選ばれました。もっと前から言われている気がするほど、一般的になっている気がします。日常的にインスタをアップしている人たちだけの関心事や、一過性の社会現象というより、普通名詞化し、定着した感もあります。

自治体や関係者は、こぞってインスタ映えする景色や風物を探し、アピールするのに躍起となっています。観光客の大幅増加が見込めるからです。企業や事業者は自社の商品、例えば料理やスイーツなどが写真で撮られた時にインスタ映えするかによって、売り上げが大きく変わってくる状況になっています。

ごくマイナーな店だったのに、誰かのインスタグラムに掲載されたのをきっかけに、お客が大挙して押し寄せるようになることも多いと言います。インスタ映えする風景として認知されれば、それだけで大勢の人がやってくるので、自治体の観光振興の成果を大きく左右する要素となっています。

Rob van Driel特徴的な景観に乏しい場所では、何かユニークな写真が撮れるような工夫が求められる状況もあるようです。料理やスイーツなどには、見た目が今まで以上に重要な要素となっているのは間違いないでしょう。ビジネスでもインスタグラマーの関心、インスタ映えを考えるのが当然のようになっています。

一方、あまりにインスタ映えする写真のアップが競われた結果、最近はインスタ疲れ、SNS疲れになる人も出てきているようです。いいね!やフォロワーの数が気になり、インスタ映えする写真を撮ることが目的になってしまい、そのために多大な労力や時間が必要という、本末転倒な状態もあるのでしょう。

誰もが話題の場所へ出かけるようになって、他の人と差別化するハードルが上がってしまう状況もあるのでしょう。よく言われるように、いわゆる「リア充」をアピールするかのような行動に力を入れるのがバカバカしくなったり、疲れたり、時間の無駄と感じはじめたりする人もあるようです。

ただ、多少過熱している部分はあるにせよ、どこかへ行けば、写真を撮ってアップしたくなるのは人情でしょう。日常を離れて、普段行かない場所や話題の店、行列の出来る店の料理を食べれば、写真を撮っておきたくなるでしょうし、誰かに見せたくなる気持ちもわかります。

フィルムの時代から、カメラを持って出かけて撮影するのは普通のことでした。ただ、撮った写真はアルバムに貼るくらいしかありませんでした。現像に出してプリントしたり焼き増しして、友だちと会わなければならず、見せると言っても面倒でした。

Rob van Drielデジカメになって便利になりましたが、さらに近年はスマホで写真が撮れ、すぐにそのままSNSなどへアップ出来るのですから、人に見せるのもラクになりました。特に自慢したり、「リア充」をアピールするつもりがなくても、アップしたくなるのは自然な心理と言えるでしょう。

インスタ映えを気にし、いいね!やフォロワーの数を気にし過ぎるのは、楽しくなくなる要因かも知れませんが、どこかへ行けば写真を撮りたくなります。ふだん見ないような景色を求めて出かけたくなる気持ちもわかります。自転車でツーリングに出かける目的の一つという人も少なくないのではないでしょうか。

ただ、単に普通にツーリングに出かけて、行った先で風景写真を撮るだけでは、ごくありふれた風景になってしまいます。全くインスタ映えしない写真です。SNSにアップしても変わりばえがしない、見る方にとって面白くないということもありがちです。

自転車でのツーリングの目的地として、インスタ映えすると話題の場所へ行くのも一つの手だと思います。でも、話題の場所というのは多くの人がアップします。かえって、よくある写真になったりします。ならば、ごく普通の場所であっても、行った先で撮り方を工夫してみるのもアリかも知れません。

Reprise    Anonyme

Tulips    Aquarelle

La Méditerranée   Parapluie

そう思わせるのが、オランダのアマチュア写真家でサイクリストの、Rob van Driel さんの写真です。特に話題の場所でなくても、いわゆる、「絵になる」景色、いい写真だと思うのは私だけではないと思います。もちろん、絵になる場所へ行って撮っているということもあるでしょう。

しかし、いかにも絵になる場所がある一方で、そんな場所ばかりではありません。ありふれたオランダの田舎や街角に、自転車が置かれているだけのものも少なくありません。それでも思わず、いいね!と言いたくなるのは、アングルとか、写真の構図などにも秘訣がありそうです。

Fox-Amphoux    Col d'Eze

Bonnieux    Bike, Mediterranean, Alps

Peanut Butter and Kerosene    Bridge

ごく普通の道路でも、撮るアングルによっては、写真の印象はかなり違ってくるでしょう。絵になりそうなポイントを探すのが上手いのかも知れません。逆に言えば、ごく普通の場所でも、撮り方によって、絵になる写真が撮れる可能性があることになります。

見晴らしも良くない、ごく普通の雑木林とか、道端に自転車をとめただけの写真もあります。もちろん、それを絵になる写真に仕上げるのは、趣味とは言え、写真撮影の腕なのでしょう。変に自撮りして、自分や同行者の姿を入れたりしないのも、絵になる写真の要素の一つと言えそうです。

Rodez    Conques

Heemstede   Baie de Cassis

GR3   Cours Julien

なかなかのセンスで、そう簡単にはマネできるものではないのかも知れません。当然ながら、私のような素人が真似しても、同じような写真を撮るのは難しいでしょう。ただ、Rob van Driel さんの写真を見ていると、ツーリングに出かけて、写真を撮りたくなるのも確かです。

クルマとは違い、自転車だと絵になりそうなポイントを探すのには有利だと思います。クルマだと一瞬で通り過ぎてしまいますが、自転車の速度なら、じっくり探せます。小回りもきくので、生い茂った木々が一瞬途切れた場所とか、うまい具合に看板や余計なモノが写り込まないアングルを探したりも出来るのではないでしょうか。

Beynac-et-Cazenac    Route 88

Teerketelsteeg   Champignons

Roussillion    Woestduin

それでいて、電車プラス徒歩とは機動力が違います。これはサイクリストの人だけかも知れませんが、景色の中に、ポツンと自転車を置いておくだけで、格段に絵になる気もします(笑)。特に話題の場所でなくても、いい写真は撮れそうですし、むしろそのほうが、オリジナルなものになるでしょう。

話題だからと、みんなが殺到する場所へ行くのは、むしろバカバカしく思えてきます。Rob van Driel さんの写真を見ていると、ツーリングに出かけたくなります。そして、誰も写真に撮らないような、特にインスタ映えのしない場所、ごく普通の場所で、絵になる構図を切り取ってみるのも面白いかも知れません。




自ら誇示する程の成果はないと懐疑的な見方が多いですが、これが真の解決への一歩となることを期待します。

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