January 13, 2019

未来のアクセサリーが近づく

世界的に注目される見本市、CESが開催されました。


ラスベガスで開催されたCESですが、最近は家電にとどまらず、最先端の機器、技術が披露される場となっています。自動運転の実現をにらみ、クルマ関係の出展も増えています。AIや5G、IoT、VR、ロボティクス、さまざまな最新技術が注目される中、ある自転車が発表されました。

イギリスの、Halfords 社が発表したのは、スマートバイク、“Cybic Legend”です。“Amazon”の“Alexa”を搭載した自転車で、今年の夏ころ発売するとしています。ステムの部分に液晶ディスプレイが搭載され、ネット回線を通じて、“Alexa”を使うことが出来ます。

Cybic LegendCybic Legend

“Amazon”の“Alexa”は、いわゆるAIスピーカーです。各社から発売されているスピーカー型の端末の一つで、最近は家庭に普及しつつあります。そのアレクサが、いよいよ自転車に搭載され、次世代のインテリジェントバイクとして発表されたわけです。

スマホを持ち歩くのが当たり前になっていく中で、自転車に乗りながらでも、安全にスマホを使いたいというニーズが出てくるのは必然でしょう。しかし、スマホをポケットに入れたまま連動させて使えるインターフェースとなるような自転車用の装置、アクセサリーに、まだコレというものはないと、前回書きました。

ただ、昨今の傾向として、スマートスピーカー、AIスピーカーと呼ばれる製品が、家庭に普及しつつあることを考えれば、おそらく自転車にも同様の機能を持つスピーカー内蔵端末が搭載され、音声認識、音声操作がインターフェースとなっていくだろうと考えるのは自然です。

家の中ならば、調理などで手がふさがっていない限り、音声ではなく指でスマホを操作してもいいわけですが、手が離せない、細かい画面をタッチして操作しにくい自転車乗車時こそ、音声による操作は便利であり、合理的な方法なのは間違いありません。

日本では、まだそれほどではないようですが、アメリカなどではAIスピーカーの家庭への普及率は大きく伸びていると言います。AIが急速に進化して広く使われ始め、AIスピーカーがこれだけ普及しつつある現在、自転車にその波が押し寄せるのは時間の問題と思われていましたが、今回、CESに登場したわけです。

Cybic LegendCybic Legend

見た目はサイクルコンピュータのようです。速度や距離などを表示させることも出来ます。しかし従来のサイコンとは違って、スマホのように多機能です。音声操作でナビゲーションさせたり、他者とコミュニケーションをとったり、ネットに接続して機能を拡張したりも出来ます。

ライトを点灯させたり、音楽を再生させたりすることも出来ます。単にライトを点灯させるだけなら、自動点灯もありますし、普通にスイッチを入れてもいい話です。しかし、状況に応じた照明を設定するなど、インテリジェントな機能が実現できるようになります。

スマートセキュリティや、盗難防止アラーム、WiFi接続などの機能も備えています。今、家庭用のアレクサで出来るようなことの多くは、自転車に乗りながらでも可能と思われます。対応するアレクサのスキルが開発されれば、さらにいろいろなことが出来るようになるでしょう。

例えば、付近の交通情報をアナウンスさせたり、雨雲の接近などリアルタイムの気象情報を取得し、雨に濡れるのを極力回避したりも出来るようになるはずです。電話やSNSの着信、応答も含まれます。SNSのメッセージを読み上げたり、音声認識によって、返信を書き込んだりも簡単になるでしょう。

周辺のお土産を推薦させたり、走行中に、特定のパーツの在庫がある最寄りの自転車店を検索するなんて機能も考えられます。いちいち入力しなおさなくてもナビの目的地を変更したり、走行中にお腹が空けば、近くのレストランを予約し、注文も済ませて到着予想時刻を伝えさせるなど、飛躍的に便利になるに違いありません。

Cybic LegendCybic Legend

GPS機能を使って付近を走行中の友人を探知し、連絡して一緒にランチを食べる、なんてことも簡単に出来るようになるでしょう。そして、それらをいちいち止まって操作しなくても、走行中、基本的に音声操作でコントロールすることが可能になるというわけです。

この“Cybic Legend”の詳しい仕様はまだ明らかになっていませんが、アレクサと接続するため、3年間無料で使える現地のSIMカードが付属するそうです。携帯電話の回線かWi-Fiによって、このスマート自転車自体を、ネットに接続して使うことを想定しているようです。

今後、AIを使った音声操作が、自転車のアクセサリーの標準的なインターフェースとなっていく可能性は高いと思われます。自転車そのものが通信するのではなく、手持ちのスマホと、Bluetoothなどの近距離無線で接続する方法が有力のような気がしますが、いずれにせよネットに接続していくのは必至です。

走行中のノイズの問題でイヤホンとマイクが使われるとか、具体的なスタイルは変化しそうですが、自転車乗車中のアシスタントとして、AIを搭載したアクセサリーが出てくるのは、おそらく間違いないと思われます。あとは、どのくらいのスピードで普及していくかの問題のような気がします。

Cybic LegendCybic Legend

本当は、例え音声操作だったとしても、自転車に乗りながらSNSなどを使うのは推奨されませんし、注意散漫になって事故を誘発しかねないのは明らかです。しかし、画面を注視したり、スマホを手で持って操作するよりはマシです。その意味で、相対的な安全性の向上も期待できます。

もちろん、安全を優先するなら、走行中には使わないのがベストです。しかし、既にスマホが普及し、自転車に乗りながらスマホを使う人が後を絶たない現状で、音声操作のほうが便利ということになり、ながらスマホを減らす方向に作用するならば、よりベターな方向とは言えるでしょう。

AI自転車アシスタント、インテリジェントバイク、自転車スピーカー、どのような呼ばれ方になるかわかりませんが、このような端末が普及していく可能性は高そうです。そして当然ながら、IT企業から一般の企業までが注目するところになるはずです。

走行中、ちょうどお腹が空くタイミングで、周囲のレストラン、それも好物のメニューがある店の広告や割引クーポンが表示されれば、立ち寄りたくなるでしょう。ちょうど購入しようと思っていた日用品を売っている店の近くを通ることがアナウンスされれば、忘れずに購入できて良かったと思うかも知れません。

つまり、広告などのマーケティング媒体としても有力なアイテムになる可能性があります。利用者のビッグデータを分析して、購買傾向とGPSによる位置情報がわかるのであれば、使いたいと思う企業は多いはずです。こうした端末自体は無料で提供されるようになっても不思議ではありません。

Cybic LegendCybic Legend

今回の“Cybic Legend”のようにスマートバイク本体として売り出されるばかりではないと思います。どのような自転車にも取り付けられる汎用性の高いアクセサリーとして提供されるのがリーズナブルでしょう。そして、それに機能が統合されていくことも十分に考えられます。

つまり、これまで別々に持ち歩いていた機器、電話やネット端末、音楽プレーヤー、デジカメ、地図、電子辞書、万歩計といった機器が、全てスマホに統合されたのと同じです。全てスマホでコトが足りるわけですから、スマホ一台あれば十分です。

自転車であれば、サイクルコンピュータ、ライト、ナビ、GPSロガー、アラーム、セキュリティロック、非常通報装置、ドライブレコーダー、バックカメラといった電子部品系の自転車アクセサリーは、全て一つに統合されても不思議ではありません。

スマホと同じものが、自転車用にもう一台あっても無駄ですから、おそらくスマホと連動して、自転車用に便利な機能を実現するような形になるでしょう。液晶ディスプレイがあって、スマホと連動させて使い、音声操作が可能なインターフェースということになりそうです。

ムーアの法則が続くかはともかく、近年のIT機器の加速度的進化は目を見張るものがあります。その波は、自転車アクセサリーにも押し寄せつつあります。これまで、ゆっくりとした変化しかなかった自転車アクセサリーですが、今後は加速度的に進化していくような気がします。




厚生労働省の毎月勤労統計の調査が不適切だった問題は、長年にわたる確信犯で組織的だった可能性があります。省庁の不祥事が続発していますが、結局、官僚が責任をとらないのも官僚を劣化させている気がします。

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