自転車振興に取り組む地域が増えています。
「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市町村の会」が設立、全国294の自治体が加入
「自転車を活用したまちづくりを推進する全国市町村の会」設立総会が11月15日、東京都文京区で開催された。自転車によるまちづくりに積極的に取り組む全国294の自治体が会員となり、各市町村長など276人が参加した。第1回の会議で役員の選定、事業計画が確認されたほか、基調講演やブース出展も行われた。
全国9ブロックの市長が発起人
今回の取り組みは自転車による観光振興、住民の健康増進、交通混雑の緩和、環境負荷の低減等により公共の利益を増進し地方創生を図ろうとする自治体が連携。日本の自転車文化の向上、普及促進を図るとともに地方創世の推進させようとするもの。
設立発起人となったのは、全国の9ブロックを代表する市長。北海道・美唄市の高橋幹夫市長、岩手県・北上市の高橋敏彦市長、新潟県・佐渡市の三浦基裕市長、群馬県・前橋市の山本龍市長、愛知県・安城市の神谷学市長、滋賀県・守山市の宮本和宏市長、広島県・尾道市の平谷祐宏市長、愛媛県・今治市の菅良二市長、鹿児島県・南さつま市の本坊輝雄市長の9人。会の冒頭で9人が壇上に並んだあと、設立発起人代表の今治市・菅市長が代表であいさつした。
石井啓一・国土交通大臣もあいさつ
3月に琵琶湖を一周したという菅市長は「日本のサイクリングが上昇気流に乗っており、今後(情報を)自治体からも発信していくことが求められている。自転車は環境にも体にも良いので、今後も参加自治体の数が増えると確信しています」と話した。
また来賓の石井啓一・国土交通大臣は「6月に自転車活用推進計画が閣議決定され、今後は地方版としての活用計画の策定をお願いしたいと思います。サイクルツーリズムを中心とした地域振興が進んできており、政府も積極的に支援していきたい」とあいさつした。
自転車活用推進議員連盟の二階俊博会長は「自転車道路を作る問題については40年前に議員の秘書をしているころから携わっているので感慨深い。自転車はどこの家にもあるので、それを活用して国民の皆さんの健康を向上させたり、みんなで自転車用の道路の活用を考えるのは素晴らしいこと。いろいろな団体に働きかけて、自転車による事故も減らしていきたい」と話した。
関連メーカーがブース出展
次回は2019年秋に第2回の総会が開催予定で、3月に自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会「全国シクロサミット」が和歌山県で開催されることも発表。完成車ブランド、シェアサイクル、サイクルウェアブランドなど関連自転車メーカーのブースも出展し、集まった市町村関係者と意見交換を進めていた。
全国のブロック内市町村数は1747あり、今回加入した294市区町村は全体の約17%に当たる。和歌山県(30市町村)と、愛媛県(20市町)は県内の自治体がすべて加入。
ブロックで見ると四国が95市町村中46の加入があり、加入率は48%だった。逆にサイクリングが盛んな神奈川県や福岡県、さらには福井県の加入市町村が「ゼロ」だった。より多くの自治体が参加し、交流や議論を深め、サイクルツーリズムだけでなく、道路整備、事故削減につなげていくことが望まれる。(2018/11/15 サンスポ)
「自転車のまち」市民7割超、ほとんど使わず
茨城県石岡市が市民らにどれほど自転車を利用しているかなどを尋ねたアンケートを行った。市内のコースについてサイクリストと呼ばれる愛好者の満足度が高い一方で、「自転車をほとんど使わない」と回答した市民の割合が7割を超えた。自転車によるまちづくりに力を入れる市に対し、市民の利用低調が浮き彫りになった。
アンケートは7〜8月に実施。サイクリストは休憩中などに72人に聞き取りし、18歳以上の市民は郵送方式で595人(回答率31・3%)、高校生は学校を通じて472人(同69・2%)から回答を得た。
サイクリストは市内のコースについて8割近く、走りやすさについても6割超がそれぞれ「とても満足」または「満足」と回答。居住地は、市内は1割弱で千葉県(13%)や東京都(8%)など市外が大半だった。繰り返し訪れるリピーターが多く、「5回以上」が76%を占めた。
市民を対象にしたアンケートでは、「自転車をほとんど利用しない」が8割近く。理由(複数回答)は「所有していない」や「移動距離が長い」が多かった。自転車事故を不安視する声もあり、利用向上策として自転車専用の道路や、平坦へいたんで滑りにくい路面にする必要性を指摘する意見もあった。高校生は、通学などで平日に5割がほぼ毎日利用し、休日でも2割超が使用。卒業後の利用継続が課題だ。市政策企画課は「どういった取り組みができるか検討したい」としている。(2018年11月14日 読売新聞)
自転車条例、9割認知せず
相模原市がこのほど市民に行った「自転車の安全利用について」のアンケート調査で、今年7月に施行された「相模原市安全に安心して自転車を利用しようよ条例」について「知らない」と回答した人が約6割、「知っているが、内容までは分からない」と回答した人が約3割に上り、回答者の約9割が認知していないことが分かった。
条例の周知不足が浮き彫りとなったことで、市はPRの見直しなど対応を迫られそうだ。アンケートは無作為に選ばれた18歳以上の市民3000人を対象に5月末から6月中旬の期間で実施され、1459人が回答した。
相模原市は平坦地が多いことなどから、自転車が利用しやすく、今後も利用者の増加が見込まれている。一方で2016年度の統計では、市の全交通事故件数に占める自転車事故の割合が3割を超え、県内平均を上回る。加えて、歩行者と自転車利用者との事故をめぐり、加害者に対し多額の賠償金が請求されるケースもあるため、同条例では保険加入を義務付けている。
市は昨年12月の条例制定以降、ホームページや広報などに条例内容を掲載したほか、自治会や小中学校、公民館などにチラシを配布したり、駐輪場などにポスターを掲示したりするなど周知を進めてきた。そうした中、アンケートでは周知不足を露呈する結果となり、市の担当課は「引き続きさらなる周知が必要」と話している。
その他のアンケート結果では、自転車を所有する人のうち、保険に「加入している」、「加入していない」がそれぞれ約4割、「加入しているか分からない」が約1割となった。加入していない人の理由としては、「自転車にほとんど乗らない」が最多の約4割で、次いで「加入手続きの方法が分からない」、「費用が掛かる」がそれぞれ2割台だった。
自転車の安全利用については、県でも保険加入促進を柱とした条例制定に向けて議論しており、加入義務化は一層加速する公算が大きい。そうした現状も踏まえ、市は今後、これまで通りの周知を継続するのに加え、より効果的な周知方法を検討していく方針だ。(後略 2018年11月15日 タウンニュース)
<仙台市自転車条例>周知への道のり険しく…保険加入やヘルメット着用、低い認知度
仙台市が、10月5日に制定した市自転車の安全利用に関する条例の周知に力を入れている。自転車損害賠償保険や共済(自転車保険)への加入義務付け、ヘルメット着用の努力義務を盛り込んだが、認知度はまだ低い。
来年1月の施行に向け、学校や販売店などを巻き込んだ取り組みが求められそうだ。
条例制定から約1カ月たった今月7日朝。市中心部では通勤、通学を急ぐ自転車がひっきりなしに行き交った。ヘルメットをかぶった利用者はほとんどおらず、イヤホンで音楽を聞きながら走る人もいた。街頭啓発に立つ市職員や地元の交通安全協会のメンバーらがチラシを配り、自転車保険の加入などを呼び掛けたが、利用者の反応はいまひとつだった。(後略 2018年11月14日 河北新報)
自転車高校生にヘルメット 群馬県がモニター事業で意識調査第1弾
群馬県は11月から、自転車通学する高校生にヘルメットを着用してもらうモニター事業を始めた。第1弾として、高崎経済大付属高で約2カ月間実施。着用前と着用後でアンケートを行い、普及に向けた課題を探る狙いがある。
群馬県教育委員会によると、県内の公立中学校では自転車通学者のヘルメット着用が校則で義務化されているが、高校では一部の山間部の学校で指導されているだけだという。
県はモニター事業に向けて、ヘルメット100個を購入。見た目や機能性を考え、スポーツタイプの黒、白、青の3色を用意した。高崎経済大付属高で実際にヘルメットを着用するのは、1、2年生の自転車通学者計64人。着用前と着用後でヘルメットへの意識がどう変わったかを調査する。モニターの生徒のほか、周りの生徒や保護者にも聞き取りを行う。担当者は「モニター事業をきっかけに安全意識を高めていきたい」としている。
県警によると、昨年の県内の全自転車事故のうち、高校生が運転するケースの割合は3割超で、平成27年から3年連続で全国ワースト1位となった。県交通政策課は「ルールを守っていても事故に遭う可能性がある。命を守るためにも、ヘルメットを積極的に着用してほしい」としている。(2018/11/18 サンスポ)
「安全」重視? 「見た目」重視? 自転車通学のヘルメット
前橋市の県道で今年1月、自転車で通学中の女子高校生2人が乗用車にはねられて死傷した事故を受け、群馬県が県内高校から選定したモデル校で、生徒がヘルメットを着用して自転車通学するモニター事業が始まった。
ただ、モデル校で着用している生徒は数える程度。死傷事故を理由にかぶる生徒がいる一方、「目立って恥ずかしい」とためらう声も聞こえる。「安全」と「見た目」、どちらを取るか―。生徒の間でさまざまな考えが入り交じる。
21日午前8時半ごろ、高崎経済大附属高の正門に、自転車通学の生徒が次々と入ってくる。登校する生徒の中で、黒色のヘルメットがひときわ目を引いた。
■他校生の目
「前橋の事故のことも聞いているので、かぶろうと思った」。高崎市内の自宅から30分ほどかけて通学する男子生徒(2年)は、事業開始と同時にヘルメットの着用を始めた。髪形が崩れるのは気にならないかと聞くと、「坊主だから髪形の心配もない」。親からも似合っていると言われるが、他校の生徒の目は気になるという。
見た目を理由に着用をためらう生徒は少なくない。約50分かけて通学する女子生徒(2年)は一度もかぶったことがなく、「周りがかぶっていないので目立って恥ずかしい」と明かす。自転車が一般的な形のため「スポーツタイプの自転車でないとヘルメットは似合わない」と違和感もある。
■抵抗感少なく
モデル校となった同校のモニター事業には1、2年の64人が参加。全員にヘルメットが配られたものの、着用の義務はない。女子生徒は「校則で決めたりして、みんながかぶれば抵抗感も少なくなる」と話す。着用を広げるためには、いかに抵抗感をなくせるかが鍵を握りそうだ。
県交通政策課の担当者は「ヘルメット着用の生徒が少ない状況は想定内」と説明する。着用しない生徒の意見を反映させるため、義務化していないという。同校では2学期まで事業を続け、終了後にアンケートを取る。着用しなかった生徒の意見を重点的に吸い上げ、県教育委員会などと協議する予定としている。
同校は生徒や保護者らの交通安全意識を高めてもらおうと、事業への参加を決めた。関口俊邦教頭は「生徒もヘルメットの安全性は理解していると思う。安全について考えるきっかけとなればいい」と期待する。
群馬県警によると、県内の自転車事故で高校生が関わった割合は、昨年まで3年続けて全国で最も高かった。今年10月末時点で1869件のうち628件に上り、割合は33.6%(速報値)となっている。県警交通企画課は「件数も多い高校生の自転車事故を減らすため、引き続き街頭指導や交通安全教育を継続していきたい」としている。(2018/11/24 上毛新聞)
大鳴門橋 自転車輸送低迷
◇鳴門―南あわじ サイクリング
◇周知不足?利用目標の1割
サイクリング客に四国と淡路島を行き来してもらおうと、トラックに自転車をのせ、大鳴門橋を渡るサービスの利用が低迷している。
鳴門市と兵庫県南あわじ市が昨年10月に始めたが、大規模なサイクリングイベントでの利用を除くと、1年間で200台にとどまり、目標の年間2000台の1割。運行日時が限られることや周知不足が原因とみられる。両市は運用を見直す方針だ。
2市と香川県東かがわ市は、鳴門海峡を隔てて隣接している。それぞれの交流人口を増やして活性化を促そうと1990年に「ASAトライアングル交流圏推進協議会」を発足。ASAは阿波、讃岐、淡路の頭文字からとった。スポーツ、観光などで協力して事業を行ってきた。
サイクリングブームで、淡路島を1周する「アワイチ」などが人気となるなか、昨年10月には3市の名所やグルメスポットを巡るサイクリングコースを設定した。ただ、大鳴門橋は自転車の通行は不可能。淡路との行き来のため、土日と祝日にヤマト運輸関連会社のトラックを予約制で1日3便走らせるサービスを始めた。鳴門市と南あわじ市を結ぶ路線バスの運行時間に合わせており、自転車は片道1台500円、持ち主はバス(880円)で渡る。
ところが、今年10月末までの利用は200台。鳴門、南あわじ両市をコースに開いたサイクリングイベントが3月にあったおかげで参加した410台の利用があったが、鳴門市戦略企画課によると「目標の2000台はイベント利用をカウントしない」方針という。
兵庫、徳島両県は大鳴門橋に自転車道を設ける検討を今年度から始めており、鳴門市戦略企画課は「橋が自転車で通れるようになるまでのつなぎの意味もある。運用を抜本的に見直し、地道に周知をしながら続けていきたい」としている。(後略 2018年11月23日 読売新聞)
自転車の人身事故13件 「ながらスマホ」10代が過半数 栃木県内13〜17年
県内でスマートフォンを手にした「ながらスマホ」などの自転車の人身事故が2017年までの5年間に13件あり、うち半数以上の8件が10代の乗る自転車だったことが24日までに、県警のまとめで分かった。
特に登下校の時間帯の事故が目立った。今年は10月末までに3件発生。全国では「ながらスマホ」の自転車と歩行者がぶつかり、歩行者が死亡した事故も起きており、県警は交通安全教室などで「ながらスマホ」などの防止を訴えている。
県警交通企画課によると、携帯電話などを手にした自転車が関係した人身事故は17年までの5年間、16年を除いて毎年発生している。14年が最も多く8件。13年は2件、15年2件、17年1件だった。死亡事故はなかった。(11/25 下野新聞)
イヤホン付け自転車、はねなくても「ひき逃げ」
東京都大田区で今年5月、主婦が車にはねられた事故は、イヤホンを付けて近くを走っていた自転車が原因だったとして、警視庁は27日、自転車に乗っていた東京都大田区の医師の男(30)を重過失傷害と道路交通法違反(ひき逃げ)の容疑で東京地検に書類送検した。
警察庁によると、直接、自転車が人をはねていない事故で、イヤホンの「ながら運転」が立件されるのは極めて異例。警視庁は、起訴を求める厳重処分の意見を付けた。
警視庁幹部によると、医師は5月11日午前8時20分頃、イヤホンを付けたまま自転車を運転し、大田区南蒲田の五差路交差点で乗用車と出合い頭に接触。急ハンドルを切った車が、近くにいた自転車の主婦(44)をはねて重傷を負わせた。周囲の防犯カメラには、事故の後、壊れた自転車からタクシーに乗り換えて現場から走り去る医師の姿が映っていた。(2018年11月28日 読売新聞)
琵琶湖をタンデム自転車で 全盲男性「ビワイチ」に挑戦
琵琶湖を自転車でまわる「ビワイチ」に、全盲の山野勝美さん(66)=滋賀県彦根市=が、知人と2人乗りのタンデム自転車で挑んでいる。県が4月、公道を走るのを認め、実現した。タンデムなら目が不自由でも遠出できる――。公道での「解禁」を県に求めてきたのも山野さんだった。
山野さんは23日に滋賀県長浜市を出発し、反時計回りで大津市へ。24日は午前8時半ごろ、湖上に架かる琵琶湖大橋を東に息を切らせて走り抜けた。
「朝始まったところで勾配がきつかった」。2日間で琵琶湖の北湖の周り約150キロを走り、24日午後に長浜に戻る。南湖は道路事情などで走りにくい場所があり、北湖一周でビワイチ達成とするサイクリストも多い。
生まれつき視力が弱く、5歳で右目、40代で左目が見えなくなった。目の見える息子が小学生だったときに、旅行先でタンデムと出会い、サイクリングロードを約20キロ走ってスピード感を楽しんだ。「親子で一緒に遠出し、運動ができた。めったにない機会でした」(2018年11月25日 朝日新聞)
ビワイチルート・白鬚神社周辺の国道が「観光、自転車向け道路」へ 滋賀県知事が国に要望
慢性的な渋滞が問題となっている滋賀県の白鬚神社(高島市鵜川)周辺で国土交通省が進める国道161号の拡幅をめぐり、三日月大造知事は、琵琶湖にせり出して道路を広げる現計画から神社西の山側を通るルートへの変更を検討するよう同省に要望した。景観維持などの面で難しいと判断した。
同神社周辺を含む国道161号の大津市北小松―高島市勝野間(約6・5km)の拡幅は昭和45年度に事業化された。神社の北側など一部区間が開通し、現在はJR北小松駅周辺で工事が進められているが、神社周辺は未着工となっている。
神社周辺は琵琶湖と山に挟まれて特に道路の幅が狭い箇所で、現在の計画では道路を琵琶湖岸側に広げ、道路を2車線から4車線に拡幅するとしている。これに対し、県は景観維持や環境への影響などから難色示しており、三日月知事は国交省に「琵琶湖埋め立てなど湖岸の改変が必要とされている現計画は極めて困難だ」との認識を伝えた。
県によると、湖西地域の南北を結ぶ国道161号は交通量が多く、同神社周辺の平日の交通量は1日約2万台。週末には観光名所の同神社に多くの参拝客が訪れるほか、自転車で琵琶湖を1周する「ビワイチ」を楽しむ自転車の通行も増加している。
福井県内で原発事故が起きた場合に県北西部からの避難経路にもなっており、渋滞の解消は喫緊の課題となっている。
三日月知事は代替案として、同神社周辺の約2kmの区間について、山側ルートのバイパスを建設する案を提示した。ルートの一部はトンネル化も検討する。ルート変更に伴い、同神社前を通る現国道は観光、自転車向け道路として活用する方向で、引き続き国交省と協議を進める方針だ。
国交省滋賀国道事務所は「ルート変更についての県の意向は把握している。計画については慎重に検討していきたい」としている。(2018/11/22 産経新聞)
自転車で地域活性を 諏訪湖周サイクリングロード着工
健康増進に役立ち環境にも優しい乗り物として利用者の増加が見込まれる自転車。自転車活用推進法が昨年施行され、利用環境の整備も進むとみられる。
諏訪地域では、諏訪湖周約十六キロを自転車専用道で結ぶサイクリングロードの整備工事が始まった。観光と結び付けたサイクルツーリズムのルートも検討されており、自転車で地域の活性化を図る土壌づくりが進行している。
県は二〇一六年に諏訪湖周サイクリングロードの基本計画を策定。基本的に湖岸のジョギングロードに並行して幅三メートルの自転車専用道を整備し、ルート沿いの眺望スポットに休憩施設、観光施設などには自転車の修理も可能なサイクルステーションを設置する計画だ。
県は今月、諏訪市豊田の一部区間(延長六百四十四メートル)で工事に着手した。湖側に新たなジョギングロードを整備し、既存のジョギングロードを自転車専用道に変更する。工期は来年五月下旬までの予定。
サイクリングロードは県と岡谷市、諏訪市、下諏訪町の湖周三市町が分担して整備する。諏訪市でも基本計画に沿って詳細なルート案を検討中で、来年度実施設計に入り、二〇年度に着工したいとしている。
サイクリングロード整備は、諏訪湖創生ビジョンで湖辺面活用・まちづくりの施策として盛り込まれている。県諏訪建設事務所の担当者は「およそ八年かけて整備する計画。まずは走るスペースの整備に全力を挙げ、ある程度つながってからサイクルステーションなど利便性の向上に資金を投入したい」と話す。
観光振興につなげるには、自転車愛好者を呼び込むソフト面の構築も欠かせない。県諏訪地域振興局は昨年、県内や静岡県の民間団体などと「塩の道サイクルツーリズム検討会」を立ち上げ、太平洋と日本海を結ぶ延長約三百五十キロの「塩の道横断ルート」の設定に乗り出した。
諏訪地域周辺のルートは、市民有志でつくる「諏訪湖八ケ岳自転車活用推進協議会」が検討を進めている。富士見町から八ケ岳山麓の田園地帯を経由して諏訪湖を回る約六十キロのルートを想定。八月から試走を繰り返し、アピールポイントや課題を探っている。
「湖周だけ走っても観光振興にはつながらない。諏訪版の塩の道のとらえ方は、諏訪地域六市町村を通して旧道、寒天、諏訪大社、御柱祭などを堪能できること。自転車愛好者でなくても走ってみたいと思わせるようにしたい」と、協議会代表の小口良平さん(38)。ゆくゆくはサブルートもつくり、諏訪地域だけで二、三泊できる旅を提案したいと展望を描く。
小口さんは自転車で五大陸を走破した経験を持つ。「オランダでは、自転車が単なる『移動の足』でなく『生き方』になっている。日本でも市民のパートナーになってくるはず」。今後、ルート設定とともにガイドの育成を図り、親子向けのサイクリングツアーなども企画して自転車に親しむ機会を増やしていきたいと考えている。(2018年11月11日 中日新聞)
パーティバイクは「自転車」、乗客は「運転者に該当しない」との経産省見解 都内に登場か
パーティテーブルの下のペダルを乗員・乗客が漕いで、テーブルで飲食を楽しみながら走行する乗り物がある。海外の観光地などで運行されているが、これが東京都内に登場するかもしれない。
経済産業省は14日、乗客用サドル下に電動アシストモーターを搭載したペダルを装備した四輪自転車(通称=パーティバイク、ビアバイク)について、(1)これが自転車に該当し、(2)ドライバーシート以外の乗員は、前進させるためにペダルを漕いでいるに過ぎないことから、運転者には該当しないとの見解を発表した。
パーティバイクは最大で12人程度乗車可能で、乗員がドライバーシートでハンドルとブレーキを操作し、乗客がペダルを漕ぐことで走行する。
事業者から、パーティバイクの乗客用サドル下に電動アシストモーターを搭載したペダルを装備した四輪自転車について、(1)道路交通法で定める自転車に該当するのか、と、(2)ドライバーシートでハンドル、ブレーキを操作する人は運転者に該当し、ペダル操作のみを行う乗客は運転者に該当しないのか、グレーソーン解消制度による照会があった。
経済産業省が国家公安委員会に照会した結果、この四輪車が人の力を補うため原動機を用いる自転車の基準を満たす場合、自転車に該当すると回答があった。また、四輪車の「ドライバーシート」でハンドルとブレーキを操作する人は運転者に該当し、「ドライバーシート」以外の座席に座る人は、四輪車を前進させるためにペダルを漕いでいるに過ぎないことから、運転者には該当しないと回答があった。(2018年11月15日 レスポンス)