国によって感染者数の増え方に違いがあり、中国などピークを過ぎたとされるところもありますが、世界全体の感染者、死者の数は増加の一途です。まさに世界中で、新型コロナウイルスとの闘いを余儀なくされています。今後は途上国への拡大も懸念され、全体でどこまで拡大するのか、先は見えません。
その最前線で闘っているのは、間違いなく医療従事者です。医療崩壊と言われるイタリアなどの医療現場では、悲惨な状態になっていることが報じられています。医療従事者が感染する事例も増えており、残念ながら命を落とす方も増えている状況です。
医療崩壊でベッドが足りなくなり、対応が間に合わなくなるのは、感染者が爆発的に増えるからだけではありません。院内感染などで医療従事者が隔離されたり、現場を離れる必要に迫られることで、人手が足りなくなるのも要因です。ベッドは緊急に増やせたとしても、医療従事者はそういうわけにはいきません。
医療従事者は、自らが感染し、死亡する可能性と背中合わせで闘っていることになります。自分が隔離されれば、同僚の負担が増えることも身に染みてわかっています。自分だけでなく、家族をリスクに晒すことになることも、大きなプレッシャーとなっているに違いありません。
感染のリスクがあるだけでなく、勤務が長時間にわたり、非常に過酷な勤務を強いられています。さらに医療防護具などの不足が拍車をかけています。防護服を着たまま休憩室で眠ったり、家族の感染を防ぐため家に帰っていない人も少なくないと言います。
こうした状況を受けて、多くの人が最前線で闘ってくれている人たちに、感謝や敬意を表する動きが広がっています。世界各国で、医療従事者に拍手を送ったり、時間を合わせて家の照明を一定時間点滅させたり、それぞれの形で医療関係者への感謝と敬意を表わしています。
大変な状況にある中、自分たちを支えてくれる人たちに感謝する気持ちを忘れていない医療従事者たちもいます。例えば、病院の医療廃棄物などを回収してくれている清掃スタッフです。光は当たりませんが、裏方の仕事をしてくれる人たちがいます。その人たちに医療従事者が拍手で感謝と称賛を表明しています。
このコロナ危機が深刻さを増すにつれ、最前線にいる医療関係者に感謝すると共に、運命共同体として、国民の気持ちが団結するような部分も広がっているようです。自分にも何か出来ないか、あるいは医療従事者を支えることが出来ないかと考える人も少なくありません。
先日、医療機関の駐輪場から自転車を盗む輩がいるという話を載せましたが、医療関係者で盗難被害者となった1人、Sinead Redmondさんは、地元の企業から新品を寄付されただけでなく、多くの市民から支援や寄付の申し出が殺到したことに感激しています。集まったお金は辞退し、フードバンクへの寄付をお願いしました。
医療関係者を自転車面で支援しようというサイトも立ち上がっています。自転車の無償提供や、使っている自転車の整備、自転車通勤に必要と思われる、ジャケットとかヘルメット、ライトといったグッズをセットにして無料で提供しています。医療に直接は携われないものの、支持したいという人が増えています。
あろうことか、医療関係者がマスク不足に陥っていることに胸を痛めた、Briana Danyele さんは、自宅で手作りのマスクを縫い始めました。自分に出来ることは限られているものの、何かせずにいられなかったのです。作り方は、ネットにあげています。
医療従事者が長時間の勤務を終え、帰宅する頃には食料品や日用品などが店頭から消え、手に入れられないことを知った人もいます。必要なものを購入し、地元に住む医療従事者に届けるべく、自転車を走らせている人もいます。せめて、買い物などの不自由を手助けしたいと思ったからです。食事を提供する動きも広がっています。
医療従事者はもちろんですが、警察や消防をはじめとする、変わらず社会インフラを支えている人たちもいます。コロナとの闘いに、さまざまな形で貢献している人は大勢いるはずです。自転車に乗って、フードデリバリーとして働いている人たちも、その一部であることは間違いないでしょう。
自分で食料品を買いにいけない人に届ける役目を果たすだけでなく、苦境に陥っているレストランを助ける役割も果たしています。アメリカ政府のデータによれば、宅配関係者は、不特定多数の人と接するため、普通より高い確立でウイルス感染に遭っていると言います。
いろいろな考えの人があるとは思いますが、急増するニーズに対して不足する配達員募集に、役に立ちたいと応募する人もいます。こうした配達員が、あまり評価されていないことを指摘する人もいます。配達員の不足がひっ迫しているので、まとめて注文するなど、無駄に配送を増やさないよう協力を求めている都市もあります。
街の自転車店も、公共交通機関の密集を避け、自転車で通勤や移動する人にとって大切なインフラです。多くの地域で営業継続が認められています。しかし、場所によっては、外出する人が減り、需要が減っているため、店を開け続けるのが難しくなっているところも、当然あるでしょう。
お客が減っているのに店を開け続ければ、売り上げが減少しているのに、従業員の給料をはじめコストがかかります。そんな中でも、人々の自転車での移動のニーズを満たすため、ウイルス感染拡大を防ぐ工夫をしながら営業を続けている店があります。そんな店に感謝するとともに、励ましたいと思った人がいます。
ウィスコンシン州マディソンの、Tobie DePauw さんは、地元の自転車店を巡るルートを考え、各店を自転車で回ることにしました。そして、各自転車店の店先に、メッセージを貼ることにしたのです。サイクリストたちの気持ちを伝えたかったからです。
「今は試練の時です。でも、挑戦をやめないで下さい。あなたたちは1人ではありません。私たちは皆、感謝しています。」
DePauw さん自身、かつて12年間自転車店を経営していた経験があるので、自転車店の努力や苦労がよくわかり、とても共感していたのです。もし、自転車店への応援に賛同する人がいたらと思い、地元の自転車店を巡るルートをネット上に公開するなどもしています。
そして、それぞれのお気に入りの自転車店に対して、PayPalを使ってネット上から送金できるサイトを立ち上げました。少額で構いません。店のレジの横に置いてある瓶に、チップを入れるような感覚です。家から出なくても、店に感謝の気持ちを表すことができるようにしたわけです。
このコロナ危機の中で、頑張っている人を支えたい、自分でも何か出来ることがあればやりたいと考える人が増えているようです。出来ることや、支えたい人はそれぞれですが、みなで一致団結してコロナウイルスと闘おうという気持ちが高まっているのでしょう。
もちろん、特に何も出来なかったとしても、感染拡大抑止には協力出来ます。一人ひとりが不要不急の外出を自粛し、家にいることが大切です。1人の感染者が増えることで、医療資源がどれだけ必要になるか考えれば、そのことだけでも貢献になります。外出を控えれば、他人を感染させるリスクも減らせます。
この期に及んでも、身勝手な行動をとる人がいるのも確かです。その行動で自身は発症しなかったとしても、誰かを感染させ、拡大させる可能性があります。自分のためではなく、大切な人のため、社会のため、闘ってくれている人のため、そして皆の未来のために何が出来るか考えたいものです。
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ついに緊急事態宣言が出されます。ネット上ではアーティストらの発信も増えていますが、特に若い世代に外出自粛を要請するため、例えばインフルエンサーに依頼するなど、出来る事はまだまだある気がします。震災の時は、関連した公共広告機構のCMが流されましたが、なぜ今は、ペット啓発のにゃんぱく宣言ばかりなのでしょうか。
Posted by cycleroad at 13:00│
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