マウンテンバイクで、里山や林の中のトレイルライドやダウンヒルなど、オフロードの走行を楽しんでいる人も多いでしょう。山の中に住んでいない限り、適した場所へ出かける必要はありますが、道路を走るのとはまた違う面白さがあります。
アメリカの東部、ニューハンプシャー州に住んでいた、Jason Evans さんと、Phil Bouchard さんの仲良し2人組もMTB好きでした。しかし2人が昨年、中西部のコロラド州に引越した時、近くにオフロード走行が楽しめるようなMTBパークが無いことがわかりました。

コロラド州でも西部に行けばありますが、近くて行きやすい場所には見当たりませんでした。適した地形はあるのですが、マウンテンバイク用に用意されたコースではありません。しかし、その地形に目をつけた二人は、なんとマウンテンバイク・パークを
自分たちでつくることにしました。
大胆な行動ですが、調べて見ると十分可能だと考えたのです。もちろん整備のために大金を用意することは出来ません。しかし、MTBコースをつくるのに、必ずしも大きな資本は必要ないことに気づいたのです。土地は、州政府などの公有地を借りることが可能です。

基本的に何かの施設を建設したり、農地や牧場などに利用できないような場所です。他にさしたる用途もないため、安く借りられるはずです。コースと言っても、地形をうまく利用すれば費用もかかりません。下草などを多少伐採する必要はあっても、人が歩いた踏み分け道のようなシングルトラックなら比較的容易に整備できるでしょう。
うまく行けば、隣接した公園のリフトを使える可能性もあります。これが使えれば、機動力のあるMTBパークとして、周辺や近隣の州からも集客できるかも知れません。2人は州所有の土地を借り、コロラド州では初めてのタイプの
フリーライドパークの開設を目指しています。2023年開業予定です。


さて、翻って日本のことを考えてみると、国土が山がちなので、山と都市部の距離が近いという特徴があります。つまり、マウンテンバイクライドに適していて、利用者が行きやすい場所がたくさんあるはずです。ただ、一般的に日本の里山は、登山道やハイキングコースが設置されているケースが多いと思います。
ハイカーと共存して楽しめればいいですが、傍若無人に走る人がいたり、ハイキングコースを痛めるような場合もあって、トラブルになったり顰蹙をかうような事例も聞きます。出来れば、もっとマウンテンバイク専用のコースが欲しいところです。


個人で開発するかはともかく、日本でも未利用の場所はたくさんあります。土地が借りられれば、とくに大きな建物建設の必要があるわけでもなし、意外に安い費用でも設置できる可能性があります。資本力のある大企業でなく、地元の中小企業や自治体、観光組合、第三セクターなどでも可能でしょう。
そのことを気づかせてくれるのが、
一般社団法人自転車協会が募集する、「
マウンテンバイクフィールド助成金制度」です。不特定多数の人がマウンテンバイクを楽しむことができるフィールド(パンプトラックを含む)の新設や増設、保全、管理、運営といった事業に対して助成金を交付する事業です。同協会のサイトには、
日本は国土の2/3が山林というマウンテンバイクに乗るには適した国です。ところが、実際にマウンテンバイクに乗れるフィールドはまだまだ少ないのが現状です。
一般社団法人自転車協会は、多くの人々がマウンテンバイクをもっと身近に楽しめるような場所を増やすため、そのフィールドにおけるコース(パンプトラックを含む)の新設・増設、保存、管理、運営に対して経費の一部を助成する「マウンテンバイクフィールド助成金制度」を設けました。
よりマウンテンバイクに乗りやすい環境を作るために、是非ご応募をお待ちしています。
と書かれています。この事業の助成額は、当該費用の1/2または100万円の何れか低い額を上限とするとなっています。つまり、そのくらいの金額、規模感でも開発可能ということでしょう。すでに、この助成金制度を利用して
整備されたパークがいくつも出来ています。この1〜2年に開場した施設も目立ちます。
コロナ禍では自転車に乗る人が増えています。ただ、それは街での話で、MTBについては報じられることは少なく、ブームになっているとは言えません。しかし、密を避けるためにキャンプなどのアウトドアを指向する人は増えており、MTBを楽しむ人が増える要素は揃っていると言えるでしょう。


緊急事態宣言が出たため、大都市圏からのお客が減り、各地のスキー場も苦境にあると言われています。シーズンが限られますから、稼ぎ時の集客低迷は痛いでしょう。もともと季節差が大きいわけですが、せっかくの施設を有効利用するために、スキー場を使ってMTBパークを設置するのも有効ではないでしょうか。
キャンプやグランピングに出かける人が増えていますが、周囲にMTBパークがあれば体験し、中にはその面白さに開眼する人も出てくるに違いありません。すでにスキー場としての施設がある場所なら、追加投資も小さな額で済むでしょうから、これはやってみる価値があると思います。


コロナ禍でMTBを楽しむ人が増えたとまでは、まだ言えない状況ですが、その可能性は十分あるでしょう。気軽に楽しめる場所が増えれば、アウトドアが指向される中、MTB人気が広がってもおかしくありません。行楽客を増やしたいと考える全国の関係者の方には、是非検討していただきたいものです。
◇ 日々の雑感 ◇
1都3県の宣言解除期限が迫っています。しかし、せっかくここまで減ったのに解除してまた拡大し再宣言となるより、今もっと減らしたほうが結局経済にもプラスと専門家も指摘しています。果たしてどうするのか注目されます。
Posted by cycleroad at 13:00│
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