例えばヘルメット、多くの人は自転車店の店頭で、既存の自転車用ヘルメットの中からサイズ、色、価格、似合うかどうかで決めるのではないでしょうか。どれも大差が無いと言うと語弊がありますが、頭部を保護するという基本的な機能が満たされていれば、他に選ぶポイントは多くないのが実態かも知れません。
しかし世の中には、もっといい商品が出来ないか、もっと顧客に満足してもらえないか、もっと自分が欲しい機能が実現できないかなど、新製品の開発に飽くなき挑戦を続ける人たちがいます。これまでも多数取り上げてきましたが、最近目についたものをピックアップしてみたいと思います。
こちらは、Thousand 社の、“
CHAPTER MIPS HELMET”です。オーソドックスで、奇をてらうようなものではありません。しかし、基本的な性能を追求する姿勢が伺えます。MIPS テクノロジーと呼ぶ技術で、脳震盪に対する保護を強化するなど、ヘルメットの基本性能にこだわっています。
後頭部には、磁力で着脱できる50ルーメンのテールライトがつきます。必要に応じて自転車本体に移動させることも出来ます。視野をさえぎらないバイザー、正確に頭にフィットさせるためのダイヤルシステム、片手で装着できる磁気式のアダプターなどを備えています。( ↓ 動画も参照)
シンプルですが、通気性を高めるアクティブベンチレーション、360〜410グラムという軽量性、ふだんは隠れていますが、駐輪時に自転車と一緒にU字ロックなどで施錠できるようにもなっています。もちろん、各種の安全認証も通っています。
こちら、“
The TorchONE Helmet”は、世界中でサイクリストが事故で命を落とした6割〜7割は暗い場所であったという事実に注目し、夜間の視認性を高める必要があると考えました。そこでヘルメットの前後にライトを装着しました。大きなパネルなので高い視認性が期待出来ます。
しかも、この前後のライトは、パネル状で着脱式になっており、昼間は外しておけます。そのぶんヘルメットの重量も減らせることになります。全体の重量は、わずか382グラムと軽量さにこだわっていますが、ライトを外せば、さらに266グラムという軽さです。( ↓ 動画も参照)
大きな10個の幅広な通気口で空気の流れを確保し、頭部の快適さを保ちます。ライトは4つのモードがあり、本体の色も4色あります。マイクロUSBによる充電式です。ライト付きのヘルメットは最近増えていますが、高い視認性を実現しているのは評価されるでしょう。
すでにヘルメットを所有している人は多いので、
後付けのライトだけ開発した人もいます。どんなヘルメットにも装着できます。ウィンカー一体式で、手元のスイッチで操作します。スイッチはワイヤレスなので、ハンドル回りなどに取り付けるだけです。併せてもコンパクトなので、毎日の通勤などに携行しやすいのも長所です。
自転車の本体に取り付けるテールライトは、ありふれた自転車用品ですが、ライトの位置が低くなりがちなのは否めません。ヘルメットに取り付ければ、後続車からの視認性が高くなります。自転車本体でなくヘルメット装着ならば、例えばキックスケーターなどに乗る時にも使えます。( ↓ 動画も参照)
開発したのはヘルメットメーカーなので、ヘルメットに大きな突起があると、事故の場合に危険な首の捻れにつながりかねないことを知っています。薄型にしたのは、その点に配慮しています。ウィンカーが点滅している時にはビープ音が鳴るので、消し忘れを防ぐ親切仕様です。
こちらは、KULADN 社の、“
Smart, Safe & Comfortable Body Sensor Bike Helmet”、ライト一体式のヘルメットです。前後左右からの視認性を良くするため、前から左右にかけて18個、後方に15個の赤色LEDライトが取り付けられています。これらは常に点灯して視認性を高めます。
ユニークなのは、左右のウィンカー、方向指示器です。モーションセンサーが内蔵されており、首を左右に傾けるとそちらへのウィンカーが点滅します。いちいち手で操作する必要がないのは快適かも知れません。慣れれば、とっさの進路変更でも対応できるでしょう。( ↓ 動画も参照)
減速すると、センサーが反応してストップランプを点灯させます。後続車に減速、停止を即座に知らせることが出来ます。自分で操作しなくていいのは実用的と言えるでしょう。防水性能も高く、通気口のデザインで発汗や過熱も防ぎます。これも使いやすそうなライト付きヘルメットです。
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どれも、開発者のこだわりが感じられます。ヘルメットは、いざ事故の時に頭部を保護するのが基本的な機能ですが、それだけではなく快適性や、視認性の観点からも工夫しています。夜間に前後のライトを装着する人は多いと思いますが、位置の高さの点でヘルメット装着が有効なのは間違いないでしょう。
漫然と従来通りのヘルメットを買い、使っている人は多いと思います。でも、なるほど安全のためには、こういう機能は有効かも知れないと消費者に思わせることが出来れば、新しい機能も普及していくでしょう。こうした開発者の努力が、ヘルメットを含め、自転車用品を進化させると言えそうです。
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組織委員会の新会長に橋本元大臣が就任、前途多難ですが、多くの国民の支持を得た大会開催を期待します。
Posted by cycleroad at 13:00│
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