サイクルロード 〜自転車への道

民主党のジョー・バイデン氏が大統領に就任しました。

第４６代アメリカ合衆国大統領です。アメリカの大統領と言うと、いわゆるＷＡＳＰ、「ホワイト・アングロ-サクソン・プロテスタント」ということになりますが、彼はカトリックです。歴代の大統領でプロテスタントでないのは、ジョン・Ｆ・ケネディとパイデン氏の２人だけです。

就任式は１月６日の議事堂襲撃事件を受けて厳戒態勢、新型コロナウイルスの感染対策もあって議事堂前のナショナル・モールは立ち入り禁止となるなど異例の形となりました。コロナという歴史的な危機に直面し、深刻な分断が深まる中で、アメリカ国民に団結を呼びかけました。

７千万票以上を獲得したトランプ前大統領の熱烈な支持者を含む共和党支持者だけでなく、民主党左派の議員やその支持層が早くも不満を示しています。反トランプが理由の消極的な投票者も多いと言われ、支持基盤は脆弱です。コロナ対策やパリ協定復帰をはじめ、次々と政策を進める姿勢を示していますが、前途は多難です。



ところで、４３代のジョージＷブッシュ大統領は自転車好きとして有名でした。中国訪問時には北京の天安門広場でも自転車に乗っています。４４代のバラク・オバマ大統領もプライベートな休暇の際に、休養先で自転車に乗る姿が目撃されたりもしています。

４５代のドナルド・トランプ前大統領は、全くそのような話は聞きませんでしたが、４６代、バイデン新大統領は自転車に乗ります。昨年の大統領選のさなかにも自転車に乗る姿が目撃されています。体調管理、トレーニングとして乗っているとされていますが、わりと自転車好きのようです。



実は、屋内でもペダリングをするインドアサイクリング派としても知られています。トレーニング、健康維持のため、以前から、Pelotonのエクササイズバイクを愛用しています。このコロナ禍でも毎朝ペダルをこぎ、体調維持に役立てていたと言います。（Pelotonって何だ？という方はこちらの記事をお読みください。）

ちなみに、愛用のPeloton、そのままではホワイトハウスには持ち込めないと言われており、ネット上でも話題になっています。普通の自転車でワシントンＤ．Ｃを走られたら、それは警備上の理由で問題だと思いますが、室内用のエアロバイクならば、特に問題なさそうに思えます。

しかし、大統領のシークレットサービスや、国家安全保障局（NSA）は大統領の私物のエクササイズバイクをそのまま持ち込むことは認めないとされています。それは、Pelotonにはネットに接続して、インドアサイクリングのクラス、バーチャルなエクササイズ教室に参加したりする機能があるからです。



つまり、セキュリティ上の問題です。携帯端末ならともかく、エクササイズバイクにセキュリティ？との疑問もわきますが、マイクやカメラもついていますし、ハッカーによって乗っ取られれば、ホワイトハウス内での会話や機密情報が盗まれかねません。もちろん大統領の健康状態もトップシークレットです。

もしアメリカの現職大統領が、インドアサイクリングのクラスにライブで登場したら、相当盛り上がると思いますが、さすがにそれは期待できないことになります。セキュリティ上、ネット接続機能もカメラもマイクも、問題となる機器を全て外せば、バイク自体は持ち込めると見られています。

実は、オバマ元大統領の夫人、ミシェル・オバマ氏もホワイトハウスでPelotonを使っていましたが、周辺機器を外され、単なるエアロバイクにされていたと言います。ただ、それではPelotonの魅力半減ですし、エクササイズのモチベーションも上がらないことでしょう。



やはりアメリカ大統領ともなれば、セキュリティ上、厳しい制約を受けるのは仕方ありません。スマホなどの個人の携帯端末も、厳しく制限されます。実はオバマ元大統領が、アメリカ史上初めてe-mailを使った大統領なのだそうです。私物のBlackBerryを使うため、ＮＳＡとかなりもめたようです。

持ち込む際には、基本機能以外のほとんどの組み込み機能を外され、かけられる電話番号は１０個までに制限されました。彼は後にiPadを使うようになったそうですが、やはりセキュリティ上の制約は厳しいものがあったようです。候補者のヒラリークリントン氏が私用のメールを使って問題になったこともありました。

トランプ前大統領は、Twitterを使い、友人に電話をかけまくるなど、セキュリティ上のプロトコルを無視して問題になっていたようです。アメリカ合衆国のトップとは言え、大統領になれば、むしろ一般の市民よりかなり不便を強いられることになるわけです。



バイデン氏は７８歳、史上最高齢の大統領ということになります。健康面の不安が取り沙汰されることも少なくありません。他国の元首とは言え、日本にとって同盟国アメリカの政策は、安全保障上も経済や外交でも非常に大きな影響を受けるわけで、その動向には関心を持たざるを得ません。

自転車乗りと聞くと親しみがわきますが、今後大統領として、その手腕が厳しく問われます。国内の深刻な分断を解消し、世界的に民主主義や多国間協調が危機に瀕する中、アメリカのリーダーシップの復活が望まれます。ぜひペダリングを続けて体調を整え、頑張ってほしいものです。

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今晩から関東でも積雪になる可能性が高そうです。東京は雪に弱いですから交通への影響がないといいですが。