オリンピック関連の報道も増えていますが、いまだに開催の賛否を巡る声が飛び交っています。世論調査などでは、当初大半を占めていた中止せよとか、延期せよとの意見が少しずつ減少し、一定の対策をして開催すべきとの意見が増えてきているようです。
あと40日という間近に迫ってもなお、開催の是非が論じられているのは問題と言わざるを得ません。分科会の尾見会長が盛んに警鐘を鳴らす一方、菅首相は、このコロナ禍での五輪開催の意義を問われて、安全・安心な大会を目指すと、相変わらず、まともに質問に答えない姿勢が続いています。
感染対策がとられても、これだけ大規模なイベントです。クラスターの発生や感染拡大のリスクがあることは、誰もが認めるところでしょう。海外のメディアの中にも、東京オリンピックはリスクが高すぎる、中止すべきだと表明しているところもあります。懸念されるのは当然と言えば当然でしょう。
しかし、IOCに、中止する気は毛頭ないようです。五輪を中止する権限はIOCにしかないそうです。バッハ会長も、完全に開催に向けた段階に入ったと発言しています。開催都市の東京、あるいは日本は、開催権を返上するしか方法がないと言われますが、その場合、巨額の賠償金が請求されるとの話もあります。
国民の半分程度が、延期や中止を希望しているのを見ても、不安視されるのは理解できます。オリンピックよりも人命だというのも、当然の意見でしょう。ただ、緊急事態宣言や重点措置発令下でもプロ野球やJリーグの試合は開催されていますし、制限の中でもスポーツや娯楽が行われています。
海外からの観戦客受け入れは断念しましたし、専門家によるシミュレーションでは、オリンピックの開催そのものは、感染拡大に大きな影響を与えないという予測も出ています。観客数を抑えて人流を増やさず、基本的にテレビ観戦などに徹すれば、感染も拡大せず、開催は可能との判断も成り立つと思います。
考えてみれば、東京開催が決まった8年前は、相応に盛り上がりました。それだけ熱心に誘致していたのも確かでしょう。つまり、どうぞ東京で開催してくださいと頼んだわけです。それを、コロナが心配だからと、手のひらを返すように、中止しますと言うのもどうでしょうか。しかも40日前です。
日本には、世界的な祭典であるオリンピックを開催する責任があると思います。しかも、世界的にみれば、日本は感染者を抑えている国と見られています。数値で比較する限り、その通りでしょう。なのに、我々は心配なんだからと、自国の国民感情だげで開催返上したら、世界からどう見られるでしょうか。
勝手な国だと見られ、信用を失うに違いありません。中止を理解してくれる人もあるとは思いますが、ここはIOCの求めに応じて、開催するのが妥当なのではないかと思います。もちろん、結果として感染が拡大する可能性もありますが、少なくとも、今の段階で放り出すわけにはいかないのではないでしょうか。
イギリスやアメリカなど、ワクチン接種が進んで日常を取り戻しつつある国もあります。オーストラリアやニュージーランド、そのほか感染対策に成功している国もあります。ヨーロッパなどでは、徐々に海外旅行を解禁するなど、正常化に向けて動き始めています。
日本人は、コロナを恐れる度合いが大きいと言われていますが、そうでない人が多い国もあります。少なくともワクチン接種が進み始め、明るい兆しも見え始めているこの状況で、私たちはやっぱり不安だと、開催権の返上など出来るでしょうか。私は中止させるのは得策ではないと思います。
内閣官房参与の高橋洋一氏が辞任したのは、「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイッターに投稿したからとされています。たしかに言い方は悪いですし、国民感情を逆なでしたと思います。しかし、世界から見たら、たしかに低いレベルで抑えられているのは確かでしょう。
日本の選手だけでなく、世界中のアスリートがオリンピックでの活躍に向けて頑張っているわけで、やはり開催すべきだと思います。開催を前提に、いかにリスクを低くするか、感染対策を進めるか、国民の懸念を和らげるか、というところに注力すべきだと思います。
五輪は危険だ、中止しろ、延期せよという国民の半分の意見も十分に理解できます。人命優先はその通りですが、国際公約ということもあります。五輪開催で感染が心配な人は、見に行ったりしなければいいわけですし、自分は感染しないようにするしかないと思います。
国民の半分は開催を認めているのも事実です。もし感染につながる行動をとって感染したならば、それは自己責任でしょう。今だって、コロナなんて関係ないとばかりに飲みに行くなどして感染する人もいます。どう考えるか、どう行動するかは、その人次第、それぞれ尊重されるべきと思います。
100年前にも、人類最悪のパンデミックと言われたスペイン風邪の世界的な蔓延がありました。当時はワクチンどころか抗生物質すらなく、原因もわからず、衛生環境も悪く、人々の栄養状態も悪いなど、今とは比べものにならない困難さでしたが、1920年のアントワープ五輪は開催されています。
当時からみれば医学が飛躍的に進歩し、恵まれている部分が多々あります。日本でも遅ればせながらワクチン接種が進んでいます。世界でも賛否はあるものの、オリンピックは開催されようとしています。この期に及んでは、日本は世界の期待に応え、なんとか無事に開催できるよう努力するしかないのではと思います。
五輪開催の意義を問われ、よく安倍前首相が言っていた、世界がコロナに打ち克った証しとか、菅首相が言う世界の団結を示すとか、スポーツによる発信などの理念では国民は納得できないでしょう。ただ、オリンピック招致をした国として開催の責任を果たすと言えば、一定の理解は得られるのではないでしょうか。
無観客ならば、日本でやる意味があるのかと言えば、その通りです。パンデミックと重なってしまったことが不幸と言うしかありません。しかし、国際的な責任を果たすため開催を決断したと言えば、40日前になって開催の是非が議論になったり、方針が決まらず迷走することもないと思います。
その上で、来日する関係者数を減らして行動制限し、選手と国民の接触をなくすバブル方式にし、観戦は制限して人流を増やさないなど、安全安心に開催可能な理由を説明するならば、国民も一定の理解を示すと思います。もちろん、首相が言う、安全・安心な大会にならなかったら責任をとるしかないでしょう。
さて、自転車競技の選手の動向もニュースになっています。
<TOKYO2020→21>自転車トラック「自国で金」 県東部で練習 代表6選手 記者会見で意気込み
静岡県東部を練習拠点とする東京五輪の自転車競技トラック種目代表の6人が9日、オンラインで記者会見した。女子オムニアムで金メダルが期待される梶原悠未(ゆうみ)選手(24)=筑波大大学院=は「日本代表として最高のパフォーマンスができるように準備していきたい」と意気込んだ。
梶原選手は昨年2月の世界選手権で金メダルを獲得。約1年ぶりの実戦となった5月のネーションズカップ(香港)でも優勝した。起爆剤となったのは、レースとレースの間でコーチから言われた言葉。「世界チャンピオンなんだから、自分がレースを引っ張りなさい」。アドバイスを実行し、五輪への弾みをつけた。
会見では「コロナ禍でも目標を追い掛けられる状況に感謝したい。金メダルが長年の夢。朝起きてから夜寝るまで頭から離れない」と話した。
男子スプリントとケイリンに出場する脇本雄太(32)=日本競輪選手会=と新田祐大(35)=同=の両選手も思いを語った。脇本選手は「自国開催の五輪で、日本発祥のスポーツ、ケイリンで金メダルをとりたい」。新田選手も「たくさんの選手の思いを乗せて走る。結果を残すには金しかない」と言い切った。
女子スプリントとケイリンの小林優香選手(27)=同、男子オムニアムの橋本英也選手(27)=同、女子マディソンの中村妃智(きさと)選手(28)=JPF=も抱負を語った。
選手らは今後、沖縄で最終合宿を行い、本番を迎える。五輪の自転車競技トラック種目は8月2?8日、伊豆市の伊豆ベロドロームで行われる。(2021年6月11日 東京新聞)
自転車競技・新田 コロナ禍での五輪に「第三者にもスポーツのすばらしさを…」
9日、東京五輪の自転車競技・トラック種目代表内定選手の会見がオンラインで行われました。
会見に出席した新田祐大選手は、「たくさんの選手たちの思いを乗せてここまで来ました。その人たちの思いをしっかり乗せるため、金メダルを目指して頑張っていきたいと思います」と活躍を誓いました。
2012年のロンドン五輪にも出場した新田選手は、「今回みたいなコロナだったり、いろいろな部分が含まれている五輪だからこそ、スポーツに対してそこまで興味がなかった人ですら興味を示す大会になっていると思います。アスリートだけでなく第三者の方たちにもスポーツのすばらしさを伝える機会になるので、結果がすごいだけではなく選手たちがどう頑張ってきたかが伝わる一番大事な大会だと思っています」と東京五輪に対する思いを語りました。
意気込みを聞かれると、「自転車競技は自転車に詳しい人しか知らないようなマイナーな競技なので、五輪をきっかけに皆さんにスポーツのすばらしさ、そして自転車のすばらしさをぜひ知ってほしいと思っています」とコメントしました。(6/9 ヤフーニュース)
自転車、脇本と新田が「金」宣言 トラック種目五輪代表が会見
東京五輪の自転車トラック種目の日本代表が9日、オンライン取材に応じ、男子ケイリンの脇本雄太(日本競輪選手会)は「自分への期待も重圧もある。日本発祥のスポーツで金メダルを取る」と誓い、新田祐大(日本競輪選手会)も「たくさんの選手の思いを乗せて走る。金しかない」と宣言した。
空気抵抗を少なくするフォーム改造に昨年から取り組む脇本は「手応えを得ている」と強調し、新田は課題の持久力について「100パーセントになった」と自信を示した。
昨年の世界選手権女子オムニアムを制した梶原悠未(筑波大大学院)は「朝起きてから夜寝るまで金メダルが頭から離れない」と語った。(2021年6月9日 東京新聞)
【東京五輪】「一人でも多くの人に自転車の楽しさを」メダル候補・橋本英也の理念
UCIランキング男子オムニアム1位の橋本英也(27歳・日本競輪選手会岐阜支部)がオンライン取材に応じ、五輪への心境や意気込みを語った。
先日の香港で行われたネーションズカップではオムニアム、エリミネイションで2つの金メダル、マディソン、チームパシュートで2つの銅メダルを獲得した。
ーー久しぶりの国際大会だったネーションズカップ、そこで得られた成果、そしてここまでの強化ポイントはどこになりますか?
「2020年世界選手権以来の国際大会でしたが、オムニアムで優勝することができました。自身の仕上がり過程がわかり、東京五輪へ向けて手応えをつかむことができました。強化ポイントは、オムニアムの鍵を握る“持久力”です。なので、ロードレースに参加し、存分に磨き上げました」(中略)
ーー橋本英也選手にとって東京五輪とは?
「東京五輪とは“手段”です。自分は自転車やサイクリングの楽しさをひとりでも多くの人に伝えたいという“理念”があります。“手段”である東京五輪で金メダルを取って、ひとりでも多くの人に自転車やサイクリングの楽しさを知ってほしいと思っています」
ーー“手段”である東京五輪が終わった後の活動については
「ナショナルチームでの活動を引き続きベースとします。また、今はお休みいただいておりますが、競輪でファンの皆様の前で走ります。あとロードレースにも出ます。さらには僕が出場したオリンピックの経験を使って、後進の育成もしたいなと思ってます」
「毎日が新しいページに」橋本英也の“理念”に終わりはない。(2021/06/11 ネット競輪)
橋本英也選手は、「一人でも多くの人に自転車の楽しさを」伝えたいと考えているようです。これまで、世界的なスポーツイベントでは、日本人選手が活躍するとその種目、例えばゴルフ練習場へ行く人が増えたり、テニスを始める人が増えたりします。世が世なら、スポーツバイクに乗る人が増える機会だったかも知れません。
私も、それを期待していただけに残念な部分はあります。実際にどのような大会になるかわかりませんが、どうか無事に開催され、懸念されるような事態を招かずに終わってほしいと切に願います。そして、そんな環境でも力を尽くして頑張る選手には、テレビで声援を送りたいと思います。(チケットは当たらなかったので。)
◇ 日々の雑感 ◇
自衛隊運営の大規模接種センターの予約がガラ空きになっているそうです。対象を全国の接種券のある65歳以上にも広げるようですが、もう接種券など無くても、より若い年齢でもどんどん打っていくべきではないでしょうか。
Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(0)