March 18, 2021

夢への挑戦が新技術を生む源

宇宙を目指す動きが拡大しています。


宇宙旅行の商業化を目指す動きもありますが、宇宙空間については、サイバー空間と並んで安全保障上の意味合いが増大しており、各国が宇宙軍を創設するなど、その重要性が増していることもあるでしょう。国際的な競争も激しくなっており、昔から兵器開発に伴う技術革新など、軍事的な側面もあります。

ただ、火星の探査などに対しては意味を見いだせないという意見もあります。火星で、あるかどうかもわからない生命の痕跡を探す必要があるのか、火星にかつて水があったからといって、それがどうした、何の意味があるんだという人もいます。もっと生活に密接した部分に予算を使えと考える人もいます。

This image is in the public domain. NASA

火星探査には莫大な費用がかかりますし、失敗に終わる比率が高いのも問題です。不要不急に思えるのも確かですが、大きな視点に立つならば意味があります。例えば、先月火星にはアメリカ航空宇宙局、NASAによって、パーサヴィアランスという火星探査車が着陸し、探査を進めています。

そのミッションは、生命体の生息可能性の探索、その痕跡の発見、土壌サンプルの収集、そして人間のための準備です。火星の大気から酸素生産を試行するそうです。つまり、将来の有人探査の準備です。さらには、人類の移住の可能性まで視野に入れているわけです。( ↓ 動画参照)



宇宙へ行くのは、探検せずにいられない人間本来の性質であり、偉大な挑戦、ロマンでもあるでしょう。そして将来、もし地球に住み続けられなくなった場合に、人類が生存し続ける可能性を開くものでもあるわけです。核軍縮が行き詰まり、気候変動、小惑星の激突など、地球に住めなくなる可能性はいろいろあります。

太陽系の外へ行く時代も来るかも知れませんが、今のところ現実的ではありません。地球の隣りの惑星に行くのも決して簡単ではありませんが、可能性は探っておくべきということでしょう。人類の移住の必要性が出てきてから調査を始めたのでは到底間に合いません。

NASANASA

金星も隣りで、平均して距離は近いですが、環境が苛酷です。地表の気温は摂氏460度、気圧は92気圧です。これは地球では水深920メートルに相当します。空には硫酸の雲が存在するなど、1億年や2億年経っても人類が住めるようになるとは思えません。

火星も大気が希薄で平均気温は氷点下56度、住みやすいとは言えませんが、まだマシです。人類の関心が火星に向かうのは自然でしょう。移住だけでなく、もし生命の痕跡が見つかるならば、地球上の生命の起源や成り立ちについても大きな発見になる可能性があります。宇宙で地球生命は一人ぼっちなのかわかるかも知れません。



宇宙開発は、人類にとって大きなブレイクスルーになる可能性があります。これまでも、宇宙を目指す中でたくさんの技術が開発され、役立ってきました。普通に地球に住んでいるだけでは必要とならない技術、開発されなかったであろう技術が開発され、結果として大いに役立っているものもたくさんあります。

身近な部分でも恩恵があります。例えば、スマホのカメラ、光を電気信号に変換するセンサーは宇宙で使うために開発されました。VRヘルメットとかフリーズドライ、ゴルフクラブの素材、ベビーフード、コードレス工具、浄水器、UVカットサングラス、靴のインソールに至るまで、挙げればキリがありません。

SMARTタイヤSMARTタイヤ

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タイヤもその一つになる可能性があります。NASAが月や火星の探査車に使うタイヤを開発した技術を地球上の乗り物のタイヤに使うことが想定されています。当然ながら、月や火星で活躍する探査車のタイヤには高いレベルの性能が求められます。

岩場や砂地など、いろいろな地面があります。壊れたら困りますが、金属の頑丈な円盤をタイヤにしたら滑って走らなかったり、砂に埋まったりするでしょう。重量も増えます。探査用の精密機器が損傷しないようクッション性も必要となれば、やはり一般的なタイヤ型になるでしょうが、高いグリップ力や悪路の走破性も求められます。



無人で動くわけですから、パンクも困ります。その場でタイヤの交換やパンク修理をするわけにはいかないでしょう。パンクしないような素材を使う一方で、タイヤとしての性能も満たす必要があります。NASAは、エアレスタイヤを開発しました。( ↑ 動画参照)

NiTinol +と呼ばれる超弾性材料で、形状記憶合金を使ったラジアルテクノロジー、METLタイヤです。曲がると分子構造が再配列するスマートメモリーメタルで、瞬時に元の形状に戻ります。空気を充填する必要はありません。ゴムのように弾力性がありながら、チタンのように強いと言います。

SMARTタイヤSMARTタイヤ



軽量で耐久性も高く、優れたハンドリングも実現します。クルマ用だけではなく、自転車用もあります。火星探査車と地球の自転車では、求められるものも違うとは思いますが、パンクせず、タイヤの空気を充填する必要もなく、乗り心地やハンドリングにも優れたタイヤであれば、自転車用にも使いたくなるでしょう。

写真を見ると、金属がメッシュ状になっていて向こうが避けて見えます。これに、新配合のゴムに似た、Polyurethanium という素材でコーティングが施されています。さまざまな気象条件で長持ちさせると同時に、高いグリップ力を実現するためだと言います。

SMARTタイヤSMARTタイヤ

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現在はクラウドファンディングサイトで資金調達を目指しています。これが普及するかはわかりません。乗ったわけではないので評価のしようもありませんが、もしパンクをすることがなく、性能や乗り心地も申し分ないのであれば、ゴムにこだわる必要はなくなります。あとは価格だけということになるでしょう。

宇宙開発に限らず、科学の基礎研究などもそうですが、科学技術はすぐに役立つとは限りません。しかし、いずれさまざまな形で私たちの生活にまで波及し、便利で豊かにしてくれます。あくなき探求心を持ち、そのための技術を開発することが、文明を発展させるのも間違いないでしょう。




◇ 日々の雑感 ◇

ちなみに明日から明後日にかけ月と火星が接近して見えます。たまには夜空を見上げてもいいかも知れません。

( ↓ 動画参照)



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