January 21, 2022

日本はアジアの中心ではない

東から西まで、アジアの国もいろいろあります。


日本人にとって東アジアや東南アジアは、比較的馴染みがありますが、西アジアとなると、遠くてあまり縁がない感じがします。サッカーのアジア予選で、イラクとかカタールとかイランなどと試合をすることがありますが、なんでこれらの国がアジアなのかと感じる人も多いかも知れません。

日本から見ると、ヨーロッパやアフリカのほうに近いのに、オセアニアまで含めるなど、サッカー予選のアジアは範囲が広すぎと感じる人も多いでしょう。特に中東の国々は、砂漠とイスラム教のイメージが強く、産油国くらいしか印象はないかも知れません。ただ、日本が極東というだけで、西アジアもアジアです。

アブダビアブダビ

ところで、UCI、国際自転車競技連合という組織があります。自転車競技の国際競技連盟です。本部はスイスにあって、対象となるレースは、ロード、トラック、マウンテンバイク、BMXといった種目、男子も女子も、プロ・アマチュアも含めて幅広い範囲をカバーしています。

さて、このUCIが、アジアで初めての、「UCIバイクシティ」の認証を授与した都市があります。アジアで最初ですから、東京とか上海、シンガポールなどかなと想像する人が多いと思いますが、違います。それはアラブ首長国連邦のアブダビです。

アブダビアブダビ

アブダビは、これによりデンマークのコペンハーゲン、フランスのパリ、カナダのバンクーバー、イギリスのヨークシャー、スコットランドのグラスゴー、ノルウェーのベルゲンといった世界でも定評のあるサイクリング都市の一つとして肩を並べることになります。

UCIは、“Cycling for All” (すべての人のためのサイクリング)という戦略を進めています。世界中の人々が自転車を移動手段、レジャー、そしてスポーツとして日常生活に取り入れ、よりアクティブで、健康的かつ持続可能なライフスタイルを促進させることを目的とするものです。

アブダビアブダビ

アブダビは、この戦略にコミットすると共に、「バイクシティ」の認証によって、アブダビがUCIの主要な自転車競技大会の理想的な開催地であると認められたことになります。2022年、24年のUCIアーバンサイクリング選手権、2028年のUCIグランフォンド世界選手権が同地で開催されることが決定しています。

意外に感じる人は多いと思いますが、アブダビは近年、自転車競技の振興や、自転車インフラの拡充に力を入れています。日本でも近年、自転車競技の開催が増えている気がしている人も多いと思いますが、アジア初の自転車シティはアブダビであり、アジアの自転車競技の中心ということになるわけです。

アブダビアブダビ

アブダビは都市であると共に、国でもあります。アブダビ首長国、首都・最大都市もアブダビです。UAE、アラブ首長国連邦を構成する首長国の一つで、最大都市はドバイですがUAEの首都はアブダビです。面積は6万7千平方キロ、人口は200万人ほどですが、既にある自転車道のネットワークを1千キロに延長する予定です。

( ↓ 動画参照)


トラックレース用のアリーナも建設され、サイクリングクラブなどの組織も充実していて、トップレベルの競技会から娯楽としてのサイクリングまで、市民は自転車に親しんでいます。ご存じのように砂漠国であり、夏は暑いですが、1年を通じて晴天なため、自転車に乗りやすい面もあるようです。

エジプトエジプト

エジプトエジプト

砂漠の国というイメージから、中東の人々はラクダには乗っても自転車に乗るイメージがない人は多いでしょう。しかし、それは違います。例えば、エジプトのカイロ(上の写真)などでは、シェア自転車が導入され、最近は市民がサイクリングに目を向け始めています。一部の道路には自転車レーンもあります。( ↓ 動画参照)



エジプトエジプト

都市郊外の砂漠地帯では、MTBで走行を楽しむ人たちもいます。イスラム教の断食月、ラマダンの最中にMTBに乗っている人もいます。比較的穏健なイスラム教の国ですが、保守的な地域では女性が自転車に乗ることは許されていませんでした。それが最近は、若い世代を中心に女性も乗るようになってきています。

サウジアラビアサウジアラビア

サウジアラビアサウジアラビア

これはエジプトだけの話ではなく、かなり厳格なスンニ派イスラム教のサウジアラビアでも、最近は女性の自転車を認める方向になっています。以前取り上げましたが、女性が自転車競技の選手としてオリンピックを目指すなどの例もありますし、国によって違いはあるにしても、全般に女性にも広がる傾向と言えそうです。



ヨルダンには、国土を南北に縦断する自転車道まであります。ヨルダンバイクトレイル、全長は730キロ、ハリウッド映画、インディージョーンズ/最後の聖戦にも登場した、ペトラ遺跡付近も通ります。ルートは砂漠だけではなく、美しい景色が続くようで、一度走ってみたいトレイルです。( ↑ 動画参照)

そのほかの国々も含め、程度の差こそあれ、人々は普通に自転車に乗っています。あまり中東のサイクリストの話題、自転車事情を聞くことがないため、ラクダのイメージしかないかも知れませんが、むしろ日本より進んでいる面もあると言えるでしょう。( ↓ 動画参照)



日本は先進国、またアジアで唯一のG7国として、アジアをリードしているような気がしています。しかし、少なくとも自転車に関しては違います。中国やインドも含め、アジアの国で自転車に乗る人が多い都市は多々ありますし、世界から見れば、アジアの自転車競技の中心はアブダビです。

日本も自転車に乗る人は多く、保有台数的には自転車王国と言うことも出来るでしょう。しかし、こと自転車に関しては、決して先進国、中心とは言えません。むしろアジアの自転車の競技、活用、インフラ、レジャー、文化的には、辺境と言うことになるかも知れません。




◇ 日々の雑感 ◇

小池都知事は不要不急の外出自粛と言い、尾身会長はステイホームなど不要と言い、混乱が広がっています。外出自粛要請はもはや無駄、いい加減、人流抑制は無意味と認識すべきです。4人と6人、8時と10時の何が違うのかとの疑問も当然です。それより保健所のひっ迫防止に注力し、いわゆる野戦病院を準備しておくべきでは。

このエントリーをはてなブックマークに追加

 デル株式会社


Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。



 楽天トラベル

この記事へのコメント
cycleroadさん,こんにちは.

昨年,一昨年とツール・ド・フランス2連覇を達成したスロベニアのタディ・ポガチャル選手はUAEのチーム・エミレーツに所属していました.それに同チームも昨年の同レースでは8名の選手全員が全ステージを完走の成績を収めたという事です.

そういった「世界で勝てる」自転車レースチームが存在するためには,今回の貴記事で紹介されたような基礎的な環境整備と,それに対する彼の国の国民の支持があればこそだと思いました.

この彼我の相違の1つの要因に,私は気候風土の影響も大きいと思っております.ご存知の通り,彼の国は年間降水量の少ない乾燥がちの気候であり,やはり年間降水量が比較的少ない地中海気候のヨーロッパ諸国と同様,自転車を活用しやすい地域性があるためではないかという気がしております.

それに反し我が日本は長雨等年間降水量,さらに気象災害が多い事も道路政策が四輪優先に偏りやすい要因になっていると思うのです.

しかし日本より降水量,それに台風災害が多いと思われる台湾でさえ,現在の自転車政策は日本よりかなり先を行っているとすれば,気候の問題はあまり自転車を冷遇する理由にはならないと考えております.




Posted by マイロネフ at January 24, 2022 14:28
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
地形や歴史的背景なども含め、気候など自転車の活用度合いに影響を与える要素はあるでしょうね。
しかし、ご自身で結論を導いてらっしゃるように、必ずしも気候に恵まれていないのに、自転車に乗る人が多い国もあります。北欧など、降雪量が多い冬でも当然のように自転車に乗る都市もあります。
気候に恵まれている場所もあるわけですが、それだけではないということでしょう。
Posted by cycleroad at January 27, 2022 13:51
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)