もし、これが欧米のように自転車店で買うのが普通で、品揃えがあり、例えばカーゴバイクが選べたとしたら、生活の中での自転車の活用も違ってくるに違いありません。ふだんの生活の中で、多少大きな荷物を買ったとしても自転車で十分運べますし、子どもの送迎にも使えます。
地域によって差はあるものの、欧米では普通にカーゴバイクに乗る人がいます。前回も少し触れましたが、ヨーロッパではカーゴバイクが隠れたブームとなっており、2019年にカーゴバイクの売り上げは60%増加し、2020年にはコロナ禍にもかかわらず、53%という急増となっています。
コロナを契機に公共交通は敬遠したいけど、クルマは渋滞が酷いので自転車通勤と子どもの送迎のためにカーゴバイクにしたとか、カーゴバイクを借りて乗ってみたら、買い物でもクルマに1ヶ月乗らずに済んたのでクルマを売ったとか、そんな話がゴロゴロしています。
日本でも、もしカーゴバイクが使えたら、近所のスーパーやホームセンターへ行くのにも、自転車で十分という人が増えるに違いありません。やはり、ママチャリでは前カゴや荷台に積める荷物の量、大きさは限られてしまいます。そのため、近くても買い物にクルマで行かざるを得ないという人は多いはずです。
カーゴバイクなら、よほど大きな家具などを買わない限り、日常の買い物のほとんどは自転車で済むでしょう。もともと大きな家具などは配達してもらうでしょうから、クルマは不要になります。レジャーなどに使う時にはレンタカーを借りることにすれば、維持費も含めて大きな節約となる人は多いのではないでしょうか。
カーゴバイクは有用なのですが、問題はその大きさです。日本では、カーゴバイクは大きすぎて使いにくいのです。一般的に歩道は通行出来ませんし、駐輪スタンドにも入りません。保管場所にも困るでしょう。日本ではカーゴバイクは使いにくいのが普及しない理由と思われます。実際に、ほぼ売られていません。
子どもを乗せるにも安定して安全性は高いですが、一般にはカーゴバイクという自転車の存在すら知らない人がほとんどです。もし売られていたら、中には使える環境にいる人、使ってみようという人もいるかも知れませんが、売っていないので使う人もいません。
どうしても大きくなってしまう、カーゴバイクのサイズがネックです。ヨーロッパでは、カーゴバイクを使いたい人は使っているわけですが、それでも大きさが難点と感じる人はいるようです。荷物を積んでいない時の荷台は無用の長物ですし、ただ走るだけの時には邪魔で鬱陶しいのは確かでしょう。
そこで、もっとコンパクトなカーゴバイクを作ろうと考えた人がいます。ドイツはハンブルク在住のサイクリスト、Johann Cohrs さんと3人の仲間です。彼らは毎日カーゴバイクを使ってきたのですが、普通の自転車のように扱えるコンパクトなカーゴバイクが必要だと感じたのです。
出来たのが“
YOONIT”、ミニカーゴバイクです。コンパクトで軽量、小回りが効いて都会でも使いやすく、普通の自転車のように扱えるカーゴバイクです。一般的なカーゴバイクよりはコンパクトとは言え、荷台スペースが大きく、普通の自転車よりは大幅に積載量アップです。
用途に応じて荷台の種類を変えたり、通常型の荷台はひっくり返すことで大きな荷物でも載るようになります。もちろん、子ども乗せタイプもあり、二人まで可能です。二輪ですし、全長は177.5センチ、幅は46センチと一般的な自転車より小さいくらいです。
自転車を仕事で使う人も、路上販売や宅配の代行も含め、大きな荷物が運べて重宝するでしょう。小径ですが、サドルとハンドルの高さを調節すれば、身長2メートルの人でも乗れます。小さくても油圧ディスクブレーキ、8スピードのシマノのギヤ、カーボン繊維のベルトドライブなど、十分な仕様となっています。
カーゴバイクですから重いものを運びたい場合もあるでしょう。電動アシスト付き、e-bike 仕様も選べます。現在、
クラウドファンディングサイトで資金調達を行っていますが、なんと発表後4時間で目標金額に到達し、すでにそれを大きく超える金額を集めています。
ヨーロッパでは、普通にカーゴバイクが売られている中で、積載性とコンパクトさを兼ね備えた、普通の自転車のように扱えるミニ・カーゴバイクとはなかなかユニークな目の付け所と言えるでしょう。これならば、日本でも売れるのではないでしょうか。( ↓ 下の動画もご参照。)
日本の法令で定められている「普通自転車」に十分収まるサイズです。歩道も走行できます。日本の機械式の駐輪ラックに収まるかどうかはわかりませんが、3輪でないので駐輪にスペースを取り過ぎて困ることはないでしょう。そのあたりも日本に向いています。
日本では、ママチャリと電動ママチャリと折りたたみ自転車くらいしか扱っていない量販店が多いですが、こうしたミニカーゴバイクが売られていたら、これは便利そうだと意外に売れるのではないでしょうか。ママチャリと同じように使えるのに、圧倒的に積載能力が高く、大きな荷物が積めます。
見た目は、よくある小径車と比べて前カゴ部分が大きいな、くらいの印象でインパクトはないかも知れませんが、よく考えると、大きなものでも積めるのは大きなアドバンテージです。ママチャリのように使えて、はるかに便利と感じる人も少なくないのではないでしょうか。
私は業界人ではないので、販売の現場の事情とか仕入れや流通の都合とかは知りませんが、日本でも、もっといろいろな種類の自転車を売ってもいいのではないでしょうか。ものによって、隠れたニーズは小さくない可能性があります。そして、それが日本での自転車の利便性を上げ、よりその活用を広げることになると思います。
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菅首相は、GOTOキャンペーン中断は政策の失敗と見られるから躊躇していると報道されています。日本で爆発的拡大は無いと思っているのでしょうが、今は一刻も早く停止して感染拡大を止め、早く落ち着かせたほうが経済にも寄与すると思います。見栄や外聞に囚われず、せめて東京発着のトラベルは止めるべきではないでしょうか。
Posted by cycleroad at 13:00│
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