April 28, 2019

平成が過ぎ去り令和を迎える

平成が幕を閉じようとしています。


4月で新年度が始まり、新しい生活を始めた人も多いでしょう。一方で30年あまり続いた平成の時代は終わり、来月5月の1日からは令和へと元号が変わります。さて、そんな折りですが、例によって最近の自転車関連のニュースの中から気になったものをピックアップしてみたいと思います。


幼児同乗の自転車注意=続く事故、転倒の危険大−消費者庁

幼児同乗4月に入り、保育園などへの送迎で幼児を自転車に同乗させる機会が増えるとして、消費者庁は転倒などに注意を呼び掛けている。幼児用座席の装着によって車体が重くなる上、幼児が動いてバランスが崩れやすくなるためだ。同庁は、ヘルメットやシートベルトの着用とともに、慎重な走行を求めている。

消費者庁などによると、保護者らの自転車に同乗中の事故で負傷した幼児は、2007年は1804人で、以降は減少傾向が続いていた。16年には792人になったが、17年には840人と増加に転じた。11、13年には幼児2人がそれぞれ亡くなるなど、深刻な事故も後を絶たないのが現状という。

さらに、普及が進む電動アシスト自転車では、通常の自転車に比べ急に加速するため、転倒や衝突が起きやすいとの指摘がある。消費者安全調査委員会(消費者事故調)は、幼児同乗での事故が続いているとして原因などを調べている。

消費者庁は、事故対策として(1)ヘルメットなどを必ず着用させる(2)停車中でも、幼児を乗せたまま自転車から離れたり、目を離したりしない(3)同乗者が2人の場合は、安定度が高い後部から乗せて前部から降ろす−ことなどを挙げている。(2019年04月20日 時事通信)


新年度が始まり、入学や就職などで、大きく環境が変わる人が多い時期でもあります。なかには自転車通勤や通学を始めたという人もあるでしょう。最初は緊張していますが、そろそろ慣れてきた頃かも知れません。慣れると、どうしても油断が出て来て、事故のリスクも高まる時期でもあります。

子供の入園に伴い、幼稚園の送り迎えを始める人も多いでしょう。やはり最初のうちは気をつけますが、つい油断して、子供を乗せた自転車が転倒し、子どもが落下して大怪我となるような事故が増える頃でもあるようです。消費者庁が注意を呼びかけています。

子供を前後に2人乗せて走行する母親もよく見かけます。最近は電動アシストも増えましたし、真っ直ぐ走っている分にはいいですが、何かでバランスが崩れたりすると、転倒を避けるのに、相当の腕力が必要だったりします。今までは大丈夫でも、そのような可能性も頭に入れておくべきでしょう。

目的地に到着し、自転車をとめ、スタンドを立てた状態も危険です。幼児が動くなどしてバランスを崩し、転倒、転落する事故が後を絶ちません。止まっているので大事に至らないと考えがちですが、幼児にとっては危険な高さであり、頭を打つなどして死亡する事例も起きています。

子供を乗せて走行出来ていると、何でもないことに思えますが、そこに危険が隠れています。子供はときに予想外の動きをすることもあります。毎年この時期になると、子供乗せ走行を始める人が増えるため話題になりますが、決して侮ることなく、気をつけてほしいものです。


バーレーが自転車用ベビーカーを6種発売 北海道と関東の自転車ショップで試乗会も開催

バーレーアメリカの自転車カーゴトレーラーブランド「Burley」(バーレー)が、自転車用ベビーカーの新型モデルを6種発売する。

自転車で牽引する2輪タイプ(自転車牽引時)の車両で、安全・快適に子供を運ぶために細部までこだわった製品だ。また、5月上旬まで北海道と関東3都県の自転車ショップで試乗会を開催する。

充実の6台展開

バーレーはベビーカーの安全基準を提唱した企業の一つで、自転車用ベビーカーのパイオニアとして知られている。

バーレー今回発売する自転車用ベビーカーは、全部で6モデル。自転車の後ろ車軸に専用のバーを取り付けて2輪の車両を牽引するタイプだ。車体の重心が低く設定されているため、自転車が転倒しにくい。

また、乗車位置が下がる関係で子供が自ら乗降車できるようになっている。そのため、子供載せ自転車で起こりうる子供の落下や転倒といった不安を払拭している。

また、子供がベビーカー内で快適に過ごせるように本体に撥水加工を施し、UVカットウィンドウや乗り心地の良いタイヤなどを装備している。安全面では堅牢なアルミフレームやを採用。乗車する子供が快適かつ安心して乗れるように設計されている。また、ベビーカーとしても使えるように1輪式の手押しベビーカーキットが付属する。(後略 2019/04/19 サンスポ)


バーレーたまたま、新製品情報が載っていました。別にこの会社の製品を推奨するものではありませんが、自転車で牽引するタイプのキッズトレイラーの存在を知らない人は多いのではないでしょうか。もちろん、道路環境などから、選択肢にならないという人もあるとは思います。

ただ、最初の記事のような転倒・転落事故の心配の点では優れているのも確かです。荷物を運ぶトレイラーと兼用することも出来ます。こうしたキッズトレイラーや、カーゴバイクなど、子どもを安定して運べる選択肢もあります。先入観にとらわれず、検討してみてもいいのではないでしょうか。


佐川急便など、新型業務用電動アシスト自転車「TRIKE CARGO」を開発

佐川急便豊田TRIKEと佐川急便は業務用電動アシスト自転車「TRIKE CARGO」を共同開発し、全国10か所の佐川急便の営業所にて3月26日より順次トライアルを開始した。

TRIKE CARGOは、これまで佐川急便が使用していた電動アシスト自転車とは異なり、荷重の影響を直接車体に受けない牽引タイプを採用。積載可能重量を30kgから120kgへ大幅に拡大した。一度に運べる量が増えるため、集配拠点への往復を減らすことで作業効率が高まるほか、集配エリアの拡大も可能となる。

また、2つの前輪が連動して動く「シンクロシステム」を採用。段差での衝撃を和らげる上、斜面では車体を垂直に保ち、急カーブや滑りやすい路面でも安全な走行が可能となり、利用者側の負担も軽減する。さらに、牽引部分には台車を直接積載しワンタッチでロックおよび解除でき、積み替え作業も軽減する。

今回のトライアルは約1か月間実施し、本格導入に向けて安全性や集配業務の効率化を検証。女性や運転免許未保持者といった幅広い人材の活用が期待できるとともに、集配用電動アシスト自転車が広く普及することでCO2を排出しない環境に配慮した輸送が実現する。(2019年3月28日 レスポンス)


佐川急便佐川急便オリジナルのカーゴバイクが開発されたようです。日本では、カーゴバイクはほとんど普及していません。ヤマト運輸なども一部で導入しているようですが、まだ一部の宅配業者くらいにしか使われておらず、一般的にカーゴバイクは、日本では馴染みが薄いのは間違いないでしょう。

宅配業者にとっては、運転免許を持っていない、あるいはトラックの運転に抵抗のある主婦層なども、宅配の仕事に従事してもらうことが出来ます。ドライバー不足が深刻な業界で、これは大きな助けとなる可能性があるでしょう。長距離は無理ですが、いわゆるラスト1マイルは十分カバー出来ます。

電動アシスト付きならば、相当に重い荷物、大きさ、量でも運べます。トラックに比べて小回りもききます。駐車場の確保の問題、駐車違反回避の問題でも有利でしょう。日本でのカーゴバイクは、このあたりから認知が広がっていく可能性はありそうです。


「自転車保険」の加入率トップは兵庫県の71.5%、加入が義務化されているかで地域差が

交通事故というと「自動車」のイメージが強いが、「自転車」での事故でも被害者/加害者が生まれる。自転車保険の加入が義務化されている地域とそうでない地域とで加入率に大きな差があることがわかった。

自転車保険

通勤や通学、買い物、レジャーなど、身近で手軽に利用できる自転車だが、自転車事故の加害者に高額な賠償請求を命じる判決も複数出ている。こうした状況から自転車保険への加入を義務化する条例を設ける自治体が増えている。

au損害保険株式会社は全国の男女2万811名を対象に「自転車保険加入状況の全国的な実態調査」を実施し、その結果を4月10日に発表した。調査期間は2018年12月27日から2019年2月11日。

家族も含め、自転車事故に備える保険の加入状況を調べると、「加入している」と「おそらく加入している」を合わせた加入率は56.0%。都道府県別の加入率ランキングで1位になったのは「兵庫県」の71.5%で、以下、「京都府」(69.8%)、「滋賀県」(69.6%)、「大阪府」(67.8%)、「埼玉県」(66.9)が続いた。加入率が低かったのは「島根県」(34.4%)、「富山県」(34.5%)、「沖縄県」(36.5%)など。

自転車事故に備える保険については自治体が加入を義務付けている地域があり、都道府県別で加入率がトップだった兵庫県は、平成27年10月から自転車損害賠償保険などへの加入が義務づけられている。条例によって加入が義務付けられている地域と、義務化されていない地域で加入率を比較すると、義務化地域の加入率が64.3%だったのに対して、非義務化地域の加入率は49.8%で大きな差が見られた。

自転車保険自転車事故に備える保険に加入するにはさまざまな方法がある。たとえば、日常生活における偶然の事故で、法律上の賠償責任を負った場合に保険金が支払われる「個人賠償責任保険」がその1つで、自動車保険や火災保険などの特約として加入できるほか、クレジットカードに付帯しているケースもある。

個人賠償責任保険の補償範囲は広く、世帯のうち1人が加入すれば家族も補償の対象になるタイプが一般的だ。ただし、家族の範囲にはさまざまな条件があるほか、補償金額やサポートスタッフによる示談交渉の有無については保険によって異なるため、加入時に確認しておきたい。また、個人賠償責任保険は自転車事故で加害者になった場合のリスクには備えることができるものの、被害者になった場合のリスクはカバーされていないので注意が必要だ。

自転車事故で被害者になった時のリスクにも備えたいという場合は、民間の保険会社が提供している自転車保険に加入するといい。必要な補償がパッケージになっており、死亡・後遺障害、入院、通院時も保険金が受け取れ、自転車事故以外でケガを負った場合も補償対象に含まれるプランもある。ただし保険料は補償金額によって異なるほか、示談交渉の有無も加入プランによって異なる。18歳以上74歳以下など、被保険者の年齢が限定されるプランもあるため加入時には注意したい。

そのほかに知っておきたいポイントとしては、自転車安全整備士が点検確認した自転車に貼付される「TSマーク」がある。公益財団法人日本交通管理技術協会のウェブサイトによると、「TSマーク」は自転車安全整備店で自転車の点検整備を行い、安全な「普通自転車」であることを自転車安全整備士が点検確認したときに貼られるるシール(点検整備済証)のこと。

この「TSマーク」には、傷害保険と賠償責任保険、被害者見舞金(赤色TSマークのみ)が付いており(付帯保険)、点検年月日と自転車安全整備士番号が記載された保険有効期間中のTSマーク貼付自転車に搭乗中の人が補償の対象となる。これによって一定の死亡・後遺障害と入院補償が受けられる仕組みになっている。

自転車事故で加害者になってしまうと高額な賠償責任を負う可能性がある。万一に備えて自分が加入している保険の補償内容や不足範囲などをチェックしておくのがよさそうだ。(2019/04/20 マネージン)


自転車保険の加入率が徐々に上がってきていますが、都道府県によっても差があるようです。やはり、自転車保険を義務化しているかどうかで、差が出てきているのでしょう。最初に義務化に踏み切った兵庫県がトップなのも、その結果と思われます。

ただ、どこも罰則はないため、義務化と言っても強制力はありません。むしろ、自転車保険が義務化されたというニュースによるアナウンス効果、認知が広がったということなのだろうと思います。強制力のない条例でも、一定の効果があると言えるでしょう。

自転車保険は、契約先や形態にもよりますが、わずかな金額から加入することが出来ます。高額な賠償事例が出ているわけですし、万一のことを考えれば、このくらいなら加入してもいい、いや、むしろ加入しない手はないと考える人が増えてきたということではないでしょうか。

中には、事故は起こさない、保険料がもったいないと考える人があるかも知れませんが、調べてみれば、もったいないと感じないくらいの金額だったりします。逆に、このくらいの金額を出し惜しむほうが、万一の場合の負担額の大きさから言って、ナンセンスと気づく人が増えているということのような気がします。

クルマであれば、当然自賠責に入るでしょう。任意保険も含めて無保険という人は、ごく少数だと思います。もし人を死傷させれば、クルマだろうが自転車だろうが関係ありません。もちろん、殺傷力が大きく違うので、可能性は相対的に低いですが、その分、大幅に安く加入できるわけで、加入するのが合理的な判断でしょう。

今は無関心、無頓着な人もあると思いますが、こうしたことを認知し、理解すれば、加入する人は多いと思います。今まで入っていなかったことに慄然とするかも知れません。義務化条例はともかく、もっと認知度を上げていくことが重要で、まだまだ加入率は上がるはずだと思います。


1世帯の自転車保有数 滋賀トップ(もっと関西)

大阪は街中に自転車があふれている――。こんな印象を裏付けるデータを探すと、自転車産業振興協会(東京・品川)の都道府県別調査にたどり着いた。予想通り大阪府の1世帯当たりの自転車保有台数(2018年、推計)は1.508台で2位だったが、トップは同1.595台の滋賀県。担当者は「詳しい理由は分からない」と言う。全国一の「自転車県」のナゾに迫った。

滋賀トップ県内でも特に自転車の普及に力を入れていると聞いて、守山市を訪ねた。出迎えてくれた地域振興・交通政策課の杉本悠太さん(36)は「住民の自転車利用を促してきたことで、『自転車の街』としてのイメージが定着してきた」と胸を張る。

市は16年度から、市民向けに自転車購入費用を補助する制度を始めた。指定された店舗(19年度は11店)で買うことなどが条件で、高齢者向けの三輪自転車、電動アシスト付き、幼児が同乗できるタイプ、長距離走に適したスポーツ用の4種類が対象。

現在は最大1万5千円を補助する。電動自転車向けの補助は他地域にもあるが、スポーツ用は珍しい。毎年約200〜300件の申請があり、19年度も継続する。

普及が進む背景には地形が関係している。市内は最も高い地点と低い地点の標高差が約22メートルと平たんで、自転車での移動に適している。

自動車やバスに比べて環境に優しい交通手段として活用してもらう狙いもあるが、杉本さんは「『自転車の街』としての認知度を高め、愛好者を呼び込みたい」と力を込める。

補助対象となっているスポーツ自転車専門店「スクアドラ滋賀守山」。専務の草川岳士さん(42)によると、店内は普段から購入を検討したり、メンテナンスに訪れたりする地元客らで活気にあふれる。「店での出会いが縁となり、休日に一緒にツーリングに出かける人も少なくない」と草川さん。地域に根ざす店は自転車の普及を促すだけでなく、住民らが交流を深める場所にもなっている。

取材を進めると、「自転車の街」への取り組みは県レベルでも存在することが分かった。1周約200キロの琵琶湖を自転車で回る「ビワイチ」はその一つ。県随一の観光資源と自転車を連動させて新たな付加価値を付け、県内外から自転車好きを呼び込む狙いだ。

旗振り役は県内のNPOや企業などが09年に設立した「輪の国びわ湖推進協議会」。事務局長の佐々木和之さん(45)によると、ビワイチはもともと、琵琶湖周辺の小中高校生らの間で定着していた。地域に密着した文化を内外に広げようと、県と組んで琵琶湖を周遊するコースを紹介したり、シンポジウムを開催したりしている。

琵琶湖を一周した人には認定証も発行しており、17年は約1800枚に上った。ビワイチに挑戦しようと、近年は全国各地からサイクリストが琵琶湖を訪れているといい、佐々木さんは「自転車の魅力は日常生活からスポーツまで幅広い使い方ができること。今後もビワイチのブランド力を高める工夫を凝らしたい」と意気込む。

琵琶湖のイメージが先行しがちだが、滋賀県は近年、「長寿県」としても注目されている。厚生労働省によると、15年の都道府県別の平均寿命は男性が全国1位、女性は4位。禁煙対策やボランティアの健康推進員を通じた減塩指導など、県ぐるみの長年の取り組みが実を結んだとの指摘もあるが、県健康寿命推進課の担当者は「健康作りの基本は体を適度に動かすこと。自転車は年齢を問わずに使えるので、長寿県を維持していく上でも重要なツールになる」と訴える。

滋賀県の自転車事情を調べて強く感じたのは、平たんな土地や琵琶湖など住民には当たり前の存在の中に新しい価値を見いだし、魅力発信に生かしていること。人口減少など地方を取り巻く環境は厳しいが、全国一の「自転車県」の取り組みは、身近なところにこそ地域振興のヒントが埋もれていると教えてくれた。(2019/4/4 日本経済新聞)


たしかに大坂のほうが多いイメージがありますが、意外なことに滋賀県が1世帯当たりの自転車保有台数で全国1位なのだそうです。県の自転車振興の努力も当然あると思いますが、記事にあるように、滋賀県の最大標高差がわずか22メートルというのは大きいと思います。

ビワイチという大きな観光資源もありますし、長寿県として注目されている点も含め、自転車や健康という面で滋賀県のポテンシャルは高いものがあります。さらに自転車県としての魅力を高め、全国の見本となるような地域づくりを目指してほしいと思います。


東京の放置自転車、1日2万7000台:30年で10分の1近くに

 かつては大きな都市問題だった駅周辺の放置自転車。対策が進み、東京都の放置自転車の数は30年前の約10分の1に減っている。

2000年以降の減少ペースが顕著

東京都の2018年度の調査によると、都内の鉄道駅周辺の放置自転車(※1)は2万7000台余り。前年度より4000台近く減り、過去最少となった。ピークだった1990年の24万3000台から約30年で、10分の1近くまで減ったことになる。(調査は同年10月の昼に都内の区市町村が実施。JRや私鉄、地下鉄約600の駅周辺で、公共の場に放置された自転車の台数を調べた)

区や市による放置自転車のこまめな撤去、公営及び民営の駐輪場・駐車場の増加などの対策が功を奏し、特に2000年以降は減少ペースが軌道に乗った。

収容能力は十分なレベルに

歩行者や緊急車両の通行を妨げる駅前の放置自転車は40年ほど前から、国内の大都市部を中心に長く問題となってきた。東京都のこれまでの調査結果をみると、駅周辺に乗り入れる自転車は、1990年から2000年ごろまでは70万台を超えていたが、その3〜4台に1台は路上に放置されていた。

放置自転車放置自転車がピークだった1990年、乗り入れ台数約70万4000台に対して54万台しかなかった駐輪場の収容台数は、2018年には92万5000台に。全体の数字だけ見ると、収容能力は十分なレベルにある。

撤去台数は減少も、経費はアップ

各自治体は放置自転車を撤去し、盗難車の場合などは持ち主に引き渡し、その他のものは廃棄処分にしている。撤去台数は年々減っているものの、2017年度は約36万台もの自転車が駅前から撤去され、うち約16万台が処分された。

17年度中に東京都内で自転車駐車場の設置や放置自転車の整理・撤去にかかった費用は、計約181億円に上る。うち駐輪場の設置費(投資的経費)が31.2億円、放置自転車の撤去などにかかる経費(消費的経費)は150.3億円。撤去台数が減っているにも関わらず、この消費的経費は前年度より11億円増加した。

大田区の放置自転車対策担当者(都市基盤管理課)はこれについて、「駅周辺の放置自転車対策には、交通誘導員を常時配置するなど結構なコストがかかる。通勤・通学で自転車を毎日使う人は有料駐輪場を使うようになっているが、電車に乗って出かける買い物客や、駅近くの歓楽街に乗り付ける人などが駐輪マナーを守ってくれないことが多い」と説明する。(2019.04.25 ニッポンドットコム)


東京の放置自転車の台数が、30年前の約10分の1にまで減っているそうです。違法駐輪は迷惑ですので減るに越したことはありません。ただ、整理や撤去にかかる費用も莫大で、それは市民の税金であることを思えば、撤去に力を入れ続ければいいというものでもないでしょう。

放置自転車駐輪場の収容台数が増えたのはいいですが、整理や撤去の監視の目がなくなったら、また元の木阿弥になる懸念があり、おいそれと撤去費用を削ることも出来ないのは理解できます。せっかく10分の1となり、駐輪マナーが向上してきた面もあるわけで、これを維持していくことが求められます。

潜在的な違法駐輪のニーズがあるとすれば、まだまだ有料が多い駐輪場の無料化を進めることが重要ではないでしょうか。せめて最初の2時間を無料くらいにすれば、撤去を避けるという理由がなくても、駐輪場にとめる人は増えることが見込めるでしょう。

それが習慣となり、当たり前のマナーとなっていけば、放置自転車の撤去費用を縮小しても、その状態を維持できる可能性が出てきます。必ずしも撤去がいいとは思わないですが、ここまで進めてきた以上、それを無駄にしないためにも、いかに撤去経費を減らして、状態を保つかに知恵を絞ってほしいと思います。


「電動自転車通勤」で給料アップ制度、英国企業が導入

英国のロンドンで初めて、電動アシスト自転車で通勤する社員に割増賃金を支払う企業が現れた。ロンドン郊外の自転車メーカー「Gocycle」は、電動自転車で通勤する社員に、1マイル(約1.6キロ)あたり40ペンス(約58円)のボーナスを支払う。

給料アップ電動ではない従来の自転車で通勤する社員も、1マイルあたり20ペンスを受け取れるという。ロンドンの中心部から約15マイルの位置に社屋を構えるGocycleは、15名の従業員を抱えている。

「都市部の渋滞により大気汚染が悪化し、人々の命を危険にさらしている」とGocycleの創業者でデザイナーのRichard Thorpeは述べた。かつて、自動車メーカーのマクラーレンのデザインエンジニアだったThorpeは、こう話している。

「Gocycleは電動バイクが健康でサステナブルな暮らしを人類にもたらすための、最適なツールであると信じている。当社は企業として今、何が出来るかを考えた結果、社員が通勤にこのツールを用いる場合、ダイレクトな報酬を与えることに決めた」

Thorpeは他の企業や組織に対しても、彼らの動きに追随するよう呼びかけている。また、政府に対しては電動バイクの購入に対し税控除を設けるよう要請している。

「電動バイクを通勤手段にする人にボーナスを払うことは、将来的なコミュニティのコストを削減するための投資だ」とThorpeは先日、オックスフォード大学で開催された、英国初のEバイクサミットの場で話した。

「私は英国政府に対しても、企業が社員の自転車通勤を奨励する行為を金銭的にサポートするよう求めていく。サイクリングは健康を増進し、生産性をあげ、ワークライフバランスの向上にもつながる」とThorpeは続けた。

2002年設立のGocycleの折りたたみ可能な軽量型、電動アシスト自転車のフラッグシップモデル「GX」は3499ポンド(約50万円)で販売されている。英国ではBromptonやHummingbirdらも、Gocycleの競合的位置づけの電動自転車を販売中だ。(2019/04/13 Forbes)


今回ロンドンで自転車通勤に割増賃金を払うのは自転車メーカーですから、それほど不思議な話ではないでしょう。むしろ率先して自転車通勤を広げることで、自転車の売り上げが上がる可能性があるわけですから、遅いくらいだと言われても仕方がないでしょう。

日本でも、自転車通勤に対して補助を出すところが、まだまだ少ないですが出てきています。自転車関連の企業のほかに、IT関連の企業などです。最近は、職場までの自転車通勤も認知度が上がり、絶対数は多くないとは言え、それほど珍しく見られるものではなくなってきました。

以前は、職場まで自転車で通勤するなんて、変人か自転車オタクかと好奇の目で見られていたことを思えば、隔世の感があります。もちろん、通勤者全体に占める割合は微々たるものですが、東京のような公共交通の発達した街ですら、自転車通勤をする人が増えてきました。

若い世代を中心にクルマ離れもあるでしょうし、自転車通勤がクールと見られるようになった傾向も影響していると思われます。渋滞に並ぶ必要がなくてリーズナブルですし、クルマより早く着ける場合も多いでしょう。もちろん満員電車に乗るストレスもありません。痴漢冤罪被害とも無縁です。

やってみれば、意外にラクで、爽快でもあります。運動不足が解消され、ジムに通う時間も節約出来ます。体重が減るばかりか、健康診断の数値が改善したりします。そして、朝から運動すると頭がスッキリして、仕事の効率が上がることを実感する人も少なくありません。

雇用主にしても、社員のモチベーションアップになったり、労働生産性が上がったり、健康保険組合の財政が好転したり、社員の定着に寄与したりと、メリットを感じるケースもあるはずです。環境負荷の点で企業イメージが上がるといった効果が見込める場合もあります。

ヨーロッパでは一般的に環境意識が高いこともあって、自転車通勤は広がる傾向にあります。自転車通勤者に対して補助や割増賃金などで奨励するような企業も増えていくでしょう。アメリカでも、そのような傾向が広がっていることは何度か取り上げました。

日本では、まだ環境や持続可能な社会という観点から自転車通勤が推奨されることは少ないですが、社員の健康管理や福祉の面で、さらに注目されるようなってもおかしくありません。割増賃金を払っても、社員の健康管理や生産性向上などのメリットに気づく経営者が増えていくことを期待したいものです。

◇ ◇ ◇

単に元号が変わるだけと言われればその通りですが、やはり時代の節目という感があるのも事実です。いろいろと総括されていますが、平成という時代を顧みたり、区切りをつける機会でもあります。改元で世の中の気分も変わります。決意を新たにするきっかけにしたいものです。




ゴールデンウイークの10連休が始まりました。この時期は空いている都心のサイクリングもいいかも知れません。

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