October 22, 2020

4輪だけでなく2輪車も必要

再び開発競争が白熱し始めています。


宇宙の開発競争です。旧ソ連が世界初の人工衛星、スプートニク1号を打ち上げたのは1957年です。いわゆるスプートニクショックと呼ばれ、大きな危機感を持ったアメリカは宇宙開発に力を入れ、ケネディ大統領は、月に人類を送るアポロ計画を打ち出しました。

ロケットの技術はミサイルの技術でもあり、衛星は軍事的にも大きな意味を持ちます。冷戦期における米ソの威信をかけた争いであるとともに、軍拡競争でもあったわけです。アポロ11号でアメリカが月面着陸を成功させ、人類は月に降り立ちました。

中国の火星探査機月面車

その後、スペースシャトルや宇宙ステーションをはじめ、さまざまな開発競争が続きましたが、ソ連は財政的に疲弊し、崩壊することになります。当時の東西冷戦が終わったわけですが、莫大な資金が必要となる宇宙開発競争が、冷戦を終わらせた面は否めないでしょう。

米ソ宇宙開発競争が決着してから後は長い間、宇宙開発の進度はゆるやかになりました。しかし、ここへ来て、企業が宇宙開発に乗り出し、民間の会社が宇宙進出を競うようになってきました。さらに、中国も宇宙開発に力を入れており、今年1月には、「嫦娥4号」を月の背面に世界で初めて着陸させています。

火星移住中国月面探査機

さらに中国は、今年7月に火星探査機を打ち上げています。こうした中国の台頭を受け、アメリカのトランプ大統領は、米宇宙飛行士を再び月へ送るべく、新たな宇宙計画を発表しています。また、つい先日、日本を含む8カ国が月面探査における初の国際的な枠組みである「アルテミス合意」も署名されています。

今月20日には、アメリカ版・はやぶさと言うべき探査機、オシリス・レックスを、地球や火星の軌道の近くを回る小惑星ベンヌに着陸させることに成功しました。ほかにも続々と宇宙開発プロジェクトが進んでおり、再び、開発競争を巡る動きが急になってきている感があります。

火星移住NASA作成、未来の月面のイメージ図

アメリカの宙開発企業、スペースX社を率いるイーロン・マスクCEOは、人類の火星移住を目標にしています。火星に都市を建設し、2050年までに100万人をロケットで運ぶつもりだと言います。もちろん簡単なことではありませんが、壮大で野心的なビジョンと言えるでしょう。進出でなく移住とは夢が膨らみます。

ロケットエンジンや、長期間にわたる宇宙飛行や居住の技術、火星での酸素や水、食料の確保、居住空間の設計や都市建設のための資源探査や採掘など、必要となる技術は多岐にわたります。解決すべき課題も膨大な数になるでしょう。たしかに、近年の技術の進歩は急ですが、道のりは険しそうです。

火星都市火星移住

ところで、火星での移動には宇宙服を着て、火星探査車のようなビークルに乗ることになるのだろうと、漠然と想像する人は多いと思います。しかし、デザイナーの、Simon Grytten さんは少し違います。なんと、火星での移動にバイクを想定しています。

その名も“NASA BIKE”です。さすがに宇宙服を着てペダルをこぐのは難しいでしょうから、電動バイクです。そして、電源は風力を想定しています。一般的に、火星では一年中、砂嵐が吹き荒れているとされていますから、発電のための風力は十分に確保できそうです。

NASA BIKE

NASA BIKE

もちろん4輪のクルマのようなビークルも使われることになると思われますが、それだけでは不十分で、機動力のある二輪車も必要だと考えているのです。当然ながら、材料となる金属なども火星で調達しなくてはならないでしょうから、2輪なら資源も少なくてすみます。

移動しない時、“NASA BIKE”は固定され、タイヤ部分が風力タービンとなって発電するようになっています。基地の電源で充電するだけでなく、このバイク単体でも充電可能にするためです。もし、出先でバッテリー切れになっても、吹き荒れているとされる風を利用できるわけです。

NASA BIKE

NASA BIKE

NASA BIKENASA BIKE

このブログでも、高山や水中、南極など非日常空間を走行する自転車をいろいろ取り上げてきましたが、今回は火星です。正確には自転車と言えないかも知れませんが二輪車、言ってみれば電気だけで動く“e-bike”です。もしかしたら、風力発電“e-bike”として地球用に応用されるかも知れません。

火星移住とは途方もない話です。しかし、これまでも人類は一貫して宇宙を目指してきました。今のところ、現実的な話としては想像のつきにくい部分がありますが、人類の英知を持ってすれば、決して不可能ではないはずです。そして、困難があっても挑戦を続けていくでしょう。

NASA BIKE

NASA BIKE

スタンリー・キューブリック監督の2001年宇宙の旅のような世界が、2050年には実現する可能性があります。あるいは2100年に延びたとしても、いずれ人類は火星に降り立ち、基地を作って滞在することになるのでしょう。そして、いつか火星でも自転車に乗ることになるのかも知れません。








◇ ◇ ◇

日々の感染者数は下げ止まりの感があり、当面ゼロにはならないでしょう。私もgotoイートなどを利用し始めていますが、冷静に考えると感染者数は人口の10万分の1レベル、気をつけつつ活動拡大するしかないですね。

このエントリーをはてなブックマークに追加

 デル株式会社


Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。



 楽天トラベル

この記事へのコメント
cycleroad さん、いつも興味深い記事をありがとうございます。 毎回、楽しみに読んでいます。
特にkickstarter 関連の記事が面白くて、今までこちらのブログを読んで、3回ほどKickstarterにプレッジして, 面白い商品を入手しています。どれも、はずれがありません。
cycleroadさんのアンテナの高いのには、驚きます。これからも、良い記事をお願いします。 また、こちらもネタがあればお伝えしますね。
Posted by Jamis at October 23, 2020 09:50
Jamisさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
読んでいただけて、また、もし何かの役に立ったのであれば嬉しい限りです。
こうしてコメントをいただいたり、SNS等で紹介・拡散していただいたり、その他の方法で皆さんに応援していただいているおかげで、更新の励みになっています。ありがとうございます。
もし何か情報がありましたら、是非教えて下さい。
Posted by cycleroad at October 25, 2020 13:42
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)