いわゆる、“
MaaS ”(Mobility as a Service)です。今後、鉄道やバス、タクシー、ライドシェア、シェア自転車、その他の移動手段が有機的につながって、移動の利便性、効率性を高める動きが広がると言われています。経営は別だったとしても、互いに連携することで、消費者の利便性は向上することになります。
将来的には、別々に座席を予約したり、乗り継ぎの際にいちいち料金を支払ったりする必要はなくなり、全てスマホで決済できるようになるでしょう。それぞれ別の会社の乗り物だったとしても、地域を周遊すると割安になったり、宿泊や食事や買い物など、他のサービスとの連携も広がっていくに違いありません。
日本でも、鉄道会社などが中心となって連携を模索し始めているようですが、海外の場合はライドシェア会社、例えば、Uber、Lyft、Grab、滴滴出行、Ola、といったところが牽引する場合が多いようです。元々ライドシェアは、自家用車で移動する人たちの相乗りからスタートしました。
クルマで同じ方向に移動するなら、1人より相乗りしたほうが効率的で、省エネ、渋滞や環境負荷も減らします。それが、自家用車で小遣いを稼ごうという人と、タクシーより安く移動したいという人のマッチングへと発展し、これが大きな需要を呼んで、瞬く間に世界へ広がりました。
日本では白タク行為となるため、一部を除いて規制されていますが、新興国などでは、爆発的に普及しました。元々あった地元のタクシー等が、ボッタクリや遠回りなどで不評だったところへ、あらかじめアプリで行先を指定でき、料金が明快で確定できるなどの機能を実現したのが選ばれた理由でしょう。
スマホで簡単にクルマを呼んだり、決済まで出来るのは便利です。ドライバーも、お釣りなどを用意しなくて済みます。そして、このスマホのアプリで利用するというスタイルは、“MaaS”へ発展させる上で有利になります。この点から、次世代の“MaaS”をリードする形になるケースが多いようです。
ライドシェアの会社も、今は大企業になっていますが、元々スマホを利用したITベンチャーとしてスタートしており、意思決定と展開が速いという点も有利に働いたのでしょう。名だたる世界的企業、クルマのメーカーも、この動きに“MaaS”のワンピースに過ぎなくなるとの危機感を抱いています。
ライドシェアの会社の中には、労働者との間でもめているところもあります。今は、ライドシェアの運転手は人間ですが、これが自動運転になれば、状況は一変するでしょう。ライドシェア会社は、大手のIT企業や投資ファンド、テクノロジー系の企業と連携し、自動運転の分野でも存在感を高めています。
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ライドシェア各社は現在、世界各国へ進出したり撤退したり、シェア争いをしたり、売却や統合などの合従連衡を繰り返したりしています。北米では、Uberと、Lyftがシェアを争っています。両社は、自動運転以外にも食品配達や、シェア自転車、シェアスクーターなど、いろいろな戦略を展開しています。
ところで、“
Lyft ”は昨年9月、自社アプリの自転車向け機能を強化しました。地図に、自転車レーンのある道路を表示させたり、自転車に優しい、走りやすい推奨ルートを表示させる機能を搭載しました。サイクリストが安全に自転車に乗れるようにするためです。こうした機能を提供するのは同業者の中で初としています。
リフトは、シェアサイクルも展開していますが、シェア自転車の利用者でなくても構いません。自分の自転車でもアプリを使って、安全なルートを選んで走ることができます。今でも一般の地図アプリで、目的地へのルートの検索は出来ますが、自転車に優しいルート、走りやすいルートを選べるのは、また別の価値があります。
ただ、シェア自転車を使おうという人ならともかく、自分の自転車に乗るサイクリストは、リフトのサービスを使いそうにありません。あまり同社にメリットがないように思えます。それなりに開発費を使っているだろうと思いますが、単なるイメージアップ作戦なのでしょうか。
しかし、自分の自転車に乗るサイクリストも、他の移動手段を使わないとは限りません。どこかまで輪行するかも知れませんし、時間調整などのため、途中電車を使ったりするかも知れません。疲れたら、ルートを変更したり、天候の変化やトラブル等で代替手段を探したり、自転車を運んで帰ることもあるでしょう。
もちろん、週末のツーリングならともかく、ふだんは自転車以外の交通手段で、どこかに出かける時もあるはずです。リフトのアプリを使っていれば、自然と使いやすくなり、必要な時にはリフトのサービスを使うことになる可能性は高いと思われます。
ライドシェア会社としては、個々のサービスをアピールすると共に、クルマか自転車かにかかわらず、広く利用者を囲い込もうとしているようです。どういう手段で移動するか、あるいはアプリを利用する入り口はそれぞれだったとしても、まずアプリを使う人を広げるのが大事ということなのでしょう。
必ずしも利益に直結しない機能をわざわざ搭載したように見えますが、すべての移動する人を取り込んでいくのが、遠回りのようで実は大切な戦略ということのようです。競合他社に勝つことも重要ですが、もっと大きな戦略に基づいて展開しているのでしょう。
鉄道にしても、バスやタクシーにしても、実際に移動サービスを担うのは、それぞれの交通機関、事業主体です。しかし、消費者が使うアプリは、ライドシェアのアプリということになるのでしょう。既存の交通機関は、ライドシェアの会社に主導権を握られてしまうことになる可能性は高いと思います。
ライドシェアや自転車シェアなど、自社のサービスを使ってもらうことも重要です。しかし、ライドシェアの会社は、次世代のモビリティのプラットフォームとなることを狙っているに違いありません。つまり、個々の交通機関ではなく、アプリが移動のプラットフォームになるわけです。
日本では規制もあって、タクシーの配車などは別として、ライドシェアの会社がまだあまり展開されていません。例えば、ソフトバンクグループの孫正義社長は、世界の趨勢から取り残された「ガラパゴス」になり、日本の衰退につながるとして、その危機感と国への批判を表明しています。
移動の方法は人それぞれです。クルマに乗る人、公共交通を使う人、職場まで自転車通勤するようなサイクリストもいます。しかし、全ての移動する人は、好むと好まざるとに関わらず同じアプリ、一つのプラットフォームを利用する、利用しないと不便になる、それが、“MaaS”ということなのだろうと思います。
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巷ではマスクが品切れ状態ですが、専門家はマスクにウィルスを遮断する効果はないと言います。手で鼻や口をさわらない効果はありますが、それなら使い捨てでないフェイスマスク等でもいいでしょう。政府がこのことを周知すれば、マスク不足も緩和するのではないでしょうか。これから花粉症の症状が出る人も増えるでしょうし...。
Posted by cycleroad at 13:00│
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