全国的に雨が多くなっています。
東京都の自転車通勤者、4人に1人が「新型コロナ流行後に開始」 au損保が6月に調査
新型コロナウイルス感染症拡大で、“3密(密閉、密集、密接)を避ける”通勤手段として、自転車通勤への注目が高まっている。au損保が6月19?22日に東京都在住で週1回以上自転車通勤をしており、かつ勤務先から自転車通勤を認められている会社員の男女500人を対象に調査した結果、自転車通勤を「新型コロナ流行後に開始した」という人が23.0%(115人)と、およそ4人に1人が流行後に自転車通勤を始めたことがわかった。
感染リスク「下がった」が9割近くに
新たに始めた115人にその理由を尋ねたところ(複数回答)、「公共交通機関での通勤を避けるため」が95.7%(110人)と、ほぼ全員という結果になった。次いで「運動不足解消のため」が44.3%(51人)、「ストレス解消のため」27.8%(32人)、「交通費を節約するため」21.7%(25人)となった。
また、自転車で通勤することによって、公共交通機関で通勤するよりも新型コロナの感染リスクが下がっていると感じるかどうか全体で尋ねたところ、「感じる」60.8%(304人)と「やや感じる」27.2%(136人)を合わせると88.0%(440人)となり、感染リスクが下がっていると感じる人が9割近い結果となった。
このほか、新型コロナの流行が始まって以降、勤務先から自転車通勤を推奨するアナウンス(公共交通機関の代わりに自転車通勤を推奨するなど)があったかどうかを尋ねたところ、「あった」の回答は32.0%(160人)となった。また、周りで以前よりも自転車通勤に対する関心が高まっていると感じるかどうかを尋ねたところ、「感じる」と「やや感じる」を合わせて72.4%(362人)が、自転車通勤への関心が高まっていると感じていることが分かった。
課題は会社側の受け入れ・交通環境の整備
アフターコロナの日本社会において、自転車通勤の利用は今後広がっていくと思うかどうかを尋ねたところ、「思う」と「やや思う」を合わて79.0%(395人)となり、今後日本社会で自転車通勤は広がっていくと思う人が大半を占めた。また、自転車通勤の利用が今後広がるために必要なことを尋ねたところ(複数回答)、「自転車通勤を認める会社が増えること」が 71.8%(359人)で最多に。次いで「自転車用のレーン・道路の増加など、 交通環境の整備」68.0%(340人)、「会社が制度を整えること」67.8%(339人)、「自転車運転時の交通ルールの周知」56.2%(281人)となった。
「会社が制度を整えること」と答えた人(339人)に、具体的にどのようなことを会社に求めるかを尋ねたところ(自由回答)、「会社からの自転車の貸与」、「駐輪場の用意・整備」、「自転車通勤手当の支給」などの声が多く挙げられた。(2020/07/16 サンスポ)
国交省が自転車専用通行帯の整備促進へ。2020年度計画発表
国土交通省は6月18日、新型コロナの感染拡大防止のため自転車通勤・通学の促進を図る取り組みについて発表した。それによると、今年度中に東京23区内で自転車専用通行帯を17kmにわたって整備完了させ、今後3年の整備計画を今秋までに策定するという。
「新しい生活様式」を踏まえた自転車通勤・通学の促進
国土交通省は従来から自転車活用推進計画に基づき、自転車通勤などの促進に取り組んできたが、それが一層促進されることとなった。この度、厚生労働省が発表した「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」においても、人との接触を低減する移動手段として、自転車による通勤・通学が推奨されているからだ。
そこで国土交通省では、自転車交通量の増加が見込まれるため、まずは今年度、東京23区内において自転車専用通行帯などを約17km整備するという。国交省によると、整備の内訳は国道で約10km、主要都道で約7kmとなる。
また、その整備を皮切りに、東京23区内を対象とした自転車通行空間の、向こう3年間の整備計画を2020年秋までに策定することとした。
企業の自転車通勤導入。課題は駐輪場所の確保など
一方、企業が自転車通勤を導入するにあたっては、さまざまな課題が想定されている。例えば、労災上の問題にもかかわる移動経路や距離の設定方法をはじめ、自転車通勤手当の設定や駐輪場所の確保、更衣室やシャワールームの整備などが挙げられる。
国土交通省では、企業、団体等が過度な負担なく、適切かつ円滑に制度を導入できるよう、前述した課題などを具体的に整理した「自転車通勤導入に関する手引き」を公表。自転車通勤者のために更衣室やシャワールームなどを設置した実例の紹介や、自転車通勤時の通勤災害で認定されない事例などが示されている。この手引きの活用やチラシの配布、Webサイトにおける情報発信などにより、企業などに対しても自転車通勤導入の促進を呼びかけていく方針だ。
さらに、今年4月に創設した『「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクト』により、自転車通勤や業務利用の拡大や、自転車通勤を積極的に推進する事業者の取り組みを紹介していく。7月には第1回「宣言企業」を認定し、最初の認定企業とその取り組みについて発表する予定だ。
このほか、自転車通勤のひとつの形態であるシェアサイクルの普及についても、公共用地等へのサイクルポートの設置や案内看板の設置を促進していく。(2020年06月30日 JAF)
東京都の自転車シェアに中野区参加。11区で相互利用可能に
東京都は、中野区が7月20日から自転車シェアリング事業「中野区シェアサイクル」を開始し、現在都内10区で実施している自転車シェアリング「広域相互利用」に試験参加することを発表した。
自転車シェアリングの広域相互利用では、会員登録をすれば、参加している区のどのサイクルポートでも自転車を借りられ、返すことができる。
参加している区は、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品川区、目黒区、大田区、渋谷区で、中野区が加わり計11区となる。
中野区シェアサイクルの実施主体は中野区、運営はドコモ・バイクシェア。サイクルポート設置場所は、中野四季の森公園、すみれ公園、東中野駅地下駐輪場、中野坂上駅地下駐輪場、青桐公園、本四公園、栄町公園、みなみの広場の8カ所。自転車台数は約100台。
利用可能時間は、1回会員および月額会員は24時間、1日パスは購入当日の23時59分まで。基本料金は、1回会員は30分以内150円、月額会員は月額2,000円で30分以内無料、1日パスは1,500円(有人窓口の場合は別途専用ICカード発行料500円)。延長料金は、1回会員および月額会員は30分毎100円、1日パスは当日返却した場合、延長料金は発生しない。
現行10区の広域相互利用全体のポート数は792カ所、自転車台数は8,225台、6月の月間利用回数は約97万回。(2020年7月20日 Impress Watch)
税金もったいない?自転車マーク設置したのにすぐ道路を掘り返し 原則にない路地にも整備、京都市への疑問
「京都市内の路上で最近見かける自転車マークは何?」。京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」のLINEに、そんな疑問が寄せられた。確かに京都の街中を歩くと、自転車をあしらった道路表示にあちこちで出合う。
調べてみると、自転車の左側通行を促す京都市独自の取り組みと分かったが、当初のガイドラインにない狭い路地に整備したり、道路表示を施して1カ月余り後に工事で掘り返されたりと疑問点も浮かび上がった。市に理由を尋ねた。
道路表示は、かご付きの自転車のシルエットと矢羽根のデザインで2016年に定められた。その当時、京都市は通勤や通学で自転車を使う人の割合が政令市で2番目に多く、市内の交通事故で自転車が関係する割合が4分の1と高かったことから、自転車利用者に車道の左側を走る意識を植え付けようという狙いだった。
市は、整備にあたってガイドラインを策定している。4車線以上の幹線道路や、2車線で歩道がある準幹線道路を主な整備の対象とし、幅4メートル未満の生活道路は原則として整備しないと定めた。重点地区には(1)自転車交通量が最も多い市中心部(2)放置自転車が多い阪急電鉄西院駅周辺(3)東西の交通手段が少ないため自転車利用を促す市南部の企業集積地区「らくなん進都」を指定した。
市は17年度から整備を本格化させ、昨年12月までに約67キロ(道路表示の間隔も含む)の道路で整備を終えたという。昨年度は整備に約1億4400万円の費用を投じ、市中心部で集中的に整備を進めた。本年度も約1億円の予算を計上しており、今秋以降に西院駅周辺やらくなん進都での整備に着手する見通しとなっている。
だが、ガイドラインと実態との食い違いも目に付く。幅4メートル未満の生活道路は整備対象外のはずだが、車1台通るのがやっとという路地でも、自転車の道路表示を見掛けることがしばしばある。事業を所管する市自転車政策推進室にその理由を尋ねると、「ガイドラインで対象にしていなくても、車や自動車の交通量など道路ごとの状況を踏まえ、整備する場合はある」と説明する。
道路表示を施して間もないうちに、はがされてしまうケースもある。左京区の二条通周辺では、道路表示を整備してから1カ月余りで工事で掘り返された箇所があった。自転車政策推進室は「土木事務所などと最大限の調整をしているが、水道やガスの緊急工事もあるのですべてを調整できているわけではない」と話す。
京都市内の自転車が関わる事故は、18年で954件と10年前に比べれば6割も減少している。道路表示も含め、自転車走行のルール順守を促す取り組みが一定浸透している可能性がある。一方で、税金を投じる以上、費用対効果という視点も大事だろう。自転車政策推進室は「今後も効果を検証しながら、道路表示の整備のあり方について検討していく」としている。(2020.07.23 まいどなニュース)
市営ウーバーイーツ? 「デリバリー三鷹」発進 「手数料・配達料ゼロ」 飲食店、バイト減学生応援
ウーバーイーツや出前館などの飲食宅配代行サービスがコロナ禍で広まる中、三鷹市で20日、「手数料、配達料ゼロ」をうたう異色の新事業「デリバリー三鷹」が本格スタートした。
大学生が自転車で、市内飲食店30軒の弁当などを届ける。運営は市の第三セクター「まちづくり三鷹」。自治体が宅配代行を行う全国初のケースとなった文京区(今月末で終了予定)の背中を追う。
「こんにちはデリバリー三鷹です」「お待たせしました」「ありがとうございました」
JR三鷹駅近くのビルの一室。配達に出発する前に配達員が輪を作り、唱和する。飲食店と注文者の住所が書かれた注文票を確認すると、四角い宅配バッグを背負い、マイ自転車で駆けだしていく。
配達員二十五人は全員、市内や近隣で暮らす大学生たち。飲食店を応援しつつ、バイト収入が減少した学生も支援する一挙両得の新事業なのだ。人件費などは市費三千四百万円で賄う。
時給千四百円・日給(五時間換算)七千円という好条件。配達作業は一回あたり三十分〜一時間の二クールで終わるが、売上金を店に届ける作業などがある。
スマホのアプリや電子マネーを使う既存の宅配サービスとは違い、「電話でもOK」「現金のみ」という高齢者に優しいアナログさも売りだ。
大正大四年生の中島夏希さん(23)は卒業後に海外で働く夢を抱き、渡航費用などを稼ぐため居酒屋で月に最大八万円ほど稼いでいたがコロナ禍で求人がなくなった。
「配達先の方々がとても親切で、『雨大丈夫?』と雨がっぱを貸してくれたり、お茶やお菓子をくれたりする人もいる」。市民の善意が心に染みる。
自転車販売店でのバイトと掛け持ちしているのはカナダからの留学生で、ICUの大学院で学ぶローゼントレーター・ヒラリーさん(23)。「配達先がICUの卒業生で会話が弾み、感激したこともあった」
一橋大二年生の安岡龍哉さん(19)は以前はバイトの掛け持ちで最大で月十万円を稼いでいたが「四月以降は収入がゼロになり、困っていた」。一番気を使うのは安全。「三鷹は自転車の多い街ですが、事故も多い。この仕事で他人に迷惑をかけるわけにはいかない」。配達員は全員が事前に警視庁職員による安全講習を受けている。
飲食店や市民の期待も大きい。「中国料理あQ」の古今(ここん)さん(51)は「四月から売り上げが三分の一に落ち込んだ。ウーバーイーツの利用も検討したが、30%超の手数料に二の足を踏んでいた」と語る。
買い物に出る機会が減ったという無職女性(75)は「配達料がゼロなのがありがたい。配達する学生さんのお役にも立てられてちょっとうれしい」。
無職女性(52)は「メニューは四百円〜五千四百円で一品だけでも配達してくれる。他の宅配サービスのように注文の最低料金がないのが便利」と言う。
全国の自治体が食事券の配布などさまざまな飲食店支援を行っているが、配達部隊の整備まで踏み込むのは珍しい。市は「飲食店と消費者をつなぐ恒常的なプラットフォーム(基盤)」(河村孝市長)を目指し、当面続けていく方針だ。市生活環境部の垣花満調整担当部長は「飲食店がつぶれてしまったら、街の機能が失われ、魅力が低下する」と意義を強調する。安全面の徹底など、先行する民間業者とどうすみ分けを図るかも注目だ。(2020年7月23日 東京新聞)
「表と裏」の法律知識 自転車の「あおり運転」はこうして起きます
先週に続いて、あおり運転厳罰化のことを書きます。今回の法改正では自動車だけでなく、自転車のあおり運転も厳罰化されました。といっても大半の方はピンとこないかもしれません。しかし、現に自転車のあおり運転は存在しますし、今後増えていくだろうと思っています。
ここ数年、ロードバイクやクロスバイクといった高速走行が可能な自転車の利用者が増えています。加えて、新型コロナウイルス感染防止から、電車通勤をやめ、自転車を購入したり、レンタサイクルを利用するケースも増えています。さらに、Uber Eatsのような自転車による配達サービスも急増しています。
ところが、自転車が走行できる場所はかなり限られています。道路交通法上、自転車は軽車両として車道の左側を走るのが原則です。自転車が走行できる場所が左車線(第1車線)の一部しかない状況では、自転車の並走や追い越しは非常に危険ですし、簡単ではありません。このように、自転車の走行できる場所はかなり限られている一方で、自転車利用者が増えてしまうと、当然起きるのが渋滞です。この渋滞に、自転車のあおり運転の誘発要因があります。
通勤などに自転車を使う人は、急いでいますから、低速の自転車を追い抜くために、車間距離を詰めたり、横の間隔がほとんどない無理な追い越しをするケースもあります。このような危険な行為に対し、「天罰を下したい」という歪んだ正義感から、危険な運転を仕返すというのが、あおり運転の典型なのです。
さらに自転車が第1車線と第2車線の間を走ったり、車の間を縫うように走行するケースも後を絶ちません。これに危険を感じた自動車側がとっさにクラクションを鳴らしてしまうと、自転車側が怒り、自動車の走行を妨害するというケースも現実に起きています。
このような事態を見越して今回の改正道路交通法などによって、自転車のあおり運転の厳罰化がなされたのです。自転車であおり運転を行い、3年の間に2回以上摘発されると安全運転講習が義務付けられ、この講習を受けないと5万円以下の罰金が科されます。
自転車に対する追い越しやクラクション、気をつけましょう。(2020/07/05 日刊ゲンダイ)
首都高を自転車が走る。違反立ち入りが年間約400件の原因は?
高速道路への自転車や原付、歩行者の立ち入りは禁止されているにもかかわらず、誤って進入してしまう事例が後を絶たない。首都高速道路株式会社によると、事例は首都高だけで年間400件を超えているという。その発生原因はどこにあるのか。
年間400件以上の違反立ち入り。その実態をデータで紹介
高速道路への立ち入りが禁止されている歩行者や自転車、原付の進入トラブルが後を絶たない。国土交通省によると2011年には2598件だったのが、2016年には約1.4倍の3678件に増加しているという。そのうち、首都高における2016年の違反立ち入り発生件数は年間400件を超える。今年5月には、飲食宅配サービスの配達者が首都高を自転車で走行する姿がニュースでも取り上げられた。こうした違反立ち入りの実態について、2016〜18年のデータを紹介しよう。
首都高速道路株式会社が公表しているデータを見てみると、まず日本の道路規則に不案内な外国人によるものが一定割合あることがわかる。そして、歩行者の違反立ち入りではオレンジ色、認知症の割合が多いことに気づく。一方、原付の違反立ち入りでは、一般道路と間違えたことによる「誤進入」が多くを占める。ちなみにここでいう「誤進入」とは、違反立ち入りの中でも、気づかずに進入してしまったことを示しているようだ。
こうした事態に対して首都高では、路側の進入防止対策を実施している。具体的には、出入り口における道路標識とは別の注意喚起看板や横断幕の設置、「立入・逆走検知・警告システム」を用いた自動音声や交通管制員による呼びかけなどを行い、立ち入り禁止であることを強調しているという。ほかにも、ラバーポールを一般街路に設置することで、物理的に進入できなくするなどの対策も行っている。しかし、それでも年間400件の違反立ち入りが発生してしまっているのだ。
それだけの違反立ち入りがいまだに発生してしまう理由として、興味深い指摘が首都高から挙げられている。すなわち、自転車や原付での移動中に利用するナビアプリがその一因であるというのだ。そして、首都高に進入してしまう原因としては、自転車で走行する際のナビアプリの設定時に「自動車モード」にしてしまうと、自転車や原付でも進入禁止である高速道路や自動車専用道路に誘導してしまうのだという。こうした事態を受けて国土交通省では、2017年7月にナビアプリ提供事業者などに対して、自転車や歩行者の通行が禁止されている道路をルートとして案内することのないよう、アプリの改善やルート案内時における注意情報の表示などを要請している。
よかれと思って......故意に進入するケースもあるので要注意
歩行者の違反立ち入りについては、道を尋ねるために料金所に立ち入るケースや、中には落とし物を届けたり、未払いの通行料金を支払いに立ち入る人もいるという。
しかし、たとえ悪意はないとしても、自動車以外での高速道路等への進入は非常に危険な行為であり、死亡事故につながる恐れもある。もちろん規則違反であり、絶対にやってはいけない。
もしも落とし物を見つけたり、歩行者や自転車などが進入しているところを見かけた場合には、慌てて料金所に駆け込まないで、道路緊急ダイヤル「#9910」に通報しよう。(2020年07月06日 JAF)
免許返納後、電動自転車で死亡 高齢者の悲劇なぜ起こる
免許を返納して車の運転をやめたお年寄りが頼るツールの一つが自転車。しかし長野は坂が多い。対策として増えているのが電動アシスト自転車だ。
ところが今年になって電動自転車に乗る高齢者の死亡事故が多発している。走行中に転倒して頭を打ったことが致命傷となるケースがほとんどで、いずれもヘルメットの着用はなかった。高齢者にとって坂道らくらくは何よりの利点だが、くれぐれも安全面にはご用心。
「転ばなければ…」
20日午前、長野県青木村の村道で近くに住む吉池敏男さん(75)が電動自転車で走行中に転倒し、道路脇の畑に転落した。吉池さんは自力で帰宅したが、数時間後に意識不明に。午後3時すぎ、頭を強く打ったことによるくも膜下血腫で死亡が確認された。上田署によると、走行中にバランスを崩した可能性がある。
近隣の人たちが電動自転車に乗る吉池さんを見かけるようになったのは今年に入ってから。病気で入院したことをきっかけに車に替わる足にしていたらしい。家から約1キロ離れた日帰り温泉施設に電動自転車で通っており、その時に通るのが現場の村道だった。近所の女性は「いつも違和感なく走っていたけど、ヘルメットはしていなかった。転ばなければまだまだ元気だったのに」と悔やむ。
交通マナーが向上したためか、実は自転車が絡む人身事故自体は年々減少している。昨年までは電動自転車の事故も少なくて、県警によると「2018、19年は死亡事故0件」。それが今年に入って一転した。
27日現在で、電動自転車による死亡事故は5件。一般の自転車死亡事故を含めると6件となり、昨年一年間の3倍に達している。ほとんどが単独事故で、亡くなったのはいずれも60歳以上の高齢者。転倒して側溝に転落した状態で発見されるケースが目立つ。(以下略 2020年6月28日 朝日新聞)
自転車運転に苦労する高齢者が続出、「どう引退するか」当事者たちの声
高齢ドライバーによる事故の危険性は、自動車に限らず、自転車にも言えることだ。自動車の運転を控えたり、運転免許を返納したりした高齢者が、新たな移動手段の一つとして、自転車を選択する例も少なくない。
だが、自転車に関しても、高齢ドライバーによる危険運転や意識の低さを指摘する声が上がっている。当の高齢者たちは何を思うのか。自身や他人の自転車の運転で危険な目に遭ったことがあるという60代以上の人たちの声を集めた。
神奈川県在住のAさん(75歳女性)は、自動車の運転を控えていた7歳年上の夫が、電動アシスト付き自転車を買ってきた時のことを、こう話す。
「タイヤが小さい、コンパクトなものです。いわゆるママチャリ、普通の自転車よりも『楽』だと思ったようなんですが、それで出かけるのを見ていると、すごく危なっかしい。平衡感覚というのでしょうか、フラフラして見えるんです。曲がるときもノロノロだし、いつか車に当たるなど、事故を起こしてしまいそうで……。私の印象ですが、大きい自転車よりも、そもそも乗ったことのない小さい自転車のほうがかえって運転が難しいのかもしれません」(Aさん)
そんなAさんの不安をよそに、夫は「まだまだ自転車くらい」と甘く見ていたようだが、本人も運転の難しさを自覚し始めたようだ。
「『乗るのをやめたほうがいい』と言うと、『電動自転車くらい乗れるわ!』とキレられました。自分にできないことが増えるのを、認めたくないのでしょうか。喧嘩するのも面倒なので、その時私はそれ以上何も言わなかったのですが、いつの間にか乗らなくなっていますね。自分でも乗りこなせないことがわかったのではないでしょうか。事故があってからじゃなくて良かった、と心から思います。あの電動自転車は、娘にあげようかと思っています」(Aさん)
高齢者の走行マナーや危険運転について、「思うところが多い」というのは、東京都に住むBさん(63歳女性/パート勤務)だ。
「同世代より、若い人のマナーの方がいいと思いますよ。高齢者、とくに男性のマナーにはイライラすることが多いですから。この前なんて、歩いている私の後方から追い抜いて、肩をかすめていきました。それほどスピードはなかったからまだよかったものの……怖かったです」(Bさん)
ノロノロ運転が逆に危ない
特に高齢者の場合、ゆっくり走行する“ノロノロ運転”を前提としたマナーの悪さが厄介なのだという。
「お店や反対側の通りなど、あちこち見ながら自転車を乗っている人も多く、非常に危ない。先日も70代半ばくらいの男性がよそ見をしながら歩道を走っていました。みんな避けてくれるから、事故が起こらないだけ。横断歩道でも斜め横断してくるので、歩行者が気を遣っている感じです。子ども連れの母親とぶつかりかけている場面に出くわしたことがありますが、悪びれる様子もなく、むしろ男性側が舌打ちしていました。もう、自転車も免許制にしたほうがいいんじゃないでしょうか」(Bさん)
一方で、自ら車の運転だけでなく、自転車の運転も控えるつもりだというのが東京都在住のCさん(72歳女性/無職)だ。「歳には勝てない」とショックを受けた出来事からだった。
「車の運転はすでにほとんどしていなかったので、やめるのは当然の成り行きでしたが、自転車をやめようと思うのは、自分でも意外でした。買い物や子育てで30、40代には日常的に乗ってきたものでしたから。頻度は少なくなっても50代、60代前半くらいまでは普通に乗っていました。
でも、一時期腰を少し痛めてしまって乗らない時期が5年ほどあり、久しぶりに乗ってみたら、判断能力が鈍っていることに気づきました。強く急ブレーキをかけて、反動でお尻が上がり、前のめりに転びそうになることが何度もあったんです。それで、『ああ、もうこれはダメだな』って。
足の筋力的にはまだ大丈夫だと思いましたが、乗った後、すごく頭が疲れている感じがありました。それで、こんなに緊張するくらいなら、自転車も控えようとかと思ったんです。どうせ時間はたっぷりありますし、買い物は少量ずつ歩いて行くか、息子に教えてもらったネットスーパーも活用していこうと思っています」(Cさん)
自動車と違って、免許がなくとも誰でも手軽に乗れる自転車だが、だからこそ逆に“引退”の判断が難しい面もあるだろう。超高齢化時代、高齢である当事者たちも悩んでいる。(マネーポスト 2020年7月22日)