自転車に乗るにも手がかじかみますし、風が冷たくて乗るのが億劫な人もあるでしょう。でも、通勤や通学、子どもの送迎など、寒くても毎日、変わらず自転車に乗っている人も少なくないと思います。先日、子どもの送迎と駅までの通勤に自転車を使っている友人が、なぜかこの時期、いつも乗る電車に乗り遅れると話していました。
何気ない日常の話なので、深く考えることではないのですが、その原因は、子どもの送迎や電車の運行の問題などではなく、もしかしたら、自転車のスピードが落ちるからかも知れません。同じ距離を走行するにしても、自転車のスピードが落ちるため、夏場より時間がかかってしまっている可能性があります。
ロードバイクなどに乗っていて、細かく自分のパフォーマンスを計測しているような人なら、既知の話だと思います。一方で普通の自転車利用者は、冬場でなくても自転車の速度を気にしたり、考えたこともないかも知れません。でも実は、冬場は同じように自転車に乗っても、スピードが落ちるとされています。
まず挙げられる理由は、タイヤの空気圧です。タイプにもよりますが、一般的に温度が10度下がると、10kPa(キロパスカル)ほど下がります。外気温が24度と4度では、20kPa 違う計算です。タイヤの空気圧が下がると、道路との接地面積が増えて、ころがり抵抗が大きくなり、そのぶん遅くなることになります。
また、寒いとタイヤのゴムが硬くなります。ゴムが硬くなるぶん、転がり抵抗が増すので、同じようにペダルをこいでいても、やはりスピードが落ちることになります。成分などメーカーによっても変わってくると思われますが、温度が20度違うと、約10%転がり抵抗が増えるそうです。
当然ながら空気抵抗も大きくなるでしょう。何を着るかにもよりますが、夏場よりも空気抵抗の大きなものを着ることになると思います。スポーツとして乗り、少しでも空気抵抗を小さくしたいと考えている人と違って、あまり考えていないと思いますが、空気抵抗の差は小さくありません。
着るものの影響以外にも、気温が違うと、空気の密度が変わってきます。走行していて体感でわかる人は多くないと思いますが、空気の密度が高くなることで、空気抵抗が上がります。これも気温が20度違えば、5〜6%抵抗が増える計算になります。
人間の身体も違ってくるでしょう。冬場の寒い中では、身体が動かないと感じる人は多いはずです。体温が上がってくれば、冬場のほうが冷却効果が高いということもありますが、少なくとも、身体が温まるまでは筋肉も硬直しがちであり、夏場よりもパワーが出にくいということもあるに違いありません。
人間の身体は、気温が低くても体温を保つように働きます。そのぶんエネルギーを使うこともありますが、少なくとも身体が温まるまで筋肉の温度も多少は低くなります。生理学の専門家によれば、筋肉の温度が1度低いだけで、筋力の発生量は、およ10%低くなるそうです。
寒いと血管が収縮します。血管が細くなるので、単位時間あたりの血液量は減り、血圧は上がることになります。運動に必要な酸素を運ぶために、寒い方が心拍数も上がってしまいます。心拍数が上がるとシンどいということになるので、寒い方がパワーの出力を下げる形になるでしょう。
冬場に運動を始めると、身体は血管を収縮させて体温が失われるのを防ぐ一方で、筋肉は適度に冷ます必要があるという矛盾した状況になります。どれだけパフォーマンスに影響するか数値化するのは難しいですが、これは、少なくとも疲労しやすくなるということも言えるようです。
人間も動物ですから、一般的に冬場のほうが脂肪を増やして体重が増える傾向があります。着ているものの重さも含めて、冬場はより重い重量を移動させることになりがちです。そのほか、一般的に冬のほうが季節風の関係で風は強くなります。走るコースにもよるでしょうが、風が強いぶん、スピードも落ちるはずです。
個人差や環境・条件の違いもあるので、一概に冬場はどれだけ遅くなるということは言えませんが、冬場は同じようにペダルをこいでいても、遅くなる要素がたくさんあります。距離にもよるでしょうが、冬場は駅までの所要時間が変わり、より時間がかかるというのは、むしろ自然なことと言えるでしょう。
おそらく、スポーツバイクに乗る人など以外は、サイコンも取り付けていないでしょうし、走行速度を確認することもないとは思います。でも、確実にスピードが落ち、時間はかかります。知識として、そのことを頭に入れ、冬場は少し所要時間を多めにみる、少し早く家を出るのがいいかも知れません。
◇ 日々の雑感 ◇
諸外国の例からすれば、そろそろ日本でもオミクロンの感染者数がピークをつけてもよさそうなものです。ステルスと呼ばれるBA2が気になりますが、変異型でなく亜種なので7波にならなさそうですし、そう願いたいものです。
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Posted by cycleroad at 13:00│
Comments(2)
cycleroadさん,こんばんは.
当地長野ではこの冬,何年かぶりの❝まともな❞冬になりまして,長野市中心部でも圧雪に凍結と,自転車乗りには極度の緊張を強いられる路面の状況が続いております.
自転車の中でもMTBや極太タイヤのファットバイク等は比較的雪に強いですが,誰が言うまでもなく油断はできません.こう乗れば比較的安全という決定版はありませんから,どうしても危険だと感じたら潔く自転車を降りて押して歩く以外にありませんね.
1つ挙げるなら,サドルに体重をかけず腰を浮かせるようにして乗る位でしょうか.ペダルよりサドルの方が重心は高くなりますから当然.それで滑りそうな時は腰をサドルの前方へポンと落として左足で❝ケンケン乗り❞をすることです.
それで困るのは,長野市中心部でも数少ない自転車専用レーンは雪の捨て場にされがちなこと.雪が降れば大抵の人は自転車に乗るのを控えますから,これも仕方ないのかなと.
しかしこれを,まともに使える自転車専用レーンを造らない口実にされても困るのですが.
マイロネフさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
積雪の中でも乗ってらっしゃいますか。たしかに神経を使いそうですね。
自転車レーンが埋まってしまったり、除雪によって道路が狭くなってしまうのも大変そうです。
なるほど、雪上の乗り方の知恵は、積雪地域の方ならではの工夫ですね。
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