November 21, 2019

便利さと危険性は背中合わせ

SNSの普及で私たちの生活は便利になりました。


家族や友人との連絡から、災害時の行政による情報提供まで幅広く使われるようになっており、さまざまな場面で大いに役に立っています。スマホの普及とあいまって、もはや欠くことの出来ない社会インフラとなっていると言っても過言ではないでしょう。

ただ、社会的に有用なのは間違いないとしても、良い側面ばかりとは限りません。Twitterや、Facebook、インスタグラムや、YouTubeなどの動画投稿サイトも含め、個人が社会に向けて気軽に発信できる手段が手に入ったことで、問題行為が誘発されることもあります。

集団暴走例えば、少し前まで盛んに話題となった、いわゆるバイトテロもその一つです。アルバイト先での悪ふざけの動画投稿が拡散して、批判が集中する事例が続出しました。なかには、衛生への懸念やイメージ悪化でお客が入らなくなり廃業するなど、悪ふざけで済まないケースも出ています。

世間に知られることのなかったことを、個人が広く発信できるようになりました。このため、これまでであれば、やらなかったような行為をあえてする人もいます。SNSで多くの人に見てもらったり、自慢するため、やる意味が出てきたわけです。これが問題行為を促す形になっています。SNSの負の側面と言えるでしょう。

最近問題となった事例には、自転車に関連するものもあります。テレビなどでも取り上げられたので、ご存じの方も多いと思いますが、大阪の商業ビルの中の通路を自転車で暴走して動画撮影し、ツイッターに投稿して炎上しています。ニュースを引用しておきます。


大阪・難波の商業施設で自転車が集団暴走

集団暴走南海電鉄難波駅(大阪市中央区)に直結する商業ビルで、自転車で集団暴走する様子を写したとみられる動画がツイッターに投稿されていたことが13日、わかった。数台の自転車が通行人の間を前輪を上げながら走行。南海は施設内の防犯カメラで暴走行為を確認しており、大阪府警も事実確認を進めている。

南海によると、暴走があったのは同社が運営する商業施設「なんばCITY」の本館1階。12日午後11時ごろ、数台の自転車が施設北側から進入し、約2分間にわたって暴走する様子が防犯カメラで確認された。施設内での自転車の走行は認められていない。

当時、施設の店舗は閉店していたが、直結する難波駅では電車は運行中。通行人もいたが、けが人や施設の破損はなかった。「非常に危険で悪質な行為。強い憤りを覚える」としている。同じ施設では今年7月にも同様の集団暴走が少なくとも2回あったという。(2019.11.13 産経新聞)


ビル内の通路で、自転車で走行するような場所ではありません。歩行者も多く、動画を見るとウイリー走行したり、スピードを出して歩行者の間をすり抜けたりしています。非常に危険な行為であり、歩行者と接触、衝突したりすれば、死傷事故になってもおかしくありません。

集団暴走事故になれば賠償責任も生じますし、悪質な違法行為として刑事罰もありえます。非常識極まりない行為をあえてやるのは、SNSに上げて自慢したいのでしょう。浅はかなだけでなく、社会にとって危険で迷惑であり、悪ふざけで済む話ではありません。大きな批難が寄せられるのは当然です。

ツイートには「パトロール部隊」「今日も安全を確認致しました」とのコメントも添えられており、面白半分なのでしょう。施設側は、まったく想定していなかった行為としていますが、驚くような場所でやるのが目的なのでしょうから、それも頷けます。

その後、炎上したことを受け、このTwitterのアカウント主は、謝罪のツイートを投稿したようです。あまりの反響の大きさに驚いて、いったんは反省したようです。しかし、それで終わりませんでした。その後の開き直った言動が報じられています。


大阪「なんば駅ビル商店街」自転車暴走は40代男だった!「そんなに社会問題なのか」と開き直り

通行人や買い物客でごった返す大阪市・南海なんば駅の駅ビルの中を、自転車で暴走したグループが非難されているが、40代のいい大人だというから呆れる。暴走映像はツイッターに投稿され、6台が歩行者のすぐ横をすり抜けていく。スピードが上がっていて、巻き込まれたらかなり危険だ。

グループの最年長という40代の男はこう開き直っている。「やったことは悪いって認めるんで、お詫び申し上げる。ただ、商店街の中でフロントタイヤを上げウイリーして走っただけ。それが、そんなに社会問題なのか。僕はある程度疑問ではあります。僕らがやりたいのは自転車の競技人口を増やして広げたいだけ」

大阪府警「厳正に処分する」

このグループは大阪を拠点にマウンテンバイクでアクロバットを披露するパフォーマンスチームで、メンバーはこの40代男性のほかは20代だという。これまで、数多くのイベントやアーティストのミュージックビデオに出演してきた。

ビルを運営する南海電鉄広報部は「今年7月(2019年)にも同じような暴走行為が2回ありました。非常に悪質なので、警察と連携を取り、毅然とした対応を取ります」としている。大阪府警は「なんらかの法令違反があれば、厳正に処分する」という。(後略 2019/11/15 J-CASTニュース)


危険行為を、『そんなに社会問題なのか』との開き直りには呆れます。『自転車の競技人口を増やして広げ』るなど、おこがましい限りです。むしろ自転車乗りに対する社会の反感が高まるだけです。こんなものは競技ではなく、自転車乗りとしても迷惑です。証拠があるのですから、警察には厳重な処分をお願いしたいところです。

若気の至りではなく、四十代というのにも呆れますが、こういう分別がなく軽薄な人も一定程度存在するのでしょう。でも、SNSで披露できるようにならなければ、やる甲斐もなく、起こらなかったかも知れません。その意味でSNSの負の側面であり、今どきならではの現象と言えそうです。


マウンテンバイクで神社の階段下る 投稿動画に批判続出

暴走動画外国人男性とみられる2人が自転車で、日本国内の神社の階段を下ったり、公道を走行中のトラックやバスにつかまって走ったりする動画が動画サイト「ユーチューブ」に投稿され、「危険だ」と批判が出ている。

2人は清涼飲料メーカーのモンスターエナジー社(本社・米カリフォルニア州)とスポンサー契約を結ぶマウンテンバイクのアスリートとみられ、日本法人のモンスターエナジージャパン合同会社は「本社と協議の上で対応を検討する」としている。

動画は約11分30秒。東京の渋谷駅周辺などで撮影され、今月10日に投稿された。2人がヘリコプターから降り立ち、それぞれ自転車に乗って公道や公園などを疾走。神社では階段を一気に下り、車道では走行中のトラックやバスの後部につかまって走っている。公社住宅の案内表示板に飛び乗ったり、東京・浅草の浅草寺の境内に乗り入れたりする場面もあった。(2019年11月15日 朝日新聞)


こちらも危険で迷惑な行為です。歩行者の間をスピードを出してすり抜けており、死傷事故と紙一重です。歩行者が少し予想外の挙動をしたら、接触は免れないでしょう。大坂と同じですが、こちらは外国人、スポンサー契約を結ぶマウンテンバイクのアスリートというので呆れます。

暴走動画たしかに日本では、自転車が歩道を走るという野蛮な行為がまかり通ってはいます。でも、だからと言って、このように、わざと危険な行為をするのは許されません。よその国に来て、不法で迷惑な行為をしているというだけでも不愉快な人は多いに違いありません。

この外国人は、“Sam Pilgrim”と名乗るユーチューバーであり、2人はモンスターエナジー社と契約するプロだということです。動画には信号無視や、人の多い歩道や神社を爆走、トラックやバスに掴まって走行するなどの違法行為をする様子も収められています。

この会社は厳重な処分をすべきです。そうでなければ企業としての社会規範を疑われる話だと思います。マウンテンバイクでアクロバティックな技を動画で披露するプロはいますが、違法行為が含まれ、周囲に危険と迷惑をかけている点で、それらと一緒にするわけにはいかないでしょう。


ながらスマホ自転車とめて運転者の顔動画公開―「勘違い正義マン」「いやアリだ」ネットで賛否

自転車を運転中にスマホを操作していた人物を追いかけ、後ろから笛を鳴らして止めてながら運転を非難し、「動くな」「降りろ」と威嚇しながら警察に通報。その動画を顔出しで4日(2019年11月)にユーチューブで公開した男性の行為が物議をかもしている。

ネット上は「アリなんじゃないの」「典型的な"正義マン"」「これヤバい人じゃん」など賛否が渦巻いている。動画を撮影・投稿した自称「PJ.アイスマン」を直撃すると、「僕がいいと思うことをやっている。世間がどう思うかは知りません」と話す。「危ない運転をしているヤツ、悪意があるようなヤツ、巻き込みそうな人を注意しようという意識が強い。警察もやっていることだろうとは思うけど、僕の目の前でやっていたら注意しようという感じ」という。

「悪質な人間には肖像権ない」とモザイクもかけず

動画では、止められた男性がアイスマン氏に「警察ですか?」と聞くと、「呼ぶから逃げるなよ」とハンドルを押さえ、「スマホで片手運転をしている人がいる。違反切符持ってきて」と警察に連絡する様子もある。到着した警察官に引き渡したあと、「注意喚起のために(動画公開を)やらせてもらうから」と一方的に通告し、顔にモザイクをかけるなどの処理もせずそのまま公開する。

ネットで賛否動画を無加工で公開していることについては、「悪質な人間に関しては、肖像権、名誉棄損、侮辱罪などはどうでもいい」と答えていた。

了承得ないで公開は「名誉棄損罪」

菅野朋子弁護士は「ながらスマホ運転は道路交通法違反で5万円以下の罰金」で、アイスマンの行為自体は問題ないが、動画をネット上に公開したことについては「公開動画で本人の顔がわかり、ネット公開に了承を得ていないため、名誉棄損罪に問われる可能性があります。刑事罰だけでなく、慰謝料を請求される可能性もあります」と指摘している。(後略 2019/11/15 J-CASTニュース)


こちらは、少しタイプが違います。正義感から、ながらスマホを注意する人物がネットで話題になっています。記事にもあるように、これには賛否が分かれているようです。まず第一に悪いのは、自転車に乗りながらスマホを使っている人です。悪気はないかも知れませんが、周囲に迷惑と危険を及ぼしています。

実際に死傷事故も起きており、道路交通法違反です。警察も取締りをしています。その意味で、ながらスマホが悪いのは間違いありません。この人がなぜ、それを咎める行為をしているのか定かではありませんが、注意をすること自体は責められることではないでしょう。

一般的には、注意をしても、『おまえには関係ない』とか、『おまえに言われる筋合いはない。』などと言われるのが関の山と考えると思います。警察官でもない限り、取り締まる権限はありません。トラブルになってもつまらないですし、自ら注意をしようとは思わないでしょう。

それを、あえて行動するのですから、基本的には正義感の強い人物なのだろうと思います。警察に通報すれば終わる話ですが、同様の行為がおさまらない状況に憤りを感じ、さらに動画を撮って公開することで、見せしめにして、抑止力にするという主張のようです。

ただ、記事にもあるように、名誉棄損になるようですし、下手をすればトラブルになりかねません。警察を呼ぶのはいいとしても、動画の無加工の公開は問題と言えそうです。正義と思うことを実行するのは、その人の勝手ですし、文句をつけるつもりはありませんが、トラブルにならないよう注意したほうが賢明だと思います。

実際には、このような人が現れるのは、あえて賛否の分かれるような動画を投稿することで、ユーチューバーとして注目を集め、再生回数を増やして広告収入を増やす意図があると見るのが一般的でしょう。その意味で、これもSNS時代ならではのことであり、話題にするのは、投稿主の思うつぼなのかも知れません。


元SKE松村香織、自転車故障をSNSで報告したら「1週間後直ってた」

SNSで報告元SKE48の松村香織(29)が4日放送のインターネットテレビ局Abema TV「おぎやはぎの『ブス』テレビ」(月曜後9・0)に出演。もらってうれしかったプレゼントのエピソードを語るも、共演者から悲鳴があがった。

番組では「ブスのプレゼント」というテーマでトークを展開。松村は「もらってうれしかったプレゼント」として壊れてしまった自転車を修理してもらったことを挙げた。

当時、乗っていた自転車のスタンド部分のバネが壊れてしまい、駐車できずに困っていたという松村。「それを何も思わずSNSに載せたんですよ。『自転車壊れちゃった』みたいな。1週間後くらいにパっと自転車を見たら、黒い部品の中にシルバーの部品が入ってて、直ってたんですよ。誰かが直してくれて」と語ると、スタジオからは「怖〜い」と悲鳴があがった。

MCを務めるお笑いコンビ、おぎやはぎらが住所や駐輪場を把握されていたことを心配すると、松村は「マンションのエントランスにとめるタイプだったから、たぶんわかってた人がいたと思う」と説明。当時は「ラッキー」程度にしか思っていなかったという。

プレゼントの“贈り主”については「今でも誰がやったかわからない」とした。(2019.11.5 サンスポ)


こちらも、別の意味でトラブルになりかねません。自転車が壊れたことをSNSに載せたら、誰かが修理してくれたこと自体は、被害ではなく利益かも知れません。しかし、一般的に、女性にしてみれば不気味で怖い話でしょう。この方は気にしてないようですが、単にラッキーでは済まない可能性があります。

実際に、地下アイドルとされる女性が、SNSでのやり取りに腹を立てたストーカーに襲われたりしています。アイドルでなく一般の女性でも、ストーカーに襲われて死傷する事件はいくつも起きています。不用意にSNSに写真などを投稿したために、住所などを特定され、つきまとわれ、エスカレートする危険があります。

SNSは便利ですが、炎上して思わぬ損害を被ったり、ストーカー殺人のきっかけになったり、留守が特定されて空き巣に入られるなど、さまざまな事件が起きています。深く考えずに投稿してしまいがちですが、利便性と危険は背中合わせと言っていいでしょう。

今回は、SNSと自転車絡みで最近の事件を取り上げてみました。SNSで生活が便利になる一方で、これまでは起こりえなかったような事件が起きています。SNSに上げるため、ネタを作ろうと考えたり、そうでなくても動画や写真を安易にアップしがちですが、思わぬ災難を招かないよう注意したいものです。




◇ ◇ ◇

香港での抗議活動が過激化する中、米下院が香港人権法案を可決、米中の貿易合意はどうなるのでしょうか。

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この記事へのコメント
cycleroadさん,こんばんは.暫くです.

自転車の曲乗り走行,やって良い場所と悪い場所があるのは当然で,そのような常軌を逸した行為をされては底辺拡大にも逆効果になるのは仰る通り,当たり前の事です.リーダー格が40代というなら,練習場所の確保等々,もっと大人らしい対処法を考えて欲しいですね.

また今般,“ながら運転”に罰則が強化されましたが,ネット上のコメント欄では当然の如く「自転車ももっと取り締まれ」という主張に支持が集まっていますが,自転車自体を嫌いな人ほどそういう傾向が強いように感じるのは私だけでしょうか.
Posted by マイロネフ at December 01, 2019 21:27
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
非常識な走行をしておいて、自転車の競技人口を増やして広げるためなんて、図々しい話ですよね。
SNSや動画投稿サイトのせいで、目立とうとするがために愚かな行為をする人たちが増えているようです。
ながらスマホをする迷惑な自転車利用者がいるから、自転車が嫌いになるのか、自転車が嫌いだからそのような批判をするのかはわかりませんが、スマホを使いながらの自転車走行は危険で迷惑なことは確かだと思います。
Posted by cycleroad at December 04, 2019 20:18
 
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