タンデムバイクなど、法律の言う乗車装置、すなわちサドルやシートが人数分備わっている自転車は別ですが、普通の一人乗りの自転車に、幼児を除いて2人以上乗れば道交違反となります。警察官に見とがめられれば注意されますし、2人乗りが違反なのは一般常識でしょう。
構造上、2人乗るように出来ていないので、バランス的に不安定になり、ブレーキが効きにくくなるなど危険です。荷台があっても大人の体重、数十キロも乗せるのには無理があります。一般的な自転車は2人乗り出来ないわけですが、これがたまに不便なこともあります。
例えば、クルマであれば、誰かを乗せて駅まで送ったりすることが出来ますが、自転車では無理です。住宅地の駅では、朝の通勤時間帯に、奥さんがクルマを運転して駅まで夫を送る光景が見られます。いわゆる、キス&ライドと呼ばれるスタイルですが、自転車でこれを行うわけにはいきません。
もちろん、自分で自転車で行けばいい話ですが、駅前の駐輪場は契約制でどこも満杯、抽選がなかなか当たらないというところもあります。駅前に不法駐輪すれば、撤去・移送されて手数料をとられます。駅まで自転車だと便利なのに、事実上使えないという人もあるようです。
たしかに不便ですが、自転車はそういうものなので、仕方がありません。普通の人は、それを不満に感じることもないと思います。でも、なんとかならないものかと考えた人がいます。ポーランドの起業家、
Tomasz Nigot さんです。彼は新しい荷台を考えました。
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Exozox”のこの荷台は、前輪を乗せて、他の自転車を牽引して運ぶことが出来ます。なるほど、簡単な工夫ですが、これならば自転車で自転車を運ぶことが出来ます。必要ならば荷台の左右に1台ずつ、2台の自転車を牽引して走行することも可能です。
ベースとなる荷台、下の写真で言うと緑色の部分と、自転車の前輪を載せる部分、橙色の部分は別になっています。使わない時は橙色の部分は外しておき、必要な時だけ取り付けることも可能です。比較的簡単に着脱できるようになっています。常に牽引出来るようにしておく必要がない場合には便利な構造です。
前輪を載せる時にはバンジーコードで固定し、段差などで跳ねて外れないようにします。動画を見ても、特に乗りづらそうなことはなく、誰でも牽引できそうです。言われてみれば、シンプルな仕組みではありますが、これがあれば便利という人もあるのではないでしょうか。
ベースとなる荷台も頑丈そうで、普通に荷物を運ぶ時に単独で使えます。別に、荷台を広げる製品も用意されており、同じようにベースとなる荷台に取り付けることができます。すると、段ボール箱が載せられたり、バスケットなどを取り付けたり、大きなもの、安定しにくいものを運ぶのに便利な大型の荷台になります。
別途、壁に取り付けるベースがあり、それに前輪を載せるユニットを取り付けると、壁掛け式の自転車用ラックにもなります。自転車を運ばない時のユニットの収納先になるとともに、自転車を保管するのに場所をとらず、簡単に立てかけられるというわけです。必要かどうかは別として、ちょっとした工夫です。
これがあれば、2人で自転車2台で駅に向かい、帰りは一人で自転車を2台持ち帰ることも出来ます。自転車でのキッス&ライドも可能です。日本でも、駅前の駐輪場の抽選が当たらないなどで困っている人はあるとと思いますので、意外と使えるのではないでしょうか。
幸い、駅前駐輪場が使えて、駅まで自転車で通っている人でも便利なケースはあるでしょう。例えば、勤めの帰りに飲酒してしまい、自転車を駅前駐輪場に置いて帰るような場合です。自転車であっても酒を飲んだ状態で乗れば、飲酒運転で道交法違反です。乗って帰るのは危険でもあります。
そんな場合でも、別の人が、あるいは別の日に、自転車で自転車を持ち帰ることが可能になるわけです。飲酒はともかく、どこかに駐輪して、別の手段で移動してしまった時などに自転車の回収が出来ます。頻繁にあるかは別として、自転車で自転車を運べるのは案外便利かも知れません。
この製品のニーズがどれほどあるのかはわかりません。ただ、自転車で自転車を運ぶというスタイルは、自転車の活用シーンを広げる可能性があります。自転車はこういうものと最初から諦めていること、疑ってかからないこと、思い込んでいることの中には、まだまだ新しい自転車用品のタネが埋もれているのかも知れません。
明日からG20大阪サミットが始まります。世界経済に大きな影響を及ぼす米中首脳会談の行方が気になります。
Posted by cycleroad at 13:00│
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