March 01, 2022

東方拡大は周辺を威嚇の報い

世界中の視線が集まっています。


ロシアの軍事侵攻、ウクライナ情勢です。明らかな国際法違反であり、言語道断なのは言うまでもありません。ミンスク合意にも一方的に違反しました。東西冷戦終結後の世界秩序を破壊する歴史的な暴挙であり、世界各国が最大級の非難をしているのも当然です。

プーチン大統領は、ウクライナの東部でロシア系住民を守るとか、ロシア人が迫害されている、ジェノサイドが起きているなどと主張していますが、でっち上げでしょう。動画も流していますが、日付や兵器がおかしいなど、フェイク動画だったことが明らかになったりしています。

ウクライナ東部のドネツクやルガンスクの親ロ地域を、一方的に独立国として承認し、その依頼を受けたと表明していますが、侵攻の口実なのは明らかです。東部地域だけでなく、最初からベラルーシ経由で首都キエフに進軍していますし、ウクライナ国内の軍事施設を広く爆撃しています。

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アメリカやヨーロッパ諸国、日本も含めた西側諸国は、戦略物資の禁輸、個人や団体の資産凍結などの制裁に踏み切りました。そして、国際銀行間通信協会(SWIFT〈スイフト〉)からロシアの大手銀行を排除する金融制裁に踏み込むという大きな決定も表明しました。永世中立国のスイスまで資産凍結などの制裁を決めています。

世界各国で反戦や、ロシアのプーチン大統領を批難するデモが起きています。多くの国の市民が声をあげており、その中にはロシア人も含まれます。モスクワほをはじめ、ロシア国内でもデモが起こり、少なくない数のロシア国民が戦争に反対しています。

ドイツは、ロシアの天然ガスに依存することになるノルドストリーム2を止め、エネルギー政策の大きな転換をしました。第2次大戦の反省から、これまで紛争当事国への武器供与をしてきませんでしたが、その禁を破って、ウクライナへの武器提供を表明しました。

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スウェーデンも国是を破って、ウクライナに兵器供与を決めました。フランス、チェコ、オランダ、ポルトガル、ポーランドなども、対戦車ミサイルなどの実戦用の武器を送っています。アメリカも支援を表明しました。ウクライナ軍の士気は高く、ロシアに対して善戦しているとされます。

EUが欧州連合として、武力攻撃を受けた国のために武器を購入して提供するのは、第二次世界大戦後初のことです。EUがタブーに踏み込むのは、それだけ今回の危機が欧州の安全保障や秩序を揺るがす重大事態と捉えているからです。EUの空域のロシアの航空機の飛行も禁止し、ロシアのメディアの放送も禁止しました。

スポーツ界でも、反戦やロシアを批難する動きが広がっています。サッカーのポーランド、スウェーデン、イングランド代表などがロシアとの対戦を拒否しました。ボクシング、ラグビー、スキー、柔道、テニス、そのほかのスポーツの連盟が、ロシアとの対戦拒否や、同国での大会の延期、中止を決めるなど抗議の声をあげています。

RIDE FOR UKRAINERIDE FOR UKRAINE

こうした動きは、SNSなどによる拡散もあってか、世界的に急速に広がっています。例えば、“ROUVY”というバーチャル・サイクリングのアプリの運営主体は、#RideforUkraine という人道支援のイニシアチブを立ち上げました。みんなでウクライナのために自転車に乗ろうというのです。

もちろん、バーチャル・サイクリングでの話ですが、危機に瀕しているウクライナへの支援のために、世界中のライダーに呼び掛けています。これに参加したアスリート1人につき1ユーロを寄付します。同時に広く寄付を呼びかけるなど、ウクライナへの支援と、連帯を表明しようという活動です。

“ROUVY”のCEOは、ウクライナが受けているロケット攻撃や戦車による大規模侵攻を黙って見ていられなかったと言います。寄付はともかく、ウクライナ支援で、サイクリングトレーナーのペダルをこいでも仕方ないと言われればそうですが、一人でも多くの人に、この問題に関心を寄せてもらいたいと考えています。

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人々がデモに参加したり、SNSなどで声をあげ始めています。個人がそんなことをしても、今攻撃を受けているウクライナの救いにはならないという人もいます。たしかに、直接の効果はもたらさないでしょうし、被害を軽減したり、人命を救うことは出来ないかも知れません。

しかし、多くの人が声をあげれば、それぞれの国の指導者にも伝わります。実際に欧州諸国が、雪崩を打ったようにウクライナへの武器支援を加速させています。自国の経済も打撃を受ける経済制裁ですが、スイフトからロシアの銀行排除という大きな制裁に踏み込んだことにも、世論の大きさが影響したとされています。

世界中の人々の声は、ロシアの国民にも伝わるでしょう。ロシアでも反戦のうねりが広がりつつあります。このような動きは、SNSの時代ということもあって急速に広がり、結果としてロシアの軍事侵攻を止めることにつながる可能性だって否定できません。

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専制主義国家のロシアで、国民の声などプーチンが聞くわけがないと言う人もあるでしょう。たしかに、デモは排除され、逮捕拘束され、人々の声は押さえつけられます。選挙だって操作され、メディアは統制し、政敵には暗殺も辞さないような政権に、無意味と言われればそうかも知れません。

しかし、プーチン大統領は、実は支持率を非常に気にすると言われています。専制的な手法で押さえつける裏返しとして、大衆の力を恐れているフシがあります。革命という言葉を極端に嫌いますし、これまで専制的な指導者が、民衆によって倒されるのを、何度も見てきているからです。

ウクライナの善戦を受けて、焦りが見えるとの指摘もあります。核戦力を示唆する発言で、NATO諸国を脅迫しているのも、余裕を失っているとの見方があります。ナショナリズムを高揚させ、国民の支持を集めるつもりが、反戦や反プーチンデモが広がれば自信も揺らぐに違いありません。

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停戦協議が始まっていますが、本来はキエフを陥落させてからの予定が狂ったのは間違いないでしょう。この状態で、ウクライナの非武装化、ゼレンスキー政権の退陣、中立化を求めるのは、ムシが良すぎます。それでも停戦交渉を行わざるを得ない状況に追い込まれているとの見方もあります。

プーチン大統領は、NATOの東への拡大がロシアの安全保障に対する重大な脅威であり、アメリカやNATO諸国の東方拡大が悪いと主張しています。西側諸国が追い込んだと見ることも出来るわけで、それがこの事態を招いたと指摘する人もあります。

しかし、兄弟国とか同じ民族などと言いながら、無理矢理クリミア半島を併合したり、自国の利害だけで軍事進攻するような国がロシアです。東欧諸国や旧ソ連諸国が、ロシアに脅威を感じるのは当然です。ソ連崩壊以後、ロシアの脅威から逃れるため、NATOに加入したいと思うのは当たり前です。

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つまり、むしろロシアが周辺諸国をNATO加盟へと追い込んだのであり、NATOはそれを必ずしも拒まなかったのが実際のところでしょう。つまり、ロシアはそれだけ周辺諸国に嫌われているのであって、西側との緩衝地帯が無くなってきたのは、自業自得と言えると思います。

それなのに、自国の安全保障を主張して、西側諸国を批難し、軍事侵攻を正当化するなんて身勝手もいいところです。ウクライナとロシアのルーツが同じだからとか、ウクライナはロシアが作ったとか、演説で自分勝手な歴史認識も披露していますが、それを理由にするのはエゴそのものと言わざるを得ません。

今後、どのようになって行くかは予断を許しません。しかし、自国のエゴだけで他国に軍事侵攻するような国を許してしまえば、戦後の世界秩序の崩壊です。これを許してはなりません。私たち一人ひとりが出来ることは少ないですが、それでも声をあげていくべきです。

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ロシアが西側諸国の経済制裁のリスクにも動じず、侵攻に踏み切った裏には中国の存在もあるとされます。北京オリンピックの際にも周首席と会談し、天然ガスの購入契約や小麦などの輸入拡大を決めています。西側に売れなくても、中国が買ってくれれば困らないということでしょう。

あまりに中国に頼るのもロシアとしてはリスクですが、この後ろ盾があってこその侵攻という面は否めません。中国はロシアの立場を理解すると支持しています。アメリカは中国にロシアの支援を止めるよう求めていますが、聞く耳を持っていません。ただ、中国もロシア支持一辺倒で行けるとは限りません。

世界中の人々がロシアを批難し、その後ろ盾としての中国に批判が集まったとしたら、中国も安穏としていられないはずです。中国も自国民の政府に対する不満が高まることを恐れています。インフレの高進などで人民の怒りを買い、天安門事件を招いたトラウマもあります。

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情報を統制し、大企業を共産党の都合で規制し、人民の個人データを握り、監視カメラなどを使って自在にコントロールしているように見える中国ですが、人民の不満が高まるのを恐れる裏返しです。だからこそ、人民の気持ちを先導しかねない芸能人や大企業や宗教などを押さえつけるわけです。

難しいとは思いますが、世界中の人の反戦の声に中国の人民が共感すれば、周首席もうっかりロシア支持をしていられなくなる可能性があります。そうなれば、後ろ盾を失ったロシアは追い込まれ、ウクライナから撤退せざるを得なくなるでしょう。

逆に、権威主義的な国の、力による現状変更が可能ということになれば、中国は悲願である台湾の併合に踏み切るに違いありません。台湾有事には日本も巻き込まれます。尖閣諸島だけでなく、先島諸島や沖縄が、力で奪われる事態だって無いとは言えないでしょう。

私たち一人ひとりの出来ることは多くありません。SNSなどで主張しても、単なるノイズにしか過ぎないかも知れません。しかし、それでも人々の声が集まれば世界を動かす可能性があります。ウクライナ危機は、これまでとは違う脅威であり、将来に大きな禍根を残しかねません。決して対岸の火事ではないと思います。




◇ 日々の雑感 ◇

これ以上、人的被害が拡大することがあればロシア経済はますます苦境に陥るでしょう。撤退を決断すべきです。

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