September 07, 2019

安全のために見ることが必要

交通事故が日常的に起きています。


長期的には減少傾向にあるとは言え、いまだに多くの人命が失われています。平成30年は3千532人が亡くなっています。この数字は事故から24時間以内に亡くなった人数ですので、救急救命医療の進歩で、すぐには亡くならず、翌日以降に死亡した人は入っていません。

欧米諸国と比べると、日本では歩行者や自転車に乗っている時に死亡する人の割合が高くなっているのも特徴です。もちろん交通弱者側に起因する事故もあるでしょうが、やはり圧倒的な割合で加害者となるのはクルマ側であり、スピードの出しすぎなど法令違反、不注意、操作ミスなどの過失が死亡事故につながっています。

事故原因が解明出来ない場合も少なくないわけですが、その中でも『携帯電話使用等に係る事故』は増加傾向にあります。スマホを使いながらの運転は道交法で禁止されています。結果として前方不注意となり、死亡事故が起きています。しかし、しばしばスマホを見ながら運転している人がいるのは間違いないでしょう。

スマホに限らず、クルマの運転中に周囲を注意していない、歩行者や自転車をよく見ていないことも多いのではないでしょうか。いわゆる交差点での左折巻き込みや、直進車に気を取られ、曲がる先を見ていない右折によって、歩行者や自転車が死傷する事故も起きています。

横断歩道あり横断歩道あり

注意すべきなのは、交差点や曲がり角だけではありません。例えば、直線道路でも、前方に信号のない横断歩道があって、横断しようと待っている人がいたら、クルマはその手前で止まらなければいけません。道路交通法で定められており、違反すれば減点2点、9千円の反則金です。

しかし、実際は多くのドライバーが横断歩道で停止しません。止まるどころか、横断歩道で待っている人がいるかも見ておらず、減速すらしない人も多いのではないでしょうか。本当は優先されるべき横断者は、仕方なく待ちます。それをいいことに、ますます止まるドライバーは少なくなっています。


横断歩道、止まらない車 「五輪対策」で警察が摘発強化


最近の幼稚園や小学校では、子供に、道路を横断する時には、右を見て、左を見て、もう一度右を見るだけでなく、さらに止まっているクルマのドライバーの目を見てから渡るように指導するそうです。ドライバーが横断者を見ていない可能性があるからです。

スマホを見ていて信号を見落とすクルマもありますし、歩行者の存在に気づいていないクルマもあります。横断歩道で減速しても、歩行者が飛び出さないと見るや、止まらないクルマもあります。左折車が一時停止すると思っていたら、死角で見えていないこともあります。自分に気づいているかの確認は、とても重要です。

車が停止する割合止まらない車

ところで、道路を横断する時に、ドライバーの目を見て、すなわちアイコンタクトをとるように勧めているのは、日本だけではありません。アメリカ・コロラド州も、歩行者の安全のため、アイコンタクトをとるよう啓発活動を始めました。子供に限らず、大人であっても是非そうすべきです。

その啓発活動の方法がユニークです。なんと、目玉の「かぶりもの」をかぶり、街中へ出てアピールしているのです。コロラド運輸省は、道路を横断する前に、ドライバーと視線を合わせるよう促すことで、州の歩行者や自転車の死者を減らしたいと考えています。

Giant EyeballsGiant Eyeballs

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歩行者や自転車利用者に限りません。もちろん、クルマのドライバーも歩行者や自転車をよく見て、気をつけなければなりません。スマホを見ながらなど言語道断、右折巻き込み(日本では左折巻き込み)など、死角に入って気がつかないことがないよう、よく周囲を目で見て確認しなくてはなりません。

日本人ならば、水木しげるの漫画、ゲゲゲの鬼太郎に出て来る「目玉おやじ」を連想するでしょう。目の色は違いますが、顔全体が目玉というのは、まさに目玉親父です。日本のアニメは海外でも人気があるので、もしかしたらコロラド運輸省も、ここから着想を得たのかも知れません。

日本人だったとしても、突然路上で目玉おやじを見たら、ギョっとするでしょう。ましてやコロラドの道路を走るドライバーは驚くに違いありません。道路サイドに啓発看板を出しても、目をやる人は僅かだと思いますが、これならドライバーに対してもアピールしそうです。

Giant EyeballsGiant Eyeballs

Giant EyeballsDenver Public Works

スマホの普及で、スマホを見ながら歩いたり、自転車に乗る人がいます。これも危険なのは言うまでもありません。トラブルになったり、駅のホームから転落したり、死傷事故も起きています。自転車の場合は、歩行者に衝突して死傷させる事例も起きており、加害者になりかねません。

スマホを抜きにしても、クルマの運転中に音楽に気を取られたり、考え事をするなど、周囲への注意が散漫になることもあるでしょう。運転に慣れてくると、周囲をキョロキョロ見回すこともしなくなり、安全への配慮という点がおざなりになっている人も多いはずです。

人間は目からの情報が8割とか9割とか言います。そうでなくても、安全の基本は、まずよく見ることです。慣れてしまって疎かにしてはいないでしょうか。一瞬の脇見や、よく見ていなかったことが、致命的な失敗、深刻な事態につながります。初心にかえって、周囲をよく見るようにしたいものです。




デモは収まりそうにないですが、ここへ来ての逃亡犯条例の撤回、本当に中国政府は支持しているのでしょうか。

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この記事へのコメント
ちなみに日本において保有台数における事故率死亡率統計では自動車依存者より自転車利用者のほうが長生きなんですよね。
そして英国グラスゴー大学が26万人以上を医学的に追跡調査した結果でも、自動車依存者より自転車利用者のほうが長生きである事実が明らかになっている。
なので人々の健康や安全、長寿という観点からすれば、車離れ推進と自転車活用拡大推進は最適解であり、だからこそ世界中の先進諸国の都市部が自転車専用インフラ整備を進めている。
歩行者も自動車も通行できない自転車専用のインフラを。
結局、自動車と自転車の混合交通インフラは欠陥インフラだというのが先進諸国の交通行政担当者の常識となっている事実があり、その認識は更に他の国にも広まる見込みが強い。
日本はいつまで "後進国的" なインフラのままで居るのでしょうね。
海外を見ても、進んでいる街はちゃんと自転車専用のインフラを整備している。
「自動車を運転しなくても良い街」「自動車より自転車のほうが便利な街」を目指し続ければ飯塚幸三惨事を代表とする高齢者の自動車暴走惨事も未然に防げる。だからこそ各国、自転車インフラ整備を推進している。
Posted by 佐藤 at September 07, 2019 17:49
「歩道は歩行者、車道は自転車最優先」フランスではこれを体験してきました。これが常識ですから、車のドライバーは自転車には細心の注意を払います。

どんなに自動車の往来が多くても、自転車で手信号を出すと後続車はみんな止まってくれます。

日本では「歩道は歩行者、車道は車が優先」というのが常識化しており、警察も意識の根底にこれがあります。だから自転車における危険性をいくら主張しても相手にしてくれないのです。
「車道が危険なら歩道を走っていいんですよ。」と簡単に答える。しかし、歩道は歩行者のスペースであり、自転車は歩道を走ってもいいという甘えからインフラ整備が進みません。

まずは警察の意識改革、そしてドライバーの意識改革へとつなげていく必要性を強く感じます。
Posted by 輪行菩薩 at September 07, 2019 20:38
佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
グラスゴー大学などの調査については、このブログでも取り上げましたが、事故の問題は健康の問題とは別でしょう。
もちろんインフラの整備が必要なのは間違いないとしても、歩行者や自転車がクルマと共存していく上で、インフラは別として、その行動や意識が問われる部分があると思います。
Posted by cycleroad at September 09, 2019 21:57
輪行菩薩さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
日本の自転車インフラの問題については、このブログでも再三にわたって取り上げています。
ただ、今回取り上げたのは、そういう問題とはまた別の問題です。
自分の身を守る、自分が加害者にならない行動というのも必要だと思います。
Posted by cycleroad at September 09, 2019 22:06
 
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