失敗は成功の母とか、“Failure teaches success.”など、洋の東西を問わず、同じようなことわざがあり、これは普遍的な真理と言っていいでしょう。どんなことであっても挑戦に失敗はつきものですし、失敗なくして成功なしとするならば、失敗を恐れるべきではありません。
前々回、スティーブジョブズが、『消費者が望むものを提供しろと言う人もいるが、それは私のやり方ではない。我々の仕事は、彼らが欲しくなるであろう製品を見つけ出すことだ。』との言葉を残していると書きました。さすが、カリスマは考え方が違うと思わせます。
しかし、彼が出したものが、必ずしも人々の欲しいものだったわけではありません。Apple のコアなファンならご存じだと思いますが、過去には、ニュートン、Apple LISA、Next、PowerMac G4 Cube、MobileMe など数多くの失敗作、サービスがあります。iPhone などのヒットに隠れていますが、たくさんの失敗をしているのです。
2回にわたって、新しい自転車用品を世に問う人たちを取り上げました。でも日の目を見るのは、ごく一部であり、その陰には人知れず、たくさんの失敗作が眠っているのは間違いありません。ただ、以前と比べて失敗しやすくなっているのも確かでしょう。クラウドファンディングサイトの存在です。
新しく開発した製品を製造し、店舗に並べて全然売れなかったら、その損失は莫大です。しかし、クラウドファンディングならば、失敗しても大きな損害ではありません。言ってみれば、失敗しやすい時代と言えるわけですが、日本でもクラウドファンディングが広がってきました。今回は日本での提案を取り上げます。


こちらは、“
SAFE-TEC TYR-2”、骨伝導で音楽を楽しめる自転車ヘルメットです。手元のリモコンでLEDライトによるウィンカー、方向指示が出せたり、自動でブレーキランプを点灯させることも出来ます。夜間の視認性にも配慮したヘルメットです。
耳をふさがずに音楽や通話が出来ます。実際には、周囲の音が聞こえていても、音楽などに気を取られて注意散漫になるのも危険なわけですが、耳をふさぐよりはマシと言えるでしょう。自転車用のヘルメットは、頭部の保護専用から、いろいろな機能を持たせようというのが最近の傾向のようです。
日本では、ママチャリに乗る人でヘルメットをかぶる人は、ほとんどいませんから、スポーツバイクに乗る人がターゲットになるでしょう。ウィンカーやブレーキランプなどの機能を実現するグッズはいろいろありますが、ヘルメットに集約できるという点で便利かも知れません。


夜間の視認性と言えば、リフレクターも大切です。こちら、“
FRAME FLASH”や、“
FLA”は、自転車に貼るシールタイプのリフレクターです。主に、足りないと言われる側面方向の夜間視認性を高めます。どちらも反射性能の高さ、防水性や耐久性などをアピールしています。
一般的に、夜間の視認性について、あまり関心を持たない人が多いと思います。ライトやテールライトならともかく、側面方向の視認性が足りないことを意識したことのない人も多いはずです。また、シールを貼ったとしても、その効果を実感しにくいのも弱点でしょう。
自転車用品の中でも、あまりポピュラーではなく反応も小さいのかと思えば、どちらも目標金額の10倍、16倍もの応札を集めており、意外にもニーズがあることがわかります。今のところ、貼っている人は少ないわけですが、そのぶん市場拡大の余地は大きいのかも知れません。


こちらは、“
eShades”、瞬間調光サングラスです。スポーツバイクに乗る人で、なんらかのアイウェアを使用している人は多いと思います。アイウェアは走行中、ホコリや小さな虫などが目に入るのを防ぎます。目に入ると痛いのもありますが、突然、目を開けていられなくなる危険を避けるために重要です。
アイウェアとしては、サングラスをかけている人が多いと思います。サングラスは、太陽の眩しさを和らげ、逆光の際の視界を確保します。しかし、サングラスのままトンネルなど暗い場所に入ると、暗くて前方が見にくくなるのが難点です。夕方、暗くなってきた時も見えづらくなるでしょう。
そこで、色の濃さが変わる調光サングラスがあるわけですが、従来のものは色が変わるのに時間がかかります。これは、わずか0.1秒で変わるのが優れています。レンズ部分にフィルム液晶を使用、光センサーで暗さを検知して切り替わりますが、ソーラーパネルで駆動するので、電池は必要ありません。


こちらは、「
ピラルク レインシェイカー」、レインウェアです。ママチャリに乗る人は、ビニール傘を片手でさしたり、傘を固定する器具を使っていたりします。しかし、危険ですし、実用的とは言えません。スポーツバイクに乗る人は、レインウェアやポンチョなどを使うのが現実的だと思います。
雨の日には自転車に乗りたくないと思っていても、途中で降られることもありますし、どうしても雨中走行が必要な場合もあります。降り方によっては濡れることも覚悟しなければなりません。しかし、従来のものでは視界が悪い、着心地が悪い、蒸れるといった不満も多いのではないでしょうか。
この製品は、そうした不満を解消すべく、回転式フード、着脱式レインバイザー、撥水・防水・透湿性の高い生地、立体裁断、晴れの日でも使えるデザイン、そのほか細かい部分にも多数の工夫がなされています。これは、目標の50倍もの応札があったのも理解出来ます。


こちらは、「
MUNI マグネットスタンド」、グリップエンドに取り付ける磁石です。スポーツバイクには一般的にスタンドがついていませんし、後付けでも取り付けたくない人は多いでしょう。そうすると駐輪時、自立させておくことが出来ません。壁や柵など、何かに立てかけておいたりすることもあると思います。
そのような時に、グリップエンドの磁石で安定させようという製品です。磁石なので、磁石がつく金属でないと意味がありませんが、付属の鉄板を、よく立てかける場所に両面テープで貼ることができます。室内保管の際、定位置に貼って使うようなことも可能です。
基本的にストレートハンドル、フラットバー用ですが、クロスバイクなどなら使えるものも多いと思います。自販機、ガードレール、金属性手すりなど、意外に使えるところはあるかも知れません。邪魔になるものではないので、装着しておいても損ではないというところでしょうか。
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日本のクラウドファンディングサイトでも、いろいろな自転車用品が提案されています。ここで取り上げたのは目標達成したものばかりですが、到達するとは限りません。挑戦をすれば、当然ながら失敗することもあると思いますが、消費者としては、今後も便利でユニークなグッズの提案を期待したいところです。
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アメリカ民主党の候補者選びが白熱、大統領選の結果は日本にも影響を及ぼしますから、行方が気になります。
Posted by cycleroad at 13:00│
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