April 17, 2021

コロナとの闘いに使える武器

コロナとの闘いが続いています。


その大きな武器はワクチンです。今般ワクチンが異例の早さで開発されましたが、これはmRNAワクチンの研究が10年以上前から続けられてきたことが役立ちました。この点は人類にとって幸運と言えるでしょう。これで特効薬が出来れば、インフルエンザ並みとなり、恐れなくて済むようになるはずです。

治療薬は、まだレムデシビルやデキサメタゾンなど、他の治療薬から流用した薬しか承認されていませんが、抗体カクテルなどの効果が見込まれる治療薬の開発も進んでおり、近い将来に実用化されることが期待されます。イギリスなど一部の国では、ワクチン接種が進んだことで、劇的な患者数・死者数の減少も見られています。

ただ、日本を含めて、まだまだその猛威に悩まされている国は少なくありません。世界全体ではワクチンが行きわたっておらず、いまだに社会的にも大きな影響が及んでいます。病気の直接的な被害だけでなく、ロックダウンに反発したデモや、若者が路上で飲酒して騒いだり、暴力事件が起きている国もあります。

アメリカでアジア人に対するヘイトクライムが問題になっていますが、これもコロナに対する間違った理解だけでなく、精神的にイライラしがちな環境が影響している面もあるのでしょう。日本でも、すでに1年と数ヶ月にわたる自粛疲れが各所であらわれ始めています。

まん延防止ワクチン接種

いわゆる自粛警察、マスク警察と呼ばれるような事例も多いですし、マスクを拒否したり、屋外で飲んで騒ぐ人も増えています。近所との付き合いが濃密な地域では、「コロナ狩り」と呼ばれるような嫌がらせや暴力事件も起きています。詐欺や窃盗などの犯罪に走る人もいます。

このコロナ禍で、ストレスがたまっている人は多いに違いありません。失業や倒産などで自殺する人も増えていると言います。メンタルの面で大きな影響が及んでいる人は、相当な数になると思われます。おそらく、うつ病になったり、なりそうな人も少なくないはずです。

風邪ならば、発熱やだるさ、頭痛や咳などでそれと気づきます。しかし、うつ病は、自分で気づきにくいのが厄介なところです。気分の落ち込みや意欲の低下といった症状だけでなく、抑うつ気分や漠然とした不安、イライラ、無気力といった症状があっても、それがうつ病だと気づかないことも多いようです。

なかには、睡眠時間減少や、質が低下するなど不眠の症状、寝汗をかく、口の中が渇く、便秘や下痢といった症状が出る人もいますが、それがうつ病の症状だとは思わないこともあるでしょう。落ち込むのではなく、イライラを爆発させたり、怒り、不満や不愉快を我慢できなくなったりするのも、うつ病の症状の一つの可能性があります。

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事件にまでは至らなくても、勤め先や家庭で周囲とトラブルを起こしたり、人間関係を損なうような行動をとってしまった人も多いかも知れません。それらも含め、コロナ禍の不安や自粛などによって、見えにくいですが、うつ病の影響が大きく広がっている可能性があります。

うつ病が悪化すると、それが自殺にまで至ることもあります。死ぬくらいなら何でも出来るだろうと普通は思いますが、深刻なうつ病の状態だと、そうした常識的な考え方が出来なくなり、自殺してラクになることしか考えられなくなるのだそうです。自分ではどうしようもなくなるのが怖いところです。

遺伝的にうつ病になりやすい人もいるそうですが、誰でもなりうる病気です。自覚できなかったり、それが最悪の結果さえ招き得る病気であり、決して侮れない病気なのは間違いありません。そして、これも広い意味でのコロナの被害、影響と言えるでしょう。

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さて、そんなうつ病の新しい研究結果が発表されました。マサチューセッツ総合病院研究所の研究者による最近の研究で、“Journal Depression and Anxiety”という専門誌に掲載された論文です。それによると、サイクリングなどの身体活動が、うつ病になる可能性を大幅に減らすと言います。

Partners Healthcare Biobank”の8千人の被験者のゲノム情報や電子的に保管された健康記録データを元に研究した結果、遺伝的にうつ病のリスクの高い人も含めて、身体活動によるうつ病への影響が明らかになりました。このデータは、数百万人規模のデータからうつ病と診断された人のものを抽出した結果だそうです。

これまでにも運動とうつ病の関係についての研究はありましたし、このブログでも取り上げてきましたが、あらためてその有効性が確認されたわけです。たとえ、遺伝的にうつ病リスクの高い人であっても効果が高いという点も新しい検証結果でしょう。

専門的な説明は省きますが、週に4時間、平均して1日35分程度の身体活動が、うつ病のリスクを効率的に下げます。サイクリングのような有酸素運動や、ダンス、エクササイズマシンのような相対的に高強度の運動だけでなく、ヨガやストレッチなどの低強度の活動も、程度の差はありますが、発症確率低下に寄与します。

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もちろん、必ずしもサイクリングである必要はありませんが、運動習慣のない人が、35分ジョギングするのは、かなりたいへんです。しかし、サイクリングなら35分でも比較的簡単です。走る時のように着地でヒザに大きな衝撃力が加わることもないので痛みもなく、続けることも相対的に容易でしょう。

趣味で自転車に乗る人なら同意してくれると思いますが、自転車に乗るだけで気分が晴れます。同等の運動なら科学的には効果は同じなのでしょうが、それ以上の効果が感じられるのは私だけではないでしょう。実際に、過去の偉人・著名人がそのことに言及した言葉も残っています。


This image is in the public domain.
“When the spirits are low, when the day appears dark, when work becomes monotonous, when hope hardly seems worth having, just mount a bicycle and go out for a spin down the road, without thought on anything but the ride you are taking.”

― Arthur Conan Doyle


「気分が落ち込んでいるとき、暗く感じる日、仕事が単調に感じるとき、希望が持てないとき、ほかの事は何も考えずに自転車で出かけなさい。」

― アーサー・コナン・ドイル



“Melancholy is incompatible with bicycling.”

― James E. Starrs


「憂鬱とサイクリングは相いれない。」

― ジェームス.E.スターズ



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“Nothing compares to the simple pleasure of a bike ride.”

― John. F. Kennedy



「自転車に乗る純粋な喜びに匹敵するものはない。」

― ジョン.F.ケネディ



うつ病による影響は具体的に計測しづらいですが、コロナによって世界中で莫大な健康上の負担がもたらされているはずです。うつ病と戦う戦略は限られていますが、運動でそのリスクを下げるのは、非常に有効で意味のある手段だとしています。治すのは難しいことも多いので、予防するに越したことはありません。

一日35分なら、ちょうど自転車通勤などは手軽で格好の運動となるでしょう。コロナのパンデミックで、世界中の人が自転車に乗るようになりました。コロナはうつ病を増やす原因になったでしょうが、同時に自転車に乗る人を増やし、そのいくらかを予防、軽減する結果ももたらしていたのかも知れません。

Massachusetts General HospitalMassachusetts General Hospital

コロナ禍のさまざまな影響と闘う上で、メンタルの面では、自転車も大きな武器となるはずです。コロナによる肺炎やサイトカインストームなども怖いですが、うつ病も決して侮れません。そして、なかなか自覚しづらいので、なる前から自転車に乗り始めたり、周囲に勧めるのも有効ではないでしょうか。




◇ 日々の雑感 ◇

訪米中の菅首相がファイザーのCEOと電話会談するそうです。日本からでも出来ますし、それよりバイデン大統領に米国が確保したワクチンの一部譲渡を頼めないものでしょうか。ブリンケン国務長官も他国に供与可能なほど確保したと発言しており、五輪開催に免じて貸与でもいいので獲得できれば最大のコロナ対策、経済対策です。

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