January 24, 2022

トラウマを克服する為の方法

暴力にも、さまざまなものがあります。


文字通り、他者の身体に対する物理的な破壊行為だけではありません。言葉による暴力とか、いじめ、心理的虐待、各種のハラスメントなどになる精神的な暴力なども、広く暴力として認知されるようになってきました。そして、性暴力も深刻なダメージを与える暴力です。

性暴力とは、被害者との関係の如何に関わらず、暴力や強制を伴った性行動、行為を指します。深刻な人権侵害として最も広範に発生しており、トラウマを与えるものの一つなのは間違いありません。「魂の殺人」と言われ、被害者の身体も心も深く傷つけるとされています。

被害を告発し、法的な責任をとらせるなどの措置を講じることが出来る人は、かなり少数です。泣き寝入りすることも多く、その被害の件数や実態は明らかではありません。被害者の苦しみは、被害を受けている間だけではなく、心に深い傷を抱えて、長く苦しみ続ける場合も少なくありません。

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義理の父親や同居人などから、子供の頃に被害を受けることも多く、当初はその行為の意味もわからないことも少なくないと言います。心身ともに不調をきたし、自殺願望を持ち続けたり、家族関係を壊すことを恐れて実の母親にも言えずに悩み続ける人も多いと言います。

心の傷、トラウマが、PTSDとなって、さまざまな心身の症状を引き起こします。長期間経ってから症状が突然現れたり、長く続くこともあります。加害者や気づかない家族だけでなく、何も知らない友人にまで、例えば幸せに暮らしいてることに腹を立てるなど、理屈では考えられないような苦しみを抱える場合もあるそうです。

そのような被害に遭わなければ、本当の自分がいたはずだとの思いを抱えたり、常に苦しい思いをして生きていく事に絶望して、自傷や自殺に至る人もいます。被害の記憶が突然フラッシュバックし、衝動的な行動をしてしまったり、再び被害を受けることを恐れたり、緊張やイライラに苛まされることもあるようです。

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なかなか周囲に告白できないことが多く、周囲も心の傷が見えず、気がつかないことも多いでしょう。何十年もの間、一人で悩み、苦しみ続ける人もいます。実態や総数は把握できませんが、決して少なくない割合で何らかの被害や悩みを抱える人がいるとの推定もあります。

政府機関や自治体なども、性犯罪や性暴力被害者に対する、被害直後からの総合的な支援を行っています。産婦人科の医療や相談から、カウンセリングなどの心理的支援、捜査関連の支援、法律的支援などを、なるべく一か所で提供することが望ましいとされています。

被害者の心身の負担軽減や健康回復に加えて、警察への届出を促進したり、被害が潜在化することを防止することも目指しています。しかし、被害に遭っても、なかなか打ち明けられないケースは少なくなく、子供の頃の被害を抱える人も含め、必ずしも被害者の救済が進んでいるとは言えないようです。

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ちなみに、もし、身近な人から被害を告白されても、自分のほうが動揺して、「なぜそんなことになったのか」「聞いているだけでつらい、イヤな気分になる」などと言ってはいけません。「そんなことありえない」「あの人がそんなことするはずがない」など、疑ったり否定するのも厳禁です。

「あなたも悪かった」「あなたが不注意だった」「〜しなければよかった」と、落ち度を責めるような言動も被害者をさらに傷つけます。「たいしたことない」「早く忘れてしまえばよい」というのも励ましにはなりません。「負けるな」「頑張れ」「あなたの気持ちわかるよ」などと下手に共感するのもよくないそうです。

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さて、前置きが長くなってしまいましたが、こうした被害者のために何か出来ないか、よりそったり、立ち直りをサポートしたり出来ないかと考え、行動する第三者による団体、NPOなどは世界各地にあります。必ずしも公的機関や医療機関が、救済に成功しているとは言えないことも背景にあるのでしょう。

アメリカ・コロラド州、ベイルに本拠を置く、“Sacred Cycle”もそんな団体の一つです。特徴的なのは、一般的な相談やセラピー、癒しだけに終わらないことです。ここでは、立ち直りのサポートや、トラウマを克服しようという人のために、サイクリングを取り入れています。

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創設者の、Heather Russell さんが、癒しやセラピーなど他のプログラムと組み合わせて、一緒にサイクリングを行うことが有効ではないかと思いつきました。彼女自身も自転車乗りだったので、ただ話を聞いて、セラピーを行うだけではなく、身体を動かしたほうがいいという確信がありました。

このブログでも過去に取り上げましたが、実際、うつ病やメンタルヘルスの面で、自転車に乗ることが有効という研究は多々ありますし、そのようなプログラムもあります。ただ部屋の中にいるばかりだと滅入ることもあるでしょう。自転車に乗って自然の中へ行けば、イヤなことを忘れられるということもあるはずです。

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自転車に乗っていると気が晴れるとか、身の回りの雑事のこと、悩みなどを、少なくとも一時のあいだ忘れられるということもあるに違いありません。強いトラウマを抱える人でなくても、サイクリストならば、この感覚を理解できるのではないでしょうか。

主にマウンテンバイクで、コロラドの大自然の中を走りまわります。経験のない人には一から教えます。MTBでのトレイルを経験したことのない人も多いですが、やがて自由に走れるようになり、その楽しさを実感し、乗り回せるようになった達成感も得ます。この達成感もいい効果を生むようです。





似た経験を持つ人やスタッフとともに、仲間として走ります。みんな一つのコミュニティとして、自転車を楽しみます。こうした体験は、孤立して自分の中に閉じこもりがちな被害者の意識を変え、もっと違う楽しいことに熱中し、過去の経験だけが、自分の中の大きな部分ではないことに気づくことにもつながるでしょう。

Heather Russell さんは、この非営利団体、“Sacred Cycle”の創設者ですが、トランスパーソナルカウンセリングの専門家です。心理学の修士号を持ち、ライセンスを受けたプロのカウンセラーでもあります。そして、個人的にトラウマを克服したサバイバーでもあるのです。

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伝統的な治療法と、いわばMTB療法を組み合わせています。グループライド、コミュニティライドに加えて、コーチングも行います。必要に応じて個人に向けたサポートや、必要な人には支援資金の提供も行っています。自転車や機材などは無料で貸し出しています。

この、“Sacred Cycle”は、アメリカの内国歳入法、第501条C項3号の規定に基づく非営利法人です。いわゆる、501(c)3法人と呼ばれるNPOで、NPO自身が税金の減免を受けられるだけでなく、ここに寄付する個人や法人も寄付金が税控除の対象となるNPOです。日本でいう公益法人に相当します。

Sacred Cycle

各方面からの寄付や支援を受けて運営されています。性暴力の被害からの治癒は、長くて勇気を必要とする旅です。単なる一時的なプログラムを提供する治療施設としてでなく、継続的に個人に関与するコミュニティとして、被害を受けた人の力になり、癒しと希望を提供したいと考えています。

自転車がメンタルヘルスに有効というだけではありません。性暴力の被害というトラウマを抱えた人たちに、心を開いて、自分が一人でないことに気づき、ほかの人生の大切なことに気づき、気持ちを前向きにすることに貢献するでしょう。これは有意義なだけでなく、素晴らしい活動だと思います。








◇ 日々の雑感 ◇

これだけ市中感染が拡大している中で外国人の入国禁止はもはや無意味なのに、なぜ規制を続けるのでしょうか。研究者などから嘆願書が出ていますし、留学生らも悲鳴を上げ、日本への留学生減少に直結します。時間稼ぎもブースター接種は全く進まずチグハグです。危機感が薄く、むしろ聞く耳を持たず、実行力には疑問符です。

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