September 11, 2021

サイクリストも例外ではない

自分の過信に気づかないことがあります。


例えば、熱中症です。今どき夏場は天気予報などでもしつこいくらいの注意が呼びかけられますし、多くの人が救急搬送されていることも知っています。でも、どこか他人事と思っていて、自分の身に起こるとは考えていない人も多いのではないでしょうか。

そこには過信があるかも知れません。近年は猛暑日も増えていますし、何かのきっかけで誰の身に起きてもおかしくありません。ただ、今まで大丈夫だったし、水分補給などにも気をつけているからと、自分がなることに実感がわかない人は少なくないに違いありません。

熱中症に注意熱中症に注意

私の友人もそうでした。先月のことですが、熱中症で病院のお世話になってしまったそうです。取り立てて過信していたつもりはなかったものの、まさか自分が熱中症で手当を受けることになるとは思っていなかったと話していました。幸い、病院での処置を受け、無事に回復しました。

友人は気を失うまではいかなかったそうですが、脱水症状が進んでいて、下手をすると心臓が止まってもおかしくなかったと言われたそうです。後から考えれば、それなりに体力はあるとの過信があったかも知れないと反省していました。少なくとも、そんなに危ない状況にはならないと思っていたと言います。

熱中症は高齢者ばかりでなく、若くても子どもでもなります。気がついたら救急搬送されていたという人は多いと聞きます。なると思っていないこと、そして急に意識が混濁したりするため、救急搬送されるまでの事態に至ってしまうのでしょう。熱中症の救急搬送がこれだけ多いことがそれを物語っています。

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言い方を変えると、熱中症になりそうだと、事前になかなか気づけないということがあるのでしょう。おそらく、頭がボーっとするなどの症状を自覚した時には、すでに遅く、倒れてしまうということだと思います。今までならなかったからと言って、それはたまたまかも知れず、十分に可能性はあると考えるべきでしょう。

自転車で走っている場合は、風を受けて体温が下げられます。このため深部体温の上昇に気づきにくいということもあるかも知れません。喉が渇けば当然、水分補給をするでしょうが、喉が渇いてからでは遅いとも言われます。手持ちの飲料が底をつき、補充しようと思っている間に、ということもありそうです。

熱中症搬送される件数は多く、いちいちニュースにはなりません。なっても具体的な状況までは言及されないでしょう。自転車で走行中にという話はあまり聞かないですが、実はツーリングの休憩中にとか、クラクラして道端に止めて休もうとした時に倒れるといった事例が起きている可能性はありそうです。

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広く言われていることなので、今さらですが、塩分の補給も重要です。発汗によって水分だけでなく塩分も失われています。この状態で水分だけ補給しても、血液中の塩分濃度が下がることになります。これを防ぐため血液の量、血流が減り、血圧が低下してしまいます。

これにより、心臓が脳に十分な血液を送ることが難しくなります。血圧低下で足に血液が溜まり、脳に酸素が不足し、いわゆる起立性低血圧の状態となり、失神したりすることになります。熱を放出できず、体温が上がるだけでなく、酸素不足で脳がダメージを受けかねません。

熱中症は重症化すると、多臓器不全を起こして死に至ることもあります。さらに、あまり知られていませんが、後遺症が残る場合もあるそうです。多いのが脳を中心とした中枢神経障害です。高次機能障害で記憶力低下や集中力低下、睡眠障害などが残り、長く苦しむ例も少なくないそうです。脳へのダメージは危険です。

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なかなか事前に気づくのは難しいですが、いくつかヒントがあります。例えば、ジャージなどにつく白い粉です。そう、汗の塩分です。汗をかいて乾いた後に、濃い色のシャツだと白い粉や白い筋状の跡がついたりした経験があるでしょう。(ちなみにシャツの色によって体温上昇の度合いはかなり違うそうです。)

この白い筋、時々見るため、特に体調が悪いとは感じないかも知れません。しかし、明らかに塩分が失われています。シャツの材質によっては出ないこともありますが、腕などをなめて塩辛い時も同じです。この状態が見られたら熱中症の前段階だと思って注意すべきです。水分や塩分を補給し、休憩をとるなどが必要でしょう。

ツーリングの後半などで、足がつる(攣る)こともあるでしょう。こむら返りです。これも汗で出てしまって塩分が不足している証拠です。単に疲れて筋肉が痙攣しているだけではありません。塩分の不足、水分の不足であり、熱中症の兆候と考えるべきです。

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自分の腕の皮膚をつねってみて、元の状態の戻るのが普段より遅い、具体的には2秒以上かかるとか、手の爪を押してみて、2秒以上白いままだったら、これも脱水が進んでいる状態です。例え、喉が渇いていなかったとしても、すみやかに水分補給する必要があります。

休憩時にトイレに行ったら、尿の量が少なく色が濃い時があります。あるいは長時間、行きたくならない時もあるでしょう。これも水分が不足しています。食欲がなくなったり、舌が白い、眠気がある、脈が速い、手足が冷たいといった症状に気づいたら、それも水分不足の可能性があります。

そのほか、立ちくらみ、めまい、全身のだるさ、頭痛、吐き気などを感じたら、かなり危険に近づいています。すぐに日陰など涼しい場所で休憩して、脱衣して体温を下げ、水分と塩分を補給すべきでしょう。場合によっては、医療機関にかかることも考えたほうがいいと思います。

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塩分の補給ですが、汗をかいて失われる塩分の量は、時と場合でかなり違うそうです。例えば、汗1リットルに対し200mg程度の時もあれば、2500mgを超える場合もあります。人によっても違いますが、同じ人でも、その日の気温や湿度、風の強さ、本人の体調などさまざまな要因で、流出する塩分量は違うと言います。

つまり、塩飴をなめた程度では足りない場合があることは知っておくべきでしょう。どれくらい補給すればいいか、ケースバイケースなので一概には言えませんが、補給しても足りない場合が往々にしてあるということです。塩辛いものが食べたくなったら、明らかに足りていません。

スポーツドリンクで補給する人もあると思いますが、これも場合によっては問題を起こします。ペットボトル症候群です。ソフトドリンク(清涼飲料水)・ケトアシドーシスとも言います。スポーツドリンク、清涼飲料水を大量に飲むことで起こる、急性の糖尿病です。

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スポーツドリンクには、飲みやすくするため、塩分だけでなく糖分も含まれています。これが100mlあたり10g程度と、少なくない量の飲料も少なくありません。糖尿病でない人でも急性の糖尿病となって、意識混濁などを起こし、昏睡して死亡する例まであると言いますから、スポーツドリンクの飲みすぎは考えものです。

いずれにせよ、熱中症は決して他人事ではありません。自転車の走行中は、深部体温の上昇に気づきにくい点にも注意が必要です。時期も4月くらい〜9月くらいまで、猛暑日でなくても起こります。年齢も関係ありません。若くて体力のある人は、そのぶん運動強度を上げがちであり、より体温が上がる要因になります。

二日酔いとか寝不足などもリスクです。今までならなかった人でも、この先もならない保証はありません。自分は大丈夫と過信につながりがちなので、かえってリスクとなります。特に今はコロナで救急搬送が手遅れになる可能性もありますし、決して油断しないようにしたいものです。




◇ 日々の雑感 ◇

北朝鮮の軍事パレードに姿を見せた金正恩総書記が激ヤセしています。でも、よく見ると以前の写真と生え際とか耳の形とか違う気がします。影武者なのか建国記念の演説もなし、北朝鮮内部で何か起きているのでしょうか。

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この記事へのコメント
cycleroadさん,こんにちは.

今回の貴記事は大変に有益ですね.自分ではそれと分からないうちに熱中症になっていたのかと思ったり,もしかしたら慢性の熱中症になっていたのかもと思った事も確かにあります.ごく軽い吐き気を催すこともありますから.

それにしても近年,大都市圏ではヒートアイランド現象の悪化で,真夏は早朝の時間帯でも出発時からサイクリングにならない蒸し暑い日が多くなったのは実に嘆かわしい事です.

Posted by マイロネフ at September 12, 2021 10:18
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
これまで大丈夫だと、ついそれが当たり前だと思ってしまうのはあるでしょうね。ほかにも、例えば夜間の視認性などにも言えることだと思いますが。
たしかに熱中症で運動は危険とされる日が増えてますね。舗装道路の照り返しもありますし、湿度が高いと体温も下がりにくいですし、耳を傾けるべきでしょう。
Posted by cycleroad at September 14, 2021 16:23
 
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