昨年の今頃は新元号の発表にわいていましたが、今年は一変してお祝いムードとは程遠い状況です。言うまでもなく、新型コロナウイルス感染拡大のせいで、学校再開を先送りする自治体も多くなっています。入社式をオンラインで行うなど、企業も対応に苦慮しています。
新生活が始まるので、例年は自転車の購入が増える時期でもあります。しかし、やはりコロナの影響で中国からの部品が入ってこないため、ニーズはあるのに商品が足りない状況だと言います。世界的な傾向ですが、特に電動アシスト自転車が不足しており、入荷の見通しが立たないそうです。
新型コロナ 自転車販売にも影響
感染拡大が新生活に影響 “電動アシスト自転車”が在庫不足
電動アシスト自転車 一部で生産滞る 中国から部品調達できず
なぜ?電動アシスト自転車が在庫不足に…新型コロナの影響は新生活にも
一方で、例年とは違う需要が発生していることが指摘されています。まだ正確な数字が出ているわけではありませんがも、一部の報道に出ているのは、コロナの影響から、新生活でなくても、新たに通勤通学に自転車を使おうとする人が増えているというのです。
最寄り駅までとは限りません。電車やバスなどの公共交通機関を避けるため、場合によっては職場まで直接の自転車通勤、または通学しようという人も増えているようです。東京のように平均の通勤距離が長いと、簡単でないこともありますが、それ以外の地域ならば、十分に可能な場所は多いでしょう。
自転車人気高まる 背景に例年とは違う事情も
コロナを避けて本格スポーツバイクで自転車通勤を 兵庫県川西市でレンタル提供
もともとは高齢者のリスクが高いと言われてきたコロナウイルスですが、最近のデータでは、感染者の半分以上が40歳台以下だったり、若い世代でも重症化するリスクが指摘されています。テレワークなどに移行する企業もありますが、依然として通勤の必要がある人も多いでしょう。
日本人なら知らない人はいない、志村けんさんも亡くなられました。感染が発表されて亡くなるまでの早さに驚いた人も多かったはずです。専門家は、感染すると急激に悪化する事例も少なくないと警告しています。突然、倦怠感を感じたかと思ったら、翌週には亡くなっているかも知れないわけです。
感染しても、多くの人は症状が無かったり、軽症だったりするとは言うものの、突然重症化する人もいて、そうなると救えないケースも多いと聞けば、怖くなった人も多いに違いありません。急にそのリスクを身近に感じて、通勤や通学を自転車にしようと考える人が増えても不思議ではありません。
職場までの自転車通勤は、近年注目されることが増え、実際に始める人も増えていましたが、このコロナ禍で、さらに増加する可能性があるわけです。コロナのせいと言うのは残念ですが、自転車を使うことで感染拡大抑止に貢献できるならば、この傾向は悪いことではありません。
さて、そうした理由からも、この機会に利用者を拡大させたいと考えている企業があります。駐輪場シェアサービスの「
MINIPA(ミニパ)」です。これは、個人宅や企業のちょっとした空きスペースを、貸し駐輪場として登録し、簡単に貸し借りできるようにする、駐輪場シェアサービスです。
先月末から最大6ヶ月間、
貸主への手数料を無償化するキャンペーンを行っています。いわゆる三密を避けるのに自転車通勤が有効であるものの、都市部では駐輪場が不足しています。そこで、通勤に使える駐輪場所を増やすことが、新型コロナウイルス感染対策になるというわけです。
たしかに、自転車通勤を始める場合、勤務先に駐輪場が備わっていればいいですが、そんな職場ばかりではありません。場所によっては公共の駐輪場が利用できるかも知れませんが、街中、特にビジネス街だと駐輪場が近くにない場合もあります。かと言って、路上に駐輪すれば周囲の迷惑になったり、撤去移送されかねません。
一部で、そのような人向けに、自転車の保管や着替え、シャワーが使える施設も出来始めていますが、まだ僅かです。職場として駐輪場を確保しようにも、ままならない所もあるはずです。駐輪場のシェアサービスで、勤め先の近くに駐輪場が確保できれば、自転車通勤の助けとなる可能性があります。
貸す方としても、遊休スペースが収益を生みます。使っていないスペースを登録するだけと手軽で、コインパーキングのような初期投資も不要です。住民用駐輪場が空いているマンションもあるでしょうし、店舗の軒先に余裕があるなら、スペースを貸し出すことで店の利用も期待できるかも知れません。
ちなみに、この「MINIPA」、2018年にサービスを開始した際は、「
Charippa(ちゃりっぱ)」という名前でしたが、名称を変更したようです。当時、プレスリリースが出たのを見て、ブログの記事の中で取り上げた覚えがあります。トレンドであるシェアリングエコノミーの新しいスタイルとして注目しました。
ただ、当時は深刻な社会問題である、「放置自転車を削減するプラットフォーム」というコンセプトでした。放置自転車削減の仕組みを構築していくとアナウンスされていました。たしかに放置自転車は社会問題ですが、一般の人は、その解決にあまり関心はありません。個人的には、この点がやや首をかしげる部分でした。
つまり、たとえ駐輪場が近くにあったとしても面倒と使わない人が多い中で、果たして使われるだろうかという疑問です。駅前や繁華街から少し距離があったり、有料だったりすると、公共駐輪場でさえ使われていない状況の中で、わざわざ探してまでシェア駐輪場にとめ、料金を払う人が多いとは思えなかったのです。
一部、都心への通勤者の多いベッドタウンの鉄道の駅前駐輪場は、収容台数が少なく、月極めの抽選が当たらないなどで、高いニーズがあったりします。そのような場所では、最寄り駅まで自転車を使う人の一定のニーズがあるかも知れません。ただ、それは限られており、果たして一般に広がるのかという点が疑問でした。
もちろん、職場まで自転車通勤をする人というのも、限られたニーズではあると思います。しかし、放置自転車対策でなく、自転車通勤の駐輪場需要はありそうです。新型コロナという要因もあります。スポーツバイクに乗る人など、お金を払ってでも、切実に駐輪場が欲しいというニーズはあるかも知れません。
ちなみに、先日のエイプリルフールに、ジョークのプレスリリースを出しています。「
業界初? ドローンを活用した空中駐輪ラック『空駐』が登場!」というものです。さらに昨年の同日には、「
電柱に取り付けるだけで電柱が駐輪場に早変わりする自転車ラック『電駐』」というのも出していました。
このジョークの注目度がどうだったのかはともかく(笑)、この時期に新型コロナ対策のキャンペーンというのは、タイムリーな面はあるでしょう。自転車通勤のニーズの増加をとらえ、自転車通勤を応援するというのは、一部の人には訴求力を持つと思います。
果たして、都市部などの必要とされる場所に、駐輪場として使えるスペースがどのくらいあるのか、所有者が貸し出そうと思うか、自転車通勤を始める人で、駐輪場が確保出来ない人がどれほどいるのか、などはわかりません。今後、この駐輪場シェアリングが一般的になっていくかは未知数と言わざるを得ません。
ただ、個人的には、駐輪場シェアリングが普及するならば、サイクリストにとって選択肢が増え、便利なケースも出てくると思います。都市部では、駐輪場が少ない場所もあります。そして、職場まで自転車通勤をしようという人の福音になればいいと思います。
このコロナのパンデミックで、欧米では特に都市部で、どうしても必要な移動に自転車を使う人が増えています。公共交通機関のリスクを避けたい人が増えているのです。日本でも、リスクを真剣に捉え、自転車を活用する人が増えることで、少しでも感染拡大の抑止につながることを期待したいものです。
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政府の布マスク配布の発表が顰蹙を買っています。私は当面のひっ迫緩和の点で妥当だと思います。ただ、タイミングが悪すぎました。世間が現金支給発表に注目する中、400円のマスクと言えば怒るでしょう。私は一ヶ月も前から書いていますが、月6億枚に増産しても、仮に5千万人が毎日使えば15億枚、到底たりません。不織布マスクの需要は満たせないと認め、医療関係を優先するために協力をお願いするとの説明が必要だったと思います。
Posted by cycleroad at 13:00│
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