各地で紅葉が見頃となっています。
気軽に行動できるけど…高齢者の電動自転車、死亡事故増
電動アシスト自転車に乗車中の高齢者が、事故で死亡するケースが増えている。運転免許の返納後の新たな交通手段や、自転車の運転を体力的にあきらめた年齢層の新たな「足」としての利用が広まる。ただ、体力や判断力の低下を理解したうえで乗る必要がありそうだ。(中略)
年間の生産台数、9年で26万台増
自転車事故そのものは年々減少するなか、電動アシスト自転車の事故は全国でじわじわと増えている。警察庁によると、アシスト自転車の死亡事故は、2008年の29件から昨年は42件になった。高齢者が目立ち、過去10年は毎年、死亡事故の8〜9割が高齢者だ。高齢者の割合は自転車事故全体と比べて高い。
国内メーカー初のアシスト自転車は1993年に登場。自転車産業振興協会によると、年間生産台数は09年の約31万台から、昨年は57万台に増えた。高齢者による運転免許証の自主返納の影響なども背景にあるとみられ、アシスト自転車購入に補助金を出す自治体もある。
公益財団法人交通事故総合分析センター(東京)の西田泰・特別研究員は、アシスト自転車の利用者が増えたことで、事故も増加しているとみる。アシスト自転車は比較的速度が出やすく、「高齢者が操作ミスをしやすかったり、車の運転手が予想する以上に速く出てきたりする可能性がある」と指摘する。
特に高齢者は、ブレーキやハンドルを操作する能力が、本人が思う以上に低下していることがある。西田さんは「今まで危険な目にあったことがなくても、突然、致命的な事故に遭うこともある」としている。(後略 2018年11月15日 朝日新聞)
低重心、ノーパンク 浜松の有志ら「災害に強い自転車」開発
浜松市の自転車愛好家らでつくる「浜松自転車協会」と静岡文化芸術大(同市中区)が、災害時の生活を支える自転車の開発に取り組んでいる。女性や高齢者らの負担を軽減する工夫を施しているのが特徴で、24日に同市中区の鴨江アートセンターで開く「はままつ市民自転車フォーラム」で公開する。
東日本大震災で被災した宮城県南三陸町の住民と交流がある同協会の池谷道浩事務局長は「復旧作業に男性が借り出され、女性や高齢者が水などの重たい物資を運ぶのに相当苦労した。自転車でその負担を少しでも軽減できれば」と思い、自転車の開発を始めた。
開発には、同大デザイン学部の服部守悦教授と田村優一さん(3年)が協力している。14インチの小さなタイヤを装着し、足元に20リットル入りポリタンクが載る大きな荷台を設けた。服部教授は「力が弱い女性でも少し持ち上げるだけで荷台に載せられる。運転に安定性を持たせるためにも重心を低くした。
運転できなくても台車代わりに使える」と説明する。前後輪の上にも荷台を設置し、悪路でも走行できるノーパンクタイヤを装着するという。デザイン担当の田村さんは「多くの人に見てもらい、改良すべき点などの意見が聴きたい」と話す。
東日本大震災では、車で津波から逃げようとした多くの人が渋滞にはまり、逃げ遅れた。高台につながる道は一本道というケースが多いため、「自転車なら途中で立ち往生することはなく、助かった命があっただろう」と池谷事務局長は語る。同協会の宮沢総介会長も「災害時の自転車の有効性を知ってもらいたい」と話し、開発した自転車の商品化を検討したいという。
フォーラムは午前10時から。沿岸部から市中心部までを走る津波避難体験走行会やシンポジウムを開く。詳細は同協会ホームページ<https://hamamatsujk.jimdo.com>へ。(2018/11/24 静岡新聞)
盗まれた自転車がオークションに… 被害者、転売の犯人突き止め通報
転売目的で自転車盗を繰り返していた新潟市江南区の専門学校生の男(22)が15日、江南署に窃盗の疑いで逮捕された。被害者の1人がインターネットのオークションサイトで自分の自転車を発見し、落札希望者を装って出品者の男に連絡を取り、警察に行くよう促した。
盗難被害に遭ったのは新潟市中央区の20代男性。男性は落札希望者を装って男にメールを送り、「自転車の細部を確認したい」と、さまざまな角度から撮影した写真を送るよう求めた。写り込んだ背景から、自転車が江南区内の駐輪場にあることを突き止め、警察に通報した。
この男性はさらに、男に「警察に行け」とメールを送信。盗みがばれたと知った男は、動転して自ら110番通報し、他にも複数の自転車を盗んだことを告白し始めた。江南署は、盗まれた自転車のうち、被害者が確認できた1台について男を窃盗容疑で逮捕した。男性の自転車は、警察を通じて手元に戻った。(2018/11/17 新潟日報)
大阪府が学校教員対象の交通安全教室 自転車関連事故の防止策や指導事例を共有
自転車による事故件数が全国で最も多い大阪府で11月14日、府教育庁が主催する交通安全教室が大阪国際交流センターで行われ、府内の小学校から高校までの教員約100人が参加した。自転車による交通事故の事例や自転車通学指導の事例などが紹介され、参加した教員らは真剣に耳を傾けていた。
同教室ではまず、大阪市立大学大学院・工学研究科の吉田長裕准教授が、「国内外事例から見た学校における交通安全教育の進め方」について講演。続いて、大阪府警察本部交通総務課・自転車対策室の山川勝警部補が、「自転車関連交通事故防止対策」について話をした。
また、自転車の安全利用促進委員会メンバーで、自転車ジャーナリストの遠藤まさ子氏が、「全国の事例から学ぶ、自転車通学指導」というテーマで講演。近年発生した中高生による自転車事故事例などを解説し、全国の自転車通学指導事例を具体的に紹介した。
遠藤氏は、法令順守などルール・マナーに関する指導はもちろんのこと、自転車の定期メンテナンスなどの自転車自体の安全性に関する指導も重要なことに触れた。実際に自転車通学生の自転車を教員が一斉点検する学校の事例や、自転車安全整備店の協力を得て自転車通学の生徒全員の自転車の整備・点検を毎年実施している事例、90項目以上の安全基準をクリアした証であるBAAマークの付いた自転車を推奨車とする案内を家庭に配布している事例などを紹介。指導に活用できる動画教材などもあわせて紹介した。
自転車教室に参加した教員からは、「自転車安全指導について、多くのデータや画像を用いて説明していただき、わかりやすかった」「動画でも説明いただいた自転車安全講習会に関しては、自分の学校でも取り入れたい」といった感想が寄せられた。今後府内の各学校での自転車通学の安全指導に役立てられる見込みだ。(2018/11/17 サンスポ)
自転車日本縦断記録でギネス認定された永関博紀さん
自転車による日本縦断の最速走破記録が今月、ギネス世界記録に正式認定された。今年7月、北海道・宗谷岬から鹿児島・佐多岬までの約2700キロを、7日と19時間37分で完走し、イタリア人プロロードレーサーが保持していた記録を21時間近く縮めたのだ。
「出会いと経験は、挑戦から得られる宝物。行動しないと何も生まれない」
実は自転車を始めたのは昨年7月で、それまで特に興味もなく、ロードバイク自体を持っていなかった。ただ漠然と「挑戦を通じてそれまで見たことのない景色を見てみたい」と考えていたときに、ふと自転車を思い浮かべたのだった。
小樽商科大を卒業後、いったんは大手IT企業に就職し、インターネット番組の制作に携わっていた。だが、やがて「毎日同じスタジオで番組を作って人生を終えるのは嫌だ」と悩むようになる。裏方よりも、直接感動を与える側になりたいと、2年半で退社した。
その後はお笑い芸人を目指したり、地方の町おこしに取り組んだりしたがうまくいかず、「ほとんどニートみたいな生活だった」。行き詰まりを感じていたときに、もがいてたぐり寄せたのが自転車だった。
「トライ・アンド・エラーを繰り返せば、誰でも必ず何か見つかると思う。僕はそれが運よく当たった。覚悟を決めれば、みんなきっと何かができる」
名刺の肩書は「チャレンジャー」だ。来年の6〜7月頃には、自転車による米国縦横断(7000キロ)の世界記録に、2度目の挑戦をする。(2018.11.23 産経新聞)
シェアリング自転車の配置をAIで最適化、NTTドコモらが実証実験
NTTドコモと、自転車シェアリング事業を手がけるドコモ・バイクシェア(東京都港区)は、11月26日から千代田区、港区、新宿区で、AI(人工知能)を用いて、シェアリングサービスの自転車の再配置作業を最適化する実証実験を行う(※)。実験には、NTTドコモが開発した「シェアリング交通需要予測技術」を活用する。同社が持つ人手を予測する技術(「モバイル空間統計」と「近未来人数予測」)と、ドコモ・バイクシェアが持つ自転車利用実績データなどを基に、AIを用いて再配置計画を生成する技術だ。
自転車シェアリングサービスは、近年、都市部や観光地での移動手段として注目され、今後も利用者の増加が見込まれる。ドコモ・バイクシェアがサービスを開始した2011年度は、同社の自転車シェアリングの年間利用回数は4万回程度だったが、エリアも拡大し、2017年度は470万回と利用回数が急増している。2018年10月末現在、同社が都内自治体の実証実験などで運用する都内のサイクルポートは580カ所、自転車台数は5900台に上り、自転車の配置数を適正な状態に維持するノウハウを持つ再配置作業者の不足が課題となっている。
今回、活用するシェアリング交通需要予測技術は、シェアリング交通事業者向けに開発した技術だ。これは、深層学習などのAI技術を使って自転車の貸出・返却需要の予測モデルを作成し、現時点から12時間後までの1時間ごとの各サイクルポートの利用可能自転車台数を予測するものだ。
ドコモ・バイクシェアが持つ貸出ポートと返却ポートの場所、貸出と返却の時刻の履歴といった利用実績データと、ドコモの携帯電話ネットワークの仕組みを使用して作成される人口統計データに加えて、気象データや周辺施設のデータなどの様々なデータを組み合わせて予測する。さらに、その予測情報とサイクルポートのラック数、サイクルポート間の距離などの条件から、各サイクルポートの利用可能自転車の台数が適切となるための再配置計画を生成する。
実験では、再配置作業者に対して、タブレット端末などでこの再配置計画を示し、実際にその内容に基づいて自転車の再配置を行う。実験を通じて、予測情報と実際の利用実績の差分や再配置作業の有効性を検証、最適化することで、シェアリング交通需要予測技術を確立する。これにより、将来の商用化と様々なエリアでのサービス提供を目指す考えだ。(2018.11.16 日経BP)
公有地活用でもっとシェア自転車普及 さいたま市が事業者と実証実験
さいたま市は、街中で自転車を共同利用する「シェアサイクル」の普及に向け、公有地にサイクルポート(専用駐輪場)を設置する実証実験を始めた。民間事業者にポートを無償で貸し付けて整備や運営を任せ、利用データを提供してもらう。22日にはJR浦和駅近くの市営駐輪場に第1号のポートがオープン。市は効果を検証し、まちづくりや交通政策への応用にも期待を寄せている。
実験に参加するのは、全国約百五十の自治体でサービスを提供する「オープンストリート」(東京都)。スマートフォンのアプリを使い、自転車の貸し出しや返却が自由にできる仕組みだ。同社は二年前からさいたま市内でサービスを展開し、現在は約百九十カ所のポートで五百台を走らせている。
市と同社が交わした協定書によると、実験は市内全域が対象で、市は本年度から用地を確保。準備が完了した場所からサービスを始める。二〇一九年度はデータの収集、実験の最終年度となる二〇年度はその分析や評価をする予定だ。市は区役所や公民館、文化施設など百カ所以上のポート整備を見込んでいる。
市役所であった協定書の締結式で、清水勇人市長は「民間のシェアサイクルは市内でも活発になっている。実験を通じてさらに利用しやすい環境を示したい」と強調。オープンストリートの横井晃社長は「実験でさらに市民に愛されるシェアサイクルにしていきたい」と意気込んだ。
同社は千葉市や東京都台東区とも同様の実証実験をしているが、今回はさいたま市の地域性を踏まえた新たな試みを提案した。
防災に関わる市職員が災害時にスマホが使えなくなった場合でも利用できるよう、事前に専用の利用カードを渡しておくほか、育児が一段落した家庭から電動自転車を買い取り、シェアサイクルに生かすなどのアイデア。市はこれらの提案を評価しており、採用を前向きに検討する方針だ。
実験の背景には市の苦悩もあった。市は一三年に大宮駅の半径三キロ圏内で「市コミュニティサイクル」の名称でシェアサイクル事業を開始。現在二十四カ所のポートで四百台を走らせているが、利用者が年々増え、ポートの数が足らない課題に直面していた。
ポート用の機器が高価なため、これまでポートを増やせなかったが、今回の実験はこれらの課題解決にもつなげる狙いがあり、市はシェアサイクルの拡大を幅広く後押しするつもりだ。(2018年11月24日 東京新聞)
自転車シェア郵便局でも 那覇市内7ヵ所 サービス開始
日本郵便沖縄支社(那覇市、比嘉明男支社長)は、電動アシスト自転車のシェアサービス「ちゅらチャリ」の設置拠点(サイクルポート)を那覇市内7カ所の郵便局に設置した。台数は計21台。14日、那覇中央郵便局でサービス開始式を開いた。
「ちゅらチャリ」は沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が8月から開始したサービスで、県内各地に設置されている専用ポートから電動自転車を借りることができ、どの専用ポートでも返却できる。ホテルを中心に設置してきたが、郵便局への設置は初めて。
比嘉支社長は「観光客だけでなく県民が公共交通機関と連携して利用すれば、渋滞緩和や健康増進にも役立つ」と話した。
OCVBの平良朝敬会長は「気軽に郵便局に来て乗って用事を済ませるなどして県民の皆さんに利用してほしい」と話した。利用料金は30分で216円(税込み)、1日パスは2160円(同)。
開始式では、タブレットを用いて予約から乗車までの流れをデモンストレーション。比嘉支社長と平良会長が自転車に試乗し「とても軽快に乗れる」と話した。(2018年11月15日 琉球新報)
「この歳で乗れないなんて言えない…」大人向け自転車講習会に潜入
通勤や子どもの送り迎えに自転車を使いたいけど、今さら「実は乗れない」なんて言い出せない……。そんな大人に向けた秘密の講習会があるのをご存知だろうか?
乗れない理由は技術より「メンタル」
乗れる人からすれば、なかなか共感するのが難しい悩みだ。しかし、いったん乗り方を学ぶ機会を失ってしまうと、大人になってから学ぶのは意外とハードルが高いもの。そもそも親切に教えてくれる人が周りにいるとは限らないし、安全に練習できて、人目に晒されない場所を確保するのも簡単ではない。
そんな悩める大人のために東京都自転車競技連盟普及委員会(TCF)が開催しているのが、「TCF秘密の自転車練習大作戦」と呼ばれる講習会だ。いったいどんな層が参加していて、どのような指導が行われているのか? 気になる内容を探るべく、講習会に潜入してみた。
会場となったのは、西武ゆうえんち周辺にある“秘密の場所”。かなり広々としたスペースだが、人通りも少なく、人目を避けながら練習するのにはもってこいの環境と言えるだろう。この日、参加したのはアユミさん(仮名・35歳・女性)。実は自転車も持っていて、以前も合宿形式の講習会に参加したことがあるそうだが……。
「1〜2回は乗ってみたんですが、どうしても恐怖心が抜けなくて。結局、自転車は放置状態です。近所は坂道が多くて、なかなか練習する場所もないんですよね。いきなり舗道を走るのも、人にぶつかってしまうんじゃないかと怖いですし。会社が近くにあるので、通勤に使えるようになればいいと思って、もう一度チャレンジしに来ました」
TCFの日置聡氏によれば、自転車に乗れない大人の多くは、こういった「恐怖心」がネックになっているのだという。
「大人で自転車に乗れないのは、やはり技術よりも精神的な問題が大きいですね。あとは教わる場所がないという方も多いです。ちなみに前回の講習会には『子どもの送り迎えをしたい』という主婦の方々が参加していました」
高齢の参加者のなかには、インストラクターの指示を素直に聞き入れようとしない人もいるそう。なかなか問題は根深いが、そういった理由もあって、この「秘密の自転車練習大作戦」では決まったカリキュラムを設けず、参加者の年齢や性別、能力に合わせた指導をしているという。
カウンセリングのような指導
この日、まず行われたのは、自転車に跨がらず取り回しの練習。ハンドルを握ったまま歩いてみたり、だんだん小走りになってみたりと、基礎中の基礎からスタートした。
地面に脚をついた状態なので、アユミさんもまだまだ安心そうな表情を見せる。同時にブレーキのかけ方も指導していくのだが、これも実は重要。恐怖心を感じている人は、つい全力でブレーキを握ってしまうので、段階的にスピードをコントロールすることが難しいのだ。インストラクターは、ギュッと握って急停車するのではなく、ゆっくり絞って速度を落とすことを丁寧に説明していく。
そうして基礎的な動作を覚えたところで、続いてはなだらかな坂道を使って、どこまでブレーキをかけずに進めるか挑戦。まだペダルはつけていないから、脚がいつでもつける状態なので、恐怖感は薄らいだ状態でバランスを取る。
アユミさん、最初の挑戦で進めたのは1メートル足らず……。乗れる人間からすると気持ちを理解するのが難しいが、かなりの恐怖心があるようだ。
「座っているとき、どこに体重をかけていいのかわからない……」と困り顔のアユミさんに、日置氏は「怖さは姿勢に表れて、つい腰が引けてしまう。少し前かがみになって、自分の進みたい方向に体を向けましょう」と指導していく。その光景は「自転車教室」というよりは「カウンセリング」に近いものがあるかもしれない。
こうして、少しずつ走行距離は伸びていき、はじめはフラフラしていた進路も、真っ直ぐ進めるよう安定してきた。路面に置かれたコーンの間を通り抜けるなど、着実に自転車を操る力がついていく。
「この講習会では、メンタルと技術、両方をケアしていきます。たとえば、参加者はぶつかるのが怖いという気持ちが強く、つい目の前ばかりを見ようとしてしまう。そうすると進路も定まりませんし、その先の前方に何があるか気づくことができません。カゴがついているだけで、路面が見えなくて怖いという方もいるぐらいです」(日置氏)
自分の体重移動とハンドル操作だけで自転車を操ることをたっぷり学んだあとは、ペダルやカゴを装着。さらにカゴに重りを入れてみたり、インストラクターが併走するなどして、少しずつプレッシャーを与えていく。はじめに体を使ったバランス感覚を養っているだけに、ペダルをつけてからは講習のペースも上がっていった。
しかし、ここで再びアユミさんの心を折るカリキュラムが……。そう、手放し運転である。と言っても、両手を離すわけではなく、片手ずつ。いったい、なぜ?
「自転車にはウィンカーがついていないので、法律上、曲がる方向や止まりますというサインをジェスチャーで指示しなければいけないんです」
この練習でも「怖い」を連呼していたアユミさんだが、なんとか走路に立つインストラクターとハイタッチを交わせるようにまでなった。本人はまだまだ自信なさげだが、坂道を1メートルも下れなかったころから比べると、かなりの進歩である。
最後はペダルに体重をかけて、立ちながら自転車に乗る練習。これも「怖い」という理由で、なかなかペダルを漕ぐ脚を止められないアユミさん。それでも坂道の上から下りてきて、スラロームなどもこなせるようになった。すっかり、ヘトヘトの様子だったが、「まずはほっぽり出していた自転車を整備して、少しずつでも乗り続けるようにしたいです」と前向きなコメントが。
子ども以上に、乗れない大人は苦労する自転車。誰にも言えないけど、コッソリ練習してみたいという人は、こういった講習会に参加してみるのもひとつの手だろう。ロードバイクなどに代表されるスポーツ車ブームの裏には、こんな地道な努力をして自転車に乗ろうとする人もいたのだ。(2018.11.22 ハーバービジネスオンライン)
「TCF秘密の自転車練習大作戦2018」
主催:東京都自転車競技連盟
主管:東京都自転車競技連盟 普及委員会
協力:西武園ゆうえんち
場所:西武園ゆうえんちの秘密の場所
問い合わせ:fukyu.tcf@gmail.com