December 27, 2019

捨てたゴミはどこへ行くのか

どうしても掃除は必要になります。


折しも大掃除シーズンですが、そうでなくても普段から掃除はします。掃除をしないと、どうしてもゴミがたまって不衛生になりますし、気分もよくありません。家の中だけでなく屋外の掃除も、行政による道路清掃や、個人や地域での清掃活動などが行われています。

最近は、街中や公共の場所、海岸などで、ゴミ拾いをスポーツのようにして清掃を行うボランティア活動もあります。ゴミが落ちていると、どうしてもゴミを呼んでしまいます。ゴミが落ちていない状態にしておけば、人間の心理としてゴミを捨てにくくなるため、比較的キレイに保たれる効果が期待出来ます。

ただ、身近でも比較的見落とされがちな場所があります。川です。川にゴミが落ちても沈んで見えなくなるか、流れて行ってしまいます。澱んだ場所に溜まることもありますが、大雨でも降れば、それも流されてしまうでしょう。川岸を清掃することはあっても、川の中のゴミまで拾うことは少ないと思います。

必ずしも川に降りるのが簡単とは限らないですし、ごく浅い所以外は、ボートなどが必要になるでしょう。都市を流れる川には、意外にゴミが溜まっている場所があったりしますが、あまり陸上から目に入らないことも多いため、気にならないこともあるのかも知れません。

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さて、そんな川に着目して、川のゴミ拾いをしている人がイギリスにいます。Dhruv Boruah さんたちのグループです。彼らが行っているのは、『プラスチックごみを収集するための、川と運河のサイクリング』です。水上をサイクリングしながら、ゴミを拾う活動です。

Dhruv Boruah さんがヨットレースに参加した時、ウミガメがプラスチックごみに絡まって苦しんでいるのを知ったのがきっかけです。プラスチックごみによる海洋汚染の深刻さを知り、そして、ゴミの8割方は川から流出するという事実を知り、行動を起こすことにしました。

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彼が使ったのは、自転車を2本のフロートに固定した、いわば水上自転車です。水面に浮かび、滑るように進みます。この水上自転車を使う理由は、まず目的地の川や運河まで移動する時に、普通に陸上を移動する手段として使えるからです。岸辺についたらフロートを膨らまし、自転車を固定します。

ペダルに連動して、小さな水中スクリューが推進力を生むようになっています。都市部の川や運河で、それほど速い流れでなければ十分でしょう。ゴミを探しながら移動し、マジックハンドのようなゴミ掴みでプラスチックごみを拾い、網の中に入れていきます。

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彼はこの活動を2017年の9月、身近なロンドンのテムズ川から始めました。その後、イギリスを中心に、各地の川や運河に出かけています。目的地までは陸上をサイクリング、着いたら水上サイクリングです。そして同時にプラスチックごみを回収するわけです。

多い時には、1日に小型トラック一杯分、275キロのゴミを回収したこともあります。ただ、当然ながら、彼と仲間が回収できるプラスチックごみは、全体から見ればごく僅かな量に過ぎません。次から次へとゴミは流れ込みます。ロンドンの水路だけであっても、彼らだけでは、到底ゴミを無くすことは出来ません。

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彼は、この活動を川沿いで見た人たちに、反省や共感を感じて行動してもらいたいと考えているのです。水上に浮かんだ自転車に乗っているたげで目立ちます。興味を示す通行人と会話も生まれます。この点でも、水上自転車という手段が役に立っているわけです。

この活動に参加する人も募集しています。もちろん、ボートやカヌーでも構いません。そして、この活動が広く知られ、多くの人にプラスチックごみの問題を考えてもらうことを望んでいます。自分で拾わないまでも、川にゴミを流出させないよう、多くの人に行動を起こして欲しいと考えているのです。

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プラスチックごみによる海洋汚染の問題は、かわいそうなウミガメや水鳥だけの問題ではありません。プラスチックゴミが、紫外線や波の作用で細かい粒子状のマイクロプラスチックとなり、それが魚や海洋生物の体内に蓄積し、生態系への脅威となっています。

最終的には、私たち人間の体内に入ります。動物実験によれば、血管やリンパ管にまで入り込むと言います。マイクロプラスチックは、有害物質を吸着して濃縮することもわかってきました。魚や貝に含まれるマイクロプラスチックは目で見えないほどの細かさです。私たちは知らないうちに、それを食べているわけです。

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最近は、水道水もマイクロプラスチックに汚染されているという研究もあります。食べたり飲んだりしても、すぐに症状は現れません。しかし、長い間に体内に蓄積していき、中毒、脳損傷、ホルモンの問題、生殖と性の問題が起こることが報告されています。人類にとって、深刻かつ喫緊の課題なのです。

プラスチックは、1950年代に大規模な生産が始まりましたが、とても便利な素材なので、広く使われています。これをすぐに使用禁止にするのは困難です。他の素材や、生分解性プラスチックなどに置き替えるとしても、一朝一夕にはいきません。その間もマイクロプラスチックは増えていきます。



せめて当面は、ゴミを海に流出させないようにすべきです。川に直接ポイ捨てしなくても、路上のゴミや、ゴミ箱からこぼれたゴミが風に吹かれて川に落ち、やがて海に流れ着きます。川からの流入が8割です。2050年には海洋プラスチックごみの量が、海にいる魚の量を上回るというショッキングな予測も発表されています。

日本でも、来年7月から全国の小売店にレジ袋の有料化を義務づけることが先日決まりました。プラスチックごみを減らそうという取り組みです。少しずつ問題が認知されつつあります。しかし、個人的には、プラスチックごみの問題というと、レジ袋ばかりが槍玉に上がり、問題を矮小化させている気がします。

もちろんレジ袋も原因ですが、その量は、プラスチックごみ全体の1〜2%に過ぎません。海洋汚染の原因となるプラスチックごみは、もっと他から大量に生まれています。ストローや使い捨てカップに限らず、プラ容器とかオモチャとか、さまざまなプラスチック製品がゴミとなり、海洋に流れ出ているのです。

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レジ袋をやめてエコバッグに換えるだけでは全く不十分です。プラスチック製品を、間接的に川へ、そして海へと流出させていないでしょうか。この問題の解決は容易ではないですが、Dhruv Boruah さんも、まず自分たちで出来ることから行動を起こそうと呼び掛けています。

水上でのゴミ拾いサイクリングに参加する人は限られるでしょう。川の掃除は簡単ではないとしても、ゴミを流さないようにすることは出来ます。例えば、ふだんは水の流れていない側溝でも、ゴミが落ちていれば、大雨で川に流出する可能性があります。そんな身近なところから気をつけたいものです。




◇ ◇ ◇

今回の話題は、このブログの読者の方から情報をお寄せいただきました。Jamisさん、ありがとうございます。

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この記事へのコメント
cycleroadさん、さっそく記事になさり、上手にまとめられますね。 自分たちでできることを今日からやっていきたいですね。
Have a great vacation!!
Posted by Jamis at December 27, 2019 20:57
Jamisさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
日本ではレジ袋ばかりにスポットがあたりますが、もっと出来ることはありそうですよね。情報ありがとうございました。
Posted by cycleroad at December 28, 2019 20:39
 
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