June 22, 2021

自転車に個性を求める人たち

自転車は工業製品です。


フレームビルダーがオーダーに応じて、一から組むようなものは別として、ほとんどは工業製品として量産されます。車種によって、スタイリングはさまざまですが、同じ種類、例えばロードバイク、MTB、ビーチクルーザーなど、それぞれどうしても似てくるのは否めません。

構造的にはシンプルですが、ある種の機械でもあります。性能や製造効率などから、合理的なデザインというのが、ある程度決まってくるのも確かでしょう。ダイヤモンドフレームなど、伝統的かつ合理的なスタイルに収れんしてくるということもあるに違いありません。

スポーツバイクは、工業製品として見ても、よくデザインされていると思いますし、洗練されていて魅力的と感じます。ただ、どれも同じに見える、ほとんど差が無い、画一的と言われれば、そういう面もあります。色や細かい意匠が多少違うだけで、個性がなく似ていると言われれば、その通りでしょう。

しかし、移動効率を追求する乗り物である一方で趣味のものでもあり、もっと個性があってもいいと考える工業デザイナーは少なくありません。ある種の芸術作品のようにデザインしたいと考える人も多いようです。ある程度効率的でありながら、もっとデザイン的な遊びがあってもいいと考えるわけです。

そのほうが、製品としての個性が出て、他との差別化も出来ます。もちろん、人によって好みは千差万別ですが、気に入った人には選ぶ理由になりますし、愛着もわくというものでしょう。今回は、ネット上で見かけた中から、個性のある自転車デザインについて取り上げてみたいと思います。

Gary LiaoGary Liao

こちらは、台北在住の工業デザイナー、Gary Liao さんの作品、電動アシスト自転車です。バッテリーの収納場所を含め、ユニークなフレームデザインです。中空の素材が使われており、軽量さにも配慮しています。素材や加工技術の進歩も、ユニークなデザインを可能にしたと言えるでしょう。

PELIKANPELIKAN

こちらは、FabianBrees さんの作品で、“Pelikan”という名前がつけられています。オーソドックスなスタイルに見えて、ダウンチューブとトップチューブが近づいた独特な形、シートステーが省略されているなど、オリジナルなデザインとなっています。

Axess E-BikeAxess E-Bike



上の動画は、“Axess E-Bike”、オートバイのように見えますが、ペダルがあります。デザイン的には好き嫌いが分かれそうですが、このようなメカ感のあるデザインを好む人もいます。さまざまな機能を搭載し、実用性も考慮した構成になっています。

ReindyAllendraReindyAllendra

こちら、ReindyAllendra というデザイン事務所の作品です。フレームが曲線で、他にはない個性的な形になっています。電子的な機能も搭載しており、近未来的な感じもします。こちらも好みによると思いますが、他にはないデザインなのは確かでしょう。

AutoVeloAutoVelo

こちらは、Erik Stoddard さんによる、“AutoVelo”です。ペダルがフロントフォークにあたる部分にあり、前輪駆動のリカンベントという独特の自転車になっています。後輪にはアシストモーターが配されます。雨避けも兼ねた風防をとりつけられるシティーユース向けのデザインとなっています。



こちら、フィリピンの方は、自転車を改造して自作のカーゴバイクを制作しました。それもただのカーゴバイクでなく、今までにないクレイジーなカーゴバイクが作りたかったようです。こうしたハンドメイドの自転車も、ある意味、オリジナルなデザインと言えるでしょう。( ↑ 動画参照)

Sumit KumarSumit Kumar

インド在住の工業デザイナー、Sumit Kumar さんの作品“Zing- Hybrid e-bike”、こちらも独特なフレームです。鳥のカワセミからインスパイアを受けたそうです。人間工学的な配慮を取り入れながら、スタイリッシュで時代を先取りするデザインを目指したそうです。

TCDTCD

TCDTCD

TCDTCD

TCDTCD

こちらは、東京サイクルデザイン専門学校の生徒さんたちの作品の一部です。まさに自転車のビルダーやエンジニアなどを目指す学生さんたちです。制作上の制約がありますから、それほどの冒険はできないのだろうと思いますが、それぞれ個性的な発想が反映されています。

HoopyHoopy

こちらは、“Hoopy”と名付けられた木製フレームの自転車です。木製ならではの自由度とも言えますが、ダイヤモンドフレームなどの自転車のデザインの基本にこだわっていないのも特徴でしょう。十分な強度を確保しながら、フレームの重量は3キロに収まっています。( ↓ 動画参照)



工業デザイナーから、単なる工作好きまで、いろいろなデザインを考える人たちがいます。もちろんこれは、ほんの一部に過ぎません。オーソドックスな自転車のデザインに飽き足らない人は確実に存在しています。乗り物としての制約はあるとしても、もっと個性やデザインにこだわりたい人は少なくないようです。

近年の素材や加工技術の進歩により、自由度が高まっているという背景もあるでしょう。パイプを溶接してつくるのと比べ、一体成型ならば自由度が増します。3Dプリンタなどの新しい技術を使うならば、少ないロットで多様なデザインが実現できるかも知れません。

実際に私たちが購入する工業製品としての自転車の場合、なかなか個性的なデザインというわけにはいかないでしょう。あまり奇をてらうと売れませんし、コストなどの問題もあります。ただ、どうしても機能や効率、合理性が求められがちな中で、もう少しデザインやその自由度といった要素を考える余地はある気がします。




◇ 日々の雑感 ◇

SNSで若い世代を中心にワクチンについて間違った噂が広がっているようです。不妊になるとか、マイクロチップが入っているなど荒唐無稽なものもあります。接種忌避を招かないよう、今のうちから広報を徹底すべきでしょう。

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