
ITの進化のスピードには目を見張るものがあります。
一般に広く知られた初のコンピュータで、真空管を使って演算処理をするデジタル計算機ENIAC(右下の写真)が誕生したのは、1946年です。その後、集積回路やマイクロプロセッサが登場し、世界初のマイコンキットに触発されたビルゲイツがマイクロソフトを設立するのは、1975年です。
1985年に発売された携帯電話、肩掛け式のショルダーホンは、重さが3キロもありました。90年代に入って小型化し普及が進みました。95年発売の、Windows 95で、初めてインターネットを使った人は多かったはずです。iモードがスタートしたのは99年、屋外でもネットに接続できるようになりました。
2006年頃、「ユビキタスコンピューティング」という言葉をよく聞きました。ただ、いつでもどこでもコンピュータが偏在すると言われて、ピンと来なかった人も多いはずです。2007年発売の、iPhoneをきっかけにスマートフォンが普及し、どこでも手軽にネット接続したコンピュータが使えるようになりました。
その後、通信速度も飛躍的に向上し、今や5Gの時代が始まろうとしています。SNSが普及し、人々はいつでもつながれるようになり、動画をシェアできるようになりました。また、IoT、モノのインターネットも実現し始め、いろいろなものがネットにつながりつつあります。

ところで、今現在のモバイルデバイス向けのオペレーティングシステムとしては、Android と、iOSの2つが支配的になっています。日本では少し違いますが、世界全体では、Android が7割、iOSが3割です。Android は、オープンソースでメーカーが無償で使えるため、そのシェアを伸ばしています。
Android 上で動くアプリであれば、基本的にどの Android 端末でも動きます。スマホだけでなく、タブレットや違うデバイスでも基本的な部分は共有できます。OSに Android を使うメリットは大きいため、例えばスマートテレビ、デジタルメディアプレーヤーなどにも、Android の搭載が進むのは自然でしょう。
プロジェクター、コンパクトデジカメやデジタル一眼レフ、ヘッドマウントディスプレイ、家庭用のホームスマートフォン、家庭用ゲーム機、法人用のスマートデスクフォン、スマートウォッチなどのウェアラブル端末など、さまざまな機器にも、Android が採用される例が増えているようです。
Googleは、IoT向けOS“Android Things”も出しています。今後普及が見込まれるスマートスピーカーや、Googleアシスタントを搭載した新たなデバイス、Smart Displayなども視野に入れています。Googleは、ロボットを動かすためのロボットOS、“Android-R”も開発中と噂されています。いわゆるプラットホームを広げる戦略です。


さて、そんな中、Android を搭載した電動アシスト自転車が登場しました。その名も“
Xone ebike”、21世紀の究極の自転車との触れ込みです。フレームのトップチューブ部分に、Android を搭載したタッチスクリーン式のコンピュータシステムを装備しています。顔認証機能で所有者を認識し、ロックを解除します。
バッテリーはダウンチューブに格納されており、トルクセンサーやジャイロセンサーなどで走行状態や道路状況を検知し、適切なアシスト力を制御するようになっています。ブレーキを使うと充電される回生ブレーキも備えており、センサーで傾斜等を測定し、最適な回生ブレーキの量を計算してエネルギーを回収します。
ヘッドライトやテールライトなども統合して制御します。片方の目をつぶると、それを顔認証機能で認識し、ウィンカーを出したりも出来ます。音声によるコントロールや、最大75kmの航続距離を提供するためのバッテリー制御なども含め、まさに自転車のOSとなっているわけです。


自転車そのものは、スペインの自転車メーカー、“
Rayvolt Bike”が製造しています。レトロなデザインの自転車で知られるブランドですが、レトロさと近未来的なデザインを融合したものになっています。クラウドファンディングサイトでは、
開始24時間で200%を集めるなど、期待度は高いようです。
いろいろなものにコンピュータが搭載され、IoTでネットにつながっていく時代、自転車に、Android が搭載されても驚くにはあたらないのかも知れません。ただ、これが自転車業界のトレンドとなり、多くの自転車に、Android が搭載されていくようになるのかは、わかりません。
スポーツバイクに、果たして必要かと言われれば疑問もあるでしょう。ただ、都市でのエコでサスティナブルな移動手段として、電動アシスト自転車の利用は広がっています。スポーツバイクは別としても、都市のモビリティとしての電動アシスト自転車が、モバイル端末のようになっていくのは、むしろ流れなのかも知れません。
IT分野の進化は加速度的に速くなっています。昔のスーパーコンピューター並みの性能で、国家予算でしか買えない値段、ビル一棟くらいの大きさのコンピュータが、いまや誰でも手のひらに乗せられるくらいの小ささ、価格です。アポロ11号に搭載されたコンピューターは今の電卓にすら劣るそうです。

磁気テープで記録するパソコンとか、交換手に繋いでもらう固定電話を使っていた時代を覚えている人もあると思います。私は使ったことはありませんが、年配の人から聞くことがあります。つい、この間のことのように感じる人もあるでしょう。
今のようなスマホだって、つい十何年か前まではなかったわけですし、LINEが出来たのは、ほんの7年前です。今世紀に入ってからだけでも、隔世の感があります。そう考えると、一部の自転車も進化して、早晩、Android 端末になっていってもおかしくないのかも知れません。
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また大雨の被害が出てしまいました。毎週の様に被害にあっている地域はお気の毒としか言いようがないです。
Posted by cycleroad at 13:00│
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