サイクルロード 〜自転車への道
世界の都市で自転車が選ばれ始めている。さまざまな角度から自転車の話題を。
July 04, 2021
未然に防ぐ効果も期待したい
最近、交通トラブルの映像をよく見ます。
あおり運転だとか高速道路の逆走、事故の瞬間や挙動不審な車両、夜中にロケット花火を周囲に向けて発射しながら走行するクルマ、なんてのもありました。多くの人がスマホを持ち歩き、すぐに撮影できるようになったことが背景にあるのでしょう。誰でも出来事を動画として撮影して残しておくのが簡単になりました。
もう一つの要因は、クルマにドライブレコーダーを装着する人が増えたことでしょう。突然起きる出来事に対しては、偶然スマホで撮影中でもない限り、なかなか撮影できません。ドライブレコーダーならば自動で撮影して記録するので、後から見直して、当該場面を切り出すことが出来ます。
東名高速でのあおり運転による死傷事件をはじめ、各地であおり運転が相次ぎ、被害も断続的に発生したため、ドライブレコーダーを取り付ける人が急増したそうです。各社も販売に力を入れており、クルマ用品のショップに行くと、たくさんの種類が並んでいます。
あおり運転をされた場合の証拠になるばかりでなく、事故の際の原因や過失の有無を解明できたりします。なかには、駐車中にも作動し続けるタイプのものもあり、車上荒らしやクルマに傷をつけるなどの嫌がらせを録画し、犯人の特定に結びつけた例もあります。
そうした可能性を考えれば、ドライブレコーダーを装着しようと考える人が増えるのもわかります。ただ、そう考えるのはクルマのドライバーだけではありません。サイクリストの中にも、自転車用のドライブレコーダーがあれば取り付けたいと考える人は少なくないのではないでしょうか。
クルマの場合は、あおり運転や嫌がらせをされたとしても、直接ぶつかってくることは少ないでしょう。直接接触すれば、したほうにもダメージがあり、事故にならなかったとしても修理代がかかってしまいますから、一定の抑止効果が働くはずです。
しかし、自転車の場合はそうはいきません。多少は傷がつくかも知れませんが、自転車と接触しても受ける被害は少ないですから、対クルマよりは抑止力が小さいと考えられます。そして、接触すれば、まず相手は転倒しますし、スピードが違うので逃げてしまえばわからないと考える可能性もあります。
クルマ対クルマと違い、自転車の場合、ちょっとした接触でも、転倒して打ち所が悪ければ死亡しかねません。よく、夜中や明け方に、道路上に倒れて死亡している人が発見され、そばに自転車が倒れていたといったニュースを聞きます。おそらくクルマに追突、もしくは接触され、ひき逃げされたのでしょう。
そう考えると、自転車にこそドライブレコーダーが必要な気がしてきます。実際に、自転車用のドライブレコーダーはいろいろなタイプが開発され始めています。このブログでも、自転車に装着するタイプから、ヘルメット装着型、首にかけるタイプなど、さまざまな製品を取り上げてきました。
また一つ、自転車用ドライブレコーダーが登場しました。その名も“
Dashbike
”、Dashfactory GmbH 社というドイツの会社が開発しました。サドルの下かシートポストに簡単に取り付けることが出来ます。後方を録画するタイプで、およそ120度の範囲を映像として記録できます。
単なる動画撮影だけでなく、後方からクルマに追い越された場合、そのクルマと間隔を測定して記録します。間近を通過されるようなケース(1.5メートル以内)は記録として残ります。仮に接触されていなくても、あまりに近くを通過されたため、そのあおりで転倒したような場合にも、客観的な事実を証明できます。
GPSも搭載しているため、位置などの情報も記録されます。落下を検出するセンサーも内蔵されているため、事故が起きたことを検知し、データを永続的に保存するようになっています。見た目にはバックライトのように見えますが、バックライトとしての機能も果たします。もちろん防水です。( ↓ 動画参照)
ドライブレコーダーは、何か起こらない限り、用のないアイテムになりがちですが、これはGPS機能を使ったトリップレコーダーとしても機能します。ふだんのサイクリングのライド記録を確認するような用途にも使えるわけです。いろいろな機能が一台にまとまっているのは便利でしょう。
手持ちのスマホと、Bluetooth で接続します。専用のアプリを使って、記録された動画を見ることも可能です。ユニークなのは、ライドデータに加えて、どれほど危険だったか、追い抜き時の距離が近かったか、危険指数によるライド評価といったデータをSNSにアップして共有できることです。
つまり、「危ない目にあった場所」をSNSで発信できるわけです。匿名でもアップできます。将来的に、こうしたデータが集積されていくとするならば、自転車にとって危険な場所が浮き彫りになってくることも考えられます。その場所の問題点が浮かび上がれば、例えば行政に対し、対処や改善を求める根拠にもなるでしょう。
Dashfactory GmbH 社は、ドイツのスタートアップ企業ですが、各種の賞を受賞したり、表彰されるなどしています。アメリカの
クラウドファンディングサイト
でも資金調達、販売していますが、すでに目標金額を超える額を達成しています。
自転車用のドライブレコーダーは、さまざまなタイプが登場してきていますが、まだ一般への認知度が低いのが現状でしょう。何らかの装置を装着している人も、かなり限られると思います。自転車からドライブレコーダーで撮影されている可能性を意識しているドライバーは、稀れだと思われます。
それこそ、「この自転車にはドライブレコーダーが装着されており、録画しています。」とアピールできれば、危険行為の抑止にもなると思います。しかし、クルマと違ってステッカーを貼っても目立たないでしょうし、録画中と書かれたシャツを着るのもスマートとは言えません。
ドライブレコーダーの装着は、事故が起きた際の証拠や犯人特定に有用だと思いますが、事故が起きて、死んでからでは本人にとっての意味は乏しいでしょう。その点で、ひと目でそれとわかるほど特徴的な形状とか、広く普及して知られるようになった製品でも出てくれば、危険を未然に抑止する効果も見込めると思います。
ライトで撮影中という文字が浮かび上がってもいいかも知れません。いずれにせよ、ドライバーに対する抑止効果を期待するには、もっと自転車用ドライブレコーダーがポピュラーになり、装着する人が増える必要があるでしょう。この“Dashbike”がそうなるかはともかく、広く普及するような製品の登場を期待したいものです。
◇ 日々の雑感 ◇
静岡県熱海市で土石流災害が発生しました。この地域では今まで起きたことのない災害だそうですが、そういう事態も起こりえると改めて肝に銘じざるを得ません。やはり予断を持たず早々に避難するしか方法はなさそうです。
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Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(2)
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この記事へのコメント
cycleroadさん,こんにちは.
このドラレコならぬ“サイレコ”,通学用の自転車に取り付けるのも有用かもしれませんね.“
また以前からYouTubeにこの種の“サイレコ”による自転車レース中の動画がUPされているのを観たことがありますが,レースの記録だけでなく,万一落車などが起きた際の原因の分析と安全対策にも役立つのではと考えられます.
Posted by マイロネフ at July 10, 2021 08:42
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
実際に装着していて良かったと思える事態というのは、そうそう起こらないと思います。
でも、ふだんは趣味のツーリングでの記録などに使っておけば、イザという時に役立つというのはあるかも知れませんね。
Posted by cycleroad at July 10, 2021 14:57
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