これまで、冬場に積雪がある地域で、従来の自転車に乗るのは困難でした。それでも乗っていた猛者もいますが、ファットバイクなら雪道での安定走行が容易になります。日本では、まだまだマイナーですが、世界でも雪が降る地域で使う人が増えているようです。
ちなみに、自転車先進都市であるコペンハーゲンでは冬季に雪が積りますが、徹底的に除雪されます。クルマの道より優先です。コペンハーゲンでは、人口の半数近くが日常的な交通手段として自転車を利用していますが、さらにその8割の約40万人は冬季でも通勤など自転車に乗り続けられるのは、このような環境があるからです。
グリーンランドの景色 ↑
もし、雪が降った日に、この40万人が自転車に乗るのを止め、他の交通機関、バスや地下鉄に一斉に殺到したら大混乱となります。そのため、市当局は真っ先に自転車レーンの除雪をすることになります。市民は雪が降っても、雪かきされた自転車レーンを普通の自転車で走行できるのです。
多くの都市では、自転車用に除雪などしてくれませんが、ファットバイクがあれば冬でも自転車に乗れます。アメリカの都市でも、例えば北部のミネアポリスなどでは、冬季に雪が積もりますが、こうした地域で最近は雪でも自転車に乗る人が増えていると言います。それを可能にしたのがファットバイクというわけです。
グリーンランド:オーストラリア大陸との面積比較 ↑
これによって、自転車での旅行先も広がりました。これまでも、山岳地帯や砂漠、ジャングルやサバンナなど、特徴のある地域を自転車で走破するツアーなどはありましたが、ファットバイクは極地を走行することを可能にしました。北極圏や南極圏です。
南極大陸は民間人でも旅行できます。船で南極海をクルーズして、一部で南極大陸にも上陸できますが、さすがに自転車で走行できるツアーはないようです。冒険家の一部には、南極点を自転車で目指すような人もいないわけではありませんが、一般人には環境的にも費用的にも無理です。
一方、北極圏は状況が違います。南極と違って大陸はありませんが、北極圏に領土を持つ国が8つほどあります。その一つ、グリーンランドでは、氷河の雪原を自転車で走破するツアーが行われています。その名も、“
Fatbike Greenland”というサイトで、一般人でも北極圏ツアーを申し込むことが出来ます。
グリーンランドは、北極海に浮かぶ世界最大の島です。島と言っても、その大きさは日本全部の面積の5.7倍もあり、南極も含めた6大陸に次ぐ広さです。全島の8割以上が氷床と万年雪に覆われ、氷の厚さは3千メートル以上に及ぶところもあります。北部沿岸の小島は北極点に最も近い、つまり世界最北の陸地になります。
まさに北極の景色の中、200キロ程度の北極圏トレイルが楽しめます。個人で行くのは困難ですが、ツアーですから旅行中はガイドがフルサポートしてくれます。行ったことがないので、写真で見るだけですが、まさしく非日常の世界であり、他では見られない景色の中を走行することになります。
氷河だけなら、カナダなどでも見ることが出来ます。私も行ったことがありますが、そのごく近くまで舗装路で行けます。ほぼ観光名所であり、ツアー客も多く、夏ならさほど寒くもありません。こんなところに氷河?と思うような場所にあります。しかし、こちらは全く人里から隔絶された世界、まさに北極圏です。
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南極海をクルーズするようなツアーと比べて、リーズナブルな料金ですし、個人でも海外旅行の延長のような感じでツアー参加できそうです。ヨーロッパ旅行から少し足を伸ばせば、北極圏を自転車で走破するという、なかなか出来ない体験が味わえるでしょう。
ファットバイクは、冬季の積雪地域、氷結路などでも自転車に乗れるようにしました。これまでの自転車の常識を覆し、制約を大きく減らしたと言えるかも知れません。このことは世界的に、これまでより長い期間、世界のより広い地域で自転車に乗れるようにしたと言えるでしょう。( ↓ 動画参照)
これまでも、グリーンランド自体には旅行できましたが、氷河の中に広がる雪原の自分の足での走破は現実的ではありませんでした。その意味で、ファットバイクは人々の自転車での行動範囲を広げてくれ、極地旅行のような非日常体験を身近にしてくれたと言えそうです。
◇ 日々の雑感 ◇
オミクロンも全国的に減少局面に入ってきました。ブースター接種完了割合が小さいせいか、増え方に比べて減り方は鈍い気もしますが、このまま順調に下げて病床ひっ迫緩和、重症者・死者の減少につながることを祈ります。
Posted by cycleroad at 13:00│
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