July 14, 2018

自転車は間口が広く奥が深い

自転車にはいろいろな楽しみ方があります。


日本では、自転車というのはママチャリのことだと思っていて、単なる近所へのアシとしか考えていない人も多いわけですが、最近は趣味でスポーツバイクに乗る人も増えてきました。ツーリングに出かけたり、レースやライドイベントなどに出場したり、楽しみ方はいろいろです。

普通に道路を走るだけでなく、ヒルクライムに挑戦したり、MTBでシングルトラックの走行やダウンヒルを楽しんだり、乗る場所や乗り方も多様な選択肢があります。BMXなども含め、スポーツとしての認知度も上がってきており、輪行で遠出をしたり、自転車での旅行を楽しむような人も増えてきました。

趣味として自転車に乗るようになると、自転車そのものにもこだわりが出てくるでしょう。これは自転車に限ったことではありませんが、もっといい自転車が欲しくなったり、違った種類の自転車を揃えたり、パーツを交換してみたりと、物欲が増してしまうのも仕方のないところかも知れません。

自転車そのものへのこだわり方も人それぞれです。有名ブランドの最高級モデルが欲しくなる気持ちもわかります。趣味の自転車を知らない人が、その値段を聞くと驚くようなものも少なくありません。市販の既製品には飽き足らず、自分だけの一台を手に入れるため、フレームをオーダーで作る人もあるでしょう。

フレームの素材にもこだわりが出て来るかも知れません。カーボンだとかチタンだとか、近年は新しい素材も選べます。素材によって、軽量化や乗り心地、耐久性などのメリットがあったり、性質が変わってきたりします。なかには新素材や複合材ではなく、もっと違う素材にこだわっている人もいます。

RenovoRenovo

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こちらのロードバイク、素材は『木』です。素材にウッドを使ったフレームというのは、少ないながらも存在しており、日本でも手掛けるビルダーがいます。でも、こちらはただのウッドではありません。なんと、ウィスキーを入れて熟成させるための樽をバラして使われていた木材を使って作られています。

このメーカー、Renovo 社は、ウッドフレームの自転車を販売しています。その中でも、この“Glenmorangie Original”は、その名の通り、グレンモーレンジィ・ウィスキーの熟成用の樽の解体材から出来ているのです。日本にも輸入されているので、スコッチウィスキー好きなら、ご存じの銘柄かも知れません。

RenovoRenovo

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でも、決して奇をてらってウィスキーの樽を使っているのではありません。そこには、メーカーのこだわりがあります。一般に、木のフレームと言うと、すぐ折れてしまいそうなイメージがあったり、削れたり傷つきやすかったり、あまり自転車のフレームに適した素材ではないように思えます。

しかし、Renovo 社によれば、そうではありません。樽以外の木製も含め、まず非常に乗り心地に優れています。この素材は、路面からの細かい振動を非常によく吸収するのです。この細かい振動の吸収は重要で、ライダーの疲れを防ぎます。長い距離を乗っても疲れにくいというのは大きなメリットです。

RenovoRenovo

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このウッド素材のフレームは、特に小細工や補強をしなくても、一般的なカーボンの4倍もの振動吸収性があると言います。この点では金属素材も含め、他のどんな素材より優れています。このことにより、理想的に滑らかな乗り心地を実現するのです。

一方で、決して柔らかくありません。広葉樹の硬材が用いられており、その構造もあって、それこそカーボンファイバーに匹敵するほどの剛性があるそうです。木は一般的に軽いわけですが、さらにこのフレームは中空になっており、そのため非常に軽量でもあるのです。木目がキレイで、同じものがないのも特徴でしょう。

RenovoRenovo

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さらに耐久性もあります。木だと、折れたり割れたりしそうなイメージがありますが、それも間違ったイメージです。非常に耐久性が高いと言います。その証拠に、この、Renovo 社のウッドフレームのロードバイクには生涯保証が提供されます。マウンテンバイクのフレームは違いますが、それでも5年保証です。

木は、自転車のフレーム素材の中で、もっとも環境負荷の少ない、いわゆるサステナビリティの高い素材です。カーボンファイバーも含めた他の素材は抽出や成型に多くのエネルギーが必要になりますし、フレームへのリサイクルも困難です。木は再生可能な素材でカーボンフットプリントも低減します。

RenovoRenovo

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Renovo 社は、2007年から木製の自転車を製造しています。それまで、金属やカーボン、いろいろな複合素材を扱い、研究をしていました。あらゆる素材を研究した結果、木製フレームの優れた特性が判明し、これこそ究極の素材だと確信し、ウッドフレームを製造するようになったのだそうです。

金属やカーボンなどがフレーム素材として全盛な中、あえてのウッドなわけです。決して奇をてらったり、珍しさや差別化のため、代替の材料として木を使っているわけではないのです。誰もが知るような有名メーカーの高級モデルを超える素晴らしさだと評価しているプロのライダーもいます。



私も、木製のフレームが振動吸収性に優れているのは知っていましたが、ここまで高性能な素材だとは知りませんでした。同社のサイトには、詳細なデータやレビューなどが載っているので、興味のある方は見てみて下さい。大量生産できないため、木製フレームを知る人が少ないというのはあるかも知れません。

同じ理由で、誰もが乗る素材とはなりにくいのも確かでしょう。しかし、こだわるだけの理由があるようです。日本のビルダーの木製自転車も、何年待ちにもなっていると聞きます。私も展示会で見たことはあるのですが、機会があったら一度乗ってみたいものです。

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自転車は、その種類が無数にあって、マイナーなものも含めてさまざまな楽しみ方があります。一方で、フレームの素材ひとつとっても、知らないことがたくさんあります。言ってみれば、間口が広く、奥が深いわけです。趣味としての自転車の楽しみは、無限に広がっていると言っても良さそうです。




この連休は広い範囲で猛暑となり37度を超える場所も予想されています。熱中症に厳重な注意が必要ですね。

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