March 27, 2021

ゴールは遠いが自転車に乗る

自転車に乗る理由はいろいろあるでしょう。


レジャーに通勤、買い物や日常の移動手段、運動不足解消など人それぞれです。これが子どもだったら、乗るのが楽しいからとか、友達と草野球に行くためとか、そんな理由になるでしょう。でも、イギリスはロンドンの北、ウィリングハムという小さな町に住む、Rhys Stevens 君は違います。

Rhys 君は8歳ですが、彼が自転車に乗るのには、ある明確な目的があります。彼が決意したのは、ある時テレビで見たドキュメンタリーがきっかけです。それは中国で、食用にするため犬が取引される話でした。中国の一部や朝鮮半島、東南アジアの一部の国などでは、犬の肉を食べる文化があります。

Rhys StevensRhys Stevens

Rhys 君は、イギリスでペットとして身近な犬、それと同じ犬が中国では食用として育てられ、取引され、残酷に屠殺され、食べられているという事実を知って大きなショックを受けました。そして、なんとかそれらの犬を救う方法がないか、教えてくれるよう母親に懇願しました。

お母さんの、Kathleen さんは、地球の反対側にいる8歳の子供でも、犬を救うために出来ることはあると説明しました。その方法の一つが、“China Rescue Dogs”という団体への寄付です。Rhys 君は、自転車に乗ってお使いをすることにしました。それで、お小遣いを貯めて寄付をしようと考えたのです。

China Rescue Dogs

この話を聞いた家族、友人、近所の人は、Rhys 君の熱い思いに押され、彼が犬を救うために自転車で走る距離に比例してお金を出して協力することにしました。さらに、地元の建設会社も話を聞いて感心し、1マイル毎にいくらと決め、寄付してくれることになりました。

今までに300ポンドを集めましたが、まだまだ自転車で走り続けています。1匹の犬を買い上げ、新しい飼い主の元へ送るのに約2500〜3500ドルかかるからです。この話を聞いた当の“China Rescue Dogs”も感動し、団体のウェブサイトに、Rhys 君への募金活動のリンクを追加しています。

China Rescue DogsChina Rescue Dogs

China Rescue DogsChina Rescue Dogs

“China Rescue Dogs”は、アメリカの組織で、いわゆる501C団体として合衆国の内国歳入法の規定で課税を免除される非営利団体です。中国で食肉として取引される犬を救出し、主にアメリカとカナダの愛情あふれる新しい飼い主に渡す活動をしています。犬種や年齢などを問わずです。

食肉としての取引ですから、深刻な虐待やネグレクトなどの危害にさらされています。こうした犬たちを1匹でも多く救い出し、その輸送を手配したり肉体的および精神的な治療を施し、人間に対する不信を解消させ、新しい飼い主に馴れるように教育するなどの活動をしています。( ↓ 下の動画参照)



私も含め、多くの日本人は犬の肉を食べると聞いて、嫌悪感や怒りなどを感じるでしょう。しかし、中国や韓国、ベトナムやインドネシア、カンボジアなどの一部では、普通に犬が食べられています。世界で食用にされている犬は、なんと年間約2000万〜3000万頭に上ると言います。

そのうち、1000万頭が中国で処理されていると見られています。飼育や保管状態が著しく不衛生だったり、屠殺の方法が海外から問題視されていますが、中国国内では違法でもなんでもありません。東北部や南部では、犬肉を食べる習慣があり、古くからの食文化なのです。

China Rescue DogsChina Rescue Dogs

海外からは犬を食べることへの非難はありますが、その理由は必ずしも説得力を持ちません。牛や豚や馬や鶏などを食べるのは問題なくて、なぜ犬は問題なのでしょう。犬はペットだからと言う人もいますが、豚や馬、鶏だってペットにする人はいます。犬は知能が高いからという理由も、実は豚のほうが高いとも言われています。

日本人が鯨を食べることに対し、反捕鯨国のオーストラリアなどの一部の人が非難しますが、多くの日本人には戸惑いがあるでしょう。オーストラリア人は平気でカンガルーを食べるのに、日本人がクジラを食べてはいけない理由に説得力が欠けるように思えるのと同じこととも言えます。

China Rescue DogsChina Rescue Dogs

中国では石器時代から犬を食べてきたわけで、今でも地域によっては普通に食べられ、人気もあります。韓国でも批判する人はいますが、犬食はきわめて盛んだと言います。犬食の習慣を持たない国から問題視されるのも事実ですが、近年は無用な批判を受けないよう、外国人が見ても犬食の店とわからないようにしているようです。

実は、日本でも古代から犬食が伝わり食べていたと推測されています。江戸時代でも一部で食され、戦中、戦後の食糧難の時期に犬を食べたとする記録もあります。現代の日本人では稀ですが、今でも日本への輸入は禁止されておらず、ほぼ在日のアジア人向けですが、韓国料理の店などへ行けば日本人でも食べることは出来ます。

China Rescue DogsChina Rescue Dogs

カンボジアなどでも安価なたんぱく源として根強い人気があるそうです。他の食料価格が高騰することもありますし、飢えても食べるなと強制する権利はないでしょう。祝い事のご馳走とする国もありますし、その国の長年の食習慣、食文化であり、その味を好む人も少なくないわけで、非難するのには無理がありそうです。

特にイギリスでは犬食が嫌悪されるようですが、ヨーロッパでも古代ギリシャ時代から食べられていたことがわかっていまます。スイス人の3%は今でも食べるとの統計もあります。ドイツでもかつて犬肉屋が存在しており、流通が禁止されたのは1986年です。

China Rescue DogsChina Rescue Dogs

犬を食べるということにショックを受け、非難したくなる気持ちはよくわかりますが、禁止を必ずしも強要出来ないわけです。もちろん、中国の国内でも一部で議論や批判はあるようですが、犬肉取引で生計を立てている人もいるわけで、文句を言われる筋合いはないと言われればそれまででしょう。

実際に中国政府は食肉としての犬の取引を禁止していません。韓国でも犬食を問題視する人は少なくないようですが、違法ではありません。ソウルだけでも530店ほどが犬食を扱っているそうです。ちなみに台湾では2001年になって、ようやく食用を目的とした犬や猫の屠殺が禁じられました。( ※ 動画参照注意。)




日本でも、例えば農家などでニワトリを飼い、自家消費で食べるということもあるでしょう。子どもは残酷と言うかも知れませんが、鶏肉を食べるのは一般的なことで、特に非難されることではありません。それと同じことです。残酷などと言い始めたら、牛も豚も鶏も、何も食べられなくなります。

結局のところ、いくら嫌悪感があったとしても、他国の食文化、食習慣をやめさせるのは難しいということでしょう。“China Rescue Dogs”も、1匹ずつ引き取って新しい飼い主を探すしかなく、何千万頭という全体からすれば限りなく少ない数であり、焼け石に水と言わざるを得ません。

Rhys StevensRhys Stevens

ただ、それでも少しずつ中国国内で非難する人は増えているようで、深センや珠海など、犬肉食を禁止する都市も出てきました。Rhys 君が犬食を無くしたいと自転車に乗ることも含め、焼け石に水ではあっても、根気強く活動を続けていくことで、犬食をする国の世論が動く可能性はありそうです。




◇ 日々の雑感 ◇

政府はリバウンド警戒と言うだけで無策です。時短でも感染は起こるわけで、山梨のように成功している県もあるのですから、飲食店にアクリル板で一人ずつ徹底的に区切る等の感染を防ぐ具体策推進を指示すべきでしょう。

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