January 05, 2021

次世代のモビリティへの進化

今年はどんな年になるのでしょうか。


コロナによってテレワークなど働き方も変わっていくでしょうし、企業ではDX、デジタルトランスフォーメーションなども進んでいくのでしょう。そしてGX、グリーントランスフォーメーション、世界的に脱炭素社会を目指すようなトレンドが広がり、話題になることも増えていくものと思われます。

バイデン次期大統領は、就任して即パリ協定への復帰を表明しています。EUはもとより、日本の菅首相も2050年の脱炭素宣言をしましたし、中国も2060年に二酸化炭素排出を実質ゼロにするとの目標を表明しました。その具体的な道筋も打ち出されていくでしょう。

東京都知事は、ガソリンエンジンだけの乗用車販売を2030年までにゼロにすると表明しました。国によっては、HVを将来は認めない姿勢を示すところもありますが、これは、電気だけで走るクルマ、EVだけでなく、ハイブリッド車(HV)も含めて乗り換えを促進しようというもののようです。

水素水素

本命と見られるEVですが、課題も少なくありません。技術開発で伸びているとは言え、やはり航続距離の問題があります。バッテリーを増やすことも考えられますが、そのぶん重くなり、燃費が悪くなるという構造的な欠点を持っています。

航続距離が限られれば、途中で充電が必要になります。充電スタンドなどのインフラ整備も必要ですが、問題は満充電まで30分以上かかることです。それだけ待つ必要が出てきます。自宅で充電する場合でも、8〜11時間かかるため、ガソリンに比べて燃料補給の効率や利便性が問題となります。

急速充電の技術開発も進んでいるようですが、その場合は非常に大きな電力が必要となります。今は実際に走っているEVの割合が小さいので問題になりませんが、EVが増えていったら、電力不足に陥ることになります。現在余力のある夜間電力だけでは到底まかなえず、発電所の大幅な増設が必要だと言われています。

脱炭素脱炭素

専門家も、将来的なEVの普及割合は、実際には限られることになると見ているようです。HVが当面必要になるのは間違いないでしょう。中国政府もEVの販売低迷を受け、これまでガソリン車と同一視してきたHVを、低燃費車と位置づけて優遇する政策が現実的と判断し、転換しています。

そして、EVの対抗馬となりうるのが燃料電池車(FCV)でしょう。日本のトヨタやホンダも開発しています。ただし、まだまだ普及には多くのハードルがあります。最大の障壁は水素ステーション設置などのインフラ整備です。充電と違って時間はとりませんが、燃料補給する場所がなければ仕方ありません。

水素の生産にも課題があります。輸送や保管には高圧にする必要があり、そうなると爆発の危険性があります。扱いが難しいため、構造的な問題もあって、車両価格が高いという欠点があります。普及が進まなければ量産できず、値段も下がらず売れないというジレンマも抱えています。

その点ではEVが有利ですが、いくらバッテリーの性能が上がっても、トラックやバスをEVにするのは難しいと言われています。乗用車とは桁違いのエネルギーが必要なので、燃料電池のほうが現実的です。つまり、EVもFCVも、まだまだ一長一短があり、今後の動向を見守る必要がありそうです。

LAVO bikeLAVO bike

ところで、自転車の場合は元々温暖化ガスを排出しないので、エコカーならぬエコ自転車という問題にはなりません。ただ、近年は、人力を補ってラクにしたり、重い荷物を運んだりするために、電動アシストや“e-bike”、電動の自転車が急速に販売を増やしています。

電動アシスト自転車にも航続距離の問題があり、バッテリーが切れたら、ただの重い自転車になってしまうという欠点はあります。それでも、クルマと比べれば断然重量が軽いので、バッテリーが強化されれば、航続距離は伸びていくでしょう。

LAVO bikeLAVO bike

自転車では、バッテリーではなく燃料電池にする必要性は、それほど高くないと思いますが、自転車に燃料電池を搭載しようという動きもあります。オランダのデザインスタジオ、“Studio Mom”が、オーストラリアで開発された水素貯蔵技術、LAVOシステムを組み込んだ自転車を発表しています。

これまでも、既存ブランドに自転車のデザインを提供してきた会社ですが、“LAVO bike”は、コンパクトなモジュール式水素貯蔵技術を利用した、次世代のコンセプト自転車です。最先端のバッテリーと比較しても、3倍以上のエネルギーを貯蔵できます。充電のように電力の補充に時間もかかりません。

LAVO bikeLAVO bike

当然ながら、より長い航続距離、より大きなアシスト力、より重い荷物を運べることになります。これを使ったカーゴバイクによって、トラックなどの輸送の近距離部分について代替する可能性を広げようという狙いです。ここでも、輸送の面では燃料電池のほうに優位性があるということになるのかも知れません。

LAVOシステムは、室温・常圧で安定なものが多い金属水素化物(金属合金)で水素を吸収して、安全な容器での長期的な保管を可能にする技術で、特許も取得しています。ポータブルで広い用途に使えるように設計され、日常での利用、たとえばバーベキューの熱源のような使い方も想定しており、今年半ばには商品化する予定です。



FCVに限らず、水素を広い範囲をカバーする次世代のエネルギーとして捉える動きも広がっています。この、LAVOシステムも、そうした流れの一つと言えるでしょう。身近なところで燃料電池を実用化するモデルとして、燃料電池アシスト自転車が選ばれたのかも知れません。

これまでにも、いくつか燃料電池を採用した自転車の開発事例はありました。今後は、脱炭素社会、水素をエネルギーとして使う社会の実現に向けた、さまざまな試みも増えてきそうです。案外、FCVより燃料電池アシスト自転車のほうが、早く一般的になるかも知れません。




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1都3県に緊急事態宣言発令を検討、初回と違って人々に慣れや軽視がありそうで、その効果が懸念されます。

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