December 04, 2021

どんな教育を選ぶべきなのか

いつの世も教育は重要です。


日本では義務教育で就学するのが当たり前ですが、世界的にみれば、億単位の子どもが学校に通えていません。教育を受ける機会がないまま大人なり、今も文字の読み書きができない人は約7億5千万人、世界の15歳以上の6人に1人にものぼると言われています。いまだに識字率の低い国があるのです。

字が読めなければ、生きていくのも困難になります。毒とか劇薬とか地雷とか高圧電線といった字が読めなければ、生命の危機に直結するでしょう。もちろん、生活に必要な情報を得られませんし、仕事について十分な報酬を得ることも困難になり、貧困状態に陥ります。

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先進国でも、親の貧困が子どもの教育に影響することが問題となっています。いわゆる貧困の世代間連鎖であり、格差の固定につながると指摘されています。そして、これからの時代は教育の内容も重要になります。何を学ぶかによって、将来の職業選択の幅が左右されるからです。

最近よく聞くのは、これからは、AIの普及によって多くの仕事が無くなるだろうという話です。労働力不足を補うためにもAIによる生産性向上は不可避となるでしょうし、人工知能やロボット技術、ITなどによって、無人化・省力化が進むのも避けられないでしょう。

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もちろん、無くならない仕事もあるはずですから、そのような仕事に転職すればいいわけですが、必ずしもそれが容易とは限りません。高度なスキルが求められることもあるでしょう。求人があっても、その仕事はしたくない、雇用のミスマッチということもあります。

これから就職をする学生だけでなく、すでに働いている世代でも逃れられない変化です。足元のコロナ禍でも、仕事のやり方が変わり、例えばIT系のエンジニアとか、DXを担う人材などが大幅に不足する一方で、無人化などによって、失われつつある雇用も出始めています。

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最近は、リスキリングという言葉もよく聞きます。違う職業に就くため、あるいは今の職場でも配置転換や、新たに必要となるスキルの大幅な変化に適応しなくてはならなくなっています。学校を出た後も、必要に応じて教育を受けたり、もう一度学校に戻るようなことも必要になっていくでしょう。

今の仕事の存続が危ういとするならば、失業する前に、転職・再就職のために教育を受けて新しいスキルを習得する必要が出てきます。そこでは、何を学ぶかが重要になってきます。将来なくならない仕事、ニーズが高まる仕事を目指したいのは当然です。ただ、誰でも簡単に習得できるものでは優位性が発揮できません。

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いま学生の人もそうでしょうが、転職や再就職を考える人も、どんなスキルを習得するかは重要です。目指す分野で職を得られるようなスキルである必要があります。一方で、その分野が得意か、嫌いでも続けていけるか、そのあたりのミスマッチも悩みのタネになるかも知れません。

アメリカにはたくさんの教育機関があります。でも、いま最先端のIT技術や金融工学やMBAばかりではありません。もっと違う分野で必要とされる仕事のための教育もあります。競争の激しい分野、自分の苦手な勉強ではなく、あまり他人が目指さない職種を選ぶ人もいます。

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アーカンソー州・ベントンビルにメインキャンパスを持つ、NorthWest Arkansas Community College(NWACC)でも、いろいろな教育を受けられますが、その中には「自転車」があります。自転車の組み立てや修理、メンテナンスなど広範なサービス、管理やビジネス面を含めたスキルを学ぶことが出来ます。

自転車産業雇用者協会、(Bicycle Industry Employers Association :BIEA)の資格も取得できます。いま増えている電動自転車の知識や技術なども含まれます。ベントンビルは、マウンテンバイクのメッカでもありますが、自転車のための大学もあるのです。

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現状の自転車業界は白人と男性が多い業界ですが、大学としては多様性を広げたいと考えています。そこで、 BIPOC、“Black, Indigenous, and People of Color”(黒人、先住民、有色人種)や、性的マイノリティ、LGBTQ の学生が利用できる奨学金も用意されています。なかなか先進的な取り組みです。

同様の教育は、ミネソタ州・ミネアポリスにある、Minneapolis Community & Technical College などでも行われています。現在はコロナ禍で全米の自転車の売り上げが急伸し、人材のニーズもあるわけですが、自転車の修理やメンテナンスの技術者は将来的にも必要とされると、これらの大学は考えているようです。

Minneapolis Community & Technical CollegeMinneapolis Community & Technical College

たしかに、自転車の製造部門は無人化が進むかも知れませんが、修理やメンテナンスの場合は、一台一台違うわけで、なかなかロボットでというわけにもいかないでしょう。自転車の販売は対面でなくなっていくかも知れませんが、修理やメンテナンスのニーズは残ると思われます。

日本のママチャリは格安なため、使い捨てのようにする人も多く、特殊な事例ですが、アメリカではスポーツバイクの人気も高く、e-bike の人気も広がっています。シティサイクルも含めて単価も高いですし、環境負荷という観点からも、自転車を使い捨てにするようになって、技術者が不要になるとは思えません。

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冒頭で書いた、人工知能やロボット技術、ITなどによって無くなる仕事というのは、いろいろなメディアでもたくさん挙げられています。無くならない仕事も同じです。しかし、私がこれまで見た限り、自転車の修理やメンテナンスの技術者というのは、そのどちらでも見たことがありません。

今まで200年間あったからとは言いません。自転車も劇的に進化するかも知れません。ただ、基本的に電動アシストになったり、シャフトドライブになったりはするでしょうが、機械である以上、修理やメンテナンスのニーズはなくならないのではないかと思います。つまり、無くならない仕事に入りそうです。

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自転車が好きな人、手先が器用な人、対人より機械を相手にするほうが得意な人、ITなど、どんどん進化していくため追いつくのが大変な分野よりいいと考える人、ホワイトカラーより職人になりたい人、いろいろあると思いますが、この仕事を目指して教育を受けるというのは、一つの選択肢となっているようです。




◇ 日々の雑感 ◇

日本人の帰国停止を撤回したり、ワクチンの3回目接種の前倒しを検討するなど、それなりに岸田首相の聞く力は発揮されているようです。でも18歳以下への給付のうち5万円分のクーポン発行に967億円かけるとか、文書通信交通滞在費の日割りだけでなく使途を明らかにするとか、まだまだ聞く力を発揮すべき事は多いと思います。

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