クルマの分野では、CASEの4文字がキーワードです。4つの頭文字、すなわち、Connected(コネクテッド)、Autonomous/Automated(自動運転/自動化)、Shared/Services(シェアリング/サービス化)、Electric(電動化)という技術革新が進むと言われています。
このうち、「C」はクルマがネットワークに接続されることを表します。いわゆる「つながるクルマ」です。車両の状態や周囲の道路状況など、さまざまなデータをやり取りし、クルマ自体がある種の移動通信端末のようになると言われています。ネットワークと無線接続するのは、もちろん高速な5G回線です。
自動運転では、さまざまな情報が必要になるので、それに向けても通信機能は必須です。さらにこの通信機能により、車内でのエンターテインメントなども進化すると見込まれています。ほかにもネットに接続することによって、いろいろなサービスが展開されることになるでしょう。
すでに、アメリカ連邦通信委員会(FCC)やクルマメーカー、クアルコムなどの半導体メーカーが、
Cellular Vehicle-to-Everything(C-V2X)といった規格構築に向けて動いています。高度道路交通システムによって、これまでとは違うレベルでのモビリティの安全性を実現しようとしています。( ↓ 動画参照)
今は、それぞれのドライバーがクルマを個々に動かしているわけですが、コネクテッド・カーとしてネットワークに接続されていけば、周囲の交通状況が広く把握できるようになり、危険を回避したり、渋滞を極力避けるなど、より安全でスムーズな走行につながっていくでしょう。
クルマだけでなく、道路上にある信号や監視カメラなども接続されます。クルマに搭載されたセンサーによる検知も含め、道路の状況が広く共有されます。こうした機能によって、クルマ同士だけでなく歩行者や自転車の存在も捕捉するようになると想定されています。ドライバーに注意喚起するような機能も実現するでしょう。
それだけではありません。自転車がセンサーやカメラで捕捉される、受け身の立場としてだけでなく、自らネットワークに接続することで、より安全性が向上するのではと考える人たちがいます。オーストラリアの通信会社、
Telstra 社と、自転車用品を展開するブランド、
Arenberg です。
両社が開発しているのは、5G回線で接続されるヘルメットです。自転車本体をネットワーク接続して、コネクテッド・バイクにするのではなく、コネクテッド・ヘルメットにより、サイクリストの安全を確保しようという考え方です。なるほど、これは現実的な方法でしょう。
つまり、クルマと同じように、自転車本体をコネクテッド・バイクにして、自動で危険を回避したりするのは現実的ではありません。そのような機能を搭載するためには、かなりの大きさ、重さの装置が必要になります。もはや自転車ではなく、少なくともコネクテッド・オートバイなどにせざるを得ません。
ヘルメットが常時接続してリアルタイムに情報を取得し、音声や警告音、光などでも知らせます。リアルタイムの情報に基づいて注意喚起・警告し、危険回避行動を促します。かぶっているサイクリストにしてみれば、走行中にどこからか声が聞こえきて、危険が迫っていることを教えてくれるわけです。
例えば、死角になって見えない脇道からクルマが出てくることが、ヘルメットによって事前に知らされるならば、注意して減速したり、危険を回避したり出来ます。道路脇に停車しているクルマに人が乗っていて、いきなりドアが開く可能性があることが、あらかじめわかれば助かります。
コネクトされるのはヘルメットだけです。情報の伝達や警告するだけで、回避するのは人間ですが、それでも充分に安全性の向上には寄与するに違いありません。見えない危険、予期しない危険を感知できるなら、使うメリットは大きいはずです。こうしたヘルメットが将来の標準的なアクセサリーになる可能性はありそうです。
( ↓ 動画参照)
5G回線は、今までとは桁違いの速度、大容量のデータを送受信できます。走行中のリアルタイムの情報伝達は、充分に現実的、実用的な選択肢になるでしょう。ヘルメットは頭部を保護するだけでなく、情報を収集することでサイクリストの安全に貢献するアイテムになる可能性があるわけです。
当然ながら、通話やSNSの音声によるメッセージの読み上げといったサービスも搭載されるかも知れません。必要かどうかはともかく、手元でスマホを操作するより安全で便利となれば、自転車に乗っている間のモバイル端末として一般的になってもおかしくありません。
自転車もコネクトになることに抵抗を感じる人もあるかも知れません。ただ、周囲のクルマがコネクトになっていく以上、道路上の交通の一つとして、ネットワークにつながったほうが合理的です。サイクリスト自身が反応して安全を確保するのは変わらなくても、より効率的・効果的になるでしょう。
こうした開発を、自転車用品メーカーと通信会社が進めています。スマートフォンやタブレットといった通信端末と並んで、5Gヘルメット端末を商品ラインナップに加えようとしているわけです。将来は、日本でもドコモやKDDI、ソフトバンクブランドの、『声が降ってくる』ヘルメットが発売されることになるかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
東京都は21日から、午後7時迄2人以下滞在90分以内など細かい条件をつけて酒類の提供を認めるようですが、既に要請に従わず深夜まで酒類を出している店との不公平を解消しない限り、なし崩しになりそうな気がします。
Posted by cycleroad at 13:00│
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