November 03, 2019

自転車は簡単には減らせない

家の中は、どうしても散らかります。


エントロピーの法則を持ち出すまでもなく、誰でも普通に生活をしていれば、いつの間にか部屋が散らかっていくのは避けられないでしょう。そして、それは片付けない限り、元に戻ることはありません。しかし、この片付けや掃除が苦手、面倒くさい、やりたくないという人は多いに違いありません。

ただでさえ散らかるのに、現代の生活では、モノが増えるという難題も加わります。どうしても欲しくて買ってしまい、収納に収まりきらなくなったりします。買ってしまったぶん、捨てればいいわけですが、なかなかモノが捨てられないという人も多いのではないでしょうか。

もちろん、なかにはミニマリストと呼ばれる、持ち物をできるだけ減らし、必要最小限の物だけで暮らす人もいます。一方で、ゴミ屋敷などが話題になったりもしますが、そういった極端な例は別として、多かれ少なかれ、部屋が散らかって困っている人は多いに違いありません。

少し前、片づけコンサルタントを名乗る近藤麻理恵さんが、『人生がときめく片づけの魔法』という本を出版し、150万部を超えるベストセラーになったのも、片付けの苦手な人が多いことを示唆しています。いろいろなメディアでも取り上げられ、テレビドラマにもなったので、ご存じの方は多いと思います。

人生がときめく片づけの魔法 改訂版
人生がときめく魔法の片づけノート
マンガで読む人生がときめく片づけの魔法
人生がときめく片づけの魔法2 改訂版


人生とか魔法というタイトルを見ると、なんだ?と思ってしまいますが、私も当時、この本を読んで納得した覚えがあります。その後アメリカでもブレイクし、著書は世界40か国以上で翻訳出版され、シリーズ累計1000万部を超える世界的大ベストセラーになっています。「こんまり流」片づけ術は世界的に広がりました。

彼女の苗字、“kondo”は、「片づけをする」という意味の単語になっているほどです。現在はカリフォルニア州ロサンゼルス在住、アメリカで片づけコンサルタントとして活躍しています。2015年のアメリカTIME誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれました。

ちなみに、この時、日本人で選ばれたのは、作家の村上春樹さんと近藤麻理恵さんの2人だけです。今年初めからは、世界190か国で配信される“Netflix”でシリーズ番組が始まり、アメリカを中心に各国で片付けブームが巻き起こり、リサイクルショップに大量の不用品が持ち込まれるなどの社会現象にもなっています。

Quan CollectionQuan Collection

さて、そんな「こんまり流」片づけ術を使って、今年の2月頃から片付けに挑戦している人がいます。カリフォルニア州在住の、HONG QUAN さんという人です。彼が片付けようとしているのは自転車です。2月の時点で所有している自転車は28台、自転車業界の友人ですら多すぎると言う台数です。

若い頃から自転車好きで、元々10台近い自転車を所有していました。自転車の台数が増えたのは、6年前に広い家に越したのがきっかけでした。欲しかったモデルがたくさんあったため、それらを購入できる財政状態とスペースが出来た時、自分をコントロールできなくなったと告白しています。

Quan CollectionQuan Collection

当然ながら家族との軋轢も大きくなり、処分して減らす必要に迫られていたのですが、一台一台は、どれも思い入れのある自転車ばかりのため、減らせませんでした。彼の所有する自転車は、“Quan Collection”として、それぞれへの思い入れ、こだわりと共にSNSで公開されています。

“Netflix”の人気番組、「近藤麻理恵と片付けよう」のことが、QUAN さんの耳に入るのは必然だったでしょう。彼は、自分の自転車を「kondo」しようと決意しました。著書を読むとわかりますが、「こんまり流」では、触ってみて、「ときめき」を感じなくなったアイテムは処分します。

Quan CollectionQuan Collection

28台のバイクを何とか一桁にすべく、“spark joy”しなくなった、すなわち、ときめかなくなった自転車を探し始めたのです。しかし、着なくなった服などを、ときめくかどうか判断するのより、ずっと困難な作業だったであろうことは、なんとなく想像がつきます。

一台一台には、いろいろな思い出もあって、QUAN さんにとっては、どれも「ときめく」ものだったようです。それでも、なんとか28台のうちの7台を売却し、4-5台を売ろうとしている最中です。目標にはまだ開きがありますが、少しずつ減らしていると言います。

Quan CollectionQuan Collection

この、QUAN さん、実は、KarmicBikes というスタートアップ企業の創設者です。たまたま、このブログでも先月取り上げましたが、ユニークなデザインの電動アシスト自転車を開発しています。趣味にとどまらず、仕事にまでしようと言うのですから、相当な自転車好きであることは間違いないでしょう。

28台はともかく、自転車好きで、複数の自転車を所有している人は多いのではないでしょうか。私もその一人ですが、形状・種類や用途の違いもありますし、ブランドによっても違うので、どうしても欲しくなってしまう、増えてしまうというサイクリストは少なくないでしょう。

Quan CollectionQuan Collection

理想的なバイクの所有台数は、常に現状+1台だという人もいますし、離婚手続きが開始される限度の台数−1台だという人もいます(笑)。懸命に増えるのを抑えている人、配偶者の機嫌をとるのに四苦八苦している人、密かにトランクルームを借りている人もあるかも知れません。

自転車も、ロード、MTB、フォールディングなどと使い方を考えると、どんどん増えていってしまいます。同じ種類でもブランドの違いもありますし、それを買った時の経緯とか、乗っていた時の思い出が刻み込まれていきます。なかなか捨てるのは困難であり、いったん増えてしまうと減らすのは容易ではありません。

「こんまり流」では、種類ごとに片付けていきます。服、本、書類、雑貨といった感じです。その中で、「思い出の品」の処分が難しいことは、近藤さんも認めています。思い出の品な上に、かさばります。やはり、増えてから困らないよう、なるべく増やさないのが賢明なのは間違いなさそうです。




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東京五輪のマラソンと競歩が札幌に決まりました。今まで対策を評価していたのに、相談もなく手のひらを返し、決定を押し付けるやり方には疑問が残ります。ロードレースやトライアスロンはそのままで大丈夫なのでしょうか。

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